2017年の年頭にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
昨年は、J-PARCにとって成長の年であったと思います。ハドロン事故から3年をむかえ、施設の安全な運営が、ようやく軌道に乗りつつあると考えています。これからも慢心することなく、施設運営に関わる一人一人が当事者として安全意識をもって、質の高い研究に結びつける努力を続けていきたいと思います。
また、自分だけでなく他人の安全にも気を配ることを目標として、「Mindful of Others」という標語を作りました。日本語にすると「周囲のことも気にかけよう」といった意味です。不安全な行為を見かけたら、躊躇することなく声をかけ、どうしたら安全に作業できるか考えることを促すものです。一見、おせっかいにも見えますが、注意する側と注意される側、双方の安全意識を高めるものとして、安全監査をしていただいている先生方からも、さらに進めるべき運動として評価いただいているところです。このように、利用者や業者も含めた安全をさらに追求して参る所存です。
研究成果に目を向けると、昨年は合計12件のプレスリリースを行いました。ニュートリノ振動実験T2K (Tokai to Kamioka) によりCP対称性の解明に第一歩を踏み出し、高圧氷の新しい秩序状態や、充放電しているリチウム電池の内部挙動、パーキンソン病発症につながるタンパク質分子の異常な振る舞いの観測に成功するなど、J-PARCを使った実験で多岐にわたる成果が上がっています。
このような成果を地域の方々とも共有するべく、T2K実験のコラボレータでもありノーベル賞を受賞された梶田先生を東海村にお招きして、小中学生との交流会もふくむ講演会を開催させていただき、会場が溢れるほどの大盛況になりました。さらに4年ぶりとなる施設公開も行い、地域社会の方々に少しずつ成長するJ-PARCを見ていただく機会も設けました。
今年は、より一層の成果を利用者とともに創出し、地域社会だけでなく世界とも共有するべく、地道な努力を続けて参ることを誓って、私のご挨拶とさせていただきます。
平成29年1月4日J-PARCセンター長齊藤 直人
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