■ J-PARC News 第109号より       (2014/5) 
●平成26年度J-PARC安全文化醸成研修会 (5月23日) 
  J-PARCは、昨年のハドロン実験施設での放射性物質漏えい事故の記憶を風化させず、安全意識を更に高めるため、毎年5月に安全文化醸成研修会を開催することとした。今回、第1回の研修会を原子力科学研究所大講堂で開催し、高エネルギー加速器研究機構 (KEK) つくばキャンパスと東海キャンパスの会場へもTV中継を行った。J-PARC関係者が事故以降の1年間の歩み、ハドロン実験施設の改修状況と今後の計画などを報告。また、招待講演では、事故検証に係る有識者会議メンバーでジャーナリストの内村直之氏から”「研究施設と安全文化」を問い直す”と題した安全講話が行われた。


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●ハドロン実験施設の改修作業の進捗
  ハドロン実験施設では、実験ホールにフィルタ付き排気設備が完成。4月22日には、国の検査代行機関である原子力安全技術センターによる排気設備の性能確認 (点検支援) が実施された。一次ビームラインの気密強化などの改修作業は、今年秋頃の完成を目指して作業を進めている。


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量子ビーム相補利用に関わる研究成果

●銅酸化物高温超伝導体について電子励起状態の全体像を初めて解明
  超伝導現象の解明研究において、現在、最も高い温度でその現象を示す標記伝導体について、X線、中性子それぞれで非弾性散乱測定が実施された。相補的に組合せた実験により、電子のスピンと電荷の動き (励起) の全容が、世界で初めて解明された。中性子実験装置は、J-PARC物質・生命科学実験施設 (MLF) のBL01「四季」が利用された。本成果は、SPring-8、原子力機構量子ビーム応用研究センター、関係大学などの共同研究によるものである。 (4/25プレス発表) 
  詳細については、http://j-parc.jp/ja/topics/2014/Pulse140425.htmlをご覧ください。


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●新構造の酸化物イオン伝導体を発見 ∼ 結晶構造やイオンの流れを明らかに ∼ 
  酸化物イオン伝導体は、燃料電池やガスセンサー、電子材料などに応用される。今回、東京工業大学、茨城大学、ANSTO (豪州原子力科学技術機構) の研究グループが、標記伝導性材料の新構造ファミリーNdBaInO4 (ネオジム・バリウム・インジウム酸化物) を発見し、中性子、放射光を用いてその結晶構造と、酸化物イオンの拡散経路を明らかにした。中性子実験は、MLFのBL20「iMATERIA」とANSTOに設置された装置で実施された。 (5/7プレス発表) 
  詳細については、http://j-parc.jp/ja/topics/2014/Pulse140507.htmlをご覧ください。


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●加速器運転計画
 
  6月の加速器運転は下記の通りです。尚、運転計画は機器の調整状況により変更が生じる場合があります。


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●施設関連
   (1) 加速器施設
  リニアックでは、ビーム電流を増強するため新たに製作したテストスタンドでイオン源及び高周波四重極型リニアック (RFQ) の性能試験を進め、4月には30時間の昼夜連続運転を行い、長時間安定に動作することを確認した。これらは、夏季メンテナンス時にビームラインに設置する計画である。50GeVシンクロトロン (MR) では、4月28日から性能確認試験を実施した。また、運転停止期間中にMRへのビーム輸送系ライン (3-50BT) に設置した、ビームのコアおよびハローを精度よく観測できる高感度2次元ビーム・プロファイル・モニタの性能確認も実施した。


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   (2) 実験施設関連
  物質・生命科学実験施設 (MLF) では、第1実験ホールに設置するミュオン実験装置 (SラインでS1エリアまで) を建設中。第2実験ホールでは、ミュオンビームDラインのD1エリアで新しい分光器を整備した。中性子実験装置関連では、後述するBL06、BL22およびBL23の建設が進む。BL11 (超高圧中性子回折装置) では、超高圧高温下 (15GPa、1100℃) での中性子回折実験に成功している。また、中性子検出器の開発では、中性子ビームの制御デバイスとなる中性子集光スーパーミラー (BL17、斜入射小角散乱用) の試作などを行った。
  ニュートリノ実験施設では、ターゲットステーション棟で電磁ホーン交換後の通電試験、ターゲットステーション遮へい体の据付・復旧、気密処理などを実施。約1年間実験を停止していた設備・機器の試運転、安全性の確認を実施した。


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●物質・生命科学実験施設 (MLF) の新設中性子ビームラインの施設検査
  MLFでは現在、3台の中性子ビームラインBL06 (中性子共鳴スピンエコー分光器群) 、BL22 (中性子イメージング装置) 、BL23 (偏極中性子散乱装置) の建設が進められており、22日には国の検査代行機関である原子力安全技術センターにより放射線遮へい性能などに関わる施設検査が行われ、23日付けで合格となった。BL06については、安全インターロック機能検査など、ビームの受入れに必要な各種試験も実施された。


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●核変換実験施設建設に向けた動向
  J-PARCで計画する、加速器駆動システムADSによる長寿命放射性核種の核変換実現に向けて、ベルギーが提案するADS実験炉MYRRHA計画との国際協力を推進する会議が、5月19日にベルギー大使館 (東京) で開催され、協力に向けた積極的な議論が行われた。

   
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●ニュートリノ実験施設が運転再開
  ニュートリノ実験施設では、T2K実験の再開に向け5月16日に性能確認試験を開始し、26日から利用実験を再開した。それに先立ち、22日には高エネルギー加速器研究機構 (KEK) 東海キャンパスで、報道関係者向けにニュートリノ実験再開事前説明会を開催、12社13名が取材に訪れた。J-PARC関係者が、実験施設の利用運転再開について説明を行い、数多くの質疑応答が行われた。


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●ご視察等
     4月 26日    日米科学技術協力事業高エネルギー物理研究計画委員会委員、
                David MacFarlane氏 (SLAC国立加速器研究所) 、他
     5月 19日    茨城県企画部長 野口通氏、他
     5月 21日    茨城県議会総務企画委員会委員長 福地源一郎氏、他
     5月 27日    フランス政府特命原子力最高顧問 Yves Brèchet教授、他
     5月 27日    鳥取県議会農林水産商工常任委員会、他
     5月 27日    シンガポール調査団 (国家環境庁他) 
     5月 27日    茨城県副知事 楠田幹人氏


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