■ 大強度陽子加速器計画月報9月号より       (2004/9) 

●アルミナセラミックス真空ダクトの開発
 3GeVシンクロトロンの偏向電磁石と四極電磁石に用いる真空ダクトとして、壁抵抗の小さな非金属製真空ダクトの開発に成功した。 電磁石にセットされる真空ダクト表面には変動磁場により渦電流が誘起され、発熱や歪曲磁場が発生し問題となる。 これらを解決するため、金属の導電性とセラミックスの絶縁性の長所を利用した真空ダクトが開発された。 ダクトにはアルミナセラミックスが使用され、壁抵抗、渦電流を低減させるためPR(Periodic Reverse)銅電鋳法でダクト外表面にストライプ形状の銅箔が形成されている。
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●第12回運営会議
 10日、KEKにて第12回運営会議が開催され一般報告に続いて、J-PARC運営体制検討会で検討された施設完成後の運営体制について報告が行われた。

●ニュートリノ(ν)ディケイパイプ組立
 今年度から予算が認められたν実験施設ではいよいよ建設に関わる工事が開始された。νビームは、陽子ビームを標的にあてて生成されるπ中間子が飛行中に崩壊して作られる。 このπ中間子を飛行させるための空洞がディケイパイプと呼ばれる。サイズは横幅3m、高さ4〜5m、長さ約110mの鉄製容器で、鉄板を溶接組立して作られる。 最近、このうち1区画分の組立が行われた。平成17年始めにはJ-PARCに設置される予定である。
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●実機四極電磁石(QM)の磁場測定
 6月に納入された3GeVシンクロトロン用の標記QMの通電試験、磁場測定等が進められた。電磁石は、コイルにアルミストランド線を使用、中心に冷却パイプを配置する等で、 耐放射線性、熱伝導性が高められ、特に鉄心端板には渦電流を抑制するためのスリットを配置し、通電時の発熱を抑える構造としている。 今回実施した一連の試験により、QMは十分な性能仕様を有していることが確認された。
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●実機偏向電磁石(BM)1号機が完成
 3GeVシンクロトロンで使用されるBM初号機が完成し東海研究所HENDEL棟大実験室に納入された。本機はQM同様に渦電流抑制対策等が施されたもので、加速器周長上に24台設置される。 今後、磁場測定などの各種試験が進められる。
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●日本物理学会2004年秋季大会
 素粒子原子核宇宙線分野に関した標記学会が27-30日に高知大学において開かれ、 「J-PARCにおけるストレンジネス核物理 ーDay-One 実験に向けてー」と題してシンポジウムが行われた他、J-PARCに関連する多くの招待講演や一般講演があった。 また、原子核談話会や高エネルギー物理学研究者会議等のインフォーマルミーティングにおいてJ-PARCに関する報告や活発な議論が行われた。

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