MLF Monthly Report 2015年12月

装置整備

BL12 ソフトウェア整備状況

MLF(J-PARC)の夏期停止期間に、データ解析ソフトウェアの機能拡張を以下のように行った

BL12_fig1図1. データ解析ソフトウェア。
ディテクター数規格化機能 (a)無し (b)有り。検出効率補正機能 (c)無し (d)有り。(e) マスク機能

BL16 チラーステージの改良

11月に、これまでに使用していた試料を室温付近(10~70℃)で温度制御するための低温用のチラーステージに改良を加え、運用を開始した。新しい試料ステージは容器全体を温調する循環水に加えて、内部に設置された2つの銅製試料ステージが設置してあり、各ステージはペルチェ素子で独立に温調可能となっている。ペルチェ素子の動作に伴う廃熱は循環水で除去できる構造となっており、0~100℃の範囲でステージ温度を変えられることを確認している。容器内部はガスフローが可能となっており、窒素等をフローさせた状態で銅製試料ステージを冷却することによって結露を防ぐことができる。また、加湿用のバブラーを用いて内気循環させる湿度制御機構を接続できるようになっており、内部の温湿度計により湿度をモニターすることが可能である。

BL16_01
図1 今回改造を加えたチラーステージの写真。
内部の銅板をペルチェ素子で温調可能となっており、ガスフローや調湿を行うことも出来る

また、上記の温調ステージに接続する循環水について、温調用のチラーを装置制御プログラムから設定変更を行えるように改良を加えた。これにより、リモートでチラーの温度を制御・モニターすると共に、測定用のコマンドラインに組み込むことにより、測定中に温度変化を行うことも可能である。今後はペルチェ素子についても装置制御プログラムによる制御機能を実装する予定である

BL16_02
図2 測定プログラムにおけるチラー温度の制御画面。
最初に室温から20℃に設定して温度が安定した後、25℃に設定変更して再び温度変化することを確認した

BL23

POLANOではJ-PARCの夏期停止期間に主だった大型工事を終了した。引き続き装置周りの整備と軽微な工事を行っており、電気錠改良、ジブクレーンの点検及び修理、天井ハッチの改良などを行った。
POLANO実現に必要な機器開発を継続的に行っているが、その中でSEOP開発に関して、ヘリウムのフィリングステーションをつくばに整備している。従来型の光ポンピング用Rb型にKを添加するハイブリッド型のセル製作に成功した。今後、セルの大型化等の開発に進む。

受賞

日本中性子科学会 技術賞

服部高典、佐野亜沙美、有馬寛
“超高圧中性子回折装置の建設と高温高圧下中性子回折実験の実現”
(受賞日2015/12/10・課題番号:2011I0011-2015I0011)

学会発表

International Workshop on Itinerant-Electron Magnetism

2015/9/25-27, Kyoto University, Kyoto

東北大学金属材料研究所ワークショップ

2015 年11 月12-13 日 東北大学金属材料研究所

中性子科学会年会

2015/12/10-12, 和光市民文化センター, 埼玉

研究会

HRC 研究会

2015/12/4, KEK 東海1号館116

主催・共催:物質構造科学研究所中性子共同利用実験審査委員会によるS型課題2016S01の予備審査
林田翔平 マルチフェロイクス物質NdFe3(BO3)4の磁気モデルの探索
伊藤晋一 金属強磁性体SrRuO3のスピン波におけるワイルフェルミオン
岩佐和晃 PrRu4P12における多極子秩序型金属-非金属転移への元素置換効果研究計画
益田隆嗣 場環境における研究推進
伊藤晋一 小角領域における研究推進

S型課題研究会

2015/12/8, KEK, つくば市

POLANOに関するS型課題研究会(2014S09)を開催し、S型課題活動報告、POLANOの建設状況、機器開発状況を発表し、今後の活動方針や偏極中性子を利用した学術研究の展望を議論した。

論文リスト