平成28年6月6日

J-PARCセンター

  

MRにおける陽子ビームの強度が425kWに到達

  

  

  J-PARC MR (50GeVシンクロトロン) では、2008年の運転開始以来、ビーム調整や機器の増強を進めながらビーム強度を上げ、取り出されるパルス当たりの陽子数では2011年以降、世界最高記録を更新し続けています。
  2016年5月26日、T2K実験に供給する陽子ビームの強度が425 kWに達しました。このときのパルス当たりの陽子数は2.20x10^14個です。

  現在、T2K実験では、電子型ニュートリノの反粒子である反電子型ニュートリノの出現現象の証拠を世界に先駆けてとらえることを目指し、ニュートリノにおけるCP対称性の破れの謎に迫ろうとしています。この実験を成功させるためには物質とほとんど相互作用しないニュートリノをいかに大量に生成できるかが鍵であり、陽子ビームの大強度化がきわめて重要です。

  当初から達成目標としているMRのビーム強度は750 kWです。J-PARC加速器グループは今後も加速器のスタディを進め、より高いビーム強度を目指すとともに、電磁石電源系を増強してさらに大幅に強度を上げる計画も推進してまいります。

 【 用語解説 】 

  T2K実験 (東海-神岡間長基線ニュートリノ振動実験) 
  J-PARCで生成した大強度ニュートリノビーム を 295km離れた岐阜県飛騨市神岡町の地下1,000mに位置するスーパーカミオカンデに打ち込み、ニュートリノの謎を解明する実験。2013年に世界で初めてミュー型ニュートリノが飛行中に電子型ニュートリノへ変化する「電子型ニュートリノ出現現象」の存在を発見。その後、2014年から反ミュー型ニュートリノビームをJ-PARCから打ち出し、反電子型ニュートリノの出現現象の観測実験を進めている。
  
Page TOP

©2016 J-PARC Center. All rights reserved.