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分離変換技術 用語解説

[あ] [か] [さ] [た] [な] [は] [ま] [や] [ら]

あ

アメリシウム (Am)
原子番号95。超ウラン元素の1種。すべて放射性同位体よりになる。エックス線 やα線の放射線源に広く利用されている。Am-241(半減 期432年)、Am-242(半減期16時間)などの同位体がある。

インジェクター部
超伝導陽子線形加速器(リニアック)において、主要な加速部である超伝導空洞 へ陽子を送り込むための全段落部分を言う。インジェクター部は、加速対象の陽子を 発生させる「イオン源」、初段加速を行う「高周波四重極リニアック(RFQ)」及び 「ドリフトチューブリニアック(DTL)」からなる。超伝導リニアックの不意のビーム 停止は主にインジェクター部の不安定性に起因すると考えられており、インジェクタ ー部の大電流化実証は大強度加速器開発において重要な課題である。

ウラン (U)
原子番号92。すべて放射性同位体よりなる。ウランは最初に発見された放射性元 素である。天然ウランにはU-238(半減期45億年)が99.28%、U-235(半減期7億 年)が0.72%含まれる。軽水炉用燃料は、U-235を3〜4%程度に濃縮して使われる。

液体金属
液体状の金属。乾式法では、500℃程度の高温で液体であるカドミウム(Cd)、ビ スマス(Bi)、鉛(Pb)等を溶媒として用いる。

親核種
放射性核種Aが放射線を放出して壊れ、別の核種Bに変化するとき、AはBの親核種 という。これに対して、BはAの娘核種という。


か

階層型
核変換サイクルを設計する際の基本的考え方の一つで、商用発電サイクルにマイ ナーアクチニドや長寿命核分裂生成物の変換専用の核燃料サイクルを付加したもの。 加速器駆動未臨界炉(ADS)あるいは専焼高速炉(ABR)といったマイナーアクチニド変換 専用システムを核変換サイクルの中心に据え、商用発電サイクルと核変換サイクルの 2つのサイクルがそれぞれに最適化を図り、独立に発展が可能で、商用発電サイクル の形態に依らず、そこからのマイナーアクチニド発生量に見合った規模の核変換サイ クルを用意することができるという特徴がある。

核種
特定の原子番号と質量数により特定される元素の種類のこと。例えば、ウラン元 素には、核種としてU-235(原子番号92、質量数235)やU-238(原子番号92、質量数 238)などが含まれている。

核種分離技術
高レベル放射性廃棄物に含まれる核種を、それぞれの核種の物理的あるいは科学 的特徴を利用して、核変換の方法や利用目的に応じていくつかのグループ、元素ある いは核種に分離する技術。

核燃料サイクル
天然のウラン等が濃縮、加工等を経て核燃料として原子炉で利用されること、核 燃料として利用された使用済燃料からプルトニウム等を取り出し再び核燃料として利 用されること、及び、一連の過程から発生した放射性廃棄物が処理処分されること、 これら全ての過程を総合した体系のこと。

核反応
原子核と原子核、あるいは原子核と陽子、中性子、電子、 γ線等の衝突によって起こる現象のこと。具体的には、捕獲、 核分裂などがある。

核反応断面積
原子核同士または原子核と中性子・陽子などの素粒子との衝突によって起こる反 応を核反応といい、核反応の起こる確率を核反応断面積という。

核分裂生成物 (FP)
ウランやプルトニウム等の核分裂に伴って生じた核種及びその一連の放射性崩壊 で生じる核種のこと。大部分が放射性であり、その半減期は1秒以下のものから数百 万年に及ぶものまで幅広い。

核分裂性物質
比較的エネルギが低い熱中性子との相互作用によって核分裂を起こす物質の総 称。ウラン235が代表的なものである。

核変換技術
分離した後、中性子やγ線等の放射線を照射するこ とにより、長寿命の放射性核種を短寿命又は非放射性核種に変換する技術。

加速器駆動未臨界炉 (ADS)
体系を未臨界に保ったまま強力な中性子源で核分裂による出力を維持するシステ ムである。通常、数百MeV以上に加速された陽子による核破砕反応(スポレーション 反応)で発生する中性子を中性子源とする。体系が未臨界であるため、異常時には加 速器を停止すれば急速に出力が低下する。また、臨界炉に比べて即発臨界までの裕度 が大きい。しかしながら、陽子ビーム輸送管、ビーム窓、核破砕ターゲットなどを体 系に導入すること、このようなシステムの運転経験が無いことなど、開発課題も多 い。

管理型処分
放射性核種の濃度が時間とともに減少し、人間環境への影響が十分に軽減される まで、放射性核種の濃度に応じた管理を行うことで、放射性廃棄物を人間環境への影 響がないように安全に処分する方法。

キュリウム (Cm)
原子番号96。超ウラン元素の1種。すべて放射性同位体よりなる。α線を放出する Cm-242(半減期163日)、Cm-244(半減期 18年)がある。

高速増殖炉 (FBR)
高速中性子による原子核分裂連鎖反応によってエネルギーを発生しながら、炉内 において消費した燃料以上に新しい燃料(プルトニウム)を生成する原子炉。核燃料 サイクル開発機構に原型炉「もんじゅ」がある。

高速中性子
大きい運動エネルギーを持つ(速い)中性子のこと。

高レベル放射性廃棄物 (HLW)
再処理の過程において使用済燃料から分離されるストロンチウム-90、セシウム -137に代表される核分裂生成物とアメリシウム-241、ネプツニウム-237に代表される アクチニド(原子番号89番以上の元素。放射性元素である。)を含む高レベル放射性 廃液、またはそれをガラス固化したもの。


さ

再処理
原子炉で使用した燃料の中には、燃え残りのウランや新しくできたプルトニウム 等燃料として再び利用できるものと、ウラン等が分裂してできた核分裂生成物が含ま れている。これらを化学的プロセスにより、再び燃料として利用できるウラン、プル トニウムと高レベル放射性廃棄物に分離する作業のこと。

使用済燃料
原子炉燃料として使用され、規定の燃焼度に達した後に原子炉から取り出された 燃料をいう。

処分
放射性廃棄物を環境汚染を生じないような状態で環境中へ放出、埋設することを 処分 (disposal)という。

処理
放射性廃棄物を処分できる状態にする工程、あるいは安全に貯蔵できる状態にす る工程を処理(treatment)という。

専焼高速炉
マイナーアクチノイド (MA:Np、Am、Cm)を主成分とした燃料で炉心を構成した 高速炉。臨界調整のために初装荷燃料にPuを添加するが、第2サイクル以降は燃焼減 損分のMAの追加だけで運転できる。U、Puからの高次のアクチノイド生成がほとんど ないために高効率の核変換処理が可能となるが、遅発中性子割合が小さいことからく る制御上の問題がある。後者の問題の回避のためには、遅発中性子割合増大のために 炉心にU-235を添加する、あるいは、加速器駆動型未臨界炉とする、といった解決法 がある。

線量
放射線が人体影響の原因となると考えたときの原因量を放射線量あるいは線量と 呼ぶ。使用目的に応じ何種類かの線量が定義されているが、最も基本的なものは吸収 線量(単位:グレイ)であり、単位質量に吸収されるエネルギーで表される。人体へ の影響を評価する場合には、吸収線量に放射線の種類や臓器の感受性の違いなどによ る補正を行って求める実効線量(単位:シーベルト)が用いられる。


た

多重バリアシステム
高レベル放射性廃棄物を、長期聞にわたり生物園から隔離し、放射性物質の移動 を抑えることにより、処分された放射性廃棄物による影響が、将来にわたって人間と その環境に及ばないようにするための多層の防護系から成るシステム。工学技術によ り設けられる人工バリアと、天然の地層である天然バリアにより構成される。

短寿命核種
放射性核種の崩壊は無限に続くものではなく、それに伴って発生する放射線は時 問とともに減衰していく。この放射性核種の放射能のある期間を寿命とし、短期間で 減衰してしまう核種を短寿命核種という。
一般的には半減期が30年以下の放射性核種をいう。

地層処分
高レベル放射性廃棄物の最終処分として、ガラス固化体を地下数百メートルより 深い地層あるいは岩体中に隔離する方法をいう。処分後のいかなる時点においても人 間とその生活環境が高レベル放射性廃棄物中の放射性物質による影響を受けないよう にすることを目的とする。なお、英語の ”geological disposal”に対して用いられ ている「地層処分」という用語の「地層」には、地質学上の堆積岩を指す「地層」 と、地質学上は「地層」とみなされない「岩体」が含まれている。

窒化物燃料
アメリシウム(Am)の窒化物やキュリウム(Cm)の窒化物を混合した原子炉の燃料。 窒化物は熱伝導度が良好であり、様々な元素を混合することができるという特徴があ る。

窒素15
天然の窒素はほとんどが窒素14からなる。窒素14は中性子捕獲反応により、長寿 命核種である炭素14を生成する。このため、核変換プロセスに窒化物燃料を使う場合 には、天然の窒素に0.37%しか含まれない窒素15を高濃縮して使用する。

中間貯蔵
高レベル放射性廃棄物を地層処分するまでの間、放射能及び崩壊熱が減衰するま で、30〜50年間貯蔵することをいう。

中性子スペクトル
中性子のエネルギー分布のこと。

中性子捕獲反応
中性子が原子核に捕獲吸収されて、γ線を放出する 核反応(n、γ)のことをいう。中性子を捕獲した原子 は質量数が1だけ増し、原子番号は変わらない。中性子捕獲によって一般に原子核は 放射性を与えられることになる。高速増殖炉において炉心の周りに配置されたブラン ケット燃料のU-238は炉心からの高速中性子を効率よく捕獲吸収してPu-239をより多 く作り出す役割をしている。

超ウラン元素(TRU元素)
原子番号がウランよりも大きい元素のこと。TRU(Trans Uranium)とも呼ばれ る。ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウムなどがある。天然には 存在せず、原子炉や加速器の利用により人工的に作られたもので、半減期が数万年以 上と長いものがある。

長寿命核種
放射性核種の崩壊は無限に続くものではなく、それに伴って発生する放射線は時 間とともに減衰していく。この放射性核種の放射能のある期間を寿命とし、長期間に わたって放射線を発する核種を長寿命核種という。
一般的には半減期が30年以上の放射性核種をいう。

超伝導空胴
超伝導リニアックの主要な加速部である。超伝導状態となるひょうたん型の空胴 であり、内部に蓄えられる高周波電力により荷電粒子を加速する。加速される荷電粒 子の速度により形状が異なる。質量の軽い電子の場合はほぽ一定速度(光速)で加速 されるため構造は簡単となり、これまでにも各国で実用化されている。一方、質量の 重い陽子を加速する場合には速度がエネルギー毎に変化し、低エネルギー側では扁平 な空桐形状となるため、構造設計が難しい。現在、先進各国で開発が競われている。

超伝導リニアック
超伝導空桐を用いて荷電粒子(ここでは陽子)を加速する線形加速器(リニアッ ク)。常伝導の場合と比べて電力効率が高いこと、ビーム管径を大きくできることな どが特徴である。電力効率が高いことはシステムのエネルギー効率を向上させること に寄与する。ビーム管径を大きくできることはビーム損失を抑制して加速器システム の漏洩陽子によるダメージを低減することに寄与する。

毒性指数
放射性廃棄物に含まれる放射能が、法令で定められている年摂取限度の何倍に当 たるかを示す指標。放射性物質に起因する潜在的な毒性を示す。

トリウム(Th)
原子番号90。アクチノイド元素の1つである。天然に存在するTh-232の半減期は 1.4×l010年である。Th-232は中性子を吸収すると、 β崩壊を経て核燃料物質であるU-233に転換する。


な

二次廃棄物
放射性廃棄物の処理、処分等を行う過程で新たに発生する廃棄物をいう。

熱中性子
運動エネルギーの低い中性子のこと。周囲の物質と熱平衡状態あるいはほぼそれ に近い状態にある。

ネプツニウム(Np)
原子番号93。超ウラン元素の一つで天然にはほとんど存在しない。Np-237の半減 期は2.14×106年。


は

廃棄物管理
廃棄物の取扱、処理、調整、輸送、貯蔵、処分等を含む全ての活動の総称。

半減期
放射性物質の量が半分になるまでの時間。半減期は、放射性核種によって定まっ ており、放射性核種によって数十億年以上といった長いものから、百万分の1秒以下 の短いものまで種々ある。

被ばく線量
体外にある放射線源あるいは体内に摂取された放射性物質から個人が受ける放射 線の影響。

プルトニウム(Pu)
原子番号94。超ウラン元素の一つである。天然には極微量しか存在しない。 Pu-239はU-238の中性子捕獲によって生ずるU-239が、2段の β崩壊をして生じる。その半減期は2.4×l04年で ある。これがさらに中性子を捕獲すると順次Pu-240、241及び242などの同位体が生ず る。このうちPu-239とPu-241は核分裂断面積が大きいために核分裂物質(核燃料)と して利用できる。Pu-239は高速中性子を捕獲したときの核分裂における中性子発生率 が大きいために、高速増殖炉の燃料として用いられる。U-238を親物質に用いると核 燃料の増殖が可能になる。プルトニウムを熱中性子炉で燃焼させるのがプルサーマル 炉である。

放射性核種
核種のうち放射能を持つもの。

放射線
不安定な原子核が自然に壊れて別の原子核になるときに放出される高速の粒子又 は波長のごく短い電磁波。主にα線、 β線、γ線からなる。放射線が人 体に与える影響や物を透過する能力は、その種類とエネルギーによって異なる。それ ぞれの放射線を放出する放射性核種をα核種、β核種、γ核種と呼ぶ。
放射線の特性を活用し、非破壊検査、がんの治療、血液検査、滅菌処理、トレーサー 利用などで、放射線や放射性物質が利用されている。一方、放射線は、受けた放射線 量に応じてがんなどの発生確率が増えるなど、人体への影響を考慮する必要があるの で、原子力の利用に当たっては、一般公衆及ぴ放射線業務従事者に対する放射線被ば く管理が重要である。

α線:原子核から放出されるヘリウム原子核(陽子 2個、中性子2個からなる)。α線は、空気中を数c m程 度しか飛ばないため、衣服の表面でα線が吸収され、外 部からの放射線の被ばく(外部被ばく)による影響はほとんどない。しかし、 α核種の場合、呼吸や食物により体内に放射性物質を摂取し、 放射性物質が肺や骨などの組織に沈着などして人体の細胞や組織への影響を及ぽす (体内被ばく)ことによる被ばくの寄与が大きい。このため、主に α線を放出するウランやTRU核種(参照「TRU核種 (Transuranium)を含む放射性廃棄物」)については、内部被ばくを避けることが重 要である。

β線:原子核から放出される高速の電子。物を透過する 能力はα線とγ線の中間で あり、人体は、外部被ばく、内部被ばくの両方の影響を受ける。 β線を放出する核種の場合、放出する β線のエネルギーが低い炭素-14やトリチウムなどは、外部被ばくよりも 体内被ばくによる影響を避けることが重要となる。エネルギーの高いβ線を放出する ストロンチウム-90などは内部被ばくに加え外部被ばくを避け ることも必要となる。

γ線:原子核からα線や β線が出たあとに残ったエネルギーが電磁波(光の仲 間)の形で出てくるもの。物を透過する能力が高く、この放射線を止めるには鉛板や 分厚いコンクリート壁を必要とする。外部被ばく、内部被ばくによる人体内への影響 があるため、両者を避けることが重要である。

放射能
原子核がα線、β線、 γ線などの放射線を出す性質。

放射能毒性
毒科学的観点から見た放射線の生体に対する有害作用。


ま

マイナーアクチニド
原子番号89のアクチニクムからl03のローレンシウムまでのアクチノイド元素の うち、アクチニウムを除いた元素群はアクチニドと呼ばれている。使用済燃料の中に 生成するアクチニド元素のうち、生成量の比較的多いプルトニウムを除いた、生成量 の比較的少ない元素。ネプツニウム、アメリシウム、キュリウムなどが含まれ、いず れも放射性核種である。


や

ヨウ素(I)
原子番号53。ハロゲン元素の一つ。天然では、海藻、海産動物中に有機化合物と して存在する。核分裂生成物であるI-129は半減期が1.57×107年の揮発 性核種で、原子炉や再処理工場のオフガス中に含まれる。

溶融塩
溶融して液体となった塩類。原子炉の冷却材、核燃料の溶媒、再処理の抽出剤 等、諸種の工程に用いられる。

溶融塩電解法
使用済金属燃料を陽極(+)、固体(鉄の棒)あるいは液体カドミウムを陰極 (-)として、溶融塩中で電気分解を行うことにより、陽極からU、TRUが溶融塩中に 溶解し、陰極に析出する。この際、各金属の還元されやすさの違いによって、固体陰 極ではUが、液体カドミウム陰極ではU、TRUが、夫々選択的に析出するために、FPと 分離して回収することができる。


ら

リスク
放射線被ばくによる有害な影響の生じる確率。ある線量の被ばくを受ける確率 と、その被ばくによる健康への重大な影響を引き起こす確率との積で表される。

炉心
原子炉において、核燃料が存在し、核分裂連鎖反応が起こりうる領域。核燃料と 減速材(高速炉の場合は核燃料だけ)から成り、その間を冷却材が通過する。


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