■ J-PARC News 第112号より       (2014/8) 
●科学者によるサイエンススクール (7月24日、東海村・リコッティ) 
  村内2つの中学校の1年生を対象に、科学への関心を深めてもらおうと、J-PARC及び日本原子力研究開発機構 (JAEA) で活躍する若手研究者4名を講師に招いた東海村主催のサイエンススクールが開催された。午前と午後で2校の生徒約200人が入れ替わり、各2名の研究者による講義がそれぞれ行われた。開講式ではJ-PARCニュートリノセクションの多田將氏が「広大な宇宙から素粒子・クォーク」について分かりやすい紹介を行い、続いて、J-PARC中性子利用セクションの河村聖子氏が自分の科学者に至る生い立ちの紹介を含め「中性子で探る物質の世界」と題して、また、午後には多田氏が「最小物質ニュートリノのひみつ」と題した授業を行った。生徒達は、真剣な眼差しで聞き入っていた。

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●茨城県による無通告通報連絡訓練 (7月22日) 
  茨城県による標記訓練が実施された。訓練実施の連絡が、7月22日、18時46分に、日本原子力研究開発機構 原子力科学研究所 (原科研) に入り、物質・生命科学実験施設 (MLF) で、放射性物質の異常放出を示す警報が発報したという想定で行われた。MLF事故現場指揮所、原科研現地対策本部、JAEA本部・東京事務所に加え、JAEA-KEK合同事故対策本部の設置を想定して、高エネルギー加速器研究機構 (KEK) をテレビ会議で接続した。後日、県担当者から外部への通報は適切に実施されており、全体を通して特段の指摘事項なしとの評価を頂いた。J-PARCは、これまで加速器や実験施設で、非常事態通報訓練を実施しており、抜き打ちによる訓練にも原科研及びKEKの関連部署と連携し、迅速に通報連絡などを行う事ができた。

  茨城県は、県内原子力安全協定を結ぶ事業所を対象に、非常事態時の通報連絡を想定した訓練を実施している。


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●中性子産業利用推進協議会 平成25年度成果報告会 (7月24日、東京) 
  標記報告会が、秋葉原コンベンションホールで開催され、報告会の初めに、池田裕二郎J-PARCセンター長が、「J-PARCの現状」としてハドロン事故後の対応やMLFの現状と将来計画などを報告、また、林眞琴 茨城県企画部技監が「中性子産業利用の現状」について紹介した。その後、産業界からのMLFユーザーが、中性子利用実験における成果として、例えば、BL03に設置されている中性子実験装置iBIXで実施された「うま味」物質の中性子結晶構造解析結果など、5件の成果報告を行った。産業界のユーザーが多数参加し、盛況であった。


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●文部科学省 群分離・核変換技術評価作業部会 (第6回:7月30日、第7回:8月20日、東京) 
  本作業部会は、群分離・核変換技術に関する研究開発状況を評価するため、昨年8月に設置され、11月に「中間とりまとめ」を公表している。この中で、J-PARC核変換実験施設については、その整備が期待され、施設の実現性についてレビューを行いつつ、研究開発を進めることとされた。今般の作業部会では、J-PARCの担当者が核変換実験施設に関する研究開発の現状と今後の方針、国際協力、人材育成の課題進捗状況等について報告し、その内容について審議が行われた。この結果を踏まえ、核変換実験施設に関する今後の進め方について見解が取りまとめられる予定である。


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●施設の状況
   
  (1) リニアックでは、初段加速部 (イオン源、RFQ) の入れ替えを実施。
  (2) 物質・生命科学実験施設 (MLF) では、第1実験ホールでミュオンS1ラインの建設が進行中。
  (3) 50GeVシンクロトロン (MR) では、新高周波空洞 (FT3L金属磁性体コア) を開発中。


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●金属磁性体コア (FT3L) を用いた高周波加速 (RF) 空洞の量産
  MRの陽子ビーム強度増強計画では、ビームの入射・加速・取り出しの繰り返し時間を現行の2.5秒から1.3秒程度に短縮することが計画されている。そのためにはビームを加速するRF空洞の加速電圧を、現行の約2倍となる560kV程度に引き上げる必要があり、現在、高勾配型新型空洞の製作が進んでいる。加速勾配を上げるには、RF空洞に組込む金属磁性体コアを従来より高いインピーダンス特性を持つコア (FT3L、日立金属) に置き換える必要がある。
FT3Lコアは製造の際に磁場界中で加熱処理を行うことにより高いインピーダンスを持つが、J-PARC加速器グループは日立金属、素核ディビジョン、低温セクション等と協力し、加速器実験用大型電磁石を再利用することでMRの実機サイズ (直径800o) のコアの開発に成功し、さらに量産方法を確立した。開発された新型コアでは、従来のコアより厚みを10o程度薄くすることにより従来と同じスペースにより多くのFT3Lコアを配置することが可能となり、その結果、現在の約2倍の加速電圧を実現することができる。現在、FT3Lコアと、空洞当たりのギャップ数を増やした新型空洞の量産が進んでいる。


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●J-PARCハローサイエンス (8月6、19日、東海村研究交流プラザ) 
  〜「電気・磁気の力を感じよう!」夏休み工作教室 〜
  J-PARCは、村内の小学5、6年生を対象に、科学工作教室を開催した。事前申し込みにより、各回11名が参加した。坂元眞一広報アドバイザーにより、身近にある材料を用いて、静電気を使った「ふりこベル」や、エナメル線と磁石などを使った「クリップモーター」を作成した。参加した子供達は、スタッフのサポートを受けながら、楽しく工作に取り組んでいた。


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●青 寛幸氏、「技術貢献賞」を共同受賞 (8月10日、加速器学会) 
 
  J-PARC加速器第8セクションの青寛幸氏と三菱重工業株式会社の菅野東明氏は、リニアックの190〜400MeVまでの加速空洞であるACS (Annular-ring Coupled Structure) 型加速空洞の開発における業績で、2013年度日本加速器学会賞の「技術貢献賞」を共同受賞した。両氏は、8月8〜12日に青森市で開催された第11回日本加速器学会年会の学会賞授賞式において表彰された。J-PARC用ACS型空洞の開発では、これまで高エネルギー加速器研究機構 (KEK) が行ってきたACS型空洞開発の基礎研究成果を基に、青氏が中心となって、空洞の高性能化に繋がる結合セル用の回転式チューナーの開発や、高周波窓の品質管理方法を確立させた。また、菅野氏はメーカ側の中心となって、高度な製造技術、高い加工精度の安定的な実現、品質管理技術を確立することに成功し、J-PARCでの実運用に向けた量産・調整を可能としたもの。ACS型空洞の製作は、2006年に小型の試作空洞による大電力試験で基本設計に問題の無いことを確認し、2009年から空洞21台の量産を開始し、予定通り3年間で完成した。ビームラインへの設置は震災による復旧のため、遅れて昨年夏となったが、加速器ディビジョンメンバーが一丸となって作業を実施し、予定通りに設置を完了させ、年末から調整を進め、今年1月17日に400MeVのビーム加速に成功したもの。


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●ご視察等
     8月  6日   冨岡勉 文部科学大臣政務
              磯谷桂介 文部科学大臣官房審議官
              渡邉その子 文部科学省科学技術・学術政策局 研究開発基盤課長
              岡村圭祐 文部科学省科学技術・学術政策局 量子放射線研究推進室 室長補佐
     8月  7日   総務省政策評価・独立行政法人評価委員会、行政管理局ご一行
     8月  8日   嶋崎政一 文部科学省 研究振興局基礎研究振興課 素粒子・原子核研究推進室長
     8月22日   河村玲央 財務省 主計局 文部科学第五係主査
     8月22日   サマーチャレンジ2014参加者109名
     8月25日   菊地健太郎 茨城県総務部長


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