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    <title>プレスリリース</title>
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    <id>tag:j-parc.jp,2019-02-14:/c/press-release/2</id>
    <updated>2026-05-14T05:29:37Z</updated>
    

<entry>
    <title>地球の外核に大量の水素が存在する可能性- 世界初、液体鉄中の水素量をその場観察で直接決定 -</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2026/05/13001802.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2026:/c/press-release//2.1802</id>

    <published>2026-05-13T02:00:00Z</published>
    <updated>2026-05-14T05:29:37Z</updated>

    <summary>国立大学法人　東北大学 国立研究開発法人　日本原子力研究開発機構 J-PARCセ...</summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="物質・生命科学" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;">国立大学法人　東北大学<br />
国立研究開発法人　日本原子力研究開発機構<br />
J-PARCセンター<br />
一般財団法人　総合科学研究機構<br />
国立大学法人　京都大学</p>

<div class="wrap_blue">
<h3>発表のポイント</h3>
<p>&nbsp;<strong> ✣ </strong>世界で初めて、液体鉄中の水素量を高温高圧条件下で「その場測定」することに成功しました。<br />
&nbsp;<strong> ✣ </strong>今回得られた液体鉄中の水素の溶解量から計算すると、地球の外核には現在の海水に含まれる全水素量の70〜85倍が存在し得ると推定されます。<br />
&nbsp;<strong> ✣ </strong>液体鉄中に取り込まれた水素が、長年の謎であった地球外核の密度不足の半分以上を説明できる可能性が示唆されました。</p></div>

<h3>概要</h3>
<p>&nbsp; 地球の中心にある核は、主に鉄でできていますが、その密度は純粋な鉄よりも低いことが知られています。これは、核の中に鉄より軽い元素が混ざっているためであり、その候補のひとつとして「水素」が考えられています。これは、水素は宇宙に豊富に存在し、高圧下では鉄と結びつきやすい性質を持つためです。地球の核にどれだけ水素が含まれているかを知ることは、地球の成り立ちを理解するうえで非常に重要です。
<br />&nbsp; 東北大学大学院理学研究科の高橋直生大学院生、坂巻竜也助教らの研究グループは、大強度陽子加速器施設J-PARC物質・生命科学実験施設（MLF）の超高圧中性子回折装置「PLANET」を用いた中性子実験により、高温高圧下で液体鉄に溶け込む水素の量を世界で初めて直接的に決定することに成功しました。本研究は、地球の核がどのように形成され、どのような化学組成を持つのかという長年の謎に対し、新たな手法で強力な証拠を提供したものです。
<br />本研究成果は、日本時間2026年5月11日18時に英国の国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。</p>

<h3>詳細な説明</h3>
<h4>研究の背景</h4>
<p>&nbsp; 地球の中心にある核は主に鉄でできていますが、その密度は高温高圧下の純粋な鉄よりも低いことが知られています。この密度不足の原因として、鉄より軽い元素が混ざっていると考えられており、その有力候補のひとつが「水素」です。これは、水素は宇宙に非常に多く存在し、また高い圧力のもとでは鉄に溶け込みやすくなるためです。
<br />&nbsp; 地球の核にどれだけ水素が含まれているかを知ることは、地球の成り立ちを理解するうえで重要です。しかし、水素は高圧下でしか鉄に溶け込まないため、圧力を下げるとすぐに逃げてしまい、常温常圧下でその量を調べることができないために、液体の鉄に含まれる水素の量を直接測ることはこれまで困難でした。</p>
<h4>研究の内容</h4>
<p>&nbsp; 今回の研究では、J-PARC MLFの超高圧中性子回折装置「PLANET」において、中性子イメージングという手法を用い、水素が溶け込んだ液体鉄（FeHx）を高圧・高温条件下で観察することで、液体鉄に含まれる水素の量を世界で初めて直接的に決定することに成功しました（図1）。
<br />&nbsp; 実験では、圧力3.4 GPa（3万4千気圧）・温度1400 K (1127℃)という条件で水素が溶け込んだ液体鉄を作り、中性子の吸収量から鉄に含まれる水素量を精密に計算しました。その結果、液体鉄には 重量濃度で0.17 %（0.17wt.%）の水素が溶け込んでいることが明らかになりました。
<br />&nbsp; 地球が形成される初期には、無数の微惑星や隕石の衝突、温室効果による高温化によって地表が溶けた「<a name="BNo1"></a><a href="#No1" style="text-decoration: none"><font color="blue">マグマオーシャン<sup>（注1）</sup></font></a>」が存在していたと考えられています。このとき、鉄の液滴はマグマの中を沈みながら周囲の物質と反応し、最終的に地球の中心へと集まって核を形成しました。最近の研究では、原始地球が太陽系の水素に富んだガスを取り込み、マグマオーシャンに大量の水素が溶け込んでいた可能性が指摘されています。今回の結果は、そのような環境で液体鉄が大量の水素を取り込みながら中心へ沈んでいったことを裏付けるものです。
<br />&nbsp; 今回得られた水素の溶解量をもとに、地球の核にどれだけの水素が含まれているか推定したところ、外核には現在の海洋 (H<sub>2</sub>O) の水素の70〜85倍、内核には1.9〜2.7倍が含まれうることが分かりました。これは、水素が外核の密度不足の半分以上を説明できる可能性があることを意味します（図2）。
<br />&nbsp; 地球の核がどのように形成され、どのような化学組成を持つのかは、地球科学の大きな未解決問題のひとつです。今回の研究は、1) 液体鉄に溶け込む水素量を初めて直接的に決定、2) 核形成時に水素がどれだけ取り込まれたかを定量的に推定、3) 外核の密度が低い理由の主要因を説明し得る、という3点で、地球の内部構造の理解を大きく前進させる成果です。</p>

<h4>今後の展開</h4>
<p>&nbsp; 本研究は、液体鉄でできた地球の外核にどれだけの水素が存在するかという長年の問題に対し、直接的な実験方法で制約を与えました。さらに地球内部の水素循環の理解や他の惑星の核形成プロセスの理解など、幅広い分野へ影響を与える成果です。今後は、より高圧条件下での測定や、水素以外の軽元素との共存効果の解明が期待されます。</p>

<h2>謝辞</h2>
<p>&nbsp; 本研究は、日本学術振興会（JSPS）科学研究費（課題番号 JP21K18641、JP23K22588、JP24K21563）、J-PARC の物質・生命科学実験施設（MLF）のBL11 PLANETにおけるユーザープログラム（課題番号 2022B0025、2023A0146、2024A0125）の支援を受けて実施されました。</p>

<p><a name="fig1"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260513_1100_01.jpg"><img alt="20260513_1100_01" src="assets_c/2026/05/20260513_1100_01-thumb-380xauto-11589.jpg" width="380" height="213" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="left">図1. 中性子イメージング実験の結果
<br />（左）試料セルの中性子透過像。セルの中央に鉄試料(Fe)を配置し、水素源であるアンモニアボラン(NH<sub>3</sub>BH<sub>3</sub>)で挟んでいる。加熱に伴いアンモニアボランから放出された水素が鉄中に溶け込むことで、鉄の中性子透過度が減少する様子が確認できる。（右）中性子透過度の温度変化。常圧で安定な体心立方構造の鉄 が水素化して 面心立方構造のFeHx へ相転移すると、透過度は急激に減少する（緑→赤）。その後、水素化鉄が溶融すると、透過度はわずかに増加する傾向を示す（橙→紫）。</p>

<p><a name="fig2"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260513_1100_02.jpg"><img alt="20260513_1100_02" src="assets_c/2026/05/20260513_1100_02-thumb-380xauto-11591.jpg" width="380" height="152" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="left">図2. 地球の核形成モデルの概略図
<br />微惑星の衝突・合体を経て原始地球が形成された際、衝突エネルギーによって地表は大規模に溶融し、マグマオーシャンが形成された。マグマオーシャン中では鉄と珪酸塩が分離し、密度の大きい鉄が地球中心へ沈降することで核が形成された。こうした分化過程を経て、現在の地球には地殻・上部マントル・マントル遷移層・下部マントル・外核・内核といった層構造が確立している。
マグマオーシャン底部の温度・圧力条件を仮定し、水素溶解度モデルを適用すると、液体鉄には 0.59-0.70 wt.%の水素が溶解すると推定される。これは 現在の海洋に含まれる水素量の72-87倍の量に相当し、液体鉄への水素溶解を通じて大量の水素が核へ輸送されたことを示唆している。この水素量を核全体に適用し、鉄に対する水素の固相―液相分配係数を考慮すると、外核には0.60-0.72 wt.%、内核は0.30-0.44 wt.%の水素が存在すると見積もられる。今回推定された外核の水素量は、外核の密度不足の約 6-7 割を説明し得ることが示唆される。</p>

<h3>用語説明</h3>
<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No1"><a href="#BNo1" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注1.	マグマオーシャン</strong></span></a> <br />&nbsp; 惑星形成初期に天体表面が高温でほぼ全面的に溶融し、巨大な"マグマの海"に覆われた状態。惑星が形成される際にほぼ必ず経る"高温・溶融の初期段階"であり、核・マントル・地殻の分化、大気・海の形成など、惑星の基本構造を決める極めて重要なプロセス。</p>
</div>

<h3>論文の情報</h3>
<table class="table table-responsive">
<tbody>
<tr>
<th>タイトル</th>
<td>Hydrogen in the Earth core inferred from neutron imaging and diffraction</td>
</tr>

<tr>
<th>著者</th>
<td>Naoki Takahashi*, Tatsuya Sakamaki, Takanori Hattori, Ken-ichi Funakoshi, Hiroshi Arima-Osonoi, Asami Sano-Furukawa, Jun Abe, Akio Suzuki</td>
</tr>

<tr>
<th>*責任著者</th>
<td>東北大学大学院理学研究科 大学院生 高橋 直生（たかはし なおき）
<br />東北大学大学院理学研究科 助教 坂巻 竜也（さかまき たつや）
</td>
</tr>

<tr>
<th>掲載誌</th>
<td>Scientific Reports</td>
</tr>

<tr>
<th>DOI</th>
<td><a href="https://doi.org/10.1038/s41598-026-49969-z" style="text-decoration: none" target="_blank"><font color="blue">10.1038/s41598-026-49969-z</font></a></td>
</tr>

</tbody>
</table>

<h3>問い合わせ先</h3>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 研究に関すること &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">東北大学大学院理学研究科地学専攻</span></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">助教　坂巻　竜也（さかまき　たつや）</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 報道に関すること &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">東北大学大学院理学研究科</span></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">広報・アウトリーチ支援室</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">日本原子力研究開発機構</span></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">総務部 報道課</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">J-PARCセンター 広報セクション</span></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">E-mail</span>：pr-section[at]ml.j-parc.jp</span></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -287 -9600</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">総合科学研究機構中性子科学センター</span></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">利用推進部 広報担当</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">京都大学</span></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">広報室 国際広報班</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">※上記の[at]は@に置き換えてください。</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>広い温度域で動作する次世代固体冷媒を開発- 従来の理論スケーリングを超える弾性熱量効果を発見 -</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2026/04/30001799.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2026:/c/press-release//2.1799</id>

    <published>2026-04-30T06:00:00Z</published>
    <updated>2026-05-07T04:00:12Z</updated>

    <summary>国立大学法人東北大学 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 J-PARCセンタ...</summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="物質・生命科学" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;">国立大学法人東北大学<br />
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構<br />
J-PARCセンター<br />
一般財団法人総合科学研究機構<br /></p>

<div class="wrap_blue">
<h3>発表のポイント</h3>
<p>&nbsp;<strong> ✣ </strong>チタン (Ti) 基超弾性合金において、−171 ℃から+129 ℃までの300 ℃にわたる極めて広い温度範囲での<a name="BNo1"></a><a href="#No1" style="text-decoration: none"><font color="blue">弾性熱量効果<sup>（注1）</sup></font></a>を実証しました。<br />
&nbsp;<strong> ✣ </strong>室温において約−10 ℃の断熱温度変化と高い冷却効率を達成しました。<br />
&nbsp;<strong> ✣ </strong>エアコンや冷蔵庫に加え、宇宙分野においても、次世代の省エネルギー型・環境負荷低減型冷却技術への応用が期待されます。</p></div>

<h3>概要</h3>
<p>&nbsp; 近年、エネルギー効率の向上と温室効果ガス排出削減に向け、固体材料を用いた次世代冷却技術が注目されています。中でも、力により生じる金属材料の状態変化（相変態）に伴う潜熱を利用する弾性熱量効果は、有望な冷却方式とされています。
<br />&nbsp; 東北大学学際科学フロンティア研究所の許勝助教らの研究グループは、Ti-Al-Cr系<a name="BNo2"></a><a href="#No2" style="text-decoration: none"><font color="blue">超弾性合金<sup>（注2）</sup></font></a>において、−171 ℃から+129 ℃（温度幅300 ℃）という極めて広い温度域での冷却応答を実証しました。この温度範囲は、従来の<a name="BNo3"></a><a href="#No3" style="text-decoration: none"><font color="blue">クラウジウス―クラペイロン関係<sup>（注3）</sup></font></a>に基づく予測を大きく上回るものであり、相変態熱力学の従来理解に新たな視点を与える成果です。さらに、単一材料で極低温から室温以上まで対応可能な高効率・低環境負荷型冷却技術の実現に道を開くものです。
<br />&nbsp; 本研究成果は、科学誌Nature Communicationsに2026年4月27日付で掲載されました。</p>

<h3>詳細な説明</h3>
<h4>研究の背景</h4>
<p>&nbsp; 現在、エアコンや冷蔵庫などで広く用いられている冷却技術（蒸気圧縮式）は、高いエネルギー消費と温室効果ガス排出という課題を抱えています。その代替技術として、固体の相変態を利用するカロリック冷却技術が注目されています。弾性熱量効果はその中でも特に高効率が期待される手法で、応力の印加や除荷で生じる相変態に伴う<a name="BNo4"></a><a href="#No4" style="text-decoration: none"><font color="blue">エントロピー変化（&#916;<i>S</i>）<sup>（注4）</sup></font></a>が大きいほど冷却能力が高くなります。一方「大きな&#916;<i>S</i>を持つ材料は温度動作範囲が狭く」、逆に「広い温度動作範囲を持つ材料は&#916;<i>S</i>が小さい」というトレードオフが存在し、材料開発における制約となってきました。この関係は、クラウジウス―クラペイロン関係と呼ばれる応力と温度の関係によって理解されてきました。</p>

<h4>今回の取り組み</h4>
<p>&nbsp; 今回、研究グループは、2025年に開発したTi-Al-Cr超弾性合金（図1）を用い、極低温から高温に至る広い温度範囲において、機械特性および弾性熱量効果の詳細な評価を行いました。まず、圧縮試験を広い温度域で実施した結果、−196 ℃から+187 ℃にわたる極めて広い温度範囲において、明瞭な超弾性特性が発現することを確認しました（図2）。各温度における応力-ひずみ曲線で示される通り、応力により変形を与えたTi-Al-Cr系超弾性合金が、応力を除くとほぼ元の形に戻る超弾性を示しました。この現象は、応力により生じる相変態が可逆性を持つことを示しています。また、中性子単結晶構造解析装置（SENJU）を用いたその場観察より、この相変態に伴う結晶構造の変化を直接確認しました。さらに、超弾性に伴う弾性熱量効果を直接評価するため、急速に応力を解放した際の試料温度変化（断熱温度変化）を測定しました。その結果、−171 ℃から+129 ℃の広い温度範囲において、除荷に伴う吸熱反応（冷却効果）が確認されました（図3）。特に室温付近では、約−10 ℃に達する顕著な温度低下が観測され、実用冷却材料としても有望な性能を示しました。これらの結果は、本合金が「広い温度範囲」と「実用的な冷却能力」を同時に満たす稀な特性を有することを示しており、従来の設計指針を拡張する重要な知見となります。</p>

<p><a name="fig1"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260430_1500_01s.jpg"><img alt="20260430_1500_01s" src="assets_c/2026/04/20260430_1500_01s-thumb-350xauto-11579.jpg" width="350" height="184" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="center">図1. 本研究で使用したTi-Al-Cr超弾性合金（Y. Song, S. Xu et al. <i>Nature</i> 638, 965-971, 2025）</p>

<p><a name="fig2"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260430_1500_02s.jpg"><img alt="20260430_1500_02s" src="assets_c/2026/04/20260430_1500_02s-thumb-350xauto-11581.jpg" width="350" height="137" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="left">図2. Ti-Al-Cr超弾性合金の各温度における圧縮応力-ひずみ曲線。−269 ℃から+227 ℃にわたる広い温度範囲で測定を行い、+187 ℃以下では応力を解放すると元の形に戻る「超弾性」と呼ばれる性質が確認された。</p>

<p><a name="fig3"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260430_1500_03s.jpg"><img alt="20260430_1500_03s" src="assets_c/2026/04/20260430_1500_03s-thumb-350xauto-11583.jpg" width="350" height="139" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a>
<p align="left">図3. Ti-Al-Cr超弾性合金における断熱温度変化（&#916;<i>T</i><sub>ad</sub>）の温度依存性。各温度で急速に応力を解放した際における試料の温度変化を示す。−171 ℃から+129 ℃の範囲では吸熱反応に伴う温度低下（冷却効果）が観測され、室温では約−10 ℃の温度変化が得られた。+129 ℃以上では、残留変形が生じやすくなる傾向があるため、測定は行わなかった。</p>

<h2>今後の展開</h2>
<p>&nbsp; 本研究で明らかになったTi-Al-Cr合金の弾性熱量特性は、従来のクラウジウス―クラペイロン関係に基づく設計指針では想定されていなかった広い温度域で得られ、弾性熱量材料の新たな設計概念を提示するものです。特に、超弾性応力の温度依存性の抑制により、温度範囲と冷却能力のトレードオフを緩和できることが示され、今後の材料設計において重要な指針になると考えられます。
<br />&nbsp; 本材料が示した冷却動作温度範囲は−171 ℃から+129 ℃に及び、低温領域を含む広温度域での熱制御材料として、宇宙分野を含む幅広い応用が期待されます。特に、広い温度域での冷却に対して、従来材料では複数材料の組み合わせが必要であったのに対して、単一材料で対応可能となる点は、冷却システムの簡素化や高効率化の観点から重要です。
<br />&nbsp; 一方で、本研究で得られた特性を実用化へと展開するためには、繰返し変形に対する耐久性やエネルギー損失の低減、加工性および形状制御といった課題の克服が必要です。特に材料の変形中に生じるエネルギーの損失は冷却効率に直接影響するため、その抑制は今後の重要な研究課題となります。
<br />&nbsp; 今後研究グループは、組成設計および微細構造制御を通じて上記の課題の解決を図ります。さらに、デバイス応用を見据えた材料設計および冷却システムとしての実証研究を進めることで、広い温度域で動作する固体冷却技術の実現を目指します。</p>

<h3>用語説明</h3>
<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No1"><a href="#BNo1" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注1.	弾性熱量効果</strong></span></a> <br />&nbsp; 材料に力を加えて相変態を起こすことで温度が変化する現象。力を取り除くと温度が低下するなど、冷却への応用が可能となる。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No2"><a href="#BNo2" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注2.	超弾性</strong></span></a> <br />&nbsp; 形状記憶合金において、大きな変形を加えても、力を除くと元の形状に戻る特性。ゴムのように見える挙動を金属で実現できる点が特徴。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No3"><a href="#BNo3" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注3.	クラウジウス―クラペイロン関係</strong></span></a> <br />&nbsp; 物質の相変態（固体から液体などの状態の変化）における温度と外力の関係を示す基本的な関係。材料の動作温度範囲を考える際の目安として用いられている。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No4"><a href="#BNo4" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注4.	エントロピー</strong></span></a> <br />&nbsp; 物質の状態の乱雑さや取りうる微視的状態数を表す物理量。エントロピー変化&#916;<i>S</i>は相変態に伴う熱の出入りと関係し、その変化量が大きいほど弾性熱量効果も大きくなる。</p>
</div>

<h2>謝辞</h2>
<p>&nbsp; 本研究は、環境省・（独）環境再生保全機構の環境研究総合推進費（JPMEERF20252RA2）により実施されました。また本研究の一部は、JSPS科学研究費助成事業（21K18179, 23K23070, 24K01190, 24KK0264, 25K23519）の支援を受けて行われました。中性子回折実験はJ-PARC 物質・生命科学実験施設の一般利用課題により中性子単結晶構造解析装置SENJUにて実施されました（2022B0155）。本論文は東北大学 2026 年度オープンアクセス推進のための APC 支援事業により Open Access となっています。</p>

<h3>論文の情報</h3>
<table class="table table-responsive">
<tbody>
<tr>
<th>タイトル</th>
<td>Enhanced elastocaloric cooling beyond Clausius-Clapeyron limits</td>
</tr>

<tr>
<th>著者</th>
<td>Yuxin Song, Sheng Xu*, Toshihiro Omori, Takuro Kawasaki, Yoshihisa Ishikawa, Ryoji Kiyanagi, Ryosuke Kainuma</td>
</tr>

<tr>
<th>*責任著者</th>
<td>東北大学学際科学フロンティア研究所　助教　許勝</td>
</tr>

<tr>
<th>掲載誌</th>
<td>Nature Communications</td>
</tr>

<tr>
<th>DOI</th>
<td><a href="https://doi.org/10.1038/s41467-026-72172-7" style="text-decoration: none" target="_blank"><font color="blue">10.1038/s41467-026-72172-7</font></a></td>
</tr>

</tbody>
</table>

<h3>各機関の役割</h3>
<p>&nbsp; <strong>東北大学</strong>：発案および研究全般。試料作製、機械特性および弾性熱量効果評価、データ解析、論文執筆。
<br />&nbsp; <strong>日本原子力研究開発機構、J-PARCセンター、総合科学研究機構</strong>：機械試験中のその場中性子回折実験。</p>


<h3>お問い合わせ先</h3>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 研究に関すること &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東北大学 学際科学フロンティア研究所</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">助教　許　勝（きょ しょう）</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 報道に関すること &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東北大学 学際科学フロンティア研究所 企画部</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">波田野　悠夏</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">日本原子力研究開発機構 総務部 報道課</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">J-PARCセンター 広報セクション</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">E-mail</span>：pr-section[at]ml.j-parc.jp</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -287 -9600</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">総合科学研究機構中性子科学センター 利用推進部</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">広報担当</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">※上記の[at]は@に置き換えてください。</span></div><div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>ミュオン触媒核融合を駆動するミュオン分子の直接観測に世界で初めて成功- 高分解能X線分光法を使い理論モデルを実験で実証 -</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2026/04/16001781.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2026:/c/press-release//2.1781</id>

    <published>2026-04-16T02:15:00Z</published>
    <updated>2026-04-16T02:58:40Z</updated>

    <summary>中部大学 東北大学 高エネルギー加速器研究機構 J-PARCセンター 理化学研究...</summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="物質・生命科学" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;">中部大学<br />
東北大学<br />
高エネルギー加速器研究機構<br />
J-PARCセンター<br />
理化学研究所<br />
東京都立大学<br />
立教大学<br />
高エネルギー加速器研究機構量子場計測システム国際拠点<br />
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構<br />
自然科学研究機構核融合科学研究所</p>

<div class="wrap_blue">
<h3>発表概要</h3>
<p>&nbsp;&nbsp; 中部大学と東北大学を中心とする国際共同研究グループは、高分解能X線検出器を用いて、素粒子の<a name="BNo1"></a><a href="#No1" style="text-decoration: none"><font color="blue">ミュオン<sup>（注１）</sup></font></a>を使う核融合（<a name="BNo2"></a><a href="#No2" style="text-decoration: none"><font color="blue">ミュオン触媒核融合：µCF<sup>（注２）</sup></font></a>）の反応率を左右するミュオン分子の<a name="BNo3"></a><a href="#No3" style="text-decoration: none"><font color="blue">共鳴状態<sup>（注３）</sup></font></a>を世界で初めて直接観測し、量子力学的な状態ごとの存在比を定量的に決定しました。これまで不明確であった分子生成過程の実像が明らかとなり、長年にわたる理論と実験の不一致を解消しました。ミュオン分子の中では、原子核同士が極めて近距離に閉じ込められることにより、プラズマを用いず常温でも核融合を起こすことができます。本成果は、量子状態を区別して理解できる段階までµCF研究を深化させるとともに、将来的なエネルギー源として期待されるµCFの高効率化に向けた基盤を大きく前進させるものです。研究成果は、日本時間4月16日、午前3時に、米科学振興協会（AAAS）が発行する科学誌Scienceの姉妹誌であるScience Advancesに掲載されました。</p></div>

<p><a name="fig0"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260416_000.jpg"><img alt="20260416_000" src="assets_c/2026/04/20260416_000-thumb-350xauto-11447.jpg" width="350" height="262" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="left"><strong>µCF反応過程におけるミュオン分子とミュオン原子からのX線放出のイメージ</strong><br />
本研究で明らかとなった共鳴状態を経由する経路（手前）と従来想定されてきた経路（奥）を示す。手前では2つの重水素原子核（d）とミュオン（µ）からなるミュオン分子の共鳴状態（ddµ<sup>*</sup>）から、奥ではミュオン原子（dµ）からX線がそれぞれ放出されている。観測結果は、共鳴状態を経由する経路がµCFにおいて主要な役割を果たすことを実証した。</p>


<h3>発表内容</h3>
<p>&nbsp; 中部大学ミュオン理工学研究センターの外山裕一特任助教と岡田信二教授、東北大学大学院理学研究科化学専攻の山下琢磨准教授と木野康志教授らを中心とする国際共同研究グループは、ミュオンを媒介とするµCFの反応率を左右するミュオン分子の共鳴状態を、極低温検出器を用いた高分解能X線分光により世界で初めて直接観測することに成功しました。さらに量子状態ごとの存在比を定量的に同定しました。これまで不明確であったミュオン分子生成過程の実像が明らかとなり、長年にわたる理論と実験の不一致を解消しました。本成果は、量子状態を区別して理解できる段階までµCF研究を深化させるとともに、将来的なエネルギー源として期待されるµCFの高効率化に向けた基盤を大きく前進させるものです。
<br />&nbsp; 現在、水素原子核同士を融合させる核融合（フュージョン）の実用化を目指した研究が世界各地で行われています。フュージョン発電は、原理的に暴走事故が起こらず安全性が高いことに加え、燃料となる水素は海水から得られ、発電時に二酸化炭素を排出しないという利点があります。
<br />&nbsp; フュージョンを起こすには、極めて高い温度でプラズマを生成し磁場で閉じ込める方法や、レーザーによって燃料を瞬間的に圧縮して高温・高密度のプラズマを実現する方法が用いられます。これに対しµCFでは、水素分子の中の電子をミュオンに置換し、200分の1程度の小さなミュオン水素分子を作ります。このミュオン分子の中では、原子核同士が極めて近距離に閉じ込められることにより、プラズマを用いず常温でも核融合を起こすことができます。µCFを効率よく起こすためには、ミュオン原子やミュオン分子を速やかに生成することが重要です。しかし、このミュオン分子生成に至る原子・分子の反応過程については、長年にわたり理論と実験の間に不一致があり、ミュオン分子の共鳴状態の役割も未解明でした。
<br />&nbsp; 最近の理論研究により、共鳴状態を含む反応経路により、理論と実験の不一致を解決する可能性が、東北大の木野教授と山下准教授らによる精密な理論研究により定量的に示され、共鳴状態の生成を示す特徴的なX線スペクトルが予測されていました。本研究では、従来の半導体検出器に比べて10倍以上優れたエネルギー分解能をもつ<a name="BNo4"></a><a href="#No4" style="text-decoration: none"><font color="blue">超伝導転移端センサー（TES）マイクロカロリメータ<sup>（注４）</sup></font></a>（以下、TES検出器と略記、米国国立標準技術研究所（NIST）により製作）を用いることで、ミュオン分子とミュオン原子に由来するX線成分を分離して検出することに成功しました（図1）。さらに、観測されたスペクトルを高精度理論計算と比較することにより、共鳴状態にある２個の重水素原子核（d）とミュオン（µ）からなるミュオン分子（ddµ<sup>*</sup>）の振動量子状態を同定し、存在比を定量的に評価することに成功しました。

<br />&nbsp; この定量的同定の結果、これまで考慮されてこなかった共鳴状態を経由する反応経路が、µCFにおいて主要な分子生成過程としての役割を果たしていることを実証しました。さらに、µCFの律速過程であるミュオン分子生成反応を回避し、核融合を起こす状態に直接遷移する「ファストトラック」の存在を示唆する結果も得られました。これらの結果は、理論予測とも整合的であることが確認されました。

<br />&nbsp; 本成果は、TES検出器による高分解能X線分光を通じて、µCF研究の根幹に関わる、反応率の理論と実験の不一致という未解決問題を解決し、µCF研究にブレークスルーをもたらしました。ミュオン分子を量子状態レベルで直接観測・同定できる段階に到達したことで、µCF研究は、不明確な理論モデルに依存した段階から、量子状態に基づく反応過程を精密実験により検証できる新たな段階へと大きく前進しました。研究成果の内容は、米国東部時間４月15日（水）、午後２時（日本時間４月16日（木）、午前３時）に、米国科学振興協会（AAAS）が発行する科学誌Scienceの姉妹紙であるScience Advancesに掲載されました。

<br />&nbsp; 今後は、本手法を重水素と三重水素の混合系など、より高効率な反応系へと展開することで、µCFの反応サイクルの全体像の解明や、エネルギー生産への応用に向けた研究のさらなる進展が期待されます。

<br />&nbsp; 本成果は、科学技術振興機構（JST）が推進する内閣府の<a name="BNo10"></a><a href="#No10" style="text-decoration: none"><font color="blue">ムーンショット型研究開発事業（目標10）<sup>（注５）</sup></font></a>のもとで推進される高効率ミュオン触媒核融合の実現に向けた研究において、今後の展開を方向づける重要な科学的基盤を構成するものです。本研究で確立した高分解能X線分光技術と、共鳴状態の物理学的役割を明らかにした知見により、µCF高効率化に向けた研究戦略に明確な指針を与えるとともに、「革新的ミュオン触媒フュージョン技術の社会実装」に向けた研究開発を一層加速することが期待されます。</p>

<p><a name="fig1"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260416_001.jpg"><img alt="20260416_001" src="assets_c/2026/04/20260416_001-thumb-350xauto-11449.jpg" width="350" height="191" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="left"><strong>図1 ミュオン分子の共鳴状態の直接観測</strong><br />
従来型検出器では識別が困難であったミュオン分子の共鳴状態に由来するX線スペクトル構造を、TES検出器による高分解能X線分光によりミュオン原子（dµ）に由来するX線成分と明確に分離し、観測することに成功した。得られたスペクトルは理論計算と良く一致しており、ミュオン重水素分子の共鳴状態（ddμ<sup>*</sup>）を振動の量子状態レベルで同定できたことを示している。この結果は、μCFにおける分子生成過程を量子状態ごとに定量的に解析・検証するための基盤となる。
（Y. Toyama et al., Science Advances（2026）より改変）</p>

<h3>研究成果のポイントまとめ</h3>
<p>&nbsp;&nbsp;<strong> ✣ </strong>ミュオン触媒核融合（µCF）において分子生成過程解明の決め手となるミュオン分子の共鳴状態を世界で初めて直接観測<br />
&nbsp;&nbsp;<strong> ✣ </strong>TES検出器による高分解能X線分光により、ミュオン分子を量子状態ごとに分離・定量観測する手法を確立<br />
&nbsp;&nbsp;<strong> ✣ </strong>共鳴状態を経由する反応経路が主要な分子生成過程として機能していることを定量的に実証し、µCFにおける反応率の理論と実験の不一致を解消<br />
&nbsp;&nbsp;<strong> ✣ </strong>律速過程を回避するファストトラックを含む遷移を観測し、µCF反応の理解・検証を可能とする新たな枠組みを提示<br />
&nbsp;&nbsp;<strong> ✣ </strong>µCFの高効率化に向けた基盤的理解を大きく進展</p>

<h3>本研究成果の共同プレスリリース参加機関および代表者</h3>
<p>&nbsp; 中部大学　岡田信二 教授<br />
&nbsp; 東北大学　木野康志 教授<br />
&nbsp; 高エネルギー加速器研究機構・J-PARCセンター　Patrick Strasser 教授<br />
&nbsp; 理化学研究所　橋本直 理研ECL研究チームリーダー<br />
&nbsp; 東京都立大学　奥村拓馬 准教授<br />
&nbsp; 立教大学　山田真也 准教授<br />
&nbsp; 高エネルギー加速器研究機構量子場計測システム国際拠点　東俊行 特任教授<br />
&nbsp; 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構　高橋忠幸 特任教授<br />
&nbsp; 自然科学研究機構核融合科学研究所　岡田信二 特任教授（兼任）</p>

<h3>研究助成</h3>
<p>&nbsp;&nbsp;<strong> ✣ </strong>本研究の一部は、以下の研究助成を受けて行われました。<br />
&nbsp;&nbsp;<strong> ✣ </strong>日本学術振興会（JSPS）科学研究費補助金（JP18H05457, JP18H05463, JP18H05458, JP18H05461, JP24K00549, JP18H03714, JP23H00120, JP23H03660, JP20K15238, JP24K06911, JP23K13130）<br />
&nbsp;&nbsp;<strong> ✣ </strong>核融合科学研究所 共同研究課題（NIFS23KIIF031, NIFS23KIIF032）<br />
&nbsp;&nbsp;<strong> ✣ </strong>HPCIシステム利用研究課題（hp240146, hp250118）<br />
&nbsp;&nbsp;<strong> ✣ </strong>JSTムーンショット型研究開発事業（JPMJMS25A4）<br />
&nbsp;&nbsp;<strong> ✣ </strong>高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 ミュオン共同利用実験課題（2019MS01）</p>

<h3>論文の情報</h3>
<table class="table table-responsive">
<tbody>
<tr>
<th>雑誌名</th>
<td>Science Advances</td>
</tr>
<tr>
<th>論文タイトル</th>
<td>Direct observation of muonic molecules in resonance states critical to muon catalyzed fusion</td>
</tr>
<tr>
<th>著者</th>
<td>Y. Toyama <sup>1∗</sup>, T. Azuma <sup>2,3</sup>, D.A. Bennett <sup>4</sup>, W.B. Doriese <sup>4</sup>, M.S. Durkin <sup>4,5</sup>, J.W. Fowler <sup>4</sup>,　J.D. Gard <sup>4,5</sup>, T. Hashimoto <sup>6</sup>, R. Hayakawa <sup>3</sup>, Y. Ichinohe <sup>7</sup>, K. Ishida <sup>8</sup>, S. Kanda <sup>8</sup>, N. Kawamura <sup>8</sup>, Y. Kino <sup>9,*</sup>, R. Konishi <sup>9</sup>, Y. Miyake <sup>8</sup>, K.M. Morgan <sup>4</sup>, R. Nakashima <sup>9</sup>, H. Natori <sup>8</sup>, H. Noda <sup>10</sup>, G.C. O' Neil <sup>4</sup>, S. Okada <sup>1</sup>, <sup>11,12*</sup>, T. Okumura <sup>13</sup>, K. Okutsu <sup>9</sup>, C.D. Reintsema <sup>4</sup>, K. Sasaki <sup>9</sup>, T. Sato <sup>14</sup>, D.R. Schmidt <sup>4</sup>, K. Shimomura <sup>8</sup>, P. Strasser <sup>8</sup>, D.S. Swetz <sup>4</sup>, T. Takahashi <sup>15</sup>, M. Tampo <sup>8</sup>, H. Tatsuno <sup>16</sup>, J.N. Ullom <sup>4,5</sup>, I. Umegaki <sup>8</sup>, S. Watanabe <sup>17</sup>, S. Yamada <sup>18</sup>, T. Yamashita <sup>9∗</sup><br />
1　Center for Muon Science and Technology, Chubu University<br />
2　Atomic, Molecular and Optical Physics Laboratory, RIKEN<br />
3　WPI-QUP, KEK<br />
4　National Institute of Standards and Technology (NIST), USA<br />
5　University of Colorado, Boulder, USA<br />
6　RIKEN Pioneering Research Institute, RIKEN<br />
7　RIKEN Nishina Center, RIKEN<br />
8　High Energy Accelerator Research Organization (KEK) <br />
9　Department of Chemistry, Tohoku University<br />
10　Astronomical Institute, Tohoku University<br />
11　Department of Mathematical and Physical Sciences, Chubu University<br />
12　National Institute for Fusion Science (NIFS) <br />
13　Department of Chemistry, Tokyo Metropolitan University<br />
14　Department of Physics, Meiji University<br />
15　Kavli IPMU, The University of Tokyo<br />
16　Department of Physics, Tokyo Metropolitan University<br />
17　Institute of Space and Astronautical Science (ISAS),　JAXA<br />
18　Department of Physics, Rikkyo University<br />
* Corresponding Authors
</td>
</tr>
<tr>
<th>DOI</th>
<td><a href="https://doi.org/10.1126/sciadv.aed3321" style="text-decoration: none;" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span color="blue" style="color: blue;">https://doi.org/10.1126/sciadv.aed3321</span></a></td>
</tr>
</tbody>
</table>

<h3>用語解説</h3>
<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No1"><a href="#BNo1" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注１ ミュオン</strong></span></a> <br />&nbsp; ミュオンは電子とよく似た性質を持ち、電子と同じ負の電荷に加えて電子の約207倍の質量をもつ。寿命は約2.2 µs（マイクロ秒、100万分の1秒）と短く、最終的に電子などに崩壊する。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No2"><a href="#BNo2" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注２ ミュオン触媒核融合（Muon Catalyzed Fusion: µCF）</strong></span></a> <br />&nbsp; ミュオンが電子の代わりに水素の同位体（重水素など）と結びつき、「ミュオン分子」と呼ばれる風変わりな分子を生成する。この分子では、ミュオンが電子よりも約207倍重いことにより、原子核同士が非常に近づく。その結果、太陽のような高温のプラズマを作らなくても核融合が起こる。さらに、反応後にミュオンは再び放出され、その寿命が続く限り何度も核融合を繰り返し引き起こすため、「触媒」として働く。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No3"><a href="#BNo3" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注３ 共鳴状態成</strong></span></a> <br />&nbsp; 寿命をもつ準安定な状態であり、より安定な状態へ遷移する際にX線などの放射線を放出して崩壊する。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No4"><a href="#BNo4" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注４ 超伝導転移端センサーマイクロカロリメータ（TES検出器）</strong></span></a> <br />&nbsp; X線を吸収した際のエネルギーを、微小な温度上昇として測定する装置（マイクロカロリメータ）の一種であり、温度センサーとして超伝導体を用いる。超伝導体は転移温度付近で電気抵抗が急激に変化するため、わずかな温度変化を高感度に電気信号として検出できる。この特性を利用することで、TES検出器は極めて高いエネルギー分解能を実現し、従来の半導体検出器では識別が困難であった微細なスペクトル構造の観測を可能にする。</p>
</div>

<p><a name="fig2"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260416_02.jpg"><img alt="20260416_02" src="assets_c/2026/04/20260416_02-thumb-170xauto-11440.jpg" width="170" height="159" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>



<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No5"><a href="#BNo5" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注５ ムーンショット型研究開発事業（目標10）</strong></span></a> <br />&nbsp; 我が国が推進する10個の挑戦的研究開発プログラムの一つであり、目標10では「2050年までに、フュージョンエネルギーの多面的な活用により、地球環境と調和し、資源制約から解き放たれた活力ある社会を実現」することを掲げている。
<br />&nbsp; 本研究は、その中で推進されている「革新的ミュオン触媒フュージョン技術の社会実装」に向けた研究開発の一環として、µCFの高効率化に資する基盤的研究として位置付けられる。</p>
</div>

<p><a name="fig3"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260416_03.jpg"><img alt="20260416_03" src="assets_c/2026/04/20260416_03-thumb-autox111-11442.jpg" width="110" height="111" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="center">（出典：AIによる生成）</p>

<h3>お問い合わせ先</h3>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 研究内容に関すること &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">外山 裕一　中部大学 ミュオン理工学研究センター 特任助教</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">岡田 信二　中部大学</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">ミュオン理工学研究センター長／理工学部 数理・物理サイエンス学科 教授</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">山下 琢磨　東北大学 大学院理学研究科化学専攻 准教授</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">木野 康志　東北大学 大学院理学研究科化学専攻 教授授</span></div>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 報道に関すること &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">中部大学 入試・広報センター</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東北大学大学院 理学研究科 広報・アウトリーチ支援室</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 広報室</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">Tel: </span>029 -879 -6047</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">e-mail</span>：press[at]kek.jp</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">J-PARCセンター 広報セクション</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">E-mail</span>：pr-section[at]ml.j-parc.jp</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -287 -9600</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">国立研究開発法人理化学研究所 広報部 報道担当</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東京都公立大学法人東京都立大学 管理部企画広報課広報係</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">学校法人立教学院 企画部広報課</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">国立大学法人東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構 広報担当 小森</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">大学共同利用機関法人自然科学研究機構 核融合科学研究所 管理部総務企画課対外協力係</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div><div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">※上記の[at]は@に置き換えてください。</span></div><div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>ガラスにならない酸化アルミニウムを透明な非晶質の塊に- 5配位ピラミッドと6配位八面体からなる超高密度構造と結晶を超える誘電率を高圧力で実現 -</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2026/04/07001776.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2026:/c/press-release//2.1776</id>

    <published>2026-04-07T05:00:00Z</published>
    <updated>2026-04-07T05:20:10Z</updated>

    <summary>学校法人工学院大学国立研究開発法人物質・材料研究機構（NIMS）国立大学法人京都...</summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="物質・生命科学" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;">学校法人工学院大学<br />国立研究開発法人物質・材料研究機構（NIMS）<br />国立大学法人京都大学<br />国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学<br />日本電子株式会社<br />国立大学法人東北大学<br />国立大学法人島根大学<br />岡本硝子株式会社<br />国立研究開発法人科学技術振興機構（JST）<br />J-PARCセンター<br />公益財団法人高輝度光科学研究センター</p>
<div class="wrap_blue">
<h3>研究の要点</h3>
<p>&nbsp;&nbsp;<strong> ✣ </strong>酸化アルミニウム（アルミナ）を、室温・超高圧でミリメートル級の高密度なガラス状材料として形成
<br />&nbsp;<strong> ✣ </strong>硬さ・熱特性・電気特性を併せ持つ新非晶質材料として、電子・機械分野での材料選択肢拡大に期待
<br />&nbsp;<strong> ✣ </strong>高圧による緻密化を通じて性質を調整できる可能性を示し、構造制御による材料設計指針を提案</p></div>

<p>&nbsp; 1. 工学院大学（学長：今村 保忠、所在地：東京都新宿区／八王子市）と物質・材料研究機構（理事長：宝野 和博、所在地：茨城県つくば市、以下「NIMS」）を中心とする研究チームは、京都大学、名古屋大学、日本電子株式会社、東北大学、島根大学、岡本硝子株式会社をはじめ、国内複数機関との共同研究により、従来「ガラスにならない」と考えられてきた単一成分酸化物である酸化アルミニウム（Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>、アルミナ）について、室温の高圧プロセスにより、ミリメートルサイズの透明な非晶質（アモルファス）の塊（バルク）を合成することに成功しました。得られた試料が、高い熱伝導率や硬さを示すことに加え、誘電率が約11.3と、代表的な結晶相であるα‐Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>（サファイア）の誘電率（約10）を上回ることを示しました。
<br />&nbsp; 2.	アルミナは化学的安定性や絶縁性に優れることから、電子材料やコーティングなどで広く用いられ、産業分野を支えている基幹材料です。一方で、ガラス科学の観点ではアルミナはガラス形成能を持たず、通常の溶融法ではガラス状態のアルミナ（非晶質アルミナ）を塊として得ることができませんでした。
<br />&nbsp; 3.	今回、研究チームは、電気化学的に作製した多孔質非晶質アルミナ薄膜（アルマイト）に対して、室温で高圧（9.4 GPa：9万4千気圧）を印加することで、粒子界面や孔を消失させ、透明なバルク体へと一体化させました。固体核磁気共鳴分光、放射光X線回折、中性子回折、構造モデリングを組み合わせた解析により、非晶質アルミナの主要構造単位が、八面体から酸素頂点が一つ欠けたような5配位ピラミッド（AlO<sub>5</sub>）であること、加圧によってAlO<sub>5</sub>の変形とAlO<sub>6</sub>八面体の増加が進み、両者が稜共有で連結した、通常の非晶質には見られない高密度な構造が形成されることを明らかにしました。これにより、電場に対して応答しやすい局所構造が形成され、高い誘電率の発現につながるというモデルを提案しました。
<br />&nbsp; 4.	本研究で示した「高圧力で、原子の配位環境（短距離構造）とその連結性（中距離構造）を制御し、物性を引き上げる」概念は、一般化できる可能性が高く、今後、誘電特性に加えて熱・機械特性を含む総合的な設計指針の確立を目指します。</p>

<p><a name="fig0"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260407_00-1000.jpg"><img alt="20260407_00-1000" src="assets_c/2026/04/20260407_00-1000-thumb-450xauto-11420.jpg" width="450" height="369" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="center">図 本研究で合成した透明バルク非晶質アルミナの誘電率と構造</p>

<p>&nbsp; 5. 本研究成果は、2026年4月7日に米国化学会「Journal of the American Chemical Society」に掲載されます。</p>

<table class="table table-responsive">
<tbody>
<tr>
<th>掲載誌</th>
<td>Journal of the American Chemical Society</td>
</tr>
<tr>
<th>題目</th>
<td>Bulk Amorphous Alumina: The Density-Driven Interplay of Pentahedral Pyramids and Octahedra for High Dielectric Permittivity</td>
</tr>
<tr>
<th>著者</th>
<td>Hideki Hashimoto, Yohei Onodera, Rei Okuno, Masashi Miyakawa, Hitoshi Yusa, Takashi Taniguchi, Sho Kakizawa, Shuya Sato, Takao Shimizu, Taro Kuwano, Takato Abe, Naoki Takata, Dasom Kim, Koji Yazawa, Kenzo Deguchi, Shinobu Ohki, Koji Kimoto, Shunsuke Shimizu, Yuto Okawara, Yuta Nishina, Aiko Shimada, Ryuichi Maekawa, Koji Ohara, Yuta Shuseki, Hidetoshi Morita, Tomoko Sato, Hiroyo Segawa, Hiroki Taniguchi, Atsunobu Masuno, Takeharu Yoshii, Koji Kawada, Toshinori Okura, Shinji Kohara</td>
</tr>
<tr>
<th>DOI</th>
<td><a href="https://doi.org/10.1021/jacs.5c22344" style="text-decoration: none;" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span color="blue" style="color: blue;">https://doi.org/10.1021/jacs.5c22344</span></a></td>
</tr>
</tbody>
</table>

<h3>研究の背景</h3>
<p>&nbsp; 酸化アルミニウム（Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>、アルミナ）は、高強度、化学安定性、耐摩耗性、耐食性、電気絶縁性などの優れた物性を併せ持ち、セラミックス基板、半導体製造装置部品、自動車排ガス触媒、工業用研磨材、耐火材などの幅広い産業分野で利用されています。アルミナの多くは原子が規則正しく配列した結晶ですが、一部は原子配列に規則性を持たない<a name="BNo1"></a><a href="#No1" style="text-decoration: none"><font color="blue">非晶質（アモルファス）<sup>（1）</sup></font></a>のアルミナです。アルミニウム金属を電気化学的に酸化すると薄膜状の多孔質非晶質アルミナが得られ、電子部品、コーティング材などとして利用されています。身近な日用品（やかん、鍋、弁当箱など）の表面にも耐食・耐久性向上を目的に非晶質アルミナ膜が形成されています（アルマイト処理）。一方、代表的な非晶質材料といえば<a name="BNo2"></a><a href="#No2" style="text-decoration: none"><font color="blue">ガラス<sup>（2）</sup></font></a>（窓ガラスのような厚みのある塊（バルク）状態の非晶質物質）ですが、アルミナは古くから「ガラスにならない酸化物」とされ、従来の溶融法ではガラスを作ることはできません。そのため、非晶質アルミナの研究は薄膜・多孔体・ナノ粒子に限定され、緻密なバルク非晶質アルミナを合成することはできませんでした。</p>


<h3>研究内容と成果</h3>
<p>&nbsp; 本研究では、電気化学的に作製した多孔質非晶質アルミナ薄膜に対して、室温で高圧力を印加し（<a name="BNo3"></a><a href="#No3" style="text-decoration: none"><font color="blue">高圧合成<sup>（3）</sup></font></a>）、粒子界面および孔を消失させることで、ミリメートルサイズの緻密なバルク非晶質アルミナを合成しました。ダイヤモンドアンビルセルによるその場観察では、加圧に伴う粒子の粉砕・再配列と、一定圧力以上での粒子境界の消失が確認され、さらにベルト型高圧装置を用いて室温で高圧（9.4 GPa：9万4千気圧）を印加することによりバルク試料の合成に成功しました（図1）。
<br />&nbsp; 得られたバルク非晶質アルミナは、加圧による密度の上昇に加えて、ガラス状材料としては高い熱伝導率と硬さを示しました。さらに、<a name="BNo4"></a><a href="#No4" style="text-decoration: none"><font color="blue">誘電率（比誘電率）<sup>（4）</sup></font></a>が約11.3と高い値を示し、結晶のα‐Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>（サファイア）を上回りました（図2）。誘電率の周波数依存性は小さく、室温付近では誘電損失（tanδ）が低いことから、高密度化により高速な分極応答が高められていることが示唆されました。
<br />&nbsp; 物性の起源となる構造を明らかにするため、<sup>27</sup>Al 固体核磁気共鳴分光法（NMR）、<a name="BNo5"></a><a href="#No5" style="text-decoration: none"><font color="blue">量子ビーム回折<sup>（5）</sup></font></a>（大型放射光施設SPring-8（BL04B2）の放射光X線回折およびJ-PARC・MLF（BL21）の中性子回折）を用いた実験と、回折データとNMRで得られた<a name="BNo6"></a><a href="#No6" style="text-decoration: none"><font color="blue">配位数<sup>（6）</sup></font></a>の比率を同時に再現する構造モデリングを実施しました。その結果、非晶質アルミナの主要構造単位が、一般的なガラスに見られる四面体（AlO</sub>4</sub>）や結晶に見られる八面体（AlO<sub>6</sub>）に加えて、「八面体から酸素頂点が一つ欠けたような歪んだピラミッド形状」の5配位多面体（AlO<sub>5</sub>）であることを見いだしました（図3左）。さらに加圧によってAlO<sub>6</sub>八面体が増え、AlO<sub>5</sub>ピラミッドがより歪むとともに、AlO<sub>5</sub>/AlO<sub>6</sub>が<a name="BNo7"></a><a href="#No7" style="text-decoration: none"><font color="blue">稜共有<sub>（7）</sub></font></a>で連結した結晶の様な高密度マトリクスが形成されることが示されました（図3右）。研究チームは、この歪んだAlO5が電場に対して変形しやすい「不安定な局所構造単位」として働き、AlO<sub>6</sub>の増加との相乗効果で高い誘電応答をもたらすというモデルを提案しました。すなわち、今回の高誘電率は「組成」ではなく「密度による局所配位と中距離構造（稜共有マトリクス）の制御」によって実現された点に特徴があります。</p>

<h2>今後の展開</h2>
<p>&nbsp; 本研究は、100年以上にわたり常識とされてきた「アルミナはガラスにならない」という限界を打ち破る挑戦から始まり、試行錯誤を重ねた結果、アルミナをガラス状の塊として得るという画期的な成果に到達しました。さらに、高圧による緻密化を通じて材料の構造を制御し、優れた物性を引き出せる可能性を示しました。これは最先端の高圧合成、物性計測、構造解析技術の高次元での連携により実現した成果であり、物質・材料探索に新機軸を打ち出すものです。今後は、本手法を一般化し、新規材料の合成を進めていきます。得られた知見が蓄積され、将来的な理論計算やデータサイエンスとの連携が進むことで、今までにない構造と物性を示す革新的な材料の発見・開発につながっていくことが期待されます。</p>

<p><a name="fig1"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260407_01-1200.jpg"><img alt="20260407_01-1200" src="assets_c/2026/04/20260407_01-1200-thumb-450xauto-11422.jpg" width="450" height="111" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p>図1 高圧力印加によるバルク非晶質アルミナの合成
<br />（左）高圧その場観察用ダイヤモンドアンビルセル
<br />（中央）高圧力印加下での非晶質アルミナのバルク化その場観察結果
<br />（右）ベルト型高圧装置によって合成されたバルク非晶質アルミナ、薄片化（右上）することで透明性が確認できる。
</p>

<p><a name="fig2"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260407_02.jpg"><img alt="20260407_02" src="assets_c/2026/04/20260407_02-thumb-450xauto-11424.jpg" width="450" height="130" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p>図2　バルク非晶質アルミナの物性データ
<br />今回合成した非晶質アルミナの物性（赤）は密度、熱伝導率、硬さ（ビッカース硬さ）、誘電率のすべてにおいて代表的なガラスであるシリカ（SiO<sub>2</sub>）ガラスを上回った。また、硬さについては代表的な高硬度ガラスであるアルミノケイ酸塩（60Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>-40SiO<sub>2</sub>）ガラスを上回っている。誘電率においては、代表的な結晶相であるα‐Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>を超える値を示した。</p>

<p><a name="fig3"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260407_03-1200.jpg"><img alt="20260407_03-1200" src="assets_c/2026/04/20260407_03-1200-thumb-450xauto-11426.jpg" width="450" height="182" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a>
<p>図3　（左）本研究で発見された非晶質アルミナの主要単位であるAlO<sub>5</sub>ピラミッド構造
<br />（右）非晶質アルミナの高圧力印加によるバルク化に伴う構造モデルの変化。バルク化に伴い、AlO<sub>5</sub>ピラミッド構造（赤）とAlO<sub>6</sub>八面体（オレンジ）の稜共有による高密度マトリクスが形成されている。

<h3>用語説明</h3>
<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No1"><a href="#BNo1" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（1）非晶質（アモルファス）</strong></span></a> <br />&nbsp; 結晶のような規則正しい原子配列（長距離秩序）を持たず、原子配列が乱れた固体。最近接原子間距離に相当する短距離では特徴的な構造単位（短距離秩序）を持つことが知られているが、複数の構造単位が連結し、短距離を超えたスケールに形成される中距離秩序が物性に強く影響することが近年の研究で報告されている。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No2"><a href="#BNo2" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（2）ガラス</strong></span></a> <br />&nbsp;非晶質の中でもガラス転移を示す物質。ガラスは通常、溶融した酸化物の液体を急速に冷却（急冷）することで得られる。ガラスとなる物質は、急冷の過程で、過冷却液体（凝固点以下の温度でも液体の状態）から原子配列が乱れたまま凍結したガラス状態に転移（ガラス転移）し、ガラス転移する温度付近では、粘度、熱膨張係数、比熱が大きく変化する。非晶質アルミナには現時点でガラス転移が観測されていないため、本研究で合成した試料をアルミナガラスとは呼ばずにバルク非晶質アルミナと呼んでいる。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No3"><a href="#BNo3" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（3）高圧合成</strong></span></a> <br />&nbsp; ギガパスカル（GPa：1万気圧）級の高圧を試料に印加して原子配列を再配列させ、密度や局所構造を変化させることで新しい構造・物性を持った材料を得る手法。本研究では、NIMSの超高圧制御グループのダイヤモンドアンビルセルを用いてバルク化の様子をその場観察で確認し、ベルト型高圧発生装置を用いた室温での加圧（9.4 GPa：9万4千気圧）によってバルク非晶質アルミナを合成した。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No4"><a href="#BNo4" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（4）誘電率（比誘電率）</strong></span></a> <br />&nbsp; 電場を印加したときに材料がどれだけ分極しやすいか、また電気を蓄えやすいかを表す指標。コンデンサ材料などで重要である。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No5"><a href="#BNo5" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（5）量子ビーム回折</strong></span></a> <br />&nbsp; 量子ビームとは、光子、電子、陽子、中性子などの量子性を持つ粒子や波の集団が同じ方向になすビーム状の流れであり、量子ビームが物質に照射されると、原子との相互作用によって回折現象が起こり、得られた回折パターンから物質の中の原子配列（構造）を調べることが可能となる。非晶質の乱れた構造を解析するためには高強度・高エネルギーの量子ビームを利用できる大型実験施設の利用が必須であり、本研究では高輝度光科学研究センターが運営する大型放射光施設SPring-8と大強度陽子加速器施設J-PARCのパルス中性子源MLFを用いた量子ビーム回折実験を実施した。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No6"><a href="#BNo6" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（6）配位数</strong></span></a> <br />&nbsp; 特定の中心原子に結合・隣接している原子やイオンの数。本研究ではAl原子の周囲に結合するO原子の数を解析した。4配位は四面体、6配位は八面体に対応し、5配位はその中間的な多面体（本研究ではピラミッド形状）として現れる。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No7"><a href="#BNo7" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（7）稜共有</strong></span></a> <br />&nbsp; 多面体同士が「辺（稜）」を共有して連結する構造。頂点共有より高密度になりやすく、局所的に結晶相に近い連結様式をとる場合がある。一般のガラスは頂点共有で連結しているが、非晶質アルミナでは多数の稜共有が存在することが特徴である。</p>
</div>

<h3>謝辞</h3>
<p>&nbsp; 本研究は、工学院大学先進工学部応用化学科の橋本英樹准教授と大倉利典教授、NIMSマテリアル基盤研究センターの小野寺陽平主任研究員とナノアーキテクトニクス材料研究センターの宮川仁主任研究員らの研究チームが中心となって、京都大学大学院工学研究科の増野敦信特定教授、名古屋大学大学院工学研究科の高田尚記教授、日本電子株式会社の矢澤宏次氏、東北大学多元物質科学研究所の吉井丈晴准教授、島根大学材料エネルギー学部の尾原幸治教授、岡本硝子株式会社の川田耕司主席技師をはじめとする国内複数機関（岡山大学、東京理科大学、高エネルギー加速器研究機構（KEK））の研究者らと連携して実施されました。
<br />&nbsp; 本研究は、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 さきがけ〔未来材料〕物質探索空間の拡大による未来材料の創製（JPMJPR22Q7、JPMJPR22Q4、JPMJPR23QA）、日本学術振興会（JSPS）科学研究費助成事業（JP19H05790、JP19K05648、JP22K04950、JP23K17711、JP24K17502、JP24K01167）、JSPS 学術変革領域研究（A）「超秩序構造が創造する物性科学」（JP20H05879、JP20H05880、JP20H05881、JP20H05878）、各種民間財団の支援を受けて実施されました。本研究の一部は世界トップレベル研究拠点プログラム（WPI）の支援を受けました。NMR測定は、文部科学省「マテリアル先端リサーチインフラ（ARIM：Advanced Research Infrastructure for Materials and Nanotechnology in Japan）」の支援（JPMXP1222NM0090、JPMXP1223NM0075、JPMXP1224NM0114）を受けて、放射光実験は高輝度光科学研究センターによるSPring-8 BL04B2（2022B1363、2023A1344、2023B1237、2024B1527）にて、中性子回折実験はJ-PARC・MLFのBL21の長期課題（2022L0202）で実施しました。</p>

<h3>取材に関するお問い合わせ</h3>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">学校法人工学院大学 経営企画部 広報課</span></div>
<div style="margin-left: 300px;">問い合わせフォーム：<a href="https://www.kogakuin.ac.jp/about/kogakuin/media_form.html" style="text-decoration: none" target="_blank"><font color="blue">https://www.kogakuin.ac.jp/about/kogakuin/media_form.html</font></a></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>






]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>J-PARCでφ中間子の観測に成功- 物質の質量起源に迫る新たな測定 -</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2026/03/23001769.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2026:/c/press-release//2.1769</id>

    <published>2026-03-23T05:00:00Z</published>
    <updated>2026-03-26T02:50:03Z</updated>

    <summary>京都大学高エネルギー加速器研究機構理化学研究所J-PARCセンター日本原子力研究...</summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="ハドロン" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;">京都大学<br />高エネルギー加速器研究機構<br />理化学研究所<br />J-PARCセンター<br />日本原子力研究開発機構</p>
<p>&nbsp;</p>
<div class="wrap_blue">
<h3>概要</h3>
<p>&nbsp; 京都大学大学院理学研究科 成木 恵 教授、同博士課程学生 中須賀 さとみ、高エネルギー加速器研究機構（KEK）素粒子原子核研究所の小沢 恭一郎 准教授、理化学研究所 仁科加速器科学研究センターの四日市 悟 専任研究員、日本原子力研究開発機構 原子力科学研究所 先端基礎研究センター 佐甲 博之 研究主幹らの国際共同研究グループ「J-PARC E16コラボレーション」は、<a name="BNo2"></a><a href="#No2" style="text-decoration: none"><font color="blue">J-PARC</font></a>の高運動量ビームラインを用い、これまで国内では未踏であった30 GeVというエネルギー領域において、陽子・原子核衝突によって生成される<a name="BNo1"></a><a href="#No1" style="text-decoration: none"><font color="blue">φ中間子</font></a>を<a name="BNo3"></a><a href="#No3" style="text-decoration: none"><font color="blue">電子・陽電子対崩壊</font></a>から捉えることに初めて成功しました。
<br />&nbsp; 本研究成果は、2026年3月9日に日本の国際学術誌「<i>Progress of Theoretical and Experimental Physics</i>」にオンライン掲載されました。</p>
</div>

<p><a name="fig1"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260323_1400_01.png"><img alt="20260323_1400_01" src="assets_c/2026/03/20260323_1400_01-thumb-350xauto-11378.png" width="350" height="190" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="center">原子核標的中で陽子ビームによりφ中間子を生成。電子・陽電子対でφ中間子の生成を捉える。
<br />&copy; 成木恵 Gemini 3 Flash Image</p>

<h3>背景</h3>
<p>&nbsp; 私たちの身の回りにある物質の質量の多くは、素粒子（クォーク）そのものの重さではなく、素粒子間の強い相互作用によって生じていると考えられています。この「質量の起源」を説明する理論によれば、原子核のような高密度な物質中では、真空中に比べて中間子の質量が減少するなどの変化が起こると予測されています。この現象を実験的に捉えるためには、原子核の「壁」を素通りして情報を持ち出せる、電子と陽電子への崩壊（電子ペア崩壊）を捉えることが理想的ですが、この崩壊は数千回に1回という稀な現象であるため、観測には大強度のビームと精密な測定器が必要でした。</p>

<h3>研究手法・成果</h3>
<p>&nbsp; 本研究グループは、2020年に運用を開始したJ-PARCハドロン実験施設の「高運動量ビームライン」において、世界最高クラスの強度を持つ陽子ビームを使用しました。測定には、秒間1,000万回の衝突から生まれる膨大な粒子を捉える「E16スペクトロメータ」を用い、炭素と銅の原子核標的から放出される電子・陽電子ペアを精密に測定しました。 その結果、30 GeVのエネルギー領域では世界で初めて、電子ペアを用いたφ中間子の再構成に成功しました。さらに、原子核の質量数（大きさ）に対するφ中間子の生成率の変化を解析したところ、生成量は原子核の質量数にほぼ比例して増えることを突き止めました。これは、中間子が原子核内で異常に吸収されることなく生成されていることを示しており、物理学上重要な知見です。</p>

<h2>波及効果、今後の予定</h2>
<p>&nbsp; 今回の成果は、J-PARCにおける「中間子の質量変化」を探索するための本格的な研究の幕開けを告げるものです。今回得られた生成断面積のデータは、今後より高い統計量（100倍以上）で実施される精密実験において、環境（原子核の密度）による変化を正しく識別するための重要な「物差し（ベースライン）」となります。将来的には、物質がどのようにして重さを獲得したのかという、宇宙開闢以来の謎の解明に大きく寄与することが期待されます。</p>

<h2>研究プロジェクトについて</h2>
<p>&nbsp; 本研究は、J-PARC E16コラボレーション（京都大学、KEK、東京大学、理化学研究所、日本原子力研究開発機構、大阪大学RCNP、広島大学WPI-SKCM2、Academia Sinica(台湾)、GSI (ドイツ)など）による国際共同研究として実施されました。</p>

<h3>用語説明</h3>
<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No1"><a href="#BNo1" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>1. φ（ファイ）中間子</strong></span></a> <br />&nbsp; ストレンジクォークとその反クォークからなる粒子。原子核内での質量変化が明瞭に現れると予測されており、研究の標的として重要です。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No2"><a href="#BNo2" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>2. J-PARC（大強度陽子加速器施設）</strong></span></a> <br />&nbsp;茨城県東海村にある世界最高クラスの陽子ビーム強度を誇る実験施設。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No3"><a href="#BNo3" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>3. 電子・陽電子対崩壊</strong></span></a> <br />&nbsp; 中間子が電子と陽電子に分かれて消滅する過程。強い相互作用の影響を受けにくいため、原子核内部の情報をそのまま外部へ伝えることができます。</p>
</div>

<h3>研究者のコメント</h3>
<p>&nbsp; 「新しいビームラインと測定器を立ち上げ、30 GeVという未知の領域でようやく信号を捉えることができました。これは長年の装置開発の賜物です。今回の成功はあくまで第一歩であり、今後は膨大なデータから『質量の変化』という物理の核心に迫れることを確信しています。」（成木 恵） </p>

<h3>論文タイトルと著者</h3>
<table class="table table-responsive">
<tbody>
<tr>
<th>タイトル</th>
<td>First measurement ofφmeson production in 30 GeV proton-nucleus reactions via di-electron decay at J-PARC（和訳：J-PARCにおける30 GeV陽子・原子核反応による電子ペア崩壊を通じたφ中間子生成の初測定） </td>
</tr>
<tr>
<th>著者</th>
<td>Satomi Nakasuga et al. (J-PARC E16 Collaboration) </td>
</tr>
<tr>
<th>掲載誌</th>
<td>Progress of Theoretical and Experimental Physics</td>
</tr>
<tr>
<th>DOI</th>
<td><a href="https://doi.org/10.1093/ptep/ptag042" style="text-decoration: none;" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span color="blue" style="color: blue;">https://doi.org/10.1093/ptep/ptag042</span></a></td>
</tr>
</tbody>
</table>

<h3>研究に関するお問い合わせ先</h3>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">成木 恵（なるき めぐみ）</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">京都大学 大学院理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 教授</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">小沢 恭一郎（おざわ きょういちろう）</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">高エネルギー加速器研究機構（KEK）素粒子原子核研究所 准教授</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">四日市 悟（よっかいち　さとし）</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">理化学研究所　仁科加速器科学研究センター　核反応研究部　専任研究員</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 報道に関するお問い合わせ先 &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">京都大学 広報室 国際広報班</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">高エネルギー加速器研究機構 広報室</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">理化学研究所　広報部　報道担当</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>


<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">J-PARCセンター 広報セクション</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">E-mail</span>：pr-section[at]ml.j-parc.jp</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -287 -9600</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 総務部報道課</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 330px;">※上記の[at]は@に置き換えてください。</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>





]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>ハイパーカミオカンデ中間検出器（IWCD）建設現場見学会の開催（取材案内）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2026/03/19001767.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2026:/c/press-release//2.1767</id>

    <published>2026-03-19T05:00:00Z</published>
    <updated>2026-03-19T05:29:27Z</updated>

    <summary><![CDATA[ 高エネルギー加速器研究機構J-PARCセンター &nbsp; KEKは、ハイパ...]]></summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="ニュートリノ" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;"></p>
<p style="text-align: right;">高エネルギー加速器研究機構<br />J-PARCセンター</p>

<p>&nbsp; KEKは、ハイパーカミオカンデ計画の実験に向けて新たに開発したニュートリノ観測装置である「中間検出器（IWCD：Intermediate Water Cherenkov Detector）」をJ-PARCのニュートリノ発生地点から約1km離れた茨城県東海村内に設置します。
<br />&nbsp; 装置が設置される深さ約50m、直径約10mの立坑の掘削に向け、立坑の先端部分に当たる「刃口」および、地下に順次埋め込んで立坑の壁となる構造物（躯体）の最初の一つが完成しました。この刃口で地盤を掘りながら、巨大な構造物を少しずつ沈めていきますが、刃口と構造物の様子が見やすい状態になりましたので、報道機関向けの見学会を開催します。</p>

<p><a name="fig1"></a></p>
<table>
<tbody>
<tr>
<td style="border-color: #ffffff;"><a href="uploads/2026/20260319_01.jpg"><img alt="20260319_01" src="assets_c/2026/03/20260319_01-thumb-250xauto-11371.jpg" width="250" height="167" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></td>
<td style="border-color: #ffffff;"><a href="uploads/2026/20260319_02.jpg"><img alt="20260319_02" src="assets_c/2026/03/20260319_02-thumb-250xauto-11373.jpg" width="250" height="188" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p align="center"><small>（刃口と構造物の概念図）</small></p>

<p>&nbsp;</p>
<div style="margin-left: 100px;">1. 日時 </div>
<div style="margin-left: 140px;">令和8年4月2日（木）13:45～15:15ごろ</div>
<div style="margin-left: 100px;">2. 場所 </div>
<div style="margin-left: 140px;">KEK東海１号館115号室（茨城県那珂郡東海村大字白方203-1）</div>
<div style="margin-left: 140px;">中間検出器建設地（茨城県那珂郡東海村大字村松字細浦6000（案内図参照、昨年11月に開催した設置工事着工式の会場と同じところです））</div>
<div style="margin-left: 100px;">3. 説明者</div>
<div style="margin-left: 140px;">・ KEK素粒子原子核研究所 中平武教授</div>
<div style="margin-left: 140px;">・ 株式会社森組 水野祥司 高エネ研（東海）ハイパーカミオカンデ中間検出器新営その他工事 工事所長兼監理技術者</div>
<div style="margin-left: 100px;">4. スケジュール</div>
<div style="margin-left: 155px;">東海1号館で工事の概況について30分程度説明したあと、バスで建設地に移動し、現地で改めて説明・写真撮影を行います。そのあとバスで東海1号館まで戻ります。</div>
<div style="margin-left: 100px;">5. 取材申し込み</div>
<div style="margin-left: 155px;">取材を希望される方は、必要事項（お名前、ふりがな、貴社名、電話番号、メールアドレス、送迎バス利用の有無）をご記入の上、3月31日（火）までにEメール（press[@]kek.jp）でお申込みください。</div>
<div style="margin-left: 175px;">※上記の[at]は@に置き換えてください。</div>
<p>&nbsp;</p>

<p>&nbsp; 最寄りのJR東海駅東口を13:30に出発する送迎バスを用意します。東京方面から電車でお越しの方は、11:53東京発（JR特急ひたち11号）→（水戸乗換）→13:24東海着をご利用ください。見学会終了後も東海駅までお送りします。</p>
<p>&nbsp; お車でお越しの際は、KEK東海１号館の駐車場（無料）がありますのでご利用ください。</p>

<p><a name="fig2"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260319_03.jpg"><img alt="20260319_03" src="assets_c/2026/03/20260319_03-thumb-400xauto-11375.jpg" width="400" height="343" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>

<h3>本件に関するお問合せ先</h3>
<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 広報室</span></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">Tel: </span>029 -879 -6047</div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">e-mail</span>：press[@]kek.jp</div>
<div style="margin-left: 350px;">※上記の[at]は@に置き換えてください。</div
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>


]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>情報の安定性と信号強度の両立を実現- 保磁力最大約10倍を達成、次世代省エネ磁気メモリへ -</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2026/03/18001766.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2026:/c/press-release//2.1766</id>

    <published>2026-03-18T02:00:00Z</published>
    <updated>2026-03-18T02:00:01Z</updated>

    <summary>国立大学法人 東北大学一般財団法人 総合科学研究機構国立研究開発法人 量子科学技...</summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="物質・生命科学" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;">国立大学法人 東北大学<br />一般財団法人 総合科学研究機構<br />国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構<br />国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学<br />国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構<br />J-PARCセンター</p>
<p>&nbsp;</p>
<div class="wrap_blue">
<h3>発表のポイント</h3>
<p>&nbsp;<strong> ✣ </strong>従来は困難とされてきた、磁石の強さ（磁化）と情報の<a name="BNo1"></a><a href="#No1" style="text-decoration: none"><font color="blue">保持能力（保磁力<sup>（注1）</sup>）</font></a>の両立を、独自の「<a name="BNo2"></a><a href="#No2" style="text-decoration: none"><font color="blue">ナノ傾斜設計<sup>（注2）</sup></font></a>」により実現しました。
<br />&nbsp;<strong> ✣ </strong>従来の均一材料と比べ、磁化を維持したまま、保磁力を従来の最大約10倍に向上させることに成功しました。
<br />&nbsp;<strong> ✣ </strong><a name="BNo3"></a><a href="#No3" style="text-decoration: none"><font color="blue">大強度陽子加速器施設J-PARC MLF<sup>（注3）</sup></font></a>と3GeV高輝度放射光施設<a name="BNo4"></a><a href="#No4" style="text-decoration: none"><font color="blue">NanoTerasu（ナノテラス）<sup>（注4）</sup></font></a>を連携活用した解析により、全体の性能向上を実現するメカニズムが明らかになりました。
<br />&nbsp;<strong> ✣ </strong>デジタル社会の拡大に伴う消費電力増大の課題解決に向け、待機電力を大幅に削減できる次世代省エネ磁気メモリの実現につながる成果です。</p>
</div>

<h3>概要</h3>
<p>&nbsp; デジタル社会の進展に伴い消費電力の増大が課題となる中、待機電力を大幅に削減できる次世代磁気メモリの開発が注目されています。磁気メモリの性能を高めつつ待機電力を削減するためには、読み出し信号を強化するとともに情報の保持能力を高める必要があります。しかし一般に、情報の保持能力（安定性）を高めると、読み出し信号の強さが低下するというトレードオフがあり、長年の課題でした。こうしたメモリ性能は、材料の保磁力と磁化という物性によって決まります。
<br />&nbsp; 東北大学らの研究グループは、材料の成分をナノメートル単位で膜厚方向に連続制御する「ナノ傾斜設計」により、磁化を高水準で維持したまま保磁力を従来比約10倍に高めることに成功しました。さらに東北大学での評価に加え、J-PARCとNanoTerasuを連携活用した中性子と放射光の相補的解析により、高性能化のメカニズムを解明しました。本成果は、NanoTerasuを活用した初期の研究成果の一つであり、従来の材料限界を超える次世代量子スピンデバイスの実現に向けた新たな材料設計指針を示すものです。
<br />&nbsp; 本成果は、2026年3月12日（現地時間）付けで、科学誌ACS Applied Electronic Materialsにオンライン掲載されました。
<br />&nbsp; なお、本成果は東北大学大学院工学研究科の神永健一助教、松本祐司教授、総合科学研究機構中性子科学センターの花島隆泰研究員、阿久津和宏副主任技師、量子科学技術研究開発機構の上野哲朗主幹研究員、大坪嘉之主幹研究員、名古屋大学未来材料・システム研究所/国際高等研究機構の永沼博特任教授、日本原子力研究開発機構の青木裕之研究主幹らの共同研究によるものです。</p>

<h3>詳細な説明</h3>
<h2>研究の背景</h2>
<p>&nbsp; 現代のコンピュータのさらなる省電力化に向けて、電子の磁気的性質（スピン）を利用する「<a name="BNo5"></a><a href="#No5" style="text-decoration: none"><font color="blue">スピントロニクス<sup>（注5）</sup></font></a>」は重要な技術の一つです。中でも<a name="BNo6"></a><a href="#No6" style="text-decoration: none"><font color="blue">ペロブスカイト型マンガン酸化物（LSMO）<sup>（注6）</sup></font></a>は、室温以上でも磁石としての性質（強磁性）を維持し、かつ強い磁化を示すことから、次世代磁気メモリの電極材料として有望視されてきました。
<br />&nbsp; しかし、LSMOには情報を安定して保持する能力である保磁力が極めて低いという実用上の課題がありました。この改善策として、マンガンの一部をルテニウム（Ru）に置き換える手法が取られてきましたが、保磁力を高めようとすると、室温付近で磁石としての性質（磁化）を維持できなくなるというトレードオフに直面していました。これは、添加元素が材料内部で磁気の向きを揃えようとする力を乱してしまうことが原因であり、実用化を阻む大きな壁となっていました。</p>
<h2>今回の取り組み</h2>
<p>&nbsp; 東北大学、総合科学研究機構（CROSS）、量子科学技術研究開発機構（QST）、名古屋大学、日本原子力研究開発機構（JAEA）からなる本研究グループは、成分を均一に混合する従来の手法を見直し、添加するルテニウムの濃度を膜の厚さ方向にナノメートル単位で連続的に変化させる「ナノ傾斜設計」を導入しました。東北大学で独自に開発したガルバノミラー走査型パルスレーザー堆積法という高速成膜技術（図1）により、この精密な傾斜構造を持つ高品質な単結晶薄膜を作製しました。この薄膜を評価した結果、室温で安定に動作する特性と高い磁化を維持したまま、保磁力を従来の7〜10倍に向上させることに成功しました（図2）。
<br />&nbsp; さらに、この高性能化のメカニズムを明らかにするため、東北大学による巨視的な磁化測定に加え、<a name="BNo3"></a><a href="#No3" style="text-decoration: none"><font color="blue">J-PARC MLF<sup>（注3）</sup></font></a>BL17の中性子解析と<a name="BNo4"></a><a href="#No4" style="text-decoration: none"><font color="blue">NanoTerasu<sup>（注4）</sup></font></a>BL13Uの放射光解析を組み合わせた相補的解析を実施しました（図3）。これにより、材料全体の磁気特性の変化と、膜内部の傾斜各層や特定元素が示すミクロな磁気状態とを、ナノスケールで直接対応付けて評価することが可能となりました。
<br />&nbsp; 解析の結果、ルテニウムを添加した場合、成分分布が均一であっても傾斜していても、膜の表面や基板界面には磁気が弱まる<a name="BNo7"></a><a href="#No7" style="text-decoration: none"><font color="blue">デッドレイヤー<sup>（注7）</sup></font></a>が形成されることが分かりました。一方で、「ナノ傾斜設計」を採用した場合には、膜中央部（バルク層）における磁化が、均一添加の場合と比較して大きく増強されることが明らかになりました。この材料内部での磁化の増強が、表面・界面で生じる磁化の低下を上回ることで、材料全体の性能向上につながっていることが確認されました。</p>

<h2>今後の展開</h2>
<p>&nbsp; 本研究で実証された、成分に意図的な濃度勾配を導入する設計指針は、従来の磁性材料設計とは異なる新たなアプローチです。材料内部での磁化増強を活用することで、これまで両立が難しかった特性を同時に高められることを示しました。こうした材料設計は、待機電力をゼロに近づけられる次世代磁気メモリや、超高性能な磁気センサーの実現に向けた研究の進展につながるものと期待されます。
<br />&nbsp; 本研究は茨城県のJ-PARCと宮城県のNanoTerasuという異なる特性を持つ国内の大型研究施設を連携活用し、材料全体の特性とナノスケールでの磁気状態とを統合的に解析した成果であり、このような相補的利用は、複雑な機能材料の設計指針を明確にするうえで有効なアプローチといえます。また、2025年に本格運用を開始した3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuの軟X線吸収分光ビームライン（BL13U）において、本研究は、その有効性を実証した初期の研究成果といえます。今後、産学官の連携により、国内外の大型研究施設を活用した材料開発のさらなる進展が期待されます。</p>

<p><a name="fig1"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260818_1100_01ms.jpg"><img alt="20260818_1100_01ms" src="assets_c/2026/03/20260818_1100_01ms-thumb-400xauto-11364.jpg" width="400" height="173" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="center">図1. 独自の高速成膜技術とナノ傾斜薄膜の作製</p>
<p>（左）本研究で用いた「ガルバノミラー走査型パルスレーザー堆積装置」の概念図。ミラーを高速制御することで、2種類の材料（LSMOとRu:LSMO）を瞬時に切り替えながら成膜する。（左上）本研究で用いたペロブスカイト型マンガン酸化物（LSMO）の結晶構造。（右）ナノ傾斜薄膜の構造模式図。基板界面から膜表面に向かって、ルテニウムを含む層と含まない層の積層比率を連続的に変えることで、ナノメートルスケールの滑らかな線形濃度勾配を実現した。これにより、自然界には存在しない磁気的状態を人工的に作り出すことが可能になる。</p>

<p><a name="fig2"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260818_1100_02ms.jpg"><img alt="20260818_1100_02ms" src="assets_c/2026/03/20260818_1100_02ms-thumb-320xauto-11366.jpg" width="320" height="309" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="center">図2. 磁石性能の限界（トレードオフ）を突破</p>
<p>従来の均一な材料（黒丸）は、ルテニウム（Ru）添加量を増やすと保磁力は高くなるが、磁化は点線に沿って大幅に低下する。これに対し、今回のナノ傾斜組成膜（赤・青の三角）は、Ruを含まない「Ru0%試料」と同等の高い磁化を保ちつつ、保磁力のみが横軸方向に大きく右側（従来の7〜10倍）へ移動しており、これまでの限界を超えたことを示している。</p>

<p><a name="fig3"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260818_1100_03.jpg"><img alt="20260818_1100_03" src="assets_c/2026/03/20260818_1100_03-thumb-400xauto-11368.jpg" width="400" height="240" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a>
<p align="center">図3. 国内の大型研究施設を連携活用し、相補的解析を行った。</p>

<h3>謝辞</h3>
<p>&nbsp; 本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金（JP19K15440、JP20H02610、 JP22K14595、JP23H00263、JP24K08239）ならびにマツダ財団、豊田理化学研究所 豊田理研スカラー制度、ヒロセ財団、カシオ科学振興財団（助42-16）の助成金支援を受けたものです。また、一部は東北大学金属材料研究所GIMRTプログラム（課題番号：202112-SCKXX-0203、202211-SCKXX-0201、および202312-SCKXX-0209）の下で実施されました。偏極中性子反射率測定はJ-PARC MLFのBL17 SHARAKUにおけるユーザープログラム（課題番号：2024A0002および2025A0011）の下で実施されました。XAS/XMCD測定は、高輝度光科学研究センター（JASRI）の承認を得て、NanoTerasu BL13Uで実施しました（課題番号：2025B9014）。本研究は東北大学研究推進・支援機構コアファシリティ統括センターの設備共用システムに登録されている381・Quantum Design MPMSを用いて実施し、文部科学省先端研究基盤共用促進事業（コアファシリティ構築支援プログラム）JPMXS0440600022で共用された機器を利用した成果です。また、名古屋大学研究力強化促進事業最先端国際研究ユニットの助成を受けています。なお、本共同研究は、応用物理学会「強的秩序とその操作に関わる研究会」における研究交流が契機となって開始されたものです。本研究成果に関する論文は『東北大学2025年度オープンアクセス推進のためのAPC支援事業』の支援を受けました。</p>

<h3>用語説明</h3>
<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No1"><a href="#BNo1" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注1.	保磁力（ほじりょく）</strong></span></a> <br />&nbsp; 材料の成分濃度を、膜の厚さ方向に沿ってナノメートル（10億分の1メートル）単位で連続的に変化させた構造を人工的に作製する手法。今回の研究では、ルテニウムの濃度を傾斜させることで、均一に混ぜた場合には解決できなかった性能の課題が解消できた。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No2"><a href="#BNo2" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注2.	ナノ傾斜設計</strong></span></a> <br />&nbsp; 高エネルギーの陽子ビームを液体鉛ビスマス合金に照射することにより、核破砕反応を起こし、大量の中性子を発生させる機器。発生した中性子は、ADSの未臨界炉心の駆動や、長寿命放射性核種の核変換に利用される。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No3"><a href="#BNo3" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注3.	J-PARC MLF</strong></span></a> <br />&nbsp; 茨城県東海村にある世界最大級の大強度陽子加速器施設であり、物質・生命科学実験施設（MLF）では高強度の中性子ビームを利用した実験ができる。MLFに設置されたビームラインBL17 SHARAKUでは偏極中性子ビームを用いて、材料の内部に隠れた磁気の状態をナノスケールで層ごとに詳しく調べることができる。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No4"><a href="#BNo4" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注4.	NanoTerasu（ナノテラス）</strong></span></a> <br />&nbsp; 3GeV高輝度放射光施設。国の主体機関である量子科学技術研究開発機構と地域パートナー（宮城県、仙台市、東北大学、東北経済連合会で構成）の代表機関である光科学イノベーションセンターによる官民地域パートナーシップという新しい枠組みによって整備・運営する特定先端大型研究施設で、東北大学青葉山新キャンパス内に立地している。太陽の10億倍明るい強力な光（放射光）を用いた実験ができる。ビームラインBL13UではX線磁気円二色性（XMCD）測定によって、特定の元素（今回はマンガン）がどのような磁気を持っているかを精密に観察できる。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No5"><a href="#BNo5" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注5.	スピントロニクス</strong></span></a> <br />&nbsp; 電子が持つ「電気の性質（電荷）」と「磁石の性質（スピン）」の両方を同時に利用する次世代の電子技術。従来の電子機器に比べ、情報の処理速度が速く、消費電力を劇的に抑えられるという利点がある。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No6"><a href="#BNo6" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注6.	ペロブスカイト型マンガン酸化物（LSMO）</strong></span></a> <br />&nbsp; 今回の研究で用いた磁石材料の一種で、マンガンを含む酸化物。室温でも強い磁化を保ち、電気が流れるため、次世代メモリの電極として世界中で長年研究されている。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No7"><a href="#BNo7" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>注7.	デッドレイヤー</strong></span></a> <br />&nbsp; 磁性体の表面や他の材料との境界（界面）付近において、本来の磁石としての性質が失われてしまった層のこと。今回の研究では、この層が材料全体に与える影響を「膜内部の磁力を強める」ことで克服した。</p>
</div>

<h3>論文情報</h3>
<table class="table table-responsive">
<tbody>
<tr>
<th>タイトル</th>
<td>Balancing Both Coercivity and Magnetization in Compositionally Graded Ru:LSMO Epitaxial Thin Films: A Separate Analysis of Surface/Interface and Bulk Magnetism by a Complementary Approach</td>
</tr>
<tr>
<th>著者</th>
<td>Gaku Sato, Kenichi Kaminaga*, Takayasu Hanashima, Kazuhiro Akutsu-Suyama, Tetsuro Ueno, Yoshiyuki Ohtsubo, Yuto Abiko, Ryota Kimura, Keita Sasaki, Hibiki Murakami, Keisuke Haruki, Ayumu Kikuchi, Rintaro Kimura, Hiroshi Naganuma, Shingo Maruyama, Hiroyuki Aoki and Yuji Matsumoto</td>
</tr>
<tr>
<th>*責任著者</th>
<td>東北大学大学院工学研究科　助教　神永健一</td>
</tr>
<tr>
<th>掲載誌</th>
<td>ACS Applied Electronic Materials</td>
</tr>
<tr>
<th>DOI</th>
<td><a href="https://doi.org/10.1021/acsaelm.6c00176" style="text-decoration: none;" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span color="blue" style="color: blue;">https://doi.org/10.1021/acsaelm.6c00176</span></a></td>
</tr>
</tbody>
</table>

<h3>問い合わせ先</h3>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 研究に関すること &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東北大学大学院工学研究科　助教　神永 健一</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 報道に関すること &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東北大学大学院工学研究科 情報広報室</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">総合科学研究機構 中性子科学センター 利用推進部 広報担当</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">量子科学技術研究開発機構　国際・広報部国際・広報課</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">名古屋大学 総務部広報課</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 総務部報道課</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">J-PARCセンター 広報セクション</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">E-mail</span>：pr-section[at]ml.j-parc.jp</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -287 -9600</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 330px;">※上記の[at]は@に置き換えてください。</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>





]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>液体鉛ビスマス合金流動場で自己修復する耐食性構造材料- 原子力のゴミをエネルギーに変える 加速器駆動型未臨界炉の実現に向けて前進 -</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2026/03/03001762.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2026:/c/press-release//2.1762</id>

    <published>2026-03-03T05:00:00Z</published>
    <updated>2026-03-03T05:00:08Z</updated>

    <summary><![CDATA[東京科学大学日本原子力研究開発機構J-PARCセンター &nbsp; ポイント ...]]></summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="量子ビーム応用研究" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;">東京科学大学<br />日本原子力研究開発機構<br />J-PARCセンター</p>
<p>&nbsp;</p>
<div class="wrap_blue">
<h3>ポイント</h3>
<p>&nbsp;<strong> ✣ </strong>加速器駆動型未臨界炉の候補構造材料であるFeCrAl合金の高い耐食性を、実機条件を模した腐食試験により実証
<br />&nbsp;<strong> ✣ </strong>FeCrAl合金が自己形成する保護性酸化被膜は、人工的に破壊されても自己修復して腐食抑制機能を維持することを発見
<br />&nbsp;<strong> ✣ </strong>環境負荷の低減と持続可能なエネルギー利用を両立する加速器駆動型未臨界炉（ADS）の実現に貢献</p>
</div>

<h3>概要</h3>
<p>&nbsp; 東京科学大学（Science Tokyo） 総合研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所の近藤正聡准教授らと、日本原子力研究開発機構（JAEA）J-PARCセンターの斎藤滋研究副主幹らの研究グループは、<a name="BNo1"></a><a href="#No1" style="text-decoration: none"><font color="blue"><strong>加速器駆動型未臨界炉</strong>（<strong>ADS</strong>、用語1）</font></a>の<a name="BNo2"></a><a href="#No2" style="text-decoration: none"><font color="blue"><strong>核破砕ターゲット</strong>（用語2）</font></a>を模擬した<a name="BNo3"></a><a href="#No3" style="text-decoration: none"><font color="blue"><strong>液体鉛ビスマス共晶合金</strong>（<strong>LBE</strong>、用語3）</font></a>の流動環境下において、<a name="BNo4"></a><a href="#No4" style="text-decoration: none"><font color="blue"><strong>FeCrAl合金</strong>（用語4）</font></a>が極めて高い耐食性と自己修復機能を有することを実証しました。
<br />&nbsp; ADSは、<a name="BNo5"></a><a href="#No5" style="text-decoration: none"><font color="blue"><strong>高レベル放射性廃棄物</strong>（用語5）</font></a>をエネルギーとして安全に有効利用することで、環境負荷の低減と持続可能なエネルギー利用の両立を達成できる革新的原子力技術として注目されています。しかし、ADSのターゲットとして用いられる液体LBEは構造材料を腐食させるため、ADSの実用化に向けては、高温・高流速条件下での構造材料の信頼性を高めることが求められています。
<br />&nbsp; 今回の研究では、ADSの候補構造材料であるFeCrAl合金に対して、実機条件に極めて近い温度勾配と流動条件を再現した、最大4000時間にわたる長期連続腐食試験を実施しました。この試験には、JAEA 原子力科学研究所に設置された大型の非等温型高温液体金属流動ループ「OLLOCHI（オロチ）」を用いました。723 K（約450℃）の流動LBE中で2000時間にわたる腐食試験の結果、FeCrAl合金表面に形成される多層酸化被膜が腐食を効果的に抑制することを確認しました。さらにこの多層酸化被膜には、一部を人工的に破壊されても、その後の流動LBE中での追加2000時間の浸漬により、自発的に再形成される自己修復機構があることを発見しました。
<br />&nbsp; 本成果は、長期的な管理が必要な放射性廃棄物の減容・有害度低減と、ゼロカーボン電力の供給を同時に実現するADSの実用化に向けて、構造材料の信頼性を飛躍的に向上させるものと期待されます。
<br />&nbsp; 本研究成果は、Elsevierの学術誌「<i>Corrosion Science</i>」オンライン版に、2026年1月21日付で掲載されました。
</p>

<h3>背景</h3>
<p>&nbsp; 2050年までのカーボンニュートラル社会の実現に向けて、二酸化炭素を排出しない原子力発電への注目が高まっています。中国やインドなどでは、急増するエネルギー需要を満たすために、大量の電力を安定して供給できる原子力発電所の新設・増設計画が進められています。アメリカでもおよそ35年ぶりに新設の原子力発電所が稼働しました。
<br />&nbsp; 加速器駆動型未臨界炉（ADS）は、世界的に増え続ける高レベル放射性廃棄物をエネルギーとして有効利用しながら、安定的にゼロカーボン電力を供給する革新的原子力技術です。図1にADSの概要を示します。高強度陽子加速器を用いて加速した陽子を液体鉛ビスマス共晶合金（LBE）に照射し、液体LBEの核破砕反応を発生させます。この時に発生した中性子を使用しながら、燃料炉心を未臨界状態で運転することで高い安全性を維持しながら、原子力のゴミである長寿命核種を短寿命核種へと核変換することにより、高レベル放射性廃棄物の長期的な管理負担を軽減することができます。これにより、環境負荷の低減と持続可能なエネルギー利用の両立を達成することができると期待されています。
<br />&nbsp; しかし、ADSで核破砕ターゲットとして使われる液体LBEは優れた特性を有する一方で、構造材料を腐食しやすいという問題があります。そのため、ADSの実用化に向けては、高温・高流速条件下での構造材料の信頼性を高め、エネルギーシステムとしての工学的な基盤を強化することが求められています。</p>

<p><a name="fig1"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260303_01_1200.jpg"><img alt="20260303_01_1200" src="assets_c/2026/03/20260303_01_1200-thumb-400xauto-11317.jpg" width="400" height="257" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="center">図1 液体LBEターゲット式の加速器駆動型未臨界炉 (ADS) の概要</p>

<h3>研究成果</h3>
<p>&nbsp; 本研究では、ADSの候補構造材料であるFeCrAl合金を対象として、流動LBE環境中において2000時間から最大4000時間にわたる腐食試験を実施しました。本試験は、JAEA 原子力科学研究所に設置された大型の非等温型高温液体金属流動ループ「OLLOCHI（オロチ）」（図2）を用いて行いました。この装置は、複数の試験部と、1本の主配管から構成されており、試験部を「頭」、熱応力緩和のために複雑に屈曲した主配管を「胴体」に見立てると、神話に登場する八岐大蛇（やまたのおろち）に似ていることから「OLLOCHI」と名付けられました。なお、OLLOCHIは、<strong>O</strong>xygen-controlled <strong>L</strong>BE <strong>L</strong>Oop for <strong>C</strong>orrosion tests in <strong>HI</strong>gh-temperatureのバクロニムです。</p>


<p><a name="fig2"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260303_02_1600.jpg"><img alt="20260303_02_1600" src="assets_c/2026/03/20260303_02_1600-thumb-400xauto-11319.jpg" width="400" height="172" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="center">図2 JAEA原子力科学研究所に設置された大型の非等温型高温液体金属流動ループ「OLLOCHI（オロチ）」（a）装置全体、（b）ループ装置内の機器レイアウト</p>

<p>&nbsp; FeCrAl合金の腐食試験では、表面を研磨した試験片と、事前の酸化処理によって、優れた保護性を有するα-Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>被膜を形成した試験片を試験部に装荷し、2000時間浸漬しました。図3は、透過型電子顕微鏡（STEM）を用いて浸漬後試験片の表層断面組織を<a name="BNo6"></a><a href="#No6
" style="text-decoration: none"><font color="blue">ナノメートル（用語6）</font></a>オーダーで観察し、得られた高角度環状暗視野像（HAADF像）を白黒（グレースケール）で表示しており、原子番号の大きい元素ほど明るく映ります。一方、同じ領域についてエネルギー分散型X線分光法（EDX）により分析して得られた各元素の分布をそれぞれ色で示して重ね合わせた画像として示しています。表面を研磨したままで浸漬した試験片の表層断面の分析結果を図3（a）に示しています。解析の結果、向かって左側の最表面にはCrおよびFeに富む酸化被膜が形成され、その直下にAlに富む酸化被膜が連続的に形成されていることが確認されました。このような多層構造の保護性酸化被膜が自己形成されることにより、材料中の金属成分が流動LBE中へ溶け出すことや、PbおよびBiの組織内部への侵入が実質的に抑制されていることが明らかになりました。
<br />&nbsp; 一方で、事前にα-Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>被膜を形成した試験片でも、同様の腐食抑制効果が示されました（図3（b））。試験片表面のα-A<sub>2</sub>O<sub>3</sub>被膜は、酸素や金属成分の移動を遮る高いバリア性を持ち、母材と流動LBEとの直接接触を遮断します。この働きにより、FeやCrの新たな酸化反応が起こりにくくなり、余分な酸化の進行が抑えられることで、界面の化学的安定性が長時間にわたり維持されます。さらに、この酸化被膜が流動LBE環境下においても優れた密着性を保ち続けることを、<a name="BNo7"></a><a href="#No7" style="text-decoration: none"><font color="blue">マイクロスクラッチ試験（用語7）</font></a>によって実証しました。</p>

<p><a name="fig3"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260303_03_1200.jpg"><img alt="20260303_03_1200" src="assets_c/2026/03/20260303_03_1200-thumb-400xauto-11321.jpg" width="400" height="355" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p>図3 流動LBEに2000時間浸漬したFeCrAl合金の表層断面STEM／EDX分析の結果、（a）表面研磨したままで浸漬した場合、（b）酸化処理により表面にα-Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>被膜を形成してから浸漬した場合。</p>

<p>&nbsp; 次に、FeCrAl合金が流動LBE環境下で自己形成した、多層構造の保護性酸化被膜の一部を人工的に剥離させてから、その試験片を流動LBE中にさらに2000時間浸漬する試験を行いました。その結果、試験片の剥離部は腐食することなく、保護性酸化被膜を速やかに再形成する挙動が見られました（図4）。</p>

<p><a name="fig4"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260303_04_1200.jpg"><img alt="20260303_04_1200" src="assets_c/2026/03/20260303_04_1200-thumb-autox613-11323.jpg" width="400" height="613" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p>&nbsp; 図4　酸化被膜の一部を剥離してから流動LBEに2000時間浸漬したFeCrAl合金の表層断面STEM/EDX分析結果、（a）浸漬後のFeCrAl 合金の表層断面組織、（b）剥離部と非剥離部の境界、（c）追加浸漬によって剥離部に形成した酸化被膜の断面組織、（d）非剥離部の追加浸漬後の表層断面組織。</p>

<h3>社会的インパクト</h3>
<p>&nbsp; 本成果は、高レベル放射性廃棄物の減容・無害化を目指すADS技術や、次世代原子炉における高安全・長寿命化設計の実現に向けて、構造材料の信頼性を大きく高める基盤技術として位置づけられます。特に、2022年から4年間にわたって進めてきたJAEAとの共同研究により、実機スケールの大型試験施設を用いて、ADSを模擬した苛酷な流動LBE環境下での長期耐食性を自己修復機能も含めて実証できた点は、工学と材料化学のどちらから見ても、独創性と新規性が極めて高いと言えます。また、ゼロカーボン電源としての革新的なADSシステムの実現に向けた重要な材料基盤技術としても位置づけられます。</p>

<h3>今後の展開</h3>
<p>&nbsp; 今後は、高温・高流速条件下における試験片レベルの健全性評価にとどまらず、発熱体炉心、ポンプ、熱交換器などの炉内機器の構成と機能を意識した、機能評価型の長期試験を実施していきます。これにより、炉内機器としての機能を総合的に検証しつつ、実運転条件を反映した材料設計指針や、信頼性に基づく寿命予測モデルの確立を目指し、ADS実現に向けた工学的基盤の強化に貢献します。</p>

<h3>付記</h3>
<p>&nbsp; 本研究の一部は、文部科学省 マテリアル先端リサーチインフラ（ARIM：Advanced Research Infrastructure for Materials and Nanotechnology in Japan）（課題番号：JPMXP1224HK0019）および科学技術振興機構（JST）次世代研究者挑戦的研究プログラム（SPRING）（助成番号：JPMJSP2106）の支援を受けて実施されました。</p>

<h3>用語説明</h3>
<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No1"><a href="#BNo1" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>(1)	加速器駆動型未臨界炉（ADS）</strong></span></a> <br />&nbsp; ADSはAccelerator-Driven subcritical systemの略。高強度陽子加速器と未臨界炉心を組み合わせた革新的原子力システムで、液体重金属性の核破砕ターゲットから発生させた外部中性子源によって炉心を駆動する（図1）。臨界に達しない状態（未臨界）で運転されるため、高い安全性を保ちながら長寿命放射性核種の核変換や発電を行うことができる。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No2"><a href="#BNo2" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>(2)	核破砕ターゲット</strong></span></a> <br />&nbsp; 高エネルギーの陽子ビームを液体鉛ビスマス合金に照射することにより、核破砕反応を起こし、大量の中性子を発生させる機器。発生した中性子は、ADSの未臨界炉心の駆動や、長寿命放射性核種の核変換に利用される。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No3"><a href="#BNo3" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>(3)	鉛ビスマス共晶合金（LBE）</strong></span></a> <br />&nbsp; LBEはLead Bismuth Eutecticの略。鉛（Pb）とビスマス（Bi）を約44.5：55.5の比率で混合した共晶組成の液体金属で、融点が約125℃と低いのが特徴である。加速器駆動型未臨界炉の核破砕ターゲットとして優れた特性を示すが、構造材料を腐食しやすい点が課題とされてきた。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No4"><a href="#BNo4" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>(4)	FeCrAl合金</strong></span></a> <br />&nbsp; 合金の組成としてAlを含むことにより、高温条件下で環境中の酸素と反応して、Alリッチな保護性酸化被膜を自己形成する機能を有している。この特性により、原子炉分野では事故耐性燃料（ATF）用被覆管材料としての研究・開発が進められているほか、ADSや鉛冷却高速炉、核融合炉の液体金属環境下における高温耐食構造材料としての適用が検討されている。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No5"><a href="#BNo5" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>(5)	高レベル放射性廃棄物</strong></span></a> <br />&nbsp; 原子力発電や研究活動に伴って発生する放射性物質を含む廃棄物のうち、放射能レベルおよび発熱量が高く、長期的な管理と地層処分を必要とするものを指す。ADSでは、使用済燃料中の長寿命マイナーアクチニド（ネプツニウム、アメリシウム、キュリウムなど）を核変換することで、放射性廃棄物の毒性を低減させ、管理期間を短縮する。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No6"><a href="#BNo6" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>(6)	ナノメートル</strong></span></a> <br />&nbsp; 1ナノメートル（nm）は、1メートルの10億分の1。例えば、人の髪の毛の太さはおよそ0.1ミリメートルであり、約10万ナノメートルに相当する。つまり、ナノメートルは髪の毛の太さの約10万分の1という、原子や分子の世界に近い極めて小さなスケールを表す。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No7"><a href="#BNo7" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>(7)	マイクロスクラッチ試験</strong></span></a> <br />&nbsp; 尖った針で引っかいて被膜を剥がすために必要な力の大きさを測定する試験のこと。</p>
</div>

<h3>論文情報</h3>
<table class="table table-responsive">
<tbody>
<tr>
<th>掲載誌</th>
<td><i>Corrosion Science</i></td>
</tr>

<tr>
<th>論文タイトル</th>
<td>Reformation of protective oxide layers on artificially abraded surfaces of FeCrAl alloy during 4000 h exposure in flowing lead-bismuth eutectic</td>
</tr>

<tr>
<th>著者</th>
<td>Masatoshi Kondo, Yoshiki Kitamura, Atsushi Kawarai, Shigeru Saito, Hironari Obayashi</td>
</tr>

<tr>
<th>DOI</th>
<td><a href="https://doi.org/10.1016/j.corsci.2026.113646" style="text-decoration: none;" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span color="blue" style="color: blue;">https://doi.org/10.1016/j.corsci.2026.113646</span></a></td>
</tr>
</tbody>
</table>

<h3>研究者プロフィール</h3>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">近藤 正聡（コンドウ マサトシ）Masatoshi Kondo </span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東京科学大学 総合研究院</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">ゼロカーボンエネルギー研究所　准教授</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">研究分野：原子力エネルギー、液体金属工学</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">大林 寛生（オオバヤシ ヒロナリ）Hironari Obayashi</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">日本原子力研究開発機構</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">J-PARCセンター 核変換ディビジョン　研究副主幹</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">研究分野：加速器駆動型核変換システム、原子力材料</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">斎藤 滋（サイトウ シゲル）Shigeru Saito</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">日本原子力研究開発機構</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">J-PARCセンター 核変換ディビジョン　研究副主幹</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">研究分野：加速器駆動型核変換システム、原子力材料</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

<h3>お問い合わせ先</h3>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 研究に関すること &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東京科学大学 総合研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所　准教授</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">近藤 正聡</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 報道取材申し込み先 &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東京科学大学 総務企画部 広報課 </span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">取材申し込みページ：https://www.isct.ac.jp/ja/001/media</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">日本原子力研究開発機構</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">総務部 報道課</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">J-PARCセンター 広報セクション</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">E-mail</span>：pr-section[at]ml.j-parc.jp</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -287 -9600</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 330px;">※上記の[at]は@に置き換えてください。</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>





]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>次世代「ナトリウムイオン電池」の充電メカニズムを世界で初めて直接観測！- 中性子散乱を用いたマルチスケール観測で、ハードカーボンの謎を特定 -</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2026/02/27001759.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2026:/c/press-release//2.1759</id>

    <published>2026-02-27T05:00:00Z</published>
    <updated>2026-02-27T05:00:09Z</updated>

    <summary>総合科学研究機構東北大学東京理科大学横浜国立大学東京科学大学J-PARCセンター...</summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="物質・生命科学" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;">総合科学研究機構<br />東北大学<br />東京理科大学<br />横浜国立大学<br />東京科学大学<br />J-PARCセンター<br />日本原子力研究開発機構<br />京都大学</p>
<p>&nbsp;</p>
<div class="wrap_blue">
<h3>発表のポイント</h3>
<p>&nbsp;<strong> ✣ 次世代電池の主役：</strong>希少金属であるリチウムに代わる安価で豊富な「ナトリウム」を用いた電池の性能向上が期待されます。
<br />&nbsp;<strong> ✣ 世界初の成果：</strong>「中性子」の力を使い、充電中に電池内部でナトリウムがどのように動くかを、100ナノ（1万分の1ミリ）からオングストローム（1000万分の1ミリ）までの幅広いスケールで同時に観察することに成功しました。
<br />&nbsp;<strong> ✣ 3段階のプロセス：</strong>ナトリウムが「表面に吸着」「層の間に入り」「ナノサイズの隙間を埋める」という3つのステップで蓄えられることを突き止めました。</p>
</div>


<h3>概要</h3>
<p>&nbsp; 東北大学金属材料研究所 梅本 好日古 博士研究員（現 オークリッジ国立研究所 博士研究員）、総合科学研究機構（CROSS）中性子科学センター研究開発部 大石 一城 次長、河村 幸彦 技師、東京理科大学理学部第一部応用化学科 五十嵐 大輔 プロジェクト研究員、中本 康介 助教、駒場 慎一 教授、横浜国立大学大学院工学研究院 多々良 涼一 准教授、東京科学大学（Science Tokyo）総合研究院化学生命科学研究所 LIN Che-an 研究員、館山 佳尚 教授、日本原子力研究開発機構J-PARCセンター 廣井 孝介 研究副主幹、高田 慎一 研究副主幹、及び京都大学複合原子力科学研究所 南部 雄亮 特定教授の研究グループは、中性子を用いて、次世代の蓄電デバイスとして期待されるナトリウムイオン電池の負極材料「<a name="BNo1"></a><a href="#No1" style="text-decoration: none"><font color="blue">ハードカーボン（※1）</font></a>」において、ナトリウムが負極に挿入されるプロセスを世界で初めてリアルタイムかつマルチスケールでの観測に成功しました。 
<br />&nbsp; 本研究では、<a name="BNo2"></a><a href="#No2" style="text-decoration: none"><font color="blue">大強度陽子加速器施設（J-PARC）物質・生命科学実験施設（MLF）（※2）</font></a>に設置された<a name="BNo3"></a><a href="#No3" style="text-decoration: none"><font color="blue">中性子小角・広角散乱装置「大観」（※3）</font></a>を用い、電池を充放電させながら内部を観察する「オペランド測定」を実施しました。その結果、ナトリウムが炭素の「表面や欠陥部分」、「層間」や「ナノサイズの隙間」へ順番に挿入されていく3段階のメカニズムを特定することに成功しました。この成果は、資源制約のないナトリウムを用いた安価で高性能な次世代電池の開発に大きく貢献するものです。
<br />&nbsp; この研究成果は、英国王立化学会が出版するChemical Scienceに2026年2月25日にオンライン掲載されました。
</p>

<h3>背景</h3>
<p>&nbsp; 現在、スマートフォンや電気自動車に欠かせないリチウムイオン電池ですが、原料となるリチウムの資源量には限りがあり、価格の高騰や供給不安が課題となっています。これに対し、ナトリウムは海水などから豊富に得られるため、低コストで持続可能なナトリウムイオン電池（NIB）が次世代の主役として注目されています。 NIBの負極には「ハードカーボン（難黒鉛化性炭素）」という材料が主に使われますが、この材料は構造が非常に複雑です。ナトリウムがその内部の「どこに」「どのような順番で」貯蔵されるのかというメカニズムについては、世界中の研究者の間で長年議論が続いており、その決定的な証拠が求められていました。</p>

<h3>研究内容と成果</h3>
<p>&nbsp; 研究グループは、目に見えないほど小さな原子レベルの形を捉えることができる「中性子」の性質を利用しました。図1に示すように、測定に使用した中性子小角・広角散乱装置「大観」は、100ナノメートル（1万分の1ミリ）規模の構造を見る「中性子小角散乱」と、オングストローム（1000万分の1ミリ）規模の構造を見る「中性子広角散乱」を同時に行うことができる装置です。この「大観」で、広範囲にわたるマルチスケールな観察を実現しました。
<br />&nbsp; 解析の結果、ハードカーボンへのナトリウム挿入は、図2及び以下に示すような3つのステップで進行することが明らかになりました：
<div style="margin-left: 50px;"><strong>ステップ1 表面への吸着：</strong>ナトリウムが炭素材料の表面や欠陥部分に吸着されます。</div>
<div style="margin-left: 50px;"><strong>ステップ2 層の間に挿入：</strong>ナトリウムが炭素の層と層の間に入り込み、層の間隔を押し広げます。このとき、構造の乱れも増加することが確認されました。</div>
<div style="margin-left: 50px;"><strong>ステップ3 ナノサイズの隙間に挿入：</strong>最後に、炭素構造の中にあるナノサイズの隙間をナトリウムが満たしていきます。</div>
<br />&nbsp; さらに、理論計算（<a name="BNo4"></a><a href="#No4" style="text-decoration: none"><font color="blue">DFT計算（※4）</font></a>）を組み合わせることで、実験で得られた炭素層の変化が理論的にも妥当であることを裏付けました。

<p><a name="fig1"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260227_01.jpg"><img alt="20260227_01" src="assets_c/2026/02/20260227_01-thumb-400xauto-11290.jpg" width="400" height="220" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="center">図1 中性子小角・広角散乱装置「大観」の外観と「大観」で観測されるマルチスケールの様子。</p>

<p><a name="fig2"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260227_02.png"><img alt="20260227_02" src="assets_c/2026/02/20260227_02-thumb-400xauto-11292.png" width="400" height="224" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="center">図2 （上）ハードカーボンの模式図（炭素の層がランダムに凝集・積層）と（下）3つのステップでナトリウムイオンが挿入されていく様子。</p>

<h3>本研究の意義、今後への期待</h3>
<p>&nbsp; 本研究は、長年の謎であったハードカーボンへのナトリウム挿入プロセスを、マルチスケールな観測によって明確に示した画期的な成果です。本成果により、以下の展開が期待されます。
<div style="margin-left: 50px;"><strong> ● 電池設計の最適化：</strong>どの段階でどれだけのナトリウムが挿入されるかが分かったことで、「層の間隔」や「隙間の量」をどのように制御すれば容量を増やせるかという具体的な設計指針が得られます。</div>
<div style="margin-left: 50px;"><strong> ● 資源問題の解決：</strong>ナトリウムイオン電池の性能が向上することで、リチウムに依存しない安価な蓄電システムの普及を加速させます。これは、エネルギー資源の安定確保と持続可能な社会の構築に大きく寄与するものです。</div>
<div style="margin-left: 50px;"><strong> ● さらなる進化：</strong>今後は、充放電を繰り返した際の構造の「可逆性」についても詳しく調査し、より長寿命で信頼性の高い次世代電池の開発を目指します。</div></p>

<h3>研究支援</h3>
<p>&nbsp; 本研究はJST GteX JPMJGX23S4、JSPS科研費23H01693, 23K26386, 24H00042, 22H05145, 24K00572, 25K01489、JSPS Core-to-Core Program JPJSCCB20240005、JST NEXUS-Ytec Y2024L0906032、JST FOREST JPMJFR202Vの助成を受けたものです。</p>

<h3>論文情報</h3>
<table class="table table-responsive">
<tbody>
<tr>
<th>タイトル</th>
<td>Multiscale Insights into Sodium Storage in Hard Carbon from Operando Small- and Wide-Angle Neutron Scattering Measurements</td>
</tr>

<tr>
<th>雑誌名</th>
<td>Chemical Science</td>
</tr>

<tr>
<th>著者</th>
<td>梅本 好日古 <sup>1</sup>、大石 一城 <sup>2</sup>、五十嵐 大輔 <sup>3</sup>、多々良 涼一 <sup>4</sup>、LIN Che-an <sup>5</sup>、中本 康介 <sup>3</sup>、河村 幸彦 <sup>2</sup>、廣井 孝介 <sup>6</sup>、高田 慎一 <sup>6</sup>、南部 雄亮 <sup>1,7</sup>、館山 佳尚 <sup>5</sup>、駒場 慎一 <sup>3</sup>
<br />所属：<sup>1</sup>東北大学金属材料研究所、<sup>2</sup>総合科学研究機構（CROSS）中性子科学センター、<sup>3</sup>東京理科大学理学部第一部、<sup>4</sup>横浜国立大学大学院工学研究院、<sup>5</sup>東京科学大学総合研究院化学生命科学研究所、<sup>6</sup>日本原子力研究開発機構J-PARCセンター、<sup>7</sup>京都大学複合原子力科学研究所
</td>
</tr>

<tr>
<th>DOI</th>
<td><a href="https://doi.org/10.1039/d5sc09600f" style="text-decoration: none;" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span color="blue" style="color: blue;">https://doi.org/10.1039/d5sc09600f</span></a></td>
</tr>
</tbody>
</table>

<h3>著者の貢献</h3>
<p>研究構想：大石 一城、五十嵐 大輔、多々良 涼一、館山 佳尚、駒場 慎一
<br />実験：梅本 好日古、大石 一城、五十嵐 大輔、多々良 涼一、LIN Che-an、中本 康介、河村 幸彦、廣井 孝介、高田 慎一
<br />研究統括：大石 一城、南部 雄亮、館山 佳尚、駒場 慎一
<br />論文執筆・校閲：梅本 好日古、大石 一城、五十嵐 大輔、LIN Che-an、南部 雄亮、館山佳尚、駒場 慎一</p>

<h3>本件問い合わせ先</h3>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 研究内容に関すること &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">総合科学研究機構 中性子科学センター 研究開発部</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">次長　大石 一城</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東北大学 金属材料研究所</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">博士研究員（研究当時）　梅本 好日古</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東京理科大学 理学部第一部 応用化学科</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">教授　駒場 慎一</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">横浜国立大学 大学院 工学研究院</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">准教授　多々良 涼一</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東京科学大学 総合研究院 化学生命科学研究所</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">教授　館山 佳尚</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">研究副主幹　高田 慎一</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">京都大学 複合原子力科学研究所</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">特定教授　南部 雄亮</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 報道に関すること &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">総合科学研究機構 中性子科学センター 利用推進部 広報担当</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東北大学 金属材料研究所 情報企画室広報班</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東京理科大学 経営企画部 広報課</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">横浜国立大学 総務企画部リレーション推進課</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東京科学大学 総務企画部 広報課</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">J-PARCセンター 広報セクション</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">E-mail</span>：pr-section[at]ml.j-parc.jp</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -287 -9600</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 総務部報道課</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">京都大学 広報室国際広報班</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 330px;">※上記の[at]は@に置き換えてください。</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>


<h3>用語解説</h3>
<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No1"><a href="#BNo1" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※1：ハードカーボン</strong></span></a> <br />&nbsp; 炭素材料の一つ。炭素原子が規則的に並んだ黒鉛に比べ、ハードカーボンは炭素の並びや結合の規則性が低く、ナトリウムイオンを挿入可能なため、大容量の負極材としてナトリウムイオン電池への適用が期待されています。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No2"><a href="#BNo2" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※2：大強度陽子加速器施設（J-PARC）物質・生命科学実験施設（MLF）</strong></span></a> <br />&nbsp; J-PARCは日本原子力研究開発機構（JAEA）と高エネルギー加速器研究機構（KEK）が共同で茨城県東海村に建設し、運用している一大複合研究施設の総称です。その内の一施設であるMLFでは、加速した大強度の陽子ビームを炭素標的及び水銀標的に衝突させることで発生する大強度パルス中性子及びミュオンを用いて、物質科学、生命科学、素粒子物理学等の最先端の学術及び産業利用研究が行われています。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No3"><a href="#BNo3" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※3：中性子小角・広角散乱装置「大観」</strong></span></a> <br />&nbsp; J-PARC MLFに設置された中性子実験装置です。「大観」では、幅広い波長域の中性子を試料に入射し、散乱した中性子を主に4つの検出器バンクで観測することにより、オングストローム（1000万分の1ミリ）からマイクロメートル（1000分の1ミリ）までの空間スケールを広く観測することができます。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No4"><a href="#BNo4" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※4：DFT計算（密度汎関数理論計算）</strong></span></a> <br />&nbsp; 物質の中にある電子の動きを、量子力学に基づいて計算し、物質の性質をシミュレーションする手法です。本研究では、炭素の層の間にナトリウムが入ったときに、どのくらい層の間隔が広がるかを理論的に計算しました。この計算結果が実験データと一致したことで、観測された現象が正しいことを裏付けることができました。</p>
</div>
<p>&nbsp;</p>






]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>2種元素の添加で中低温のプロトン伝導度を著しく向上- 既存材料を大きく上回る伝導度と、高い化学的安定性を両立 -</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2026/02/17001747.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2026:/c/press-release//2.1747</id>

    <published>2026-02-17T05:00:00Z</published>
    <updated>2026-02-17T05:47:54Z</updated>

    <summary><![CDATA[東京科学大学高エネルギー加速器研究機構J-PARCセンター &nbsp; ポイン...]]></summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="物質・生命科学" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;">東京科学大学<br />高エネルギー加速器研究機構<br />J-PARCセンター</p>
<p>&nbsp;</p>
<div class="wrap_blue">
<h3>ポイント</h3>
<p>&nbsp; ✣ 中低温におけるプロトン伝導度の世界最高値を更新する安定な新セラミック材料を発見
<br />&nbsp; ✣ 2種類の6価のドナー元素を同時に添加する独自の材料設計により、プロトンの高い濃度かつ高速なプロトン伝導を実現
<br />&nbsp; ✣ 低温で作動する高効率燃料電池と電解セルの実用化を加速する基盤技術として期待</p>
</div>


<h3>概要</h3>
<p>&nbsp; 東京科学大学（Science Tokyo） 理学院 化学系の八島正知教授、梅田健成大学院生（研究当時修士課程2年次）、齊藤馨助教からなる研究グループは、中低温（200～400℃）で世界最高（2026年1月時点）の<a name="BNo1"></a><a href="#No1" style="text-decoration: none"><font color="blue">プロトン（H<sup>+</sup>、水素イオン）伝導度（用語1）</font></a>と高い化学的安定性を併せ持つ新しいセラミック材料<a name="BNo2"></a><a href="#No2" style="text-decoration: none"><font color="blue">BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.1</sub>W<sub>0.1</sub>O<sub>2.8</sub>（用語2）</font></a>を発見しました（図1）。
<br />&nbsp; 本材料は、193℃で実用化の目安となる 10<sup>-2</sup> S cm<sup>-1</sup>、330℃で 0.10 S cm<sup>-1</sup>という、従来材料を大きく上回る極めて高いプロトン伝導度「<a name="BNo3"></a><a href="#No3" style="text-decoration: none"><font color="blue">超プロトン伝導（用語3）</font></a>」を示します（単位ジーメンスSは抵抗オームΩの逆数）。さらに、CO<sub>2</sub>、O<sub>2</sub>、H<sub>2</sub>雰囲気下などの実用環境でも安定に動作することを確認しました。
<br />&nbsp; 研究グループは、従来ほとんど試みられなかった「<a name="BNo4"></a><a href="#No4" style="text-decoration: none"><font color="blue">ドナー（用語4）</font></a>元素を2種類同時に添加する共添加戦略」を、大量の酸素欠損を持つ<a name="BNo5"></a><a href="#No5" style="text-decoration: none"><font color="blue">ペロブスカイト型酸化物（用語5）</font></a>BaScO<sub>2.5</sub>に適用しました。その結果、大量の酸素空孔を完全に水和させることに成功し、高いプロトン濃度と高い拡散係数を両立させることができました。さらに、高エネルギー加速器研究機構（KEK）物質構造科学研究所の本田孝志助教との共同研究による<a name="BNo6"></a><a href="#No6" style="text-decoration: none"><font color="blue">中性子回折実験（用語6）</font></a>と理論計算から、従来の<a name="BNo7"></a><a href="#No7" style="text-decoration: none"><font color="blue">アクセプター（用語7）</font></a>を添加した材料で問題となっていたプロトンの捕捉（トラップ）や活性化エネルギーの増大が抑制されていることを解明しました。また、4価よりも価数が高い6価のドーパント（添加剤、不純物）を添加することにより、プロトン濃度を増やし過ぎないことで、活性化エネルギーを低くできたことも解明しました。このため、本材料は中低温でも高速にプロトンが移動でき、極めて高い伝導度を示します。本成果は、低温で高効率に動作する次世代燃料電池（プロトンセラミック燃料電池：PCFC）や水蒸気電解セル（PCEC）の実用化に向けた重要な材料設計指針を提示するものです。
<br />&nbsp; 本研究成果は、2026年1月19日（現地時間）に国際学術誌「<i>Angewandte Chemie International Edition</i>」電子版に掲載されました。</p>

<p><a name="fig1"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260217_01.png"><img alt="20260217_01" src="assets_c/2026/02/20260217_01-thumb-380xauto-11198.png" width="380" height="199" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p>図1. 本研究では、BaScO<sub>2.5</sub>にMo/Wをドナー共添加することで創製したBaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.1</sub>W<sub>0.1</sub>O<sub>2.8</sub>が、193℃において 10<sup>-2</sup> S cm<sup>-1</sup>に達する超プロトン伝導度を示すことを報告する（左図の赤い丸と線）。アクセプター共添加したBZCYYbよりBaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.1</sub>W<sub>0.1</sub>O<sub>2.8</sub>のプロトン伝導度は高い。高いプロトン伝導度は、高いプロトン濃度およびプロトン移動経路（右図赤矢印）の形成による高いプロトン拡散係数に起因する。&copy;著者ら（2026）</p>

<h3>背景</h3>
<p>&nbsp; 炭素循環型社会の実現に向け、水素をエネルギー媒体として活用する「水素エネルギー社会」への期待が高まっています。その中核技術の一つが、水素と電気を高効率に相互変換できるエネルギー変換デバイスです。中でも固体酸化物セルは、燃料電池として水素から電気を取り出すだけでなく、電気分解セルとして電気エネルギーを用いて水素を製造できる可逆作動セルとして注目されています。
<br />&nbsp; 特に、200～400℃の中低温で作動するプロトンセラミック燃料電池（PCFC）やプロトンセラミック電解セル（PCEC）は、従来の高温型固体酸化物セルよりも短時間で起動ができ、材料劣化が少ない次世代技術として期待されています。これらのPCFCやPCECの実現には、中低温で高いプロトン伝導度と優れた化学的安定性を両立する材料が不可欠です。しかし、これまでその性能を両立する材料は見出されてきませんでした。例えば、高分子材料や塩類は低温では高いプロトン伝導度を示しますが、中低温では化学的に不安定になります。一方、酸化物セラミックスは高い化学的安定性を持つものの、同じ温度域でのプロトン伝導度は低いという課題がありました。このように、「高伝導度」と「高安定性」を同時に満たす材料が存在しない温度領域は、研究者の間で「ノルビーギャップ（Norby gap）」と呼ばれ、長年にわたり未解決の課題とされてきました。
<br />&nbsp; 材料開発に目を向けると、BaZrO<sub>3</sub>系などのアクセプター元素を添加した材料がプロトン伝導体研究の主流となってきました。しかし、これらの材料では、添加元素であるアクセプターがプロトンを引き寄せてしまう「プロトントラップ」が生じやすく、プロトンの移動が阻害されるという根本的な問題があります（図2a）。特に、複数のアクセプター元素を同時に添加する共添加材料では、このトラップ効果がさらに強まり、中低温での高伝導化に向けた大きな壁となっていました（図2b）。
<br />&nbsp; これに対し近年、八島教授と齋藤助教の研究グループは、酸素欠損を元々含むBaScO<sub>2.5</sub>に対して、アクセプターではなくドナーを添加する戦略を提案してきました。具体的には、モリブデン（Mo）やタングステン（W）といった高原子価のドナーを添加したBaScO<sub>2.5</sub>系材料の開発に成功しています［参考文献1、2］。ドナーはプロトンと静電的に反発するため、プロトントラップが起こりにくく、結晶構造の安定化と高いプロトン伝導を同時に実現できます（図2c）。実際に、Mo単独添加やW単独添加材料では、「ノルビーギャップ」領域で顕著なプロトン伝導が報告されています。
<br />&nbsp; しかし、複数のドナー元素を同時に添加する「ドナー共添加」によるプロトン伝導体は、これまで報告されていませんでした（図2d）。本研究は、この未踏領域に挑戦し、MoとWの2種類のドナー元素を同時に添加することで、従来の材料のプロトン伝導度を大きく上回る超プロトン伝導を示す新材料の創出に成功しました。</p>

<p><a name="fig2"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260217_02.png"><img alt="20260217_02" src="assets_c/2026/02/20260217_02-thumb-autox417-11200.png" width="380" height="417" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p>図2. プロトン伝導体におけるプロトンのエネルギー（Energy）の模式図。アクセプターを添加した材料（a）と（b）ではプロトンがアクセプターに引き寄せられ移動が阻害される。
<br />（a）1種類のアクセプターを添加した材料。（b）2種類のアクセプターを添加した材料。（c）1種類のドナーを添加した材料。（d）2種類のドナーを添加した材料。
<br />（a）～（d）の上部はプロトンの局所エネルギー図を示し、下部はプロトンの巨視的エネルギーを反応座標（Reaction coordinate）に対して示している。黄色の円はプロトンを表す。<i>E</i><sub>m</sub>は、会合のない状態でのプロトン移動に対する固有（トラップフリー）エネルギー障壁を表す。<i>E</i><sub>as</sub>は、プロトンとアクセプター元素との間の巨視的会合エネルギーである。アクセプター共添加では、構造不規則性の増大により、より大きなトラップエネルギー |<i>ε</i><sub>as</sub>| を持つ局所的により深いトラップサイトが形成されるため（（b）上部のー<i>ε</i><sub>as</sub>）、単一のアクセプターを添加した場合（a）に比べて | <i>E</i><sub>as</sub> | が大きい（（b）下部のー<i>E</i><sub>as</sub>）。これに対し、ドナー共添加では、ドナー添加元素周辺の不規則性の増大が、プロトンが移動するScO<sub>6</sub>八面体ネットワークに及ぼす影響が小さいため、| <i>E</i><sub>as</sub> | は有意に増加しない。&copy;著者ら（2026）</p>

<h3>研究成果</h3>
<p>&nbsp; 本研究では、酸素欠損を有するペロブスカイト型酸化物BaScO<sub>2.5</sub>に対して、モリブデン（Mo）およびタングステン（W）の2種類の6価のドナー元素を同時に添加する新しい材料設計（ドナー共添加）を適用し、これまでに例のない極めて高いプロトン伝導度を示すセラミック材料群BaSc<sub>1−x−y</sub>Mo<sub>x</sub>WyO<sub>3−δ</sub>を創製しました。8種類の組成について詳細に調査した結果、BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.1</sub>W<sub>0.1</sub>O<sub>2.8</sub>が全ての既存のセラミックプロトン伝導体を上回るプロトン伝導度を示すことを明らかにしました。BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.1</sub>W<sub>0.1</sub>O<sub>2.8</sub>のプロトン伝導度は湿潤雰囲気中において、193℃で実用化の目安となる 0.01 S cm<sup>-1</sup>、315℃で 0.1 S cm<sup>-1</sup>に達し、200～400℃の中低温、いわゆる「ノルビーギャップ」において高いプロトン伝導を実現しました。この伝導度は、従来の代表的なプロトン伝導体であるBaCeO<sub>3</sub>系やBaZrO<sub>3</sub>系材料の数値を大きく上回り、例えば 220℃におけるBaCe<sub>0.9</sub>Y<sub>0.1</sub>O<sub>2.95</sub>の約190倍、BaZr<sub>0.8</sub>Y<sub>0.2</sub>O<sub>2.9</sub>の約24倍に相当します。また、これまで報告されてきたMo単独添加やW単独添加材料よりも高い伝導度を示し、MoとWを同時に添加することがプロトン伝導度を飛躍的に高めることを実証しました。</p>

<p><a name="fig3"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260217_03.png"><img alt="20260217_03" src="assets_c/2026/02/20260217_03-thumb-380xauto-11202.png" width="380" height="170" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p>図3. BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.1</sub>W<sub>0.1</sub>O<sub>2.8</sub>の高い伝導度（左図の赤色の丸と線）は、本研究で調べたBaSc<sub>1−x−y</sub>Mo<sub>X</sub>W<sub>y</sub>O<sub>3−δ</sub>の中で最も高い伝導度を示す（右図の黒丸。右図ではBaSc<sub>1−x−y</sub>Mo<sub>x</sub>WyO<sub>3−δ</sub>のMo濃度<i>x</i>を横軸、W濃度<i>y</i>を縦軸で表した化学組成における伝導度をカラーで示している。赤い部分が最も伝導度が高い）。左図のデータの詳細は次の通り。本研究のデータ：BaSc<sub>0.82</sub>Mo<sub>0.09</sub>W<sub>0.09</sub>O<sub>2.77</sub>（青色）、BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.1</sub>W<sub>0.1</sub>O<sub>2.8</sub>（赤色）、BaSc<sub>0.78</sub>Mo<sub>0.11</sub>W<sub>0.11</sub>O<sub>2.83</sub>（オレンジ色）、BaSc<sub>0.75</sub>W<sub>0.25</sub>O<sub>2.875</sub>（濃い緑色）、BaSc<sub>0.8</sub>W<sub>0.2</sub>O<sub>2.8</sub>（紫色）、BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.05</sub>W<sub>0.15</sub>O<sub>2.8</sub>（水色）、BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.09</sub>W<sub>0.11</sub>O<sub>2.8</sub>（ピンク色）、BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.11</sub>W<sub>0.09</sub>O<sub>2.8</sub>（茶色）、BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.15</sub>W<sub>0.05</sub>O<sub>2.8</sub>（薄緑色）。文献のデータ（詳細は原著論文を参照）：BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.2</sub>O<sub>2.8</sub>（黒色線）、BaSc<sub>0.775</sub>Mo<sub>0.225</sub>O<sub>2.8375</sub>（灰色）、 BaSc<sub>0.75</sub>Mo<sub>0.25</sub>O<sub>2.875</sub>（黄色）、BaCe<sub>0.9</sub>Y<sub>0.1</sub>O<sub>2.95</sub>（ピンク色の破線）、BaZr<sub>0.8</sub>Y<sub>0.2O2.9</sub>（黒色の破線）。&copy;著者ら（2026）</p>

<p>&nbsp; 本研究ではまた、伝導度の同位体交換実験（H/D 交換）、伝導度の酸素分圧依存性測定、湿潤・乾燥雰囲気下でのインピーダンス測定から、BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.1</sub>W<sub>0.1</sub>O<sub>2.8</sub>における電気伝導は電子伝導ではなくプロトン伝導であることを確認しました。また、CO<sub>2</sub>、H<sub>2</sub>、O<sub>2</sub>雰囲気中での熱処理後もBaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.1</sub>W<sub>0.1</sub>O<sub>2.8</sub>のペロブスカイト相に変化は見られず、優れた化学的安定性を併せ持つことが示されました。
<br />&nbsp; 高いプロトン伝導の起源について詳細に解析した結果、BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.1</sub>W<sub>0.1</sub>O<sub>2.8</sub>は、
<br />&nbsp; ① 大量の酸素空孔（δ = 0.2）を有すること
<br />&nbsp; ② 水と反応して完全に水和し、非常に高いプロトン濃度<i>z</i>を実現していること（BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.1</sub>W<sub>0.1</sub>O<sub>2.8−<i>z</i>/2</sub>(OD)<sub><i>z</i></sub>において<i>z</i> = 0.4）
<br />&nbsp; ③ プロトンが三次元的に移動でき、プロトントラップが抑制され、高速拡散経路が形成されていること
<br />&nbsp; といった要因が相乗的に働いていることが分かりました。
<br />&nbsp; 中性子回折データを用いた結晶構造解析および<a name="BNo8"></a><a href="#No8" style="text-decoration: none"><font color="blue">第一原理分子動力学計算（用語8）</font></a>から、プロトンは MoO<sub>6</sub>やWO<sub>6</sub>八面体を避け、ScO<sub>6</sub>八面体のネットワークに沿って移動することが明らかとなりました（図4）。Scの占有率が高いことで、このネットワークが連結し、高いプロトン拡散係数を生み出しています。さらに、ドナー共添加では、従来のアクセプター共添加で問題となっていた活性化エネルギーの増大（プロトントラップ）が生じず、低い活性化エネルギーを維持できることも示されました。</p>

<p><a name="fig4"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260217_04.jpg"><img alt="20260217_04" src="assets_c/2026/02/20260217_04-thumb-380xauto-11204.jpg" width="380" height="344" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p>図4.（a）BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.1</sub>W<sub>0.1</sub>O<sub>2.8</sub>の中性子回折データの<a name="BNo9"></a><a href="#No9" style="text-decoration: none"><font color="blue">リートベルト解析（用語9）</font></a>図形、（b）精密化した結晶構造。（c）結合原子価法（用語10）で調べたプロトンのエネルギー図において青いエネルギー等値面が3次元に連結しており、3次元のプロトン拡散経路が分かる。（d）第一原理分子動力学計算で得たプロトンの分布図。プロトンがMoとWにトラップされず、Scに近接した酸素原子の間をホッピングして移動することが分かる。&copy;著者ら（2026）</p>

<p>&nbsp; また、プロトンの拡散係数を、プロトン伝導度とプロトン濃度から計算しました（図5a）。その結果、ドナーの価数が高いほど拡散係数が低温側で高い傾向を示すことが分かりました（図5a）。その原因はドナーの価数が高いほど活性化エネルギーが低くなる傾向（図5b）にあると考えられます。ドナーの価数が増大すると、酸素空孔量が減少し、プロトン濃度が低くなる傾向があります。プロトン濃度が高くなるにつれて拡散係数が高くなるため（図5c）、ドナーの価数の増加とともに拡散係数の活性化エネルギーが低下するので、低温で拡散係数が高くなり、プロトン伝導度が高くなると考えられます。そのため本研究で用いた6価のドナーを添加した材料は、4価のドナーを添加した材料より伝導度が高いと考えられます。</p>

<p><a name="fig5"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260217_05.jpg"><img alt="20260217_05" src="assets_c/2026/02/20260217_05-thumb-380xauto-11206.jpg" width="380" height="136" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p>図5.（a）種々のドナーを添加した拡散係数の温度（Temperature, <i>T</i>は絶対温度の逆数）依存性。（b）ドーパントの酸化数（Oxidation number, 価数）<i>n</i>に対する拡散係数の活性化エネルギー<i>E</i><sub>a</sub>のプロット。（c）プロトン濃度<i>z</i> （Proton concentration）に対する拡散係数の活性化エネルギー<i>E</i><sub>a</sub>のプロット。赤い線と丸は<i>n</i> = 6、青い線と丸は<i>n</i> = 5、黄緑色の線と丸は<i>n</i> = 4。</p>

<p>&nbsp; これらの結果から、2種類の6価のドナーを共添加するという新しい材料設計戦略が、中低温で高いプロトン伝導と化学的安定性を両立させる極めて有効な方法であることが実証されました。本成果は、次世代のPCFCとPCECの高性能化・低温作動化に向けた重要な基盤技術となることが期待されます。</p>

<h3>社会的インパクト</h3>
<p>&nbsp; 本研究で発見されたプロトン伝導体は、中低温における高いプロトン伝導度と化学的安定性を持つため、燃料電池や水蒸気電解セルの低温・高効率動作を可能にし、水素エネルギー利用の大きな障壁を取り除くと期待されます。中低温で作動することで、装置の耐久性向上や起動時間短縮、コスト低減が期待されます。これにより、水素製造・貯蔵・利用を一体化した分散型エネルギーシステムの実現が現実味を帯びてきます。また、CO<sub>2</sub>に対して高い安定性を示すことから、実環境下での長期運用にも適しています。</p>

<h3>今後の展開</h3>
<p>&nbsp; 今後は、本材料を電解質として用いたPCFCおよびPCECの試作・性能評価を進めるとともに、電極材料との界面設計や薄膜化技術を最適化することで、さらなる低温化と高出力化を目指します。また、ドナー共添加という設計指針を他の酸化物材料へ展開し、新規高性能プロトン伝導体の創出を図ります。長期耐久試験やスケールアップ研究を通じて実用環境での信頼性検証を進め、将来的には、水素社会を支える中核材料として産業界との連携による社会実装・展開も期待されます。</p>

<h3>付記</h3>
<p>&nbsp; 本研究の一部は、JSPS科学研究費助成事業 基盤研究（S）（JP24H00041）、JSPS科学研究費助成事業挑戦的研究（開拓）（JP21K18182、JP25K21695）、ブレークスルーエネルギー財団、ASPIRE先端国際共同研究推進事業（JPMJAP2308）、JST研究成果展開事業研究成果最適展開支援プログラム A-STEP 産学共同（JPMJTR22TC）、大倉和親記念財団、フソウ技術開発振興基金、前川報恩会、徳山科学技術振興財団、泉科学技術振興財団等の助成を受けて行われました。中性子回折実験は大強度陽子加速器施設 物質・生命科学実験施設BL21NOVA（課題番号：2020L0804、2020L0802、2020L0801、2024A0718、2024B0199）により実施しました。</p>

<h3>参考文献</h3>
<p>&nbsp; 1.&nbsp;&nbsp;&nbsp; Saito, K., & Yashima, M. (2023). High proton conductivity within the 'Norby gap' by stabilizing a perovskite with disordered intrinsic oxygen vacancies. Nature Communications, 14, 7466. 
<br />&nbsp; 2.&nbsp;&nbsp;&nbsp; Saito, K., Umeda, K., Fujii, K., Mori, K., & Yashima, M. (2024). High proton conduction by full hydration in highly oxygen deficient perovskite. Journal of Materials Chemistry A, 12(22), 13310-13319. </p>


<h3>用語説明</h3>
<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No1"><a href="#BNo1" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（1）プロトン（H<sup>+</sup>、水素イオン）伝導度</strong></span></a> <br />&nbsp; プロトンが伝導することによる電気伝導度。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No2"><a href="#BNo2" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（2）BaSc<sub>0.8</sub>Mo<sub>0.1</sub>W<sub>0.1</sub>O<sub>2.8</sub></strong></span></a> <br />&nbsp; バリウム、スカンジウム、モリブデン、タングステンおよび酸素から構成される酸化物。本質的な酸素空孔を持つ母物質BaScO<sub>2.5</sub>において、Scの一部をMoとWで置換した酸化物である。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No3"><a href="#BNo3" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（3）超プロトン伝導</strong></span></a> <br />&nbsp; プロトン伝導度が極めて高い伝導度を示す現象。一般的に10<sup>-3</sup> ～10<sup>-2</sup> S cm<sup>-1</sup>以上のプロトン伝導度を示す現象に対して用いる。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No4"><a href="#BNo4" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（4）ドナー</strong></span></a> <br />&nbsp; あるホスト化合物に含まれる陽イオンよりも、価数の高い陽イオン。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No5"><a href="#BNo5" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（5）ペロブスカイト型酸化物</strong></span></a> <br />&nbsp; 鉱物ペロブスカイトCaTiO<sub>3</sub>と同じあるいは類似した結晶構造を持ち、一般式<i>AB</i> O<sub>3</sub>で表される化合物を<i>AB</i> O<sub>3</sub>ペロブスカイト型酸化物と総称する（AはBa<sup>2+</sup>やLa<sup>3+</sup>などの比較的大きな陽イオン、<i>B</i>は遷移金属イオンなどの比較的小さな陽イオン）。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No6"><a href="#BNo6" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（6）中性子回折実験</strong></span></a> <br />&nbsp; 数～数十Åの周期で原子が規則的に配列する結晶は、X線や中性子によって回折現象を起こす。得られる回折データは結晶構造の情報を含んでおり、解析することで結晶内の原子配列などを明らかにすることができる。X線は電子により散乱されるので、重元素のコントラストが高い。一方、中性子では重元素と酸素などの軽元素の両方を含む物質における軽元素のコントラストが相対的に高いことが多いので、軽元素の原子の原子座標、占有率と原子変位パラメータを正確に決めることができる。原子変位パラメータにより異方性熱振動を調べることができる。本研究の中性子回折実験は、J-PARC（大強度陽子加速器施設）内の物質・生命科学実験施設（MLF）NOVAにて行われた。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No7"><a href="#BNo7" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（7）アクセプター</strong></span></a> <br />&nbsp; あるホスト化合物に含まれる陽イオンよりも価数の低い陽イオン。アクセプターを添加すると、電気的中性条件を満たすために酸素空孔を生成する。1981年に岩原弘育博士がアクセプターを添加したペロブスカイト酸化物でプロトン伝導を発見した。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No8"><a href="#BNo8" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（8）第一原理分子動力学計算</strong></span></a> <br />&nbsp; 実験データなどの経験パラメータを用いずに、計算対象となる原子の種類と数と初期配置を用いて、量子力学に基づいて電子状態を計算することで、原子間に働く力を見積もり、物質における原子の運動や物質の性質を調べる計算。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No9"><a href="#BNo9" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（9）リートベルト解析</strong></span></a> <br />&nbsp; 粉末回折データを用いて、結晶学パラメータ（格子定数、原子座標、占有率、原子変位パラメータ等）を求める解析。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No10"><a href="#BNo10" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（10）結合原子価法</strong></span></a> <br />&nbsp; 物質中の原子間距離と経験的なパラメータを使い、対象イオンの価数（酸化数）、構造の安定性やプロトンなどのイオンのエネルギーを計算する方法。イオンが単位格子を横切って移動するときのエネルギー障壁も見積もることができる。単純な式で計算するため、数多くの化合物や組成に対するエネルギー障壁を計算し、新型イオン伝導体の候補をスクリーニングすることにも利用できる。</p>
</div>

<h3>論文情報</h3>
<table class="table table-responsive">
<tbody>
<tr>
<th>掲載誌</th>
<td><i>Angewandte Chemie International Edition</i></td>
</tr>
<tr>
<th>論文タイトル</th>
<td>Superprotonic Conduction in Donor Co-Doped Perovskites（ドナーを共添加したペロブスカイトにおける超プロトン伝導）</td>
</tr>
<tr>
<th>著者</th>
<td>Kensei Umeda+（梅田健成）、Kei Saito+（齊藤馨）、Takashi Honda（本田孝志）、Masatomo Yashima* （八島正知）<br />+ 両著者の本研究への貢献は同等である。*責任著者。</td>
</tr>
<tr>
<th>DOI</th>
<td><a href="https://doi.org/10.1002/anie.202521773" style="text-decoration: none;" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span color="blue" style="color: blue;">https://doi.org/10.1002/anie.202521773</span></a></td>
</tr>
</tbody>
</table>

<h3>研究者プロフィール</h3>
<p>八島 正知（ヤシマ マサトモ） Masatomo Yashima
<br />東京科学大学 理学院 化学系　教授
<br />研究分野：材料科学、無機・分析化学、構造解析、新規イオン伝導体の探索と構造物性
<br />
<br />梅田健成（ウメダ　ケンセイ） Kensei Umeda
<br />東京科学大学 理学院 化学系　修士課程大学院生（研究当時）
<br />研究分野：無機・分析化学、新規プロトン伝導体の探索と構造物性
<br />
<br />齊藤 馨（サイトウ ケイ） Kei Saito
<br />東京科学大学 理学院 化学系　助教
<br />研究分野：物質科学、無機・分析化学、新規プロトン伝導体の探索と構造物性
<br />
<br />本田 孝志（ホンダ タカシ） Takashi Honda
<br />高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所　助教
<br />研究分野：量子ビーム科学、強相関電子系、原子構造、イオン伝導</p>

<h3>問い合わせ先</h3>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 研究に関すること &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東京科学大学 理学院 化学系　教授</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">八島 正知</span></div>

<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 報道取材申し込み先 &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">東京科学大学 総務企画部 広報課</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">高エネルギー加速器研究機構</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">E-mail</span>：press[at]kek.jp</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -879 -6047</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">J-PARCセンター 広報セクション</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">E-mail</span>：pr-section[at]ml.j-parc.jp</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -287 -9600</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 330px;">※上記の[at]は@に置き換えてください。</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>氷のような乱れによって電子のスピンが 低い温度でも揺らいでいる状態を発見- 電子スピンがもつれながら揺らぐ機構の解明に期待 -</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2026/01/19001714.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2026:/c/press-release//2.1714</id>

    <published>2026-01-19T05:00:00Z</published>
    <updated>2026-01-20T00:47:27Z</updated>

    <summary> 大阪大学理化学研究所高エネルギー加速器研究機構J-PARCセンター 研究成果の...</summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="物質・生命科学" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;"></p>
<p style="text-align: right;">大阪大学<br />理化学研究所<br />高エネルギー加速器研究機構<br />J-PARCセンター</p>
<div>
<div class="wrap_blue">
<h3>研究成果のポイント</h3>
<p>✣ 原子の並びが氷のように乱れている物質で、電子のスピンが極めて低い温度になっても揺らいでいる状態を発見しました <br /> ✣ 低い温度まで電子のスピンが揺らいでいる状態を保つためには、原子が乱れなく整列していることが必要だと考えられてきましたが、原子の位置や種類に乱れがあっても、電子のスピンが揺らいでいることを実証しました <br /> ✣ 温度が下がると物質が凍りつくことはよく知られています。しかし、極めて低い温度でも電子のスピンが揺らいでいる特異な状態があるのではないか？と考えられ、探索されてきました。温度が下がると、物質はなぜ凍りつくのか、そして状況によっては、なぜ凍りつかなくなるのかという根本的な問いに対する理解が深まることが期待されます</p>
</div>
<h3>概要</h3>
<p>&nbsp; 大阪大学大学院理学研究科の花咲徳亮教授らの研究グループは、原子の並びが氷のように乱れた物質において、極めて低い温度になっても<a name="BNo1"></a><a href="#No1" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;">電子の量子スピン<sup>※1</sup></span></a>が揺らいでいる状態を世界で初めて明らかにしました。 <br />&nbsp; 世の中の物質は、温度が下がると結晶化することがよく知られています。これは、原子間や分子間にはたらく相互作用のエネルギーが低くなるように、原子や分子が整列するためであり、<a name="BNo2"></a><a href="#No2" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;">熱力学第3法則<sup>※2</sup></span></a>の帰結とも言えます。しかし、水が凝固した氷では、H<sub>2</sub>O分子の位置が完全に定まっているわけではありません。H<sub>2</sub>O分子の向きを変えてもエネルギーが変わらない状態が数多く存在するため、氷は固体であっても、分子の向きが揺らいでいる特異な状態なのです。このように、物質中における全ての相互作用のエネルギーを同時に低くすることができないためにエネルギーの低い状態が数多く存在することを<a name="BNo3"></a><a href="#No3" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;">フラストレーション<sup>※3</sup></span></a>と呼びます。 <br />&nbsp; 物質中の各原子には電子が存在します。例えば図1(a)のように、電子の量子スピンが三角形の頂点にあり、電子スピンを互いに逆向きに向かせようとする相互作用があると、右下の3つ目の電子スピンは上向きであっても下向きであっても相互作用エネルギーを低くすることはできません。このようなフラストレーションがあると、極めて低い温度まで電子スピンが揺らいでいるのか、それとも電子スピンが凍りついてしまうのかは、長年の謎でした。また、電子スピンが低い温度でも揺らいだ状態になるには、フラストレーションとともに、原子が乱れなく整列していることも必要条件だとこれまで考えられてきました。 <br />&nbsp; 今回、研究グループは、マグネシウムとチタンを含む<a name="BNo4"></a><a href="#No4" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;">スピネル型酸化物<sup>※4</sup></span></a>と呼ばれる物質において、チタン原子の位置が氷のように乱れているときに、電子のスピンが極めて低い温度まで揺らいでいる状態(<a name="BNo5"></a><a href="#No5" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;">ランダム・シングレット状態<sup>※5</sup></span></a>)が生じることを突き止めました。この状態では、図1(b)のように、孤立した電子スピンが物質中をさまよい、電子スピンの対が揺らいだりしています。この発見から、原子の配置や種類に乱れがあっても、電子スピンが極めて低い温度まで揺らいでいることが明らかになりました。原子の並びの乱れが電子スピンの揺らぎに重要な役割を果たしていることを示しています。これにより、量子スピンがもつれながら揺らいでいる状態を安定化させるメカニズムの解明が進むとともに、低い温度で物質がなぜ凍りつく、あるいは凍りつかなくなるのかという根本的な問いに対する理解が深まると期待されます。 <br />&nbsp; 本研究成果は、米国科学誌「PNAS (Proceedings of the National Academy of Science　of the United States of America)」に、12月31日(水)(日本時間)に公開されました。</p>
<p><a name="fig1"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260119_01ms.jpg"><img alt="20260119_01ms" src="assets_c/2026/01/20260119_01ms-thumb-350xauto-11038.jpg" width="350" height="245" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="left">図1 (a) 三角形の格子における電子スピンのフラストレーションの例。図中の矢印はスピンを表している。(b)スピンが揺らいでいる概念図。　孤立スピン (赤矢印) がさまよい、電子の対 (赤い楕円) も揺らいでいる様子。格子を少し歪ませて書いています。</p>
<h3>花咲教授のコメント</h3>
<p>&nbsp; 極めて低い温度まで電子スピンが揺らいだ状態になるには、原子の並び方に乱れがないことが必要だと、これまで考えられてきました。本研究では、従来の常識とは異なり、原子の並びを乱すことによって、極めて低い温度まで電子スピンが揺らいでいる状態を観測することができました。発見した当時、得られた結果が当時の常識とはかけ離れたものだったので、なかなか理解してもらえませんでした。</p>
<h3>研究の背景</h3>
<p>&nbsp; 電子スピンが、図1(a)のように三角形の頂点にあり、互いに逆向きに向けさせようとする相互作用がはたらくとき、右下の3つ目の電子スピンは、上向きであっても下向きであっても、すべての相互作用エネルギーを最小化することができません。このような状況はフラストレーションと呼ばれます。 <br />&nbsp; 上記の三角形のようにフラストレーションをもたらす格子では、電子の量子スピンが極低温まで揺らいでいる特異な状態が生じるのか、長年、精力的に調べられてきました。このような特異な状態が生じるには、原子が乱れなく整列していることが必要なのか、それとも原子の位置や種類の乱れは量子スピンが揺らいでいる状態を安定化させるのか、よく分かっていませんでした。</p>
<h3>研究の内容</h3>
<p>&nbsp; 研究グループでは、<a name="BNo6"></a><a href="#No6" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;">比熱測定<sup>※6</sup></span></a>、<a name="BNo7"></a><a href="#No7" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;">核磁気共鳴測定<sup>※7</sup></span></a>、<a name="BNo8"></a><a href="#No8" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;">ミュオン・スピン緩和測定<sup>※8</sup></span></a>、<a name="BNo9"></a><a href="#No9" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;">中性子PDF解析<sup>※9</sup></span></a>といった4つの実験法を用いることによって、スピネル型チタン酸化物で、チタン原子の並びが氷のように乱れているとき、電子の量子スピンが極低温まで揺らいでいる特異な状態(ランダム・シングレット状態)であることを実証しました。 <br />&nbsp; この状態では、図1(b)のように、孤立した電子スピンがさまよっていたり、2つの電子スピンが非磁性の対を作り、この電子対も揺らいでいることが理論的に予想されていました。後者の電子対の揺らぎは、ベンゼン環の二重結合が共鳴的に揺らいでいる状態(ケクレ構造の共鳴状態)を思い出してもらえば分かりやすいかもしれません。 <br />&nbsp; まず、電子のスピンが極低温まで凍りついていないのかを調べるため、比熱測定を行いました。図2(a)に示した通り、温度が絶対零度に近づいても、比熱を温度で割った値はゼロに近づいていないことが分かります。これは、電子状態を励起するのに有限の熱エネルギーを必要としないこと、すなわち、極低温でも電子スピンが数多くのさまざまな状態を取りうることを示しています。 <br />&nbsp; 次に、スピン状態を微視的に調べるために、核磁気共鳴(NMR)測定を行いました。NMRのスペクトルを図2(b)に示しますが、赤色の領域は鋭いピークを示しています。これは多くの電子が非磁性の対を作っていることを示しています。また、ピークの両サイドに広い裾（青色の領域）が見られますが、これは、(内部)磁場を発生している孤立した電子スピンがあることを示しています。 <br />&nbsp; さらに、この孤立電子スピンのダイナミクスを調べるために、ミュオン・スピン緩和(&mu;SR)の測定を行いました。図2(c)に示した通り、孤立スピンが2次元的に動いている場合を仮定したシミュレーション(赤線)で実験結果を説明することができ、孤立スピンが揺らいでいる時間スケールがナノ秒程度であることも分かりました。このように実験で得られた結果は、理論的に予想されていたランダム・シングレット状態の性質と一致するものでした。 <br />&nbsp; そして、このランダム・シングレット状態が現れるのは、中性子PDF解析から、チタン原子の並びが氷のように乱れている時だけであることが分かりました。電子スピンの量子性、フラストレーション、物質の構造的乱れという3つの条件がそろうと、極めて低い温度でも電子スピンは凍りつかず揺らいでいるのです。</p>
<p><a name="fig2"></a></p>
<p><a href="uploads/2026/20260119_02ms.jpg"><img alt="20260119_02ms" src="assets_c/2026/01/20260119_02ms-thumb-380xauto-11040.jpg" width="380" height="266" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
</div>
<div>
<table style="margin-left: auto; margin-right: auto;">
<tbody>
<tr>
<td>図2 スピネル型酸化物Mg<sub>1.25</sub>Ti<sub>1.75</sub>O<sub>4</sub>で得られた実験結果<br /> (a)電子比熱<i>C</i><sub>mag</sub>の温度(<i>T</i>)による変化<br /> (b)<sup>47,49</sup>Tiの核磁気共鳴(NMR)のスペクトル。&mu;<i>H</i>は磁束密度<br /> (c)ミュオン・スピンの緩和率(&lambda;)の磁場(<i>H</i>)による変化</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div>
<h3>本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)</h3>
<p>&nbsp; 本研究成果により、量子スピンが揺らいでいる状態を安定化させるメカニズムの解明が進み、低温で物質がなぜ凍りつくのか、また状況によっては、なぜ凍りつかなくなるのかという根本的な問いに対する理解が深まると期待されます。このように数多くの量子スピンがもつれながら揺らいでいる状態が安定化するメカニズムに関する知見は、量子コンピュータなどに応用される可能性も期待されます。</p>
<h3>特記事項</h3>
<p>&nbsp; 本研究成果は、2025年12月31日(水)(日本時間)に米国科学誌「PNAS (Proceedings of the National Academy of Science　of the United States of America) 」(オンライン)に掲載されました。</p>
<table class="table table-responsive">
<tbody>
<tr>
<th>タイトル</th>
<td>"Frustrated random-singlet state with ice-type structural fluctuation in spinel titanates"</td>
</tr>
<tr>
<th>著者名</th>
<td>N.Hanasaki*, T.Hattori, T.Komoda, K.Minamoto,　S.Torigoe, S.Yamashita, Y. Nakazawa, T.Nakano,　K.Yoshimi, M.Yashima, H.Mukuda, U.Widyaiswari,　I.Watanabe, A.Koda, T.Honda, T. Otomo, H.Sagayama,　K.Kodama, H.Murakawa, and H.Sakai<br />*:責任著者</td>
</tr>
<tr>
<th></th>
<td>DOI<a href="https://doi.org/10.1073/pnas.2517926123" style="text-decoration: none;" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span color="blue" style="color: blue;">https://doi.org/10.1073/pnas.2517926123</span></a></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>&nbsp; なお、本研究は、JSPS科研費(24H01622,23H04862,25K08255)の研究の一環として行われ、RAL-ISIS、KEK-PF BL 8B、J-PARC　MLF MUSE S1、BL 21 NOVA、大阪大学大学院理学研究科 熱・エントロピー科学研究センターなどの施設を用いて行われました。大阪大学大学院理学研究科　山下智史助教、中澤康浩教授、村川寛助教、大阪大学大学院基礎工学研究科　椋田秀和准教授、八島光晴助教、茨城大学大学院理工学研究科　中野岳仁准教授、理化学研究所 仁科加速器科学研究センター　渡邊功雄　上級研究員、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所　幸田章宏教授、本田孝志助教、大友季哉教授、佐賀山基准教授、日本原子力研究開発機構 物質科学研究センター 樹神克明研究主幹、東北大学 金属材料研究所　酒井英明教授(研究当時は大阪大学大学院理学研究科)の協力を得て行われました。なお、住友財団と大阪大学先導的学際研究機構 スピン学際研究部門の支援も受けています。</p>
<h3>用語説明</h3>
<div style="margin-left: 50px;">
<p id="No1"><a href="#BNo1" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※1 電子の量子スピン</strong></span></a> <br />&nbsp; 電子はスピンと呼ばれる角運動量を持ちます。量子スピンは角運動量の大きさが最も小さい状態です。古典的に自転運動にたとえられる事も多いですが、正確には、量子力学によって理解される電子の性質です。</p>
</div>
<div style="margin-left: 50px;">
<p id="No2"><a href="#BNo2" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※2 熱力学第3法則</strong></span></a> <br />&nbsp; 物質は様々な状態になりえますが、そのミクロな状態の数はエントロピーという量で表されます。エントロピーは系の乱雑さの度合いであるとも言われます。熱力学第3法則は、通常、物質には最も低いエネルギーを持つ基底状態が唯一存在し、絶対零度になっていく過程で、その基底状態に近づきエントロピーもゼロになっていくことを示唆しています。ただし、乱れがあったり秩序が生じなかったりする場合は、その限りではありません。この法則は、ノーベル賞物理学者のウォルター・ネルンストらによって見出されました。</p>
</div>
<div style="margin-left: 50px;">
<p id="No3"><a href="#BNo3" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※3 フラストレーション</strong></span></a> <br />&nbsp; 気体分子を冷却すると、液体の状態を経て、固体の結晶になっていく事がよく知られています。高温で分子の位置が乱れていても、温度を下げると、分子間の引力的な相互作用エネルギーが低くなるように、分子は規則的な安定配置を取る傾向にあります。しかし、分子間の全ての相互作用エネルギーを同時に低くできない状況では、温度を下げても分子は安定な状態を取ることができず、揺らいだ状態になります。このように分子間の全ての相互作用のエネルギーを同時に小さくすることができず、エネルギーが低い状態が数多く存在することをフラストレーションと呼びます。ノーベル賞化学者のライナス・ポーリングらによって指摘されましたが、分子に限らず、原子や電子などあらゆるものに共通した概念です。男女の三角関係にたとえて考えると分かりやすいかもしれません。なお、電子スピン間の相互作用にフラストレーションをもたらすような格子の事を、フラストレート格子と呼びます。イタリアのジョルジオ・パリージはこの分野の研究で2021年のノーベル物理学賞を受賞しています。</p>
</div>
<div style="margin-left: 50px;">
<p id="No4"><a href="#BNo4" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※4 スピネル型酸化物</strong></span></a> <br />&nbsp; 化学式がAB<sub>2</sub>O<sub>4</sub>で表される物質で、Aにはアルカリ土類金属原子、Bには遷移金属原子が入る傾向があります。竹で編まれた籠目状の格子(図1(b)の灰色の破線)はよく知られていますが、スピネル型酸化物におけるBの原子が作る格子は、籠目状の格子が3次元的に組まれた格子(パイロクロア格子)になっており、このパイロクロア格子もフラストレート格子のひとつです。なお、氷において隣接した酸素原子の間の中点で結んだ格子もパイロクロア格子になっており、氷の構造とも共通する点があります。</p>
</div>
<div style="margin-left: 50px;">
<p id="No5"><a href="#BNo5" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※5 ランダム・シングレット状態</strong></span></a> <br />&nbsp; 物質内の原子がフラストレート格子を組み、各原子にある量子スピンの間に、スピンの向きを互いに逆に向けさせようとする相互作用(反強磁性的相互作用)があると、低温になっても安定なスピン秩序を形成することができず、スピンがいつまでも揺らいでいる状態が期待されます。特に、フラストレート格子を組む物質において、原子の位置や種類に乱れがあると、ランダム・シングレット状態が生じることが期待されます。この状態では、隣接する量子スピンが非磁性の電子対を作り、他の電子対と共鳴を起こしたり、孤立したスピンが物質中をさまよったりしている状態が理論的に予想されていました。この状態は大阪大学大学院理学研究科の川村光名誉教授によって提案されました。</p>
</div>
<div style="margin-left: 50px;">
<p id="No6"><a href="#BNo6" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※6 比熱測定</strong></span></a> <br />&nbsp; 物質の温度を上げるに必要な熱量を調べる測定です。この比熱測定によってエントロピーが温度でどのように変化するか分かり、物質が持つ内部自由度に関する情報が得られます。本研究では、スピンが極低温まで凍りつかず、スピンが揺らげるだけの自由度を保持している事を比熱測定によって明らかにしました。</p>
</div>
<div style="margin-left: 50px;">
<p id="No7"><a href="#BNo7" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※7 核磁気共鳴測定</strong></span></a> <br />&nbsp; 電子だけでなく、原子核もスピンを持っています。磁場をかけると、磁場と同じ向きの原子核スピンと、逆向きの原子核スピンの間に、エネルギーに差が生じます。このエネルギー差に相当する電磁波を物質に加えることで、原子核のスピンが感じているミクロな(内部)磁場の情報を得ることができます。本研究では、物質中で電子が非磁性の対を作っていることや、孤立スピンが存在していることを明らかにするのに用いられました。なお、病院で用いられるMRI(磁気共鳴画像法)も、この核磁気共鳴測定と同じ原理に基づいています。</p>
</div>
<div style="margin-left: 50px;">
<p id="No8"><a href="#BNo8" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※8 ミュオン・スピン緩和測定</strong></span></a> <br />&nbsp; ミュオンは、素粒子物理学の標準模型で"第二世代の電子"に相当する粒子です。その質量が電子より200倍ほど重いのですが、電子と同様に、スピンと電荷を持ちます。正電荷のミュオンが物質に入射されると、物質内部で生じている(内部)磁場によってミュオン・スピンがその向きを変えるため、物質中の(内部)磁場の分布や揺らぎを調べることができます。国内では、大強度陽子加速器施設(J-PARC)と大阪大学核物理研究センターで実験を行うことができます。本研究では、物質中で孤立した電子スピンが作る(内部)磁場の揺らぎを測定しました。</p>
</div>
<div style="margin-left: 50px;">
<p id="No9"><a href="#BNo9" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※9 中性子PDF解析</strong></span></a> <br />&nbsp; 中性子は、陽子とともに原子核を形作る粒子です。中性子を結晶に入射すると、中性子が結晶中の原子によって散乱されて、この散乱波が特定の方向で強めあう現象が起きます。これは中性子回折と呼ばれますが、この回折波をフーリエ変換することで、結晶中における2つの原子間の相対位置に関する情報(原子対相関関数、PDF)が得られます。この実験法は、原子が乱れなく並んでいる結晶だけでなく、原子の並びに乱れがある物質でも適用することができます。本研究では、チタン原子の並びが氷のように乱れていることを調べるのに用いられました。国内では、J-PARCで実験を行うことができます。</p>
</div>
<h3>SDGs</h3>
<p><a name="fig3"></a></p>
<p><img alt="20260119_03-04" src="uploads/2026/20260119_03-04.jpg" width="100" height="45" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>
<h3>参考URL</h3>
<p>花咲　徳亮　教授 <br />研究者総覧URL <a href="https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/60bc080048f7bf54.html" style="text-decoration: none;" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span color="blue" style="color: blue;">https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/ 60bc080048f7bf54.html</span></a></p>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<h3>本件に関する問い合わせ先</h3>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 研究に関するお問い合わせ &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">大阪大学 大学院理学研究科 教授　花咲　徳亮　（はなさき　のりあき）</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 広報に関するお問い合わせ &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">大阪大学 理学研究科　庶務係</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">理化学研究所　広報部　報道担当</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">高エネルギー加速器研究機構 広報室</span></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -879 -6047</div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">E-mail</span>：press[at]kek.jp</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">J-PARCセンター広報セクション</span></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -287 -9600</div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">E-mail</span>：pr-section[at]ml.j-parc.jp</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">科学技術振興機構 広報課</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 350px;">※上記の[at]は@に置き換えてください。</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
</div>
</div><!--<a href="uploads/2026/J-PARCPress20260119Pr.pdf">J-PARCPress20260119Pr.pdf</a><a href="uploads/2026/J-PARCPress20260119P.pdf">J-PARCPress20260119P.pdf</a>-->
<p style="text-align: right;"><a title="leaflet20201127" class="btn btn-border-navy btn-large" href="uploads/2026/J-PARCPress20260119Pr.pdf#zoom=100" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース(PDF)はこちら</a></p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>画素数を従来から1000倍アップ！超伝導状態で4億画素の撮像に成功</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2025/12/18001679.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2025:/c/press-release//2.1679</id>

    <published>2025-12-18T05:00:00Z</published>
    <updated>2025-12-22T02:57:54Z</updated>

    <summary><![CDATA[大阪公立大学J-PARCセンター &nbsp; ポイント &nbsp; ✣ 超伝...]]></summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="物質・生命科学" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;">大阪公立大学<br />J-PARCセンター</p>
<p>&nbsp;</p>
<div class="wrap_blue">
<h3>ポイント</h3>
<p>&nbsp; ✣ <a name="BNo1"></a><a href="#No1" style="text-decoration: none"><font color="blue">超伝導検出器<sup>※1</sup></font></a>のイメージング素子の大画素化には、素子を極低温に冷却すること、ピクセル数を増やしピクセルの均一性を保つこと、読出し線の数が増える対策として一つの線に複数の信号を運ばせる信号多重化回路技術が必要になることなどが課題である。
<br />&nbsp; ✣ 新しい超伝導検出器の電流バイアス運動インダクタンス検出器（CB-KID）と、30ps（ビコ秒=10<sup>-12</sup>秒）の高分解能の<a name="BNo2"></a><a href="#No2" style="text-decoration: none"><font color="blue">時間デジタル変換器（TDC）<sup>※2</sup></font></a>を装備した読み出し回路を開発し、4億画素イメージングの実証に成功。</p>
</div>


<h3>概要</h3>
<p>&nbsp; 超伝導検出器は高感度に微弱な信号を検出できるため、天文学や医療などさまざまな分野で利用されており、特にイメージングへの応用研究が盛んに行われてきました。超伝導を用いたイメージング素子の高性能化と実用化には、超伝導状態を維持するために素子全体を極低温に冷却する必要があります。また、高解像度化のためピクセル数を増加させますが、各ピクセルの均一性の確保も重要です。さらに、ピクセル数増加には読出し線の数の増加も伴うため、一つの線で複数の信号を運ぶ<a name="BNo3"></a><a href="#No3" style="text-decoration: none"><font color="blue">信号多重化<sup>※3</sup></font></a>回路技術の導入が不可欠です。
<br />&nbsp; 大阪公立大学 大学院工学研究科の石田 武和客員教授、ヴテダン客員研究員（ベトナム・ホーチミン市技術教育大学 講師、J-PARCセンター外来研究員）、小嶋 健児客員研究員（カナダ国立粒子加速器研究所 上席研究員）、小山 富男客員研究員、および研究基盤共用センターの宍戸 寛明教授らの研究チームは、課題を克服した新しいタイプの超伝導検出器の電流バイアス運動インダクタンス検出器（CB-KID）と、30ps（ビコ秒=10<sup>-12</sup>秒）の高分解能の時間デジタル変換器（TDC）を装備した読み出し回路を開発し、4億画素イメージングの実証に成功しました（図1）。実証では、大阪公立大学、J-PARCセンター、その他機関による過去の共著論文で発表したデータを活用しました。
<br />&nbsp; 本研究成果は、2025年11月25日に国際学術誌「AIP Advances」にFeatured Article（注目論文）としてオンライン掲載されました。また、AIPのScilight（科学ハイライト）対象論文にも選出され、インタビュー解説記事が同時にオンライン掲載されました。</p>

<p><a name="fig1"></a></p>
<p><a href="uploads/2025/20251218_01.jpg"><img alt="20251218_01" src="assets_c/2025/12/20251218_01-thumb-autox461-10884.jpg" width="380" height="461" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>


<h3>研究者からのコメント</h3>
<p>&nbsp; 超伝導検出器は先端分野で大活躍していますが、大画素撮像に向けて極低温動作環境への熱流入が大きな壁でした。新原理の超伝導検出器CB-KIDは読出し線は4本で良いので、遅延時間法と高速読出回路を組み合わせ、これまでの世界記録を1000倍も上回る大画素化に成功しました。この論文は、アメリカ物理学協会（AIP）が発行する30誌以上の学術誌の中から科学ハイライト論文として選出され、著者インタビュー記事も出版されました。本研究成果がフォトニクス分野だけではなく幅広い分野で活発に利用されることを期待しています。</p>

<h3>研究の背景</h3>
<p>&nbsp; 超伝導検出器はさまざまな分野で利用されており、特にイメージングへの応用研究が盛んに行われてきました。これまで、超伝導検出器の一つであるマイクロ波運動インダクタンス検出器（MKID）が、2020年に宇宙観測用途で信号多重化を工夫して2万画素を達成したことが報告されました。また、超伝導ナノ細線単一光子検出器（SNSPD）では、遅延時間法を使うことで40万画素を実現したことが世界記録として2023年に論文発表されました。イメージング素子の大画素化には、素子を極低温に冷却すること、ピクセル数を増やしピクセルの均一性を保つこと、読出し線の数が増える対策として一つの線に複数の信号を運ばせる信号多重化回路技術が必要になることなどが課題でした。さらなる高画素化にはこのような課題を解決する技術が求められていました。</p>

<h3>研究の内容</h3>
<p>&nbsp; 本研究グループは、大画素イメージングにおける超伝導検出器の課題を解決するため、新しい原理に基づく電流バイアス運動インダクタンス検出器（CB-KID）を提案しました。CB-KIDは、完全超伝導状態で動作し、全長151mの検出器のうち、約1μmの局所的な運動インダクタンス（ホットスポット）を利用する点でMKIDと大きく異なります。また、SNSPDのように臨界電流近傍でなく、任意のバイアス電流で動作可能なため、熱流入や電力消費を大幅に低減できます。さらに、ホットスポット理論に基づき、信号の伝搬時間差を利用する遅延時間法と新しく重心座標を決定する概念を導入し、サブミクロンピクセル（1μm以下の画素サイズ）を実現しました。その結果、CB-KIDは4億画素イメージングを達成し、超伝導検出器の大画素化におけるブレークスルーとなりました。本技術は、従来の制約を克服し、次世代の超高解像度イメージングに向けた新しい道を拓くものです。
<br />&nbsp; 図3は、CB-KIDのホットスポット周りの様子を示しています。外部からエネルギーが局所的に付与されると超伝導クーパー対の一部が壊れて準粒子となり、ホットスポットができます。超伝導ナノワイヤと超伝導グランド平面の界面に電荷が発生し、絶縁層に発生する電界でプラス極性とマイナス極性の対称な電圧パルス対が誘起され、導波線路を互いに反対方向の両端の電極に向けて電磁波として高速（光のスピードの20％）で伝搬します。発生する2つの信号が両端の電極に到達する時刻の差を使ってホットスポット位置を決める方法が遅延時間法です。このホットスポットと信号の発生原理は、本研究グループが理論を導出しており、他の超伝導検出器と比べて動作原理が異なる新しいタイプの超伝導検出器です。</p>

<p><a name="fig2"></a></p>
<p><a href="uploads/2025/20251218_02.jpg"><img alt="20251218_02" src="assets_c/2025/12/20251218_02-thumb-autox428-10882.jpg" width="380" height="428" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>

<p><a name="fig3"></a></p>
<p><a href="uploads/2025/20251218_03.jpg"><img alt="20251218_03" src="assets_c/2025/12/20251218_03-thumb-550xauto-10880.jpg" width="550" height="303" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>

<h3>期待される効果・今後の展開</h3>
<p>&nbsp; CB-KIDは、従来の超伝導検出器の課題を克服し、4億画素という記録的な大画素イメージングを実現しました。今後は高画素化と30psの時間分解能を活かし、天文学で宇宙観測とリモートセンシング、分光イメージング、材料分析、量子情報通信、量子イメージング、3次元深度センシング、レーザー画像検出と測距（ライダLiDAR）、生命科学イメージング、医療イメージングなど幅広い分野での応用が期待されます。さらに、トリガー信号からの信号到達までの時間依存は30ps（ピコ秒）から30秒と12桁にも亘り高精度に追跡できる機能が装備されていることから、新しい計測・解析手法が開拓され、既存技術の置き換えや補完だけではなく、革新的な用途を創出する可能性があります。</p>

<h3>資金情報</h3>
<p>&nbsp; 本研究は、科学研究費補助金基盤研究（A）（JP16H02450、JP21H04666）、科学研究費補助金若手研究（JP21K13566、JP23K13690）、科学研究費補助金基盤研究（C）（JP22K04246）、J-PARCプロジェクト研究（2024P0501）の助成を得て実施されました。</p>

<h3>用語解説</h3>
<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No1"><a href="#BNo1" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※1 超伝導検出器</strong></span></a> <br />&nbsp; 極低温で動作し、超伝導状態の物質を利用して微弱な信号（光子、粒子、熱など）を高感度で検出する装置。特徴：高感度・低雑音（電気抵抗がゼロのため、微小なエネルギー変化も検出可能）・応答速度が速い（ナノ秒〜マイクロ秒単位での応答が可能）。用途：天文学（X線・赤外線観測）、量子情報、医療画像、粒子物理など。代表的な種類には、超伝導転移端センサー（TES）や超伝導ナノ細線単一光子検出器（SNSPD）がある。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No2"><a href="#BNo2" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※2 時間デジタル変換器（TDC）</strong></span></a> <br />&nbsp; 時間間隔をデジタル値に変換する回路で、2つの信号間の時間差を高精度に測定するために使う。特徴：高分解能（ピコ秒（10<sup>-12秒</sup>）単位の時間差を測定可能。用途：粒子検出器、ライダ（LiDAR）、TOF（Time-of-Flight）測距、医療用イメージングなど。動作原理はスタート信号とストップ信号の間の時間をカウントし、デジタル値として出力する。アナログ信号の時間情報をデジタル処理に活かすための重要な技術である。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No3"><a href="#BNo3" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>※3 信号多重化</strong></span></a> <br />&nbsp; 超伝導検出器の信号多重化は、極低温で動作する多数の検出素子からの信号を、限られた配線や回路で効率的にまとめて読み出す技術のこと。超伝導検出器（TES、 MKID、SNSPDなど）は極低温で動作し、単一光子や微弱な放射線を高感度で検出する。多数の画素（ピクセル）を並べて大面積化・高計数率化するためには、信号を効率よく読み出す「多重化」技術が不可欠である。多重化の目的は、配線数を減らし、熱流入や装置の複雑化を防ぎつつ、多画素の情報を同時に取得することである。時間領域多重化 （TDM）はTES型カロリメータに、周波数領域多重化（FDM）はMKIDに、コード領域多重化（CDM）はTESアレイに、空間領域多重化は大規模SNSPDアレイに適用されている。</p>
</div>

<h3>掲載誌情報</h3>
<table class="table table-responsive">
<tbody>
<tr>
<th>発表雑誌</th>
<td><i>AIP Advances</i> 15, 115134 (2025) </td>
</tr>
<tr>
<th>論文名</th>
<td>400-milion-pixel superconducting delay-line camera with 30-ps readout circuit</td>
</tr>
<tr>
<th>著者</th>
<td>Takekazu Ishida, Hiroaki Shishido, The Dang Vu, Kenji M Kojima, and Tomio Koyama</td>
</tr>
<tr>
<th>DOI</th>
<td><a href="https://doi.org/10.1063/5.0292145" style="text-decoration: none;" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span color="blue" style="color: blue;">https://doi.org/10.1063/5.0292145</span></a></td>
</tr>
<tr>
<th>Scilight インタビュー解説記事</th>
<td><a href="https://pubs.aip.org/aip/sci/article/2025/48/481105/3373313/Ultrafast-readout-circuit-enables-100-million" style="text-decoration: none;" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span color="blue" style="color: blue;">https://pubs.aip.org/aip/sci/article/2025/48/481105/3373313/Ultrafast-readout-circuit-enables-100-million</span></a></td>
</tr>
</tbody>
</table>

<p>本研究は物質・生命科学実験施設BL10　NOBORU 中性子源特性試験装置を使用</p>

<h3>研究内容に関する問い合わせ先</h3>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">大阪公立大学工学研究科 量子放射線系専攻</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">客員教授 石田 武和（いしだ たけかず）</span></div>


<h3>報道に関する問い合わせ先</h3>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">大阪公立大学 広報課</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">担当：谷</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">J-PARCセンター 広報セクション</span></div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -287 -9600</div>
<div style="margin-left: 300px;"><span class="caps">E-mail</span>：pr-section[at]ml.j-parc.jp</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 330px;">※上記の[at]は@に置き換えてください。</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>多様な元素置換が可能な歪んだ三角格子反強磁性体を開発- 「複合アニオン化合物」で磁性の一次元化の謎に迫る -</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2025/11/27001651.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2025:/c/press-release//2.1651</id>

    <published>2025-11-27T00:00:00Z</published>
    <updated>2025-11-27T00:11:44Z</updated>

    <summary>東京大学名古屋大学東北大学J-PARCセンター日本原子力研究開発機構 &amp;nbsp...</summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="物質・生命科学" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;">東京大学<br />名古屋大学<br />東北大学<br />J-PARCセンター<br />日本原子力研究開発機構</p>
<p>&nbsp;</p>
<div>
<div class="wrap_blue">
<h3>発表のポイント</h3>
<p> ✣ レニウム原子が異方的三角形格子のネットワークを持つ全7種類の新物質群の開発に成功。
<br /> ✣ フラストレーションを利用した磁性の一次元化機構によって朝永（ともなが）-ラッティンジャー液体状態を実現。。
<br /> ✣ 複合アニオン化合物において、元素置換により磁性を自在に制御するための物質開発指針を与える。</p>
</div>

<p><a name="fig0"></a></p>
<p><a href="uploads/2025/20251126_00.jpg"><img alt="20251126_00" src="assets_c/2025/11/20251126_00-thumb-380xauto-10719.jpg" width="380" height="133" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="center">異方的三角格子反強磁性体における磁気フラストレーション（左）と低温における磁性の一次元化（右）</p>

<h3>概要</h3>
<p>&nbsp; 東京大学物性研究所の厳正輝助教、小濱芳允准教授、河村光晶助教（研究当時）、廣井善二教授、名古屋大学大学院工学研究科の平井大悟郎准教授、矢島健准教授、東北大学大学院理学研究科の森田克洋助教、同大学多元物質科学研究所の那波和宏准教授、佐藤卓教授、高エネルギー加速器研究機構の幸田章宏教授、日本原子力研究開発機構J-PARCセンターの古府麻衣子研究副主幹（研究当時）らの共同研究グループは、磁性を持つレニウム原子が異方的に歪んだ三角形格子のネットワークを持つ<a name="BNo1"></a><a href="#No1" style="text-decoration: none"><font color="blue">複合アニオン化合物（注1）</font></a>の開発に成功し、非磁性元素の置換によって磁気的性質を自在に制御できることを明らかにしました。<br />&nbsp; 本研究では全7種類の新物質群を合成し、その磁気的性質を詳細に調べたところ、いずれの物質も低温で<a name="BNo2"></a><a href="#No2" style="text-decoration: none"><font color="blue">「磁性の一次元化」（注2）</font></a>と呼ばれる現象が起きることが明らかになりました。さらに、一部の物質では極低温まで磁気相転移を起こさず、<a name="BNo3"></a><a href="#No3" style="text-decoration: none"><font color="blue">朝永-ラッティンジャー液体（注3）</font></a>状態を実現することを見出しました。<br />&nbsp; 本研究成果は、2025年11月26日付（現地時間）の英国科学誌Nature Communicationsに掲載されます。</p>

<h3>発表内容</h3>
<p>&nbsp; <strong>① 研究背景</strong>
<br />&nbsp; <a name="BNo4"></a><a href="#No4" style="text-decoration: none"><font color="blue">三角格子反強磁性体（注4）</font></a>では、隣り合う<a name="BNo5"></a><a href="#No5" style="text-decoration: none"><font color="blue">電子スピン（注5）</font></a>同士の向きを同時に反平行に揃えることができない幾何学的フラストレーションと呼ばれる状態が生じ、<a name="BNo6"></a><a href="#No6" style="text-decoration: none"><font color="blue">量子スピン液体（注6）</font></a>と呼ばれる特異な磁気状態の実現が期待されています。ここで、三角格子を一方向に歪ませてスピン間の磁気的な相互作用の強さの比を変えることで、磁気状態を制御できることが理論的に予測されています。特に、三角形内の一辺の磁気相互作用が他の二辺に比べて強い場合には、実効的に一次元のスピン鎖とみなすことができ、一次元系に特有の磁気励起を伴う朝永-ラッティンジャー液体状態の実現が提案されていました。このような異方的三角格子のネットワークを持つ従来の無機化合物では、結晶構造の局所的な歪みに起因する付加的な磁気相互作用の存在のために、低温で<a name="BNo7"></a><a href="#No7" style="text-decoration: none"><font color="blue">磁気相転移（注7）</font></a>が生じてしまい、朝永-ラッティンジャー液体の実現が阻まれていました。</p>

<p>&nbsp; <strong>② 研究成果</strong>
<br />&nbsp; 本研究では、ピナライト（組成式Pb<sub>3</sub>WO<sub>5</sub>Cl<sub>2</sub>）と呼ばれる非磁性の鉱物に着目し、タングステン（W）を磁性元素のレニウム（Re）に置き換えた物質群の開発を試みました。鉛（Pb）サイトにカルシウム（Ca）、ストロンチウム（Sr）、バリウム（Ba）の置換、塩素（Cl）サイトに臭素（Br）の置換を試み、全7種類の物質の合成に成功しました。本物質群に対する磁化測定から、いずれの物質も低温で一次元性が顕になる磁気相互作用のパラメータで特徴付けられることが明らかになりました。さらに、結晶構造解析と<a name="BNo8"></a><a href="#No8" style="text-decoration: none"><font color="blue">第一原理計算（注8）</font></a>によって、本物質群は付加的な相互作用が内在するグループとその影響がほぼ無視できるグループに分類できることが分かりました（図1）。実際に、前者については低温での比熱測定から磁気相転移が観測されました。一方で、後者については<a name="BNo9"></a><a href="#No9" style="text-decoration: none"><font color="blue">ミュオンスピン回転実験（注9）</font></a>によって60ミリケルビンという極低温まで磁気相転移が起こらずに動的なスピンの揺らぎが存在することが確認され、<a name="BNo10"></a><a href="#No10" style="text-decoration: none"><font color="blue">中性子非弾性散乱実験（注10）</font></a>によって朝永-ラッティンジャー液体の実現を示唆する磁気励起の観測（図2）に成功しました。これらの実験は、大強度陽子加速器施設（J-PARC）の物質・生命科学実験施設（MLF）BL14 AMATERAS、Muon D1にて実施されました。</p>

<p>&nbsp; <strong>③ 今後の展望</strong>
<br />&nbsp; 本研究成果は、複合アニオン化合物への元素置換により、磁性を自在に制御するための物質開発指針を与えるものです。さらに、長らく実現が待ち望まれていた異方的三角格子上での朝永-ラッティンジャー液体状態の研究の拡大に大きく貢献すると期待されます。</p> 

<p><a name="fig1"></a></p>
<p><a href="uploads/2025/20251126_01.jpg"><img alt="20251126_01" src="assets_c/2025/11/20251126_01-thumb-380xauto-10721.jpg" width="380" height="219" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="center">図1：本研究で開発した全7種類の物質の結晶構造と磁気的性質に基づく分類</p>

<p><a name="fig2"></a></p>
<p><a href="uploads/2025/20251126_02.jpg"><img alt="20251126_02" src="assets_c/2025/11/20251126_02-thumb-250xauto-10723.jpg" width="250" height="197" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="center">図2：Ba<sub>3</sub>ReO<sub>5</sub>Cl<sub>2</sub>において観測された磁気励起スペクトル</p>
<p>Ba<sub>3</sub>ReO<sub>5</sub>Cl<sub>2</sub>では60ミリケルビンの極低温まで磁気相転移を起こさず、長らく理論的に予想されていた朝永-ラッティンジャー液体状態の実現が実証された。異方的三角格子反強磁性体の理想的なモデル物質と言える。</p>

<h3>関連情報</h3>
<p>&nbsp; 「プレスリリース:見る方向や光の偏光によって三色に変化する物質を発見」（2017/7/18）<br /><a href="https://www.issp.u-tokyo.ac.jp/maincontents/news2.html?pid=1612" style="text-decoration: none" target="_blank"><font color="blue">https://www.issp.u-tokyo.ac.jp/maincontents/news2.html?pid=1612</font></a>

<h3>発表者・研究者等情報</h3>
<div style="margin-left: 50px;"><span class="caps">東京大学</div>
<div style="margin-left: 80px;"><span class="caps">物性研究所</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">厳　正輝　助教</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">河村　光晶　助教（研究当時）</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">松尾　晶　　技術専門職員</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">金道　浩一　教授</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">小濱　芳允　准教授</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">廣井　善二　教授</div>
<div style="margin-left: 80px;"><span class="caps">大学院新領域創成科学研究科 物質系専攻</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">小金　聖史　修士課程（研究当時）</div>
<div style="margin-left: 80px;"><span class="caps">大学院工学系研究科 物理工学専攻</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">松山　直史　博士課程（研究当時）</div>

<div style="margin-left: 50px;"><span class="caps">名古屋大学</div>
<div style="margin-left: 80px;"><span class="caps">大学院工学研究科 応用物理学専攻</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">平井　大悟郎　准教授</div>
<div style="margin-left: 80px;"><span class="caps">大学院工学研究科 材料デザイン工学専攻</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">矢島　健　准教授</div>
<div style="margin-left: 80px;"><span class="caps">大学院理学研究科 理学専攻</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">出口　和彦　講師</div>

<div style="margin-left: 50px;"><span class="caps">東北大学</div>
<div style="margin-left: 80px;"><span class="caps">大学院理学研究科 物理学専攻</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">森田　克洋　助教</div>
<div style="margin-left: 80px;"><span class="caps">多元物質科学研究所 無機材料研究部門</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">那波　和宏　准教授</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">佐藤　卓　　教授（現：東京大学物性研究所 附属中性子科学研究施設　教授 クロスアポイントメント) </div>

<div style="margin-left: 50px;"><span class="caps">高エネルギー加速器研究機構</div>
<div style="margin-left: 80px;"><span class="caps">物質構造科学研究所</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">幸田　章宏　教授</div>

<div style="margin-left: 50px;"><span class="caps">日本原子力研究開発機構J-PARCセンター</div>
<div style="margin-left: 80px;"><span class="caps">物質・生命科学ディビジョン 中性子利用セクション</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">古府　麻衣子　研究副主幹（研究当時、現：東京大学物性研究所 附属中性子科学研究施設　教授）</div>
<div style="margin-left: 110px;"><span class="caps">河村　聖子　　研究副主幹</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

<h3>論文情報</h3>
<table class="table table-responsive">
<tbody>
<tr>
<th>雑誌名</th>
<td>Nature Communications</td>
</tr>
<tr>
<th>題名</th>
<td>Chemically tunable quantum magnetism on the anisotropic triangular lattice in rhenium oxyhalides</td>
</tr>
<tr>
<th>著者名</th>
<td>M. Gen*, D. Hirai, K. Morita, K. Nawa, S. Kogane, N. Matsuyama, T. Yajima, M. Kawamura, K. Deguchi, A. Koda, M. Kofu, S. Ohira-Kawamura, T. J. Sato, A. Matsuo, K. Kindo, Y. Kohama, and Z. Hiroi</td>
</tr>
<tr>
<th>DOI</th>
<td><a href="https://doi.org/10.1038/s41467-025-65913-7" style="text-decoration: none;" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span color="blue" style="color: blue;">10.1038/s41467-025-65913-7</span></a></td>
</tr>
</tbody>
</table>

<h3>研究助成</h3>
<p>&nbsp; 本研究は、科研費「ハイパーマテリアルの物性とhidden orderの探索（課題番号：19H05821）」、「量子液晶の精密計測（課題番号：19H05824）」、「5<i>d</i>電子系における多極子物性の理解と物質開発（課題番号：20H01858）」、「ブリージングパイロクロア反強磁性体の超強磁場新奇磁気相の探索（課題番号：20J10988）」、「中性子散乱による量子磁性研究の新展開（課題番号：22H00101）」、「準結晶における長距離秩序・新奇量子状態の探索と異常金属状態の研究（課題番号：22H01167）」、「1000 T結晶格子の探索と解明（課題番号：23H04860）」、「一次元量子磁性体におけるスピノンのバンド交差とバンド反転（課題番号：23K03296）」、「量子磁性体におけるトポロジカル磁気構造・励起に関する中性子散乱国際共同研究（課題番号：23KK0051）」の支援により実施されました。</p>

<h3>用語解説</h3>
<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No1"><a href="#BNo1" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（注1）複合アニオン化合物</strong></span></a> <br />&nbsp; 通常の酸化物やハロゲン化物とは異なり、複数の種類の陰イオン（＝アニオン)を構成元素に含む化合物。本研究で開発した物質では、酸素イオンに加えて塩素イオンもしくは臭素イオンが含まれ、レニウム原子の周りを取り囲んで特殊な結晶構造を形成している。</p>
</div>
<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No2"><a href="#BNo2" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（注2）磁性の一次元化</strong></span></a> <br />&nbsp; 磁気的なフラストレーションを有する二次元もしくは三次元の格子ネットワークを持つ系において、スピン状態の競合や揺らぎによって一方向にだけ強い磁気的な相関が実効的に働くことによって、一次元のスピン鎖で見られる磁気的振る舞いが観測される現象。</p>

</div>
<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No3"><a href="#BNo3" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（注3）朝永（ともなが）-ラッティンジャー液体</strong></span></a> <br />&nbsp; 一次元スピン鎖に特有の「秩序なき量子状態」である。電子スピンが「スピノン」と呼ばれる分数化した励起として振る舞い、相関が距離とともにべき乗で減衰する性質を持つ。中性子散乱では連続体スペクトルとして観測され、低温の比熱は温度に比例する。本研究では、これらの特徴が全て実験的に観測された。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No4"><a href="#BNo4" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（注4）三角格子反強磁性体</strong></span></a> <br />&nbsp; 磁性を持つ陽イオンが正三角形の格子ネットワークを形成し、隣接する電子スピン同士が反平行の配置を好むような「反強磁性」の磁気相互作用が働く磁性体。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No5"><a href="#BNo5" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（注5）電子スピン</strong></span></a> <br />&nbsp; 電子が生まれつき備える量子力学的な固有の角運動量で、微小な磁石として上向き/下向きの向きをとる性質のこと。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No6"><a href="#BNo6" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（注6）量子スピン液体</strong></span></a> <br />&nbsp; スピンが低温でも規則正しく整列せず、強い量子ゆらぎと量子もつれによって長距離まで相関が保たれる特異な量子状態。長距離磁気秩序（強磁性・反強磁性など）が自発的に現れず、多くの量子状態の重ね合わせとして記述される。広い意味では一次元スピン鎖における「朝永-ラッティンジャー液体」もスピン液体的とみなされるが、狭義では主に二次元以上の相を指す用法もある。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No7"><a href="#BNo7" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（注7）磁気相転移</strong></span></a> <br />&nbsp; 温度や磁場、圧力の変化によって、物質の磁気状態が不連続または急激に変わる現象。秩序の有無や対称性が切り替わり、比熱や磁化などの物性が特徴的に変化する。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No8"><a href="#BNo8" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（注8）第一原理計算</strong></span></a> <br />&nbsp; 実験に合わせた経験パラメータを用いずに、結晶構造のみを入力として量子力学の第一原理（シュレーディンガー方程式）に基づき、電子状態や磁性などの物性を予測する計算手法。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No9"><a href="#BNo9" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（注9）ミュオンスピン回転実験</strong></span></a> <br />&nbsp; スピンがそろった素粒子「ミュオン」を試料に打ち込み、試料内部の磁場でミュオンのスピンが歳差運動（回転）・緩和する様子を崩壊時に飛び出す陽電子の向きから検出することで、スピンの秩序やゆらぎを調べる手法。</p>
</div>

<div style="margin-left: 10px;">
<p id="No10"><a href="#BNo10" style="text-decoration: none;"><span color="blue" style="color: blue;"><strong>（注10）中性子非弾性散乱実験</strong></span></a> <br />&nbsp; 入射中性子が試料でエネルギーと運動量をやり取りして散乱される様子を測り、エネルギーと運動量を分解して格子振動や磁気励起などのダイナミクスを調べる手法。</p>
</div>

<h3>問合せ先</h3>
<div style="margin-left: 350px;">（研究内容については発表者にお問合せください）</div>
<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">東京大学物性研究所　助教</span></div>
<div style="margin-left: 380px;"><span class="caps">厳　正輝（げん　まさき）</span></div>

<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">名古屋大学大学院工学研究科　准教授</span></div>
<div style="margin-left: 380px;"><span class="caps">平井　大悟郎（ひらい　だいごろう）</span></div>

<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 報道に関するお問合せ &gt;</strong></div>

<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">J-PARCセンター 広報セクション</span></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -287 -9600</div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">E-mail</span>：pr-section[at]ml.j-parc.jp</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">日本原子力研究開発機構　総務部報道課</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 350px;">※上記の[at]は@に置き換えてください。</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title> J-PARC講演会2025「むずかしい？J-PARCで広がる素粒子・原子核の世界をわかりやすく説明してみます」の開催について (報道機関向け取材案内)</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2025/11/04001636.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2025:/c/press-release//2.1636</id>

    <published>2025-11-04T06:00:00Z</published>
    <updated>2025-11-04T06:00:03Z</updated>

    <summary> J-PARCセンター東海村東海村教育委員会日本原子力研究開発機構高エネルギー加...</summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="ニュートリノ" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;"></p>
<p style="text-align: right;">J-PARCセンター<br />東海村<br />東海村教育委員会<br />日本原子力研究開発機構<br />高エネルギー加速器研究機構</p>

<p>&nbsp; J-PARC<sup>※</sup>センター、東海村および東海村教育委員会は、J-PARC講演会2025「むずかしい？J-PARCで広がる素粒子・原子核の世界をわかりやすく説明してみます」を開催します。
<br />&nbsp; 本講演会は、第100回J-PARCハローサイエンス<sup>※※</sup>を記念して行います。</p>

<div style="margin-left: 50px;">開催日：令和7年11月29日（土）</div>
<div style="margin-left: 50px;">詳細は、<a href="uploads/2025/20251129_lectureleaflet.pdf" style="text-decoration: none" target="_blank"><font color="blue">こちら</font></a>を参照下さい。</div>

<p>&nbsp; 報道関係各位におかれましては、是非ご来場の上、ご取材くださいますようご案内申し上げます。</p>
<p>&nbsp; 取材申し込み方法：取材をご希望の方は、必要事項（お名前、ふりがな、貴社名、電話番号、メールアドレス）をpr-section[at]j-parc.jpへ11月28日（金）17：00までにご連絡ください。<br />&nbsp; ※上記の[at]は@に置き換えてください。</p>

<h2>【講師紹介】&nbsp;(敬称略)&nbsp;</h2>
<table>
<tbody>
<tr>
<td style="border-color: #ffffff;"><a href="uploads/2025/20251129_lectureSpeaker02.jpg"><img alt="20251129_lectureSpeaker02" src="assets_c/2025/11/20251129_lectureSpeaker02-thumb-180xauto-10680.jpg" width="180" height="180" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></td>
<td style="border-color: #ffffff;"><a href="uploads/2025/20251129_lectureSpeaker03.jpg"><img alt="20251129_lectureSpeaker03" src="assets_c/2025/11/20251129_lectureSpeaker03-thumb-180xauto-10682.jpg" width="180" height="180" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></td>
</tr>
<tr align="center">
<td style="border-color: #ffffff;">高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所　教授　J-PARCセンター素粒子原子核ディビジョン　三原　智（みはら　さとし）</td>
<td style="border-color: #ffffff;">東京大学大学院理学系研究科物理学専攻　教授、クォーク・核物理研究機構機構長中村　哲（なかむら　さとし）</td>
</tr>
</tbody>
</table>

<p>&nbsp; ※大強度陽子加速器施設J-PARC（Japan Proton Accelerator Research Complex）は、日本原子力研究開発機構（JAEA）と高エネルギー加速器研究機構（KEK）が共同で運営する最先端の大型研究施設です。ほぼ光速まで加速した世界屈指の大強度陽子ビームから、中性子、ミュオン、ニュートリノ、K 中間子等の多彩な二次粒子ビームを作り出して多種多様な実験を行っており、世界中から多くの研究者が集まっています。</p>
<p>&nbsp; ※※J-PARCハローサイエンスは、世界で活躍する研究者や技術者と研究成果や技術開発について気軽に語りあえるイベントです。2016年12月から始め、月末の金曜日、18：00～実施しています。詳細は、<a href="https://j-parc.jp/c/events/hello-science/index.html" style="text-decoration: none"><font color="blue">https://j-parc.jp/c/events/hello-science/index.html</font></a>からご確認下さい。</p>
</div>
<p>&nbsp;</p>
<h2>【開催概要】</h2>
<div style="margin-left: 100px;">1 日時</div>
<div style="margin-left: 145px;">2025年11月29日（土）13：30～16：20（開場　12：30）</div>
<div style="margin-left: 145px;"><a href="https://www.j-parc.jp/symposium/lecture2025/" style="text-decoration: none" target="_blank"><font color="blue">https://www.j-parc.jp/symposium/lecture2025/</font></a></div>
<div style="margin-left: 40px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 100px;">2 会場</div>
<div style="margin-left: 145px;">東海村産業・情報プラザ（アイヴィル）多目的ホール</div>
<div style="margin-left: 160px;"> (茨城県那珂郡東海村舟石川駅東三丁目1番1号) </div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 100px;">3 演題</div>
<div style="margin-left: 145px;">J-PARC講演会2025「むずかしい？J-PARCで広がる素粒子・原子核の世界をわかりやすく説明してみます」</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 100px;">4 講師 (敬称略) </div>
<div style="margin-left: 160px;">高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所　教授</div>
<div style="margin-left: 160px;">J-PARCセンター素粒子原子核ディビジョン　　三原　智</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 160px;">東京大学大学院理学系研究科物理学専攻　教授</div>
<div style="margin-left: 160px;">クォーク・核物理研究機構機構長 　　　　　　 中村　哲</div>
<div style="margin-left: 120px;">司会</div>
<div style="margin-left: 160px;">東京大学大学院理学系研究科物理学専攻　助教　藤田　真奈美</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 100px;">5 参加費　無料</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 100px;">6 主催　J-PARCセンター（日本原子力研究開発機構/高エネルギー加速器研究機構）</div>
<div style="margin-left: 160px;">東海村</div>
<div style="margin-left: 160px;">東海村教育委員会</div>
<div style="margin-left: 120px;">後援　茨城県</div>
<div style="margin-left: 145px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 100px;">7 問い合わせ先　J-PARCセンター広報セクション</div>
<div style="margin-left: 130px;">TEL：029 -287 -9600</div>
<div style="margin-left: 130px;">E-mail : pr-section[at]j-parc.jp</div>
<div style="margin-left: 40px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 130px;">※上記の[at]は@に置き換えてください。</div>
<div style="margin-left: 40px;">&nbsp;</div>
<div class="col-12 col-lg-6" style="width: 500px; height: 39px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 40px;">&nbsp;</div>


]]>
        
    </content>
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    <title>日米のライバルグループが協力してニュートリノ研究を推進</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="2025/10/23001630.html" />
    <id>tag:cms01.j-parc.jp,2025:/c/press-release//2.1630</id>

    <published>2025-10-23T00:00:00Z</published>
    <updated>2025-10-23T01:18:47Z</updated>

    <summary> T2K 実験国際共同研究グループ高エネルギー加速器研究機構東京大学J-PARC...</summary>
    <author>J-PARC</author>
    
        <category term="ニュートリノ" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cms01.j-parc.jp/c/press-release/">
        <![CDATA[<p style="text-align: right;"></p>
<p style="text-align: right;">T2K 実験国際共同研究グループ<br />高エネルギー加速器研究機構<br />東京大学<br />J-PARCセンター</p>
<div>
<div class="wrap_blue">
<h3>本研究成果のストーリー</h3>
<p>&nbsp;<span color="blue" style="color: blue;"><strong>- Question - </strong></span><br /> ✣ 素粒子ニュートリノには3種類ありますが、それらがどのような質量の順序で並んでいるのか、まだわかっていません。また、ニュートリノが粒子と反粒子で異なる振る舞いをするのか、が残された別の謎です。ニュートリノが飛行している途中でその種類を変える「振動」という現象を使って、これらの謎の解明を目指しています。

<br />&nbsp;<span color="blue" style="color: blue;"><strong>- Findings - </strong></span><br /> ✣ 日本のT2K実験と米国のNOvA実験が初めて共同解析を行い、ニュートリノ振動の精密測定の結果を英科学誌Natureに発表しました。質量の順序は未解決ながら、その順序によって粒子と反粒子の振る舞いの差に大きな制限がかかることを確認しました。また、質量の二乗差の測定精度を向上させました。

<br />&nbsp;<span color="blue" style="color: blue;"><strong>- Meaning - </strong></span><br /> ✣ 異なる特徴を持つ2つの国際大型ニュートリノ振動実験が、データ統合・解析することで、単独では到達できない精密な測定が可能になりました。また、ニュートリノの粒子と反粒子の振る舞いの差を調べたことにより、宇宙に物質が満ちている理由である「物質と反物質の非称性」の謎の解明に近づく一歩となりました。</p>
</div>

<p><a name="fig1"></a></p>
<p><a href="uploads/2025/20251023-090002_01.jpg"><img alt="20251023-090002_01" src="assets_c/2025/10/20251023-090002_01-thumb-400xauto-10628.jpg" width="400" height="225" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p align="center">T2K実験(左)とNOvA実験(右)の概要。</p>

<h3>120文字サマリー</h3>
<p>&nbsp; 日本のT2K実験と米国NOvA実験が初の共同解析を実施し、ニュートリノ振動の精密測定を実現した。ニュートリノ質量順序の決定には至らずも、将来の解明に向けた重要な一歩を示した。</p>

<h3>概要</h3>
<p>&nbsp; 日本のT2K実験と米国のNOvA実験は、データ統合を含む共同解析を実施し、その最初の結果を科学誌Natureに発表しました。両者はいずれも加速器を用いる長基線ニュートリノ振動実験です。この2つの実験が、異なる基線長 (ニュートリノの飛行距離) やエネルギー条件を活かした共同解析を実施し、ニュートリノ振動の精密測定を行いました。その結果、ニュートリノの質量の二乗差に関する不確かさを2％未満に縮小することに成功しました。また、3種類のニュートリノの質量順序はまだ不明であるものの、その順序によっては粒子・反粒子間の対称性であるCP対称性の破れの大きさに大きな制限がかかることがわかりました。今回の成果は、ニュートリノのCP対称性の破れや宇宙における物質・反物質非対称の起源を解明する上で重要な一歩となります。今回の共同解析は、2010年から10年間のT2Kデータと、2014年から6年間のNOvAデータを統合したもので、競合しながらも補完し合う2つの国際共同実験の協力体制を示す成果でもあります。</p>

<h3>研究グループ</h3>
<p>&nbsp; T2K実験国際共同研究グループは、世界15の国・国際機関にある76の研究機関から、約560人の研究者が参加する国際共同研究グループです。日本からは、大阪公立大学・岡山大学・京都大学・慶應義塾大学・高エネルギー加速器研究機構・神戸大学・総合研究大学院大学・東京科学大学・東京都立大学・東京大学・東京大学宇宙線研究所・東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構・東京理科大学・東北大学・富山大学・宮城教育大学・横浜国立大学の研究者と大学院生総勢約130名が参加しています。<br />&nbsp; NOvA 実験国際共同研究グループは、世界8か国49機関から250人以上の研究者が参加しています。</p>

<h3>背景</h3>
<p>&nbsp; 宇宙が誕生したとき、物質と反物質が同じ数だけ存在していたはずです。しかし、もしそうであれば、両者は完全に打ち消し合い、全てが消滅してしまいます。それでも、私たちはここに存在しているのは、宇宙誕生から今までの間に、反物質がなくなり物質だけが残ったためです。なぜ物質だけが残ったのか、その理由は未だわかっていません。<br />&nbsp; 物理学者たちは、その答えがニュートリノと呼ばれる非常に捉えにくく大量に存在する粒子の謎めいた振る舞いに隠されているのではないかと疑っています。「ニュートリノ振動」と呼ばれる現象、つまりニュートリノが移動する途中で種類を変える現象を詳しく研究することで、その答えに近づけるかもしれません。<br />&nbsp; そこで、日本の T2K 実験と米国の NOvA 実験という、ニュートリノ振動研究に取り組む2つの国際共同研究チームがタッグを組み、初の共同成果をまとめました。別々の素粒子の国際研究チームが共同で解析に取り組んで成果を出すことは稀なケースとなります。科学誌 Nature に発表されたこの解析は、ニュートリノ振動に関する分野でもっとも精密な測定のひとつです。T2Kの共同研究者であるトマシュ・ノセク氏はこう説明します。<br />&nbsp; 「今回の成果は、2つの国際共同研究チームの協力と相互理解のもとに生まれたものです。両者は、それぞれ全く異なる環境で、異なる方法と道具を使って活動してきました。」</p>

<h3>実験は違えど、目指すゴールは同じ</h3>
<p>&nbsp; ニュートリノはどこにでも存在しますが、検出や研究は非常に難しい粒子です。1950年代に初めて観測されて以来、研究が続けられていますがこの「幽霊粒子」の性質はいまだ謎に包まれています。最近の物理学の研究から、ニュートリノの性質について理解を深めることで、なぜこの宇宙には物質だけが残ったのか、その根本的な真実を明らかにできる可能性があると言われています。<br />&nbsp; T2K と NOvA はどちらも「加速器長基線ニュートリノ振動実験」と呼ばれる実験で、人工的に強力なニュートリノビームを発射し、発射源近くの近距離ニュートリノ検出器と、数百キロメートル離れた遠距離ニュートリノ検出器の両方でニュートリノを捉え、飛行中に起こるニュートリノの種類の変化を調べています。ニュートリノ振動は、ニュートリノの飛行距離でその現象のあらわれ方が異なります。<br />&nbsp; NOvA（NuMI Off-axis νe Appearance 実験）は、米イリノイ州シカゴ近郊のフェルミ国立加速器研究所（Fermilab）からミネソタ州アッシュリバーにある14,000トンの液体シンチレーター検出器まで、810kmの距離で実験をしています。T2K（Tokai to Kamioka 実験）は、茨城県東海村で高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構が共同運営するJ-PARCから岐阜県飛騨市神岡の地下1kmにある50,000トンの水チェレンコフ型検出器スーパーカミオカンデまで、295kmの距離で実験をしています。<br />&nbsp; 両実験は科学的な目的は共通しているものの、距離やニュートリノのエネルギーが異なるため、データを組み合わせることでより多くの情報が得られると期待されます。NOvA の共同研究者リュドミラ・コルパエワ氏はこのように説明します。<br />&nbsp; 「共同解析を行うと、単独実験よりも常に精度が上がります。同じ目的を持っていても高エネルギー物理学の実験はセットアップが異なることが多いのです。共同解析により、それぞれのセットアップでの補完的な特徴を活かすことができます。」<br />&nbsp; 2017年ごろから2つの実験を組み合わせることでさらに感度よくニュートリノ振動の測定をすることを目指した議論が始まりました。その後、十分なデータが蓄積し、また共同解析の準備も整い、今回の成果につながりました。</p>

<h3>何がわかったのですか</h3>
<p>&nbsp; 今回の成果で、ニュートリノのCP対称性の破れとニュートリノの質量に関する新しい知見を得ることができました。「CP対称性の破れ」では、ミューニュートリノから電子ニュートリノへの振動が、ニュートリノと反ニュートリノの間に非対称性をもたらします。実は、「ニュートリノ質量順序」によっても、そのあらわれ方が変わります。「ニュートリノ質量順序」とは、どのニュートリノがもっとも軽いかを問う問題です。ニュートリノには極めて小さな質量があり、その質量の順序には「正順」と「逆順」の2通りがあります。正順では、軽い質量状態が2つ、重い状態が1つ、逆順では重い質量状態が2つ、軽い状態が1つとなります。<br />&nbsp; 正順ではミューニュートリノが電子ニュートリノに振動する確率が高まり、反ミューニュートリノが反電子ニュートリノに振動する確率は低下します。逆順の場合はその逆が起こります。「CP対称性の破れ」による効果と「ニュートリノ質量順序」による効果は、1つの実験で分けることは簡単ではありません。異なる距離とエネルギーの2つの実験を組み合わせることで、この2つの効果を切り分けやすくなります。共同解析は、この点を狙いました。<br />&nbsp; T2K実験もNOvA実験も、以前のそれぞれ単独の解析では正順序の方がデータ的に確かな（有意性が高い）結果を得ていたのですが、今回の共同解析では、どちらの質量順序にも有意差がないという結果になりました。将来、もし正順だと判明した場合はCP対称性の破れについて明確なことは言えず、さらなるデータが必要です。一方で、もし逆順であることが判明すれば、今回の結果はニュートリノがCP対称性を破っている証拠となり、この宇宙で物質が残り、反物質が消えた理由の説明につながる可能性があります。<br />&nbsp; また、この共同解析ではニュートリノの質量の二乗差について、その不確かさを2％未満に縮小することに成功しました。これは、これまでよりも精密な測定結果です。この結果により、他のニュートリノ実験との精密な比較が可能となり、ニュートリノの性質をさらに検証できるようになりました。</p>

<h3>今後の展望</h3>
<p>&nbsp; 今回の共同解析はニュートリノの謎を完全に解いたわけではないですが、知識を大きく前進させ、競合しながらも補完的な協力関係を築けることを証明しました。共同解析の準備は2019年に始まり、NOvAの6年分（2014年開始）、T2Kの10年分（2010年開始）のデータを統合しました。両実験は今もデータ収集中で、すでに最新データを使った次回解析の準備が進んでいます。<br />&nbsp; 今回の成果は今後のニュートリノ研究の礎となります。米国では、Fermilab主導のDUNE実験が建設中で、1,300kmというさらに長い基線により質量順序の決定に高感度を発揮し、2030年代初頭には決定的な答えを出せる可能性があります。日本では、スーパーカミオカンデの後継「ハイパーカミオカンデ」が岐阜県飛騨市神岡の鉱山の地下に建設中で、2028年から実験開始の予定です。ハイパーカミオカンデは、スーパーカミオカンデの約8倍大きい検出器と大強度ビームによる統計量の多い測定によりCP対称性の破れを高感度に探索します。<br />&nbsp; 多くの物理学者は、次世代のニュートリノ実験が NOvA と T2K のように協力し、ニュートリノとその特異な性質についての理解をさらに深めてくれることを期待しています。最後にノセク氏はこのように説明しました。<br />&nbsp; 「今回の解析が示す通り、真の意味での『ライバル』実験は存在しません。すべての研究は共通の科学的目標 ― 現象の解明 ― を共有しています。協力は、知識やノウハウ、経験の伝達、そして資源・アイデア・道具の共有において不可欠です。T2K-NOvA の協力関係は、単なる2つの実験の和ではありません。それは、はるかに大きな価値を持つのです。」</p>

<table>
<tbody>
<tr>
<td style="border-color: #ffffff;"><a href="uploads/2025/20251023-090002_02.jpg"><img alt="20251023-090002_02" src="assets_c/2025/10/20251023-090002_02-thumb-200xauto-10630.jpg" width="200" height="133" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></td>
<td style="border-color: #ffffff;"><a href="uploads/2025/20251023-090002_03.jpg"><img alt="20251023-090002_03" src="assets_c/2025/10/20251023-090002_03-thumb-200xauto-10632.jpg" width="200" height="133" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p align="center">T2K実験国際共同研究グループ (左) とNOvA実験国際共同研究グループ (右) </p>


<h3>論文情報</h3>
<table class="table table-responsive">
<tbody>
<tr>
<th>タイトル</th>
<td>Joint neutrino oscillation analysis of data from the T2K and NOvA experiments</td>
</tr>
<tr>
<th>著者</th>
<td>S.Abubakar et al. (NOvA and T2K collaboration) </td>
</tr>
<tr>
<th>雑誌名</th>
<td>Nature Vol. 646, pp.818-824, on October 22, 2025<br /><a href="https://www.nature.com/articles/s41586-025-09599-3" style="text-decoration: none" target="_blank"><font color="blue">https://www.nature.com/articles/s41586-025-09599-3</font></a></td>
</tr>
<tr>
<th>DOI</th>
<td><a href="https://doi.org/10.1038/s41586-025-09599-3" style="text-decoration: none" target="_blank"><font color="blue">https://doi.org/10.1038/s41586-025-09599-3</font></a></td>
</tbody>
</table>

<h3>お問い合わせ先</h3>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 研究内容に関すること &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">T2K実験国際共同研究グループ代表</span></div>
<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">高エネルギー加速器研究機構</span></div>
<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">素粒子原子核研究所ニュートリノグループ　教授　坂下　健</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 350px;"><strong>&lt; 報道担当 &gt;</strong></div>
<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">高エネルギー加速器研究機構 広報室</span></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -879 -6047</div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">E-mail</span>：press[at]kek.jp</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>
<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">東京大学宇宙線研究所附属神岡宇宙素粒子研究施設 広報室</span></div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

<div style="margin-left: 350px;"><span class="caps">J-PARCセンター広報セクション</span></div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">TEL</span>：029 -287 -9600</div>
<div style="margin-left: 400px;"><span class="caps">E-mail</span>：pr-section[at]ml.j-parc.jp</div>
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

<div style="margin-left: 350px;">※上記の[at]は@に置き換えてください。</div
<div style="margin-left: 100px;">&nbsp;</div>

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