物質・生命科学実験施設

ミュオン標的の設計

現在、高エネルギー加速器研究機構(KEK)及び原子力研究所(原研)は共同で大強度陽子加速器計画(J-PARC)を進めている。本計画の中で平成14年度から平成18年度の5ヵ年に渡り、物質・生命科学実験施設の一部として、3GeV、333μµAの陽子ビームを利用したミュオン科学研究施設の建設を行う。
この計画においては3GeVリングシンクロトロンによって 加速された陽子ビームが中性子ターゲットステーションまで輸送される 3NBTライン上にミュオン生成用のミュオン標的が設置される。また ミュオン標的上では約3.3kWの熱が発生し、この熱を除去するために標的周りに配置した冷却水配管によって間接冷却を行う。これらのミュオン標的に関わる諸問題を考慮し、標的の設計を行っている。
評価には主に有限要素法コードANSYSを使用した。発熱による静的特性(温度、応力)、動的特性 (熱過渡応答、応力波)の評価を行った。現在のところチタン等の応力緩衝材を挿入することにより、安全率を向上させることができた。また、計算モデルと同等の標的を実際に製作できるかどうかの確認のため標的の製作も行った。
実際に銅フレーム内にステンレス配管を拡散接合できることが確認された。
さらに製作した標的を電子ビームによる加熱するための実験装置も製作中である。

現在の標的概念図
現在の標的概念図
ANSYSによる計算
ANSYSによる計算(温度分布)
試作した標的
試作した標的(モリブデンフレームに黒鉛を拡散接合)