Japan Proton Accelerator Research Complex
大強度陽子加速器施設〜ここからはじまる新しい世界〜
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J-PARC(大強度陽子加速器施設)関連用語集
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【
わ
】
素粒子・原子核研究及び施設の関連用語
【か】
核破砕反応
加速器などを用いて約1億電子ボルト(100MeV)以上の高エネルギーにまで加速した陽子を、水銀、鉛ビスマス、鉛、タングステン、タンタル、ウラン、炭素等の標的に入射すると、高エネルギー陽子が標的中の原子核と激しく衝突し、そのエネルギーで標的の原子核をバラバラにする。バラバラになった原子核から中性子、中間子などの多数の2次粒子が放出される反応を核破砕反応と呼ぶ。
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【く】
クォーク
物質を構成する最も基本的な構成要素の一種。u(アップ)、d(ダウン)、s(ストレンジ)、c(チャーム)、b(ボトム)、t(トップ)の6種類ある。通常単体では存在せず、クォーク複合体(ハドロン)を形成して、陽子や中性子などの核子や、中間子などを構成している。陽子、中性子などの核子はクォーク3つ、中間子はクォークと反クォークの対からできている。
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【け】
原子核
原子の中心にあり、陽子と中性子(水素原子核は陽子だけ)から構成されている。約1億分の1cmの大きさの原子に対して、原子核は約1兆分の1cm程度の大きさと言われている。原子核の周囲を電子が雲のように取り囲んでいる。
電子は質量が極端に小さいため、原子核には原子の質量の大部分が集中している。原子の質量のほとんどは原子核の重さである。陽子は陽電荷(+、プラス)であり、中性子は電荷をもたないため、原子核は陽電気を帯びている。周囲を取り囲む電子は負(−;マイナス)の電荷を帯びて原子核と電気的に釣り合い、原子として中性になっている。
原子の性質を表す時、陽子の数を原子番号、陽子と中性子の総数を質量数と呼ぶ。例えばウランの原子核には陽子が92個あるので原子番号は92である。ウランのうち原子核に中性子が143個あるものをウラン235(核分裂するウラン)、中性子が147個あるものをウラン238(核分裂しないウラン)と呼ぶ。
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【こ】
小林・益川理論
陽子や中性子、中間子などは、6種類のクォークと呼ばれる素粒子が集まって構成されているが、クォークが3種類(アップクォーク、ダウンクォーク、ストレンジクォーク)しか発見されていなかった当時は、CP対称性の破れは説明できなかった。
それを1973年に、当時それぞれ京都大学理学部助手であった小林誠高エネルギー加速器研究機構栄誉教授と、益川敏英京都産業大学理学部教授が、CP対称性の破れが起きるためにはクォークが3種類では組み合わせの数が不十分であり、6種類のクォークで初めてCP対称性が破れることを示し、未発見のクォークの存在を予言した。その後1974年にチャームクォーク、 1977年にボトムクォーク、1995年にトップクォークが予言どおりに発見された。
この先駆的な理論と業績により、小林・益川両教授は2008年ノーベル物理学賞を受賞した。
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【し】
J-PARC(ジェイパーク)
J-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)は、日本原子力研究開発機構(JAEA)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が共同で建設・運営を行っている最先端科学研究施設。
茨城県東海村のJAEA原子力科学研究所内、約65haの敷地に3台の大型陽子加速器と各種の実験研究施設が設置されている。加速器で光速近くまで加速された大強度陽子ビームを、標的である金属や炭素などの原子核と衝突させて、原子核破砕反応により大量の中性子や中間子、ミュオン、ニュートリノなどの粒子を発生させる。実験研究施設ではこれらの粒子を利用して原子や原子核の世界を調べ、最先端の原子核・素粒子物理研究や、タンパク質の構造解析や材料研究、核変換技術研究などが行われている。
CP(シーピー)対称性の破れ
物理現象において電荷(プラスとマイナス)を反転させる変換をC(Charge)変換、空間的に反転させる(鏡に写してみた状態)変換をP(Parity)変換と呼び、両者を合わせてCP変換と呼ぶ。ある物理現象とそれをCP変換した現象との間に違いがあることをCP対称性の破れと呼ぶ。
具体的には、粒子と反粒子のふるまいの違いから宇宙創生の理由を説明する。物質を構成する粒子(陽子や電子など)には、必ず反粒子と呼ばれるものが存在する。陽子と同じ性質を持っていながら、プラスではなくマイナスの電荷を持つ反陽子があり、電子に対しては陽電子が存在する。しかしその反粒子の数は、粒子に比較すると極端に少ない。
物理の理論では約137億年前のビッグバンによって生まれた宇宙には、粒子と反粒子が同じ数だけ存在したことになる。しかし粒子と反粒子は出会うと光となって消滅してしまうので、もし本当に同じ数だけ存在したのであれば、宇宙は誕生とともに光となって消滅したはずである。しかし実際には反粒子がほとんど存在せず、粒子だけが残った宇宙が創られた。これは粒子と反粒子の間のCP対称性が破れているからに他ならない。CP変換は粒子と反粒子を入れ替える変換となるため、CP対称性の破れを調べることで現在の宇宙では反粒子、そして反粒子から作られる反物質がほとんど存在しない原因が明らかになると考えられている。
これに関する理論「小林・益川理論」を発表した小林誠博士、益川敏英博士は2008年にノーベル物理学賞を受賞した。J-PARCでは原子核・素粒子実験施設でK中間子やニュートリノを利用してCP対称性の破れに関する研究を行い、より完全な理論の構築を目指す。
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【す】
スーパーカミオカンデ
東京大学宇宙線研究所が、岐阜県飛騨市神岡町の神岡鉱山の地下1000mに建設した、巨大なニュートリノ観測装置。1996年4月から観測を開始し、ニュートリノの観測を行っている。
スーパーカミオカンデは、直径、高さとも約40mの巨大な水槽で、約5万トンの超純水を蓄え、水槽の周囲に約1万1千本の微弱な光を感知できる光電子増倍管を配置している。水中でニュートリノが稀に水の電子と反応すると微弱なチェレンコフ光を放出するが、その光を光電子増倍管で検出することで、ニュートリノの種類や飛来した方向、エネルギーなどを測定することができる。
J-PARCでは、このスーパーカミオカンデと共同してT2K実験を行っており、ニュートリノの謎を探る研究を進めている。
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【そ】
素粒子
物質を構成する最も基本的な粒子を素粒子という。クォークや電子、ニュートリノなどが含まれる。
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【ち】
チェレンコフ現象
エネルギーの高い荷電粒子が水などの透明な物質を通過する際、その物質中における光の速度より速い速度を持っている場合に荷電粒子が青白い光(チェレンコフ光)を発する現象をいう。
J-PARCはスーパーカミオカンデと共同でT2K実験を実施している。J-PARCから発射したニュートリノは、地球を通り抜けて約300km離れたスーパーカミオカンデに届く。スーパーカミオカンデでは、ニュートリノによって生み出されるチェレンコフ光を検出している。
中間子
1934年湯川秀樹博士が原子核論とベータ崩壊とを統一的に説明するため理論的にその存在を予言し、その後、実験的に発見された粒子。π中間子、μ中間子、K中間子などがある。メゾン、メソンとも呼ばれる。ハドロン(素粒子であるクォークの集合体)の一種でクォークと反クォークの対からなる。
かつては、この粒子は陽子や中性子などの核子よりも軽く、電子よりも重い素粒子であることから、中間子と名付けた。現在は核子より重い中間子も発見されており、強い相互作用をする粒子(ハドロン)のうち、バリオン数が0の粒子を中間子と定義している。
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【て】
T2K(ティ−ツーケー)実験
J-PARCの50GeVシンクロトンによって大強度ニュートリノビームを作り、約295km離れた岐阜県神岡町の地下1000メートルに位置する東京大学宇宙線研究所の5万トン水チェレンコフ検出器、スーパーカミオカンデに打ち込み、ニュートリノの謎を解明する実験。東海(Tokai)、to(2)、神岡(Kamioka)の頭文字からT2K実験と呼んでいる。12カ国から約500名の研究者が参加しているが、そのうち日本人は1割程度である。
J-PARCから発射したニュートリノは光速で地球を通り抜け、約300km離れたスーパーカミオカンデに1/1000秒後に到達し、蓄えられた5万トンの水の電子などと極まれに反応(衝突)する。衝突された電子などは光速に近い速さで移動するが、水中では光の速さは真空中の約3/4になるので、水中を進む光より早く移動することになる。
その際、空気中を超音速で飛行するジェット機が衝撃波を出すように、水中で光速を超えて進む電子などは、チェレンコフ光という微弱な光をエネルギーとして放出してスピードが遅くなる。スーパーカミオカンデでは、このチェレンコフ光を周囲に設置された1万1千本の光電子増倍管で検出する。チェレンコフ光はニュートリノが飛んできた方向と反対側に円錐状に広がるため、ニュートリノが来た方向が解る。
J-PARC構内には前置検出器があり、発射直後のニュートリノの状態を測定する。そして約300km離れたスーパーカミオカンデで測定した結果と比較検討することで、ニュートリノの謎を探る。
J-PARCとスーパーカミオカンデとの位置合わせには、GPS衛星を利用している。またGPS衛星に搭載されている正確な時計も利用して、J-PARCとスーパーカミオカンデで同期させている。すなわち、J-PARCからニュートリノを発射したという信号を受けてから、1/1000秒後に、東の方向から来たニュートリノを捕らえたら、それはJ−PARCから発射したものと考えられる。
電子ニュートリノ
原子核がβ崩壊する際にβ線(電子)と共に生成するニュートリノ。
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【に】
ニュートリノ
中性微子とも呼ばれる。レプトンの一種で電荷を持たず、弱い相互作用しかしない。電子、ミュオン、タウオンと対をなす3種類が存在し、それぞれ電子ニュートリノ(ν
e
)、ミューニュートリノ(ν
μ
)、タウニュートリノ(ν
τ
)と呼ばれる。ベータ崩壊の際などに発生するが、ほとんど物質と反応しないので検出が困難である。他の粒子に比べて大変軽く、標準理論では質量ゼロとされていたが、近年のスーパーカミオカンデでのニュートリノ振動の研究により、微少ながら質量を持つことが示唆された。
素粒子は、クォークと呼ばれる陽子や中性子などに閉じこめられ単独では存在しないものと、レプトンと呼ばれる電子、ミュオン、タウオンなど単独で存在しているものに分けられる。ニュートリノは電荷を持たないレプトンであり、他の物質とほとんど反応しないので何でも通り抜けてしまう。
太陽からも1cm
2
あたり毎秒660億個のニュートリノが地球に降り注いでいるが、我々の体も地球も通り抜けてしまい反応しない。そのため見つけることが難しく、謎の粒子とも呼ばれている。
ニュートリノ振動
ニュートリノが質量を持つことによりニュートリノの種類が変化する現象。変化の周期はニュートリノ間の質量差で決まる。
ニュートリノは、電子ニュートリノ(ν
e
)、ミューニュートリノ(ν
μ
)、タウニュートリノ(ν
τ
)と呼ばれる3種類(3世代)あるが、飛行中にこの3種類が入れ替わっていると考えられている。例えばミューニュートリノも、距離と共にある割合でタウニュートリノや電子ニュートリノに変化し、また元のミューニュートリノに戻る。これを繰り返すことをニュートリノ振動と呼ぶ。
このニュートリノ振動は、ニュートリノに質量(重さ)があり、世代間の混合がある場合に起きる現象であるため、ニュートリノの質量を調べる唯一の方法になっている。従ってニュートリノ振動が観察できれば、ニュートリノに質量があるということになる。
J-PARCでは、100%純粋なミューニュートリノを約300km離れたスーパーカミオカンデに向けて発射し、飛行中に起きるニュートリノ振動を観測するT2K実験を行っている。
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【は】
パイオン
π(パイ)中間子とも呼ばれる中間子の一種。正または負の電荷を持つものと、電気的に中性の3種類がある。電子の質量の約270倍の質量を持っている。高エネルギー陽子と標的核との反応により発生させる。湯川博士が理論的に予言したことで知られている。
正又は負の電荷を持つパイオンは、約1億分の1秒で崩壊して、ニュートリノとミュオン(ミュー粒子)を生成する。
ハドロン
物質を構成する基本粒子である素粒子(クォーク)が複合して形成されているもの(粒子)。クォークは電子などのレプトンとは異なり単独では存在できず、ハドロンの中に閉じこめられている。
陽子や中性子などの重粒子族と、π中間子やK中間子などの中間子族の二つの族を総称してハドロンと分類している。
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【ひ】
標準理論
標準模型ともいい、素粒子に働く強い相互作用、弱い相互作用、電磁相互作用を記述する理論。強い相互作用を記述する量子色力学、弱い相互作用と電磁相互作用を記述するワインバーグ−サラム理論、小林−益川理論からなる。
ピーク強度
ビーム強度を参照。
ビーム強度
一定時間内にターゲットや計測装置などの、ある面を通過する粒子の数。ビームがパルス状に生成される場合、そのパルス内の瞬間的な最大粒子数をピーク強度、パルス内に含まれる粒子の数をパルス強度、時間的に平均した強度を(時間)平均強度、実験に使われた全粒子数を表すときなどにはその積分値を(時間)積分強度と呼び、区別している。
ピームダンプ
加速されたビームの最終目的地。標的との相互作用による2次粒子生成等の目的に利用できなかったビームを破棄するところ。
ビッグバン
ビッグバン宇宙論。宇宙は最初きわめて高温で高密度に凝集した物質(原子核の密度と同じくらい)であったが、その後、大爆発(ビッグバン)が起こり膨張をはじめたという宇宙原理。
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【み】
ミュオン
ミュー粒子とも呼ばれる。電子と同じくレプトンの一種で電荷とともに磁気能率を持つが、質量は電子のおおよそ200倍である105.7MeVである。高エネルギー陽子が標的核と反応を起こして発生するπ中間子(パイオン)の崩壊によって生成される。磁気能率を持つことや軽い陽子として振舞うことを利用して、物質の磁気的な性質や拡散現象の研究などに利用されている。
ミューニュートリノ
π中間子か崩壊するとミュオン(前述ミュオン参照)と共にニュートリノが生成する。このニュートリノをミューニュートリノ(
ニュートリノ
参照)という。
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【よ】
陽子
水素の原子核。電子の1,836倍の質量と、電気素量に相当する陽電荷を持つ。中性子と共に原子核の構成要素。10
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年以上の寿命を持つとされ、陽子の安定性は物質の安定性の基礎である。
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【り】
量子ビーム
高エネルギー陽子を標的核に衝突させると、2次粒子として中性子、パイ中間子、K中間子、ミュオン、ニュートリノなどが発生する。J-PARCの実験施設では、これら「量子」と総称される粒子をビームとして利用する。
量子ビーム、量子ビームテクノロジー
加速器、高出力レーザー装置、研究用原子炉等の施設・設備を用いて、高強度で高品位な光量子、放射光等の電磁波や、中性子線、電子線、イオンビーム等の粒子線を発生・制御する技術、及び、これらを用いて高精度な加工や観察等を行う利用技術からなる先端科学技術の総称。
J-PARCでは、高エネルギー陽子を標的核に衝突させ、核破砕反応により2次粒子として中性子、パイ中間子、K中間子、ミュオン、ニュートリノなどを多数発生させている。これらの粒子は「量子」と総称され、それぞれの量子を集積させたものを「量子ビーム」と称し、各実験施設で種々の研究に利用されている。
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【れ】
レプトン
物質を構成する最も基本的な構成要素の一種で強い相互作用を受けない素粒子。電荷を持つe(電子)、μ(ミュオン)、τ(タウオン)と電荷を持たないν
e
(電子ニュートリノ)、ν
μ
(ミューニュートリノ)、ν
τ
(タウニュートリノ)の計6種類がある。
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