■ J-PARC News 第68号より       (2010/11) 
●新設K1.1BRビームラインでK中間子ビームの同定に成功
  ハドロン実験施設では、10月22日に運転時施設検査を受け合格となり本格的なビーム利用運転が開始された。実験ホール南側に新設されたK1.1BRビームラインではK中間子ビームの同定に成功し、引続き二次ビームラインの軌道調整を精力的に進めた。また、ハドロン実験施設で初めてのテスト実験である液体アルゴン検出器のR&D (テスト実験T32) も行われ、二次ビームの飛跡の観測に成功した。

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●JーPARC/MLF JAEAプロジェクト研究に関する研究会
  物資・生命科学実験施設 (MLF) は供用開始後約2年が経ち、現在は120kWでの安定したビーム供給が行われ、今月末には200kW運転を目指した運転が予定されている。これらの状況から今回、5つの中性子実験装置に関する公開の研究会が開催され、新井正敏物質・生命科学ディビジョン長が研究会開催主旨などについて説明した後、JAEAプロジェクト研究課題及び一般研究課題についての報告が行われた。これまでの実験研究の進捗状況に ついて、装置関係者からは装置概要やこれまでの実験課題申請の状況などが、また、各実験者からは研究内容や成果についての報告が行われた。質疑応答では、今後に向けた各種課題についての議論なども含め、課題研究の必要性、装置設計の妥当性、実験環境に関わる要望、意見などが出された。

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   開催された研究会
   (1) BL19研究会 (9/29) 
         BL19工学材料回折装置「匠」 

   (2) BL04 + BL10研究会 (10/28) 
         BL04 中性子核反応測定装置「ANNRI」 
         BL10 中性子源特性試験装置「NOBORU」 

   (3) BL01 + BL14研究会 (10/29) 
         BL01 4次元空間中性子探査装置「四季」 
         BL14 冷中性子ディスクチョッパー型分光器 「アマテラス」 

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●JーPARCにおける実験成果の紹介
  天保小判の金濃度の非破壊測定 < 中性子ビームライン:NOBORU (BL10) > 

  NOBORUは、中性子源設計の妥当性を実測により確認することを目的として設置されたが、ビームラインの中性子照射室は各種実験機器を持込むことが可能で、テストビームポートとしての利用が出来る。これまで中性子イメージング、光学デバイスや検出器の開発、パルス強磁場下での回折実験、更に、加速器中性子源ならではの高エネルギー (MeV) 中性子を利用した半導体関連の研究などが実施された。
  研究の一例として、JーPARCのパルス中性子を利用した中性子共鳴吸収即発ガンマ線分析により、非破壊で天保小判の金・銀組成分析を試みた。小判中の金・銀の組成比は小判を溶かす化学分析などで測定されているが (図1) NOBORUによる実験で天保小判の金濃度が化学分析とほぼ同じ54 ± 1%と測定され、化学処理を行うことなく、本方法を用いて小判等考古遺物の組成比分析が可能であることが確認された。尚、実験からは本手法の改良点も確認され今後の課題となった。また、天保小判を試料としたミュオンX線非破壊元素分析についてJーPARC News第46号/平成21年1月発行 で紹介しているので、合わせてご覧ください。

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●加速器運転計画
  12月の加速器運転は11月から続く、約2ケ月の連続運転を計画しています。尚、運転計画は機器の調整状況により変更が生じる場合があります。

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●物質・生命科学実験施設
  ミュオン実験装置では、ミュオンビームの効率向上に向けて夏季メンテナンス期間に装置改良を進め、またミュオンビームの強度増加のためにDQ4とDQ7を大口径のものに置き換え、合わせてビームの収束の向上を図った。これらの結果、Run#35にてコミッショニングを進めたところ、ミュオンビーム密度を 高く出来ることが確認された。また、ウィーンフィルター電源をより高電圧のものに置き換え、陽電子などのミュオン以外の粒子をビームから削り落とす効率も高めた。

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  また、実験ホールNo.2に建設中のビームラインBL15では、大強度型中性子小中角散乱装置「大観」の装置本体室が完成し、光学機器、ビームライン上流部に設置のコリメータ等の製作が進められている。

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●ハドロン実験施設
  ハドロン実験施設の各実験エリアでは、実験課題の実施、ビーム調整、検出器の動作試験やR&D等を進めている。K1.8ビームラインではE19実験 (ペンタクォーク探索) がデータを取得した。KL実験エリアでは、KOTO実験のCsI検出器が組立途中ではあるが、ハドロン実験施設の利用運転に合わせ設置済みの検出器についての動作・性能試験等を行った。

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●ニュートリノ実験施設
  ニュートリノ実験施設の二次ビームラインでは、11月16日からのビーム試験に向けたメインテナンス作業が行われた。また、ニュートリノモニター棟では、電磁石内のECAL (電磁カロリーメータ) の試験調整を行うとともに、イングリッド検出器の追加モジュールoff-diagonal module2台とproton-module1台の計3台を設置し試験調整を進めている。

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●欧州核破砕中性子源 (ESS) 計画で、スウェーデンからの視察団がJーPARCを訪問
 (11月9日) 
  欧州核破砕中性子源 (ESS:European Spallation Source) の建設予定地であるスウェーデン・スコーネ県のルンド市の関係者がJーPARCを視察に訪れた。スウェーデンからの視察団は、ESSを建設する欧州核破砕中性子源有限責任公社 (ESS AB) 、ルンド大学やスコーネ県企業誘致局、駐日スウェーデン大使館の職員等12名。JーPARC施設の視察後、茨城県、東海村などの 関係者も出席して、ESS計画の現状、ルンドの地元対応や茨城県ビームラインの現状などの紹介が行われた。JーPARCとの研究協力においては、ESSで想定されている超電導ライナック、固体回転ターゲット技術、長パルス中性子源での新概念の中性子実験手法について、協力していくことを確認した。また、ESS及びJーPARCという大型実験施設を有する自治体として、公共交通機関や宿泊施設といったインフラ整備等の支援体制の在り方についても情報交換が行われた。

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●地元中学生の施設見学 (11月2日) 
    「原子力の日」の記念行事として、地元東海村内の中学生が原子力関連施設を見学した。東海中学校の生徒はJーPARCの見学 を選択し、MLF実験ホールに立入った生徒達から「 (装置の大きさに) わ〜凄い!」と声が上がっていた。
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