J-PARCのニュートリノ実験施設で大強度ニュートリノビームを生成し、295km離れた地下観測装置スーパーカミオカンデ (SK) にむかって打ち込み、ニュートリノの謎を解明するT2K実験は、5月26日にデータ収集実験を再開した。今回、初めて反ニュートリノ (ニュートリノの反粒子) ビームを生成する運転を行っている。ニュートリノは、50GeVシンクロトロンからの陽子ビームを、グラファイト製の標的に入射して生成されるプラス電荷をもった「パイ中間子」が崩壊し生み出される。このパイ中間子を収束する「電磁ホーン」とよばれる特殊な電磁石の極性 (電流を流す向き) を反転することで、マイナス電荷をもったパイ中間子が生成・収束される。反ニュートリノは、その崩壊から生み出される。6月8日には、反ニュートリノビーム運転に伴うSKで最初の事象が観測された。T2K実験では、2013年に、世界で初めてミューオンニュートリノが電子ニュートリノに振動 (変化) する出現現象を捉えた。反ニュートリノビームを生成する実験で、反ミューオンニュートリノが反電子ニュートリノに振動する出現現象を観測し、ニュートリノにおける確率と比較することで、ニュートリノにおけるCP対称性の破れ (物質と反物質との対称性の破れ) について先駆的な研究を行う。今後の研究の進展が世界の研究者から期待されている。 |
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●J-PARCのミュオンや中性子ビームを利用した研究成果 人類が手にする物質を透視する新しい“眼”〜素粒子ミュオンを使った非破壊軽元素分析に成功〜 |
物質・生命科学実験施設 (MLF) のミュオンビームを用いて、隕石模擬試料の軽元素 (C,B,N,O) の非破壊深度分析に成功。ミュオン粒子は、入射エネルギーの調整で任意の深さに到達し、取込んだ元素から放出される特有のミュオン特性X線は高い透過能力を持つため、軽元素から重い元素まで、非破壊で深さ方向の元素分析が可能となる。本成果は、大阪大学 寺田健太郎教授などの研究チームによるものである。 (5/27プレス発表) 詳細は、下記ホームページをご覧ください。http://j-parc.jp/ja/topics/2014/Pulse140527.html |
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現在、MLFは約300kWの陽子ビーム出力で運転し、17本の中性子ビームラインで利用実験が行われている。右の図に、年毎の実験課題申請数と利用者数を示す。一般課題申請数はビーム出力の増強に伴い順調に増加し、今年度は約700件あり、実験利用者は1,000人を超えることが予想される。このような状況から、今後、課題申請数は1,000件以上に達することが予想され、多くの課題を実施するためにも、J-PARCは年間フルタイム (9サイクル) の共用運転時間が求められている。 |
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標記委員会をKEK東海1号館で開催。J-PARCの担当者が、7〜9月の夏季メンテナンス期間中に、MLFのミュオン実験エリアで交換予定の回転標的や、ハドロン実験施設の事故再発防止策の進捗状況、新たな標的のデザイン等の報告を行い、それらの妥当性、安全性について検討が行われた。 |
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リニアックでは、イオン源と高周波四重極型リニアック (RFQ) で構成される初段加速部の24時間連続運転試験を6月2日に開始し、現在継続中。試験は6月末に終了予定で、7月から9月の夏季メンテナンス期間中に、現用機との交換作業を行う。 |
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●第68回 (平成25年度) 日本セラミックス協会 学術賞 |
「量子ビーム、熱力学測定を駆使した高機能性酸化物の特性発現機構の解明」で、東京理科大学 井手本康教授が受賞。リチウム電池、燃料電池、強誘電体等の新素材開発研究においてKEKやJ-PARCで長く中性子を利用してきたユーザー。MLFでは、主にBL08 (SHRPD) 、BL20 (iMATERIA) 、BL21 (NOVA) を利用されている。近年では、MLFでコインサイズの電極で電池を充放電させた時に生じる結晶構造の変化を世界で初めて捉えることに成功された。 |
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●外国人ユーザー向けの日本語教室 (6月5〜30日/いばらき量子ビーム研究センター) |
ユーザーズオフィスは、外国人ユーザーを対象とした初級日本語教室を、東海村国際センターから講師の協力を得て開校。全8回開催。参加者は、熱心に授業に取り組んでいた。 |
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●第24回サイエンスカフェ in リコッティ (6月21日/東海村) |
原子力機構が主催するサイエンスカフェにおいて、坂元眞一広報アドバイザーが、「ニュートリノとヒッグス粒子の謎」と題した素粒子物理学の最新の発見について、ユニークな実験を交えた一般向け講演を行った。参加者は高度な話題にもかかわらず、興味深く聞き入り、活発な質問が出され、充実した講演会となった。 |
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●国際交流集会に協力 (6月17日/東海村立中丸小学校) |
中丸小学校では、児童が他国の文化に興味を持つことを目的に、外国人との交流会を毎年開催している。今回、村内の国際語教師5名と、原子力機構やJ-PARCなどに滞在する外国人11名が講師として参加。全体集会では、児童による歓迎の挨拶、講師の自己紹介が行われ、その後各クラスに分かれて講師の自国紹介と児童の質問、また、学校給食を一緒に食べたり、屋外でのゲームなど、楽しく交流会が行われた。 |
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●ご視察等 |
6月 16日 文部科学省研究振興局ナノテクノロジー物質・材料担当参事官 前田豊氏 |
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