2010年にデータ取得を開始したT2K実験グループは、2016年10月26日から始まった通算で8期目となる実験「Run8」を、2017年4月12日に終了しました。T2K実験では、MRでほぼ光速まで加速された陽子ビームをグラファイトターゲットに照射し、ニュートリノあるいは反ニュートリノを生成しています。今回のRun8の期間中、MRの定常運転でのビーム強度は470kwに達し、4月12日の終了日には、511kwという大強度のビームをニュートリノビームラインに取り出す試験も初めて行いました。
加速器のビームパワーが格段に上がった結果、今回のRun8期間中では期間あたり最高となる7.26×1020個の陽子を、また2010年1月の実験開始後から通算して2.25×1021個の陽子をグラファイトターゲットに照射することに成功しました。この陽子数は、Run7までに取得した数に比べて約50%増加しており、ニュートリノビームを用いてミュー型ニュートリノから電子型ニュートリノへの変身を観測する実験のデータがほぼ倍増しました。
今回のRunで取得したデータは、世界11カ国から約500名の研究者が参加する国際共同実験グループで解析作業と議論を重ね、この夏に開催される国際会議やセミナーなどで研究結果を発表する予定です。