■ J-PARC News 第115号より       (2014/11) 
●小林隆 素粒子原子核ディビジョン長が2014年度仁科記念賞を共同受賞!
  J-PARCの小林隆 素粒子原子核ディビジョン長と京都大学の中家剛教授は、T2K実験における「ミューニュートリノビームからの電子ニュートリノ出現事象の発見」の業績により、2014年度の仁科記念賞を共同受賞した。仁科記念賞は、原子物理学とその応用に関し、優れた研究成果をあげた研究者に授与される賞である。
  世界11カ国から約500人の研究者が参加する国際共同実験『T2K (Tokai-to-Kamioka) 実験』で、小林ディビジョン長は実験グループ代表者、中家教授は物理解析総責任者としてグループを牽引してきた。今回の受賞業績となった発見 (2013年7月19日プレス発表) は、宇宙の物質起源の謎を解明する鍵を握ると考えられているニュートリノにおける粒子と反粒子の性質の違い (CP対称性の破れ) を実験的に明らかにできる可能性も示している。
  参考:KEKホームページhttp://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Release/20141118100000/
   

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●パルス中性子イメージング実験装置、初ビーム取出しに成功 (11月7日) 
  物質・生命科学実験施設に新しく設置した、世界初のエネルギー分析型中性子イメージング装置 (RADEN) で、初の中性子ビーム取出しに成功した。RADENは、中性子線により物質内部を非破壊で観察できる装置。当日は、国の安全審査代行機関である、原子力安全技術センターによる施設検査が実施された。右下の写真は、RADENで取得した模擬サンプルの中性子透過画像。

   

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●ハイパー原子核の研究で第21回原子核談話会新人賞を受賞
  J-PARCのハドロン実験施設で、2012年12月から2013年1月までに行った実験結果により、JAEA先端基礎研究センターの杉村仁志 博士研究員が、原子核談話会の新人賞を受賞した。この受賞は、杉村氏がJ-PARCにおける大強度π中間子ビームを用いた「中性子過剰ハイパー核6ΛH探索実験」で新しい知見を得たことによる。水素の原子核は通常、陽子 (p) 1個だが、これに中性子 (n) を加えて行くと、重水素、三重水素になる。この実験では、陽子1個と中性子4個に、ラムダ粒子 (Λ) 1個を更に加え、人工粒子 (ラムダハイパー核,6ΛH) を作り出すことで、原子核の中にどのような形でラムダ粒子を入れられるかという実験を行ったもの。
  この様な中性子過剰の原子核の解析を行うことで、超新星爆発の残骸として残る中性子星の内部構造解明の手がかりになる可能性がある。

   

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●加速器運転計画
   
  12月の加速器運転は下記の通り。尚、運転計画は機器の調整状況により変更が生じる場合がある。

   

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●実験施設関連
   (1)  加速器施設では、ビーム調整試験を行い、各実験施設へのビーム供給をそれぞれ再開した。
   (2)  物質・生命科学実験施設 (MLF) では、4日より利用運転を再開。また7日、新規中性子ビームラインBL22、ミュオンSラインなどの施設検査が実施された。
   (3)  ニュートリノ実験施設では、2日からビーム利用運転を開始し、T2K実験を再開した。
   (4)  ハドロン実験施設では、放射線モニタ関係の設備を強化した。

 

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●J-PARCハドロン実験施設の事故検証に係る第7回有識者会議
  10月29日、J-PARCハドロン実験施設の放射性物質漏えい事故を検証する第7回有識者会議が東京で開催された。J-PARCセンターは、昨年8月に本会議が答申した再発防止策を踏まえ、これまで行ってきた安全管理体制の見直しや、施設の改修状況などについて報告、その後、質疑応答が行われた。総括審議の結果、取組みは適切に行われており、施設再開の妥当性が確認された。なお、地元住民への説明と理解を得ること、危機管理意識の継承について提言を受けた。


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●東海ドミトリーU期棟が完成
  J-PARC施設利用者 (ユーザー) のための宿泊施設「東海ドミトリー」の宿泊棟増設 (51室) が終了し、部屋数はこれまでの2倍の100室となった。11月1日から利用を開始した。これにより、多くのユーザーを受け入れることができるようになった。


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●つくば科学フェスティバル
  11月8-9日、つくば市内の学校、研究機関など約60団体が出展し、科学を楽しむ標記の体験型イベントが、つくば市教育委員会主催で開催された。J-PARCにかかわる出展としては「謎の素粒子ニュートリノ〜その不思議にせまる実験とは〜」と題したT2K実験の展示と、「おもしろ実験教室:霧箱で放射線を観察しよう・超伝導コースター」の出展が行われた。会場での説明や実演は、ニュートリノ関係者やKEK超伝導低温工学センター関係者らが担当した。フェスティバルには2日間で延べ1万7千人を越える来場者があり、当実験コーナーも終日多くの子供やその家族たちで賑わった。


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●ご視察等
    11月  7日  ペンシルヴァニア州立大学 材料科学・工学部門 Kwadwo Osseo-Asare 教授
    11月  7日  タイ外務省儀典部 Mr.Danai Karnpoj 公使、他
    11月10日  文部科学省独立行政法人評価委員会

   
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