■ J-PARC News 第82号より       (2012/1) 
●J-PARC施設利用実験再開!
  J-PARCは、2011年3月11日の東日本大震災により大きな被害を受け、運転を停止していた。被害状況の調査結果を踏まえ、12月のビーム試験開始を目標とした復旧計画を5月20日に策定し、関係者一丸となって復旧作業を行ってきた。 その結果、計画通り12月9日にリニアックのビーム試験を開始し、22日には3GeV陽子ビーム輸送施設 (3NBT) などの試験運転を行い、陽子ビームを中性子源ターゲット及びニュートリノターゲットまで輸送し、中性子、ニュートリノの発生を確認した。その後も各種試験を継続し、各加速器、実験施設とも機器の健全性を確認して、1月24日から施設利用実験を再開した。
 (1/20プレス発表)参考:http://j-parc.jp/researcher/MatLife/ja/news/20120110.html
  J-PARC復旧に関わった関係機関の皆さまの、ご支援・ご協力に厚く御礼申し上げます。
  J-PARCセンター長 永宮 正治

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●第3回MLFシンポジウム (1月19-20日) 
  第3回MLFシンポジウムが、いばらき量子ビーム研究センターで開催され、約160名の参加者があった。最初に、物質・生命科学実験施設 (MLF) の震災時の施設状況や復旧についての報告が行われた。続いて、MLFで進展している利用研究および装置開発の現状について、 実験担当者や装置責任者などから報告があった。また、施設の今後のあり方についての議論、施設・ユーザー間の相互理解、新たな共同研究の展開の検討などが行われた。シンポジウムの最後に「MLFへの要望」として、海外の中性子実験施設の利用経験者から、整備された実験環境などについての報告もあった。19日に行われた特別講演では、東北大学 省エネルギー・スピントロニクス集積化システムセンターの大野英男センター長が 「半導体における強磁性」と題して、電界などによる半導体の磁性現象の研究について講演した。

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●特集:J-PARC/MLFで建設中のミュオンビームライン
  < スーパーオメガビームライン/超低速ミュオン顕微鏡 (MUSE Uライン) > 

  ミュオン実験施設では、物質の表面や界面・薄膜の磁性や、超伝導特性を詳細に調べることができる「超低速ミュオン」を生み出す、スーパーオメガビームラインを建設中。このビームラインでは、二次標的から発生した熱ミュオニウムにレーザーを照射することで、 超低速ミュオンのエネルギーを制御でき、ビームを細く絞ることが可能になる。いわゆる超低速ミュオンを用いた顕微鏡。この超低速ミュオンは、観察したい試料へビームを打込む深さを自由にコントロールできるため、μSR測定の応用範囲が広がり、物性研究がさらに進展することが期待されている。 (本装置は、文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究」平成23年〜27年度の研究により整備) 

※μSR測定 (ミュオンスピン回転/緩和/共鳴法) :試料内での、ミュオンのスピン状態の変化を観察することで、物性を調べる手法

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●加速器運転計画
  1月〜2月の運転計画は、下記の通りです。尚、運転計画は、機器の調整状況により変更が生じる場合があります。詳細は、J-PARCホーム ページでご確認願います。

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●実験施設関連 (&復旧工事) 
 (1) 加速器施設
   リニアックでは、加速器運転時のビームロス量の評価を進め、また、建家廻りの屋外給排水設備の復旧工事を完了した。3GeVシンクロトロンや、50GeVシンクロトロンでは、電磁石通電試験、加速パターン運転、実験施設へのビーム取出し機器調整運転、各種ビームモニター調整など、3NBT (MLFへのビーム輸送系) では、ビームロス評価のため、LED素子を使ったロス測定を実施。
 (2) 実験施設
   物質・生命科学実験施設 (MLF) では、震災後の建家沈下状況を詳細に継続調査。中性子ビームラインBL08、18、19では、中性子ビームガイド管、装置本体室遮蔽壁やブロックなどの再設置作業を実施。建設中の6本の中性子BLについては、工事を継続実施。ミュオン実験施設では、Uラインを建設中。ハドロン実験施設では、利用実験再開に向け、コンクリート遮蔽体の積み戻し作業、電磁石冷却水通水試験、通電試験等を実施。ニュートリノ 実験施設では、ターゲットステーションHe容器上部の遮蔽コンクリートブロック積み戻しや電源設備の調整試験など、ビーム利用実験に向けて機器の調整を進めた。

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●ポトラックパーティー (12月22日) 
  J-PARC、CROSS、JAEA在籍の外国人研究者とその家族や友人、日本人研究者等への呼びかけで、ポトラック (食べ物、飲み物などを持ちより楽しむ) パーティーが開催された。子ども連れの家族などが参加し、賑やかな声が飛び交う普段とは違った雰囲気で、和やかな交流会となった。今回、初の試み、 かつJ-PARCの運転再開準備で多忙な時期と重なったこともあり、参加者が少なかったが、これを第一歩として交流会の輪を広げたい。
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●TXテクノロジー・ショーケース in つくば2012 (1月13日) 
  (財) 茨城県科学振興財団つくばサイエンスアカデミー主催の研究展示会が、つくば国際会議場で開催された。J-PARCは特別企画展示エリアに PRコーナーを開設し、パネル、DVDなどを使い来場者に説明を行った。また、J-PARC、KEKB、PF-ARなどの加速器制御システムの基盤となる、EPICS (Experimental Physics and Industrial Control System) の制御システムの性能が分かり易く実感できる実験コーナーを設け紹介した。EPICSは世界各国の研究所の共同研究として開発が進められている。

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●ご視察等
     1月19日 生川浩史 文科省研究開発局原子力課長

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