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平成28年2月19日
J-PARCセンター

 

J-PARC物質・生命科学実験施設 (MLF) の利用運転再開について
 (お知らせ) 

 

    J-PARC物質・生命科学実験施設 (MLF) では、中性子標的容器 (以下、標的容器) の不具合により昨年11月20日から利用運転を休止しており、前回 (1月22日) のプレスリリースでは本年2月中旬の利用運転再開を目指す旨お知らせしたところです。

    

    今般、標的容器の交換作業を含む利用運転の再開に向けた一連の作業が完了したことから、調整運転を実施の上、2月20日よりMLFの利用運転を低出力ビーム (200kW程度) にて再開することとしましたのでお知らせいたします。また、平成28年度夏期のメンテナンス期間中に予定している冷中性子源設備の一部更新等も見据え、随時追加的な保守・点検も交えながら安定的なビーム供給に努めてまいります。

    

    皆様に多大なるご不便・ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げますとともに、今後も安全を最優先とした施設の運営に取り組んでまいりますので、何卒ご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

    

     【本件に関するお問い合わせ】 

     <技術的なことについて> 
J-PARCセンター
物質・生命科学ディビジョン (担当:曽山・高田) 
TEL : 029-282-6424

     <報道担当> 
J-PARCセンター
広報セクション (担当:照沼・福田) 
TEL : 029-284-3100

    

     【用語説明】 

  「中性子標的」
  ステンレス鋼製の容器内に水銀を流動させ、陽子ビームを照射して水銀との核破砕反応で中性子を発生させる装置です。図1に示すように、中性子標的は密閉容器に装着され、陽子ビームで照射されます。

  「中性子標的容器」
  中性子標的容器はステンレス (SUS316L) 製で、溶接により組み立てられた構造であり、全長は2m、重量は約1.6tです。図2に示すように、中性子標的容器は、内部に水銀を流動させる水銀容器と、それを内包する保護容器から構成されます。保護容器は陽子ビームの入射により発熱するため水で冷却されています。
  中性子標的容器は、構造材料が使用につれて劣化し強度が低下するため、定期的に交換することとしています。

  「冷中性子源設備」
  陽子ビームを水銀標的に入射して発生した高速中性子を、水銀標的の上下に設置した低温の液体水素減速材で中性子を減速し、物質の構造やダイナミクスの研究等に適した波長の中性子にする設備です。



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  図1  中性子標的の概要について




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  図2  中性子標的容器の外観と内部構造
  

     【参考】 

  平成27年4月と11月に発生した中性子標的容器の不具合の内容



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     【補足説明】 

・次に使用する標的容器
既に予備機として準備してあるもので、過去の低出力運転時の標的容器と同等の性能を有しております。すなわち、現在の陽子ビーム入射時に発生する強力な圧力波の衝撃を数分の1に低減する機能を付加する前の構造ですが、不具合が生じた容器とは製作方法が異なり、安定した運用実績のある方法を主体として製作されたものです。
・不具合を起こした標的容器の原因調査の状況
昨年11月に不具合を起こした標的容器については、外観調査では異常が無く、昨年4月の不具合事象に対応した補修箇所には問題が無いことを確認しています。引き続き、内部を含めた詳細な調査を継続していきます。

  
  

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