11/21、一般財団法人 材料科学技術振興財団 (MST) 第18回 山崎貞一賞 贈呈式が行われました。
今年度は材料分野の受賞者として、J-PARC MLFで実験を続けている東京工業大学 科学技術創成研究院 全固体電池研究ユニットリーダーの菅野 了次 教授が選ばれました。題目は、「新規リチウムイオン伝導体の創成と全固体電池の開発」です。
現在、電池の構成要素がすべて固体の全固体電池の実用化に向けた競争が世界中で繰り広げられています。菅野教授は、全固体リチウムイオン電池を実現するために最も重要な固体電解質の開発に長年取り組んできました。今回の受賞では、リチウムイオンが液体中よりもよく移動できる固体の物質を発見し、それらを用いた全固体電池の新たな可能性を示した点が大きく評価されました。
報告された全固体電池*は、次世代蓄電池デバイスの最有力候補と評価されています。電池としての高いエネルギー密度を有するだけでなく、蓄えたエネルギーを大きな電流として放出することができるキャパシターとしての特性を併せもつからです。菅野教授は、トヨタ自動車およびKEK 物質構造科学研究所 中性子科学研究系 構造科学グループと共同で、MLF BL20
iMATERIA*の中性子線を利用した電解質・
LGPS物質系*および
LSPSC物質系*材料の結晶構造解析とその導電経路の可視化などを行い、上記成果の一部として発表しました。
贈呈式は、東京 上野の日本学士院において行われました。同賞の過去の受賞者には、バイオサイエンス・バイオテクノロジーの分野では京都大学 物質-細胞統合システム拠点・iPS細胞研究センター長の山中 伸弥 教授、材料の分野では、物質・材料研究機構の橋本 和仁 理事長などが名を連ねています。