■ J-PARC News 第94号より       (2013/1) 
●J-PARCセンター長から平成25年度年頭の御挨拶
            
  平成24年のJ-PARCは、震災からの確実な回復、力強い前進を国内外の研究者に実感させ、ゴールを「確信」した。平成25年は、実験施設への高品質ビーム、安定供給などを推し進め大きな研究成果を輩出し、J-PARCのインテンシティ・フロンティアの礎を確立したい。J-PARCが更なる極みに向けて歩めるよう、今後も、皆さまのご協力とご支援を宜しくお願い致します。

  全文はJ-PARCホームページをご覧ください。http://j-parc.jp/ja/message.html

J-PARCセンター長 池田 裕二郎
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●世界トップレベルのエネルギー高分解能と低ノイズを達成
  - J-PARC/MLF-BL02ダイナミクス解析装置 (DNA) - 

  物質・生命科学実験施設 (MLF) に設置された中性子実験装置の1つ、BL02 の「ダイナミクス解析装置 (DNA) 」は、独自に開発した高性能高速ディスクチョッパー※1や結晶アナライザー※2により、エネルギー分解能が世界最高レベルの3.0マイクロ電子ボルトを有し、ノイズレベルが中性子信号レベルの約10万分の1に低減されたことが、昨年10月に実施した性能実証試験で確認された。これにより、ノイズに隠れて観察出来なかった微弱な中性子信号も捉えることが出来る。この結果、これまで観測が困難とされていた、生体を構成する高分子の分子、原子レベルでの運動の観察が可能となり、生命現象の飛躍的な理解を深めることや、高性能電池材料の性能に大きく係る伝導イオンの動きを原子レベルで観測することができ、電池材料の開発などに繋がるものと期待される。

  本ビームラインは、共用促進法(特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律)のもとJAEAとCROSS(一般財団法人 総合科学研究機構)が共同運営している。
 (1/16プレス発表) 詳細については、http://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Release/20130116140000/  をご覧ください。

   (※1) 高性能高速ディスクチョッパー:素材に炭素繊維強化プラスチック (CFRP) を用いることで300回転/秒の高速回転にも耐え、中性子源からのパルス中性子のパルス幅を30マイクロ秒に成形可能とした。
   (※2) 結晶アナライザー:試料で散乱された中性子を、中性子検出器に反射させるための単結晶シリコンウェハと、それをアルミ製球面ミラーに貼りつける接着剤の間に中性子吸収材を挟むことで、接着剤やアルミ製球面ミラーからの余計な中性子の反射 (ノイズ成分となる) を減少させた。


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●第16回J-PARC原子核素粒子共同利用実験 審査委員会 (PAC) 
  1月9〜11日、標記委員会が海外からの7名を含む13名の委員 (外部委員は11名) の出席のもと、いばらき量子ビーム研究センターにおいて開催された。PACは、J-PARCのメインリング加速器を主に用いて行う、共同利用実験に申請された実験課題の採否の審査、及び研究計画の進め方に関する重要事項の提言を行うもので、委員長は、KEK素粒子原子核研究所の幅淳二教授が務める。

  今年度、委員会メンバーの半数以上が交代したため、初日午前中はJ-PARC各施設の見学を実施し、午後から委員会が開始された。まず、山内正則KEK素粒子原子核研究所長の挨拶、池田 裕二郎J-PARCセンター長によるJ-PARC全体の進捗状況の説明が行われた。続いて、加速器の運転状況と今後の見通し、共同利用実験の状況 (T2Kニュートリノ振動実験、ハドロンホールのK1.8ビームラインでの中性子過剰ハイパー核探索実験、KLビームラインでのK中間子稀崩壊実験など) 、試験的データ収集を終えたK-pp束縛状態探索実験の速報、準備中の実験に係るR&Dの現状などが夫々報告された。また、今回は高運動量ビームラインを用いる新しい実験の提案と継続審査となっている二つの課題の説明も行われた。PACはこれらの報告に対する助言と提案に対する審査、実験実施計画に対する提言などを行い、近く議事録としてまとめられて公開される。

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●加速器運転計画
  2月の運転計画は、下記の通りです。尚、運転計画は、機器の調整状況により変更が生じる場合があります。詳細は、J-PARCホームページの「J-PARCの運転計画」http://j-parc.jp/ja/Operation/Operation-j12_0903_Shalf.htmlでご確認願います。

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●実験施設関連
  物質・生命科学実験施設の第1実験ホールでは、避難路の設置工事を実施した。

  ハドロン実験施設では、利用運転が17日朝までに進められた。加速器の安定運転にともない、K1.8実験エリアで実施されたE10実験では、検出器のエネルギー較正に必要なデータとしてこれまで使ってきたSigma+-の生成反応に加えて、12-Lambda-Cハイパー核スペクトルを測定した。また、本実験の目的である6-Lambda-Hの探索のデータ収集を順調に行った。データは現在解析中である。

  ニュートリノ実験施設では、50GeVシンクロトロンでのビーム取出し調整運転が実施され、同日夜からT2K実験が再開された。

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●大電流高周波四重極 (RFQ) リニアックの製作
  リニアックでは、今年8月以降にビームパワー増強工事が計画されており、その一環として、イオン源及びRFQで構成される初段加速部の置き換えを予定している。現用機と置き換えを行う大電流RFQは製作を終え、リニアック棟クライストロン準備室において各種性能試験が進められている。

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●光・量子ビーム科学連携ワークショップ (東北大学) 
  1月7-8日、東北大学の金属材料研究所において、「量子ビームを用いた物質・生命科学の新展開 (U) 」- 東北大学と大型施設の連携と異分野融合 - と題して、J-PARC (中性子、ミュオン) 、JAEA、SPring-8の大型実験施設との連携に主眼に置いた合同ワークショップを開催した。初日は、各大型実験施設の研究者などから光・量子ビーム施設の概要と新しい利用法の紹介が行われ、J-PARCからは、中性子利用セクションの中島健次氏 (JAEA研究主幹) やミュオンセクションの小嶋健児氏 (KEK物質構造科学研究所 准教授) から、中性子やミュオン実験装置の紹介、それらを使うことによるサイエンスの展望などが、また、JAEAからは、JRR-3における中性子利用研究についての講演が行われた。二日目は、施設を使って新たな研究を目指す研究者と、既に研究のツールとした研究者の講演などが行われ、今後の東北大学と大型実験施設の連携の在り方などについて意見が交わされた。

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●T2K実験・コラボレーションミーティング
  1月21〜26日、いばらき量子ビーム研究センターで開催。 T2K実験データ解析の最新状況が話し合われた。また、電子ニュートリノ出現現象の有意性向上等に向けた、今夏までの利用運転スケジュールの確認が行われた。
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●SATテクノロジー・ショーケース2013
  1月22日、第12回となるSATテクノロジ−・ショーケース2013が、つくば国際会議場で (財) 茨城県科学技術振興財団つくばサイエンス・アカデミー (江崎玲於奈会長、1973年ノーベル物理学賞受賞) 主催で開催された。ショーケースは、つくばをはじめ首都圏で活躍する研究者、技術者が、最新の研究成果、アイデア、技術を持ち寄り、相互に披露し交流する、異分野交流のイベント。公募により参加したポスター発表は86件、1分間でその内容を紹介するインデクシングの後、プレゼンテーションを競い合った。ベストプレゼンテーション賞は、来場者の投票で決まり、最後に表彰式が行われた。共催 (27) 、後援 (16) の各機関・団体の広報展示や企画展示が行われ、J-PARCでは企画展示ブースを開設し、J-PARCパンフレット、ポスター、DVD、可搬型展示パネルなどを展示した。

  今回のショーケースは、実行委員会協力機関として防災科学技術研究所が協力。ミニシンポジウム、特別講演は、昨年5月6日につくば市で大きな被害をもたらした竜巻などの自然災害をテーマとして企画されたものだった。

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●ご視察等
     1月22日 丹羽秀樹 文部科学大臣政務官

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