■ J-PARC News 第139号より       (2016/11) 
●J-PARCのiMATERIAで世界最速レベルの技術を確立
〜中性子回折による金属材料の集合組織高速測定システムを開発〜
 (10月27日、茨城大学などからプレス発表) 
  茨城大学の小貫祐介助教らの研究グループが、物質・生命科学実験施設 (MLF) の茨城県材料構造解析装置 (iMATERIA) を用いて、中性子回折による金属材料の集合組織を高速に測定できるシステムを開発しました。本手法は、従来のような試料を回転させて測定を繰り返す必要が無く、数分という短時間の1回の中性子線照射で測定が行えるもので、システムとしては世界最速のレベルとなります。この結果、自動車のフレームに用いられる高張力鋼板や、モーターの高効率化に重要な電磁鋼板の高性能化に役立つものと期待され、本装置の産業利用を金属材料分野にまで大きく拡大させるものです。この成果は、2016年10月1日発行のJournal of Applied Crystallographyに掲載されました。詳細については、茨城大学ホームページをご覧ください。https://www.ibaraki.ac.jp/news/2016/10/271134.html
   


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●J-PARC利用成果によるエコタイヤの製品化
  J-PARC等を利用して開発された、新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」の採用により、低燃費性能とグリップ性能を高次元で維持しながら耐摩耗性能を従来品から51%向上させた新しいエコタイヤを住友ゴム工業株式会社が製品化しました。ゴムの内部構造をナノからミクロンレベルまで連続的かつ鮮明に解析し、シミュレーションが可能となった成果です。この技術開発には、物質・生命科学実験施設 (MLF) 、大型放射光研究施設 (SPring-8) 、スーパーコンピュータ「京」が活用されています。詳細については、一般財団法人総合科学研究機構 (CROSS) ホームページをご覧ください。http://www.cross-tokai.jp/ja/research/reports/2016/20161031.shtml
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●ミュオンg-2/EDM実験 (E34) 技術評価委員会 (11月15-16日、J-PARC) 
  J-PARCミュオン実験施設ではミューオン粒子の異常磁気能率 (g-2) と電気双極子能率 (EDM) の精密測定を行うg-2/EDM実験 (E34) が提案されています。今回、国内外の専門家18名を委員とする技術評価委員会が開催され、実験技術についてのレビューが行われました。ミューオンの異常磁気能率は、これまでの実験から、その値に標準理論の予測からのわずかなズレの兆候が見えています。E34実験では、従来とは全く異なる新しい実験手法を用いてg-2とEDMを超高精度で測定することで、素粒子標準理論を超える新しい物理学の可能性を検証します。

  委員会では、米国で計画されている同様の実験の実施責任者や、ミューオンビーム、レーザー、加速器、磁石などの専門家が集い、実験技術の検証・評価が行われ、幅広い専門的な観点から熱心な意見が交わされました。
   

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●平成28年度J-PARC非常事態総合訓練 (10月28日、J-PARC/MLF) 
  MLF放射線管理区域内で火災が発生したとの想定で、J-PARC非常事態総合訓練を10月28日に実施しました。訓練では、事態の鎮静化や関係各所への通報連絡に加え、消火活動にあたった作業員1名が体調を崩して一時心肺停止となり、AEDによる蘇生、搬送も模擬しました。今回は、火災の発生場所や心肺停止者の発生が事前に参加者には知らされずに行われ、緊急時の対応力が試されました。情報の収集や伝達において、いくつか確認できた改善点は、今後、非常事態への更なる対応力強化に生かしてまいります。
   

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●施設の状況
  (1) 加速器運転計画
  12月の運転計画は、次のとおりです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。
   

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  (2) 実験施設関連
  物質・生命科学実験施設は、11月2日から調整運転を行い、11月7日から150kWでの利用運転を開始しました。また、ニュートリノ実験施設は10月27日から利用運転を開始し、現在は330kWで運転を行っています。
   
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●平成28年度JAEA理事長表彰で研究開発功績賞受賞 (11月7日、JAEAアトムワールド) 
  11月7日、平成28年度の日本原子力研究開発機構 (JAEA) 理事長表彰 表彰式がアトムワールド講堂で行われました。特賞2件、研究開発功績賞15件、模範賞13件、他3賞の22件の関係者が表彰され、J-PARCセンター関係者も研究開発功績賞などで表彰されました。
« J-PARC関連の受賞者一覧 »
【研究開発功績賞】
[画期的研究開発の完成に係る業績]
○業績:「高精度・低リップルパルス電源の開発」
・グループ名:J-PARC RCSパルス電磁石・電源開発グループ (※RCS:3GeVシンクロトロン) 
・氏名:高柳智弘氏、岡部晃大氏、堀野光喜氏、植野智晶氏 (加速器ディビジョン
加速器第二セクション) 、林直樹氏 (加速器ディビジョン 加速器第三セクション) 
 
○業績:「加速器駆動核変換システムの核特性予測精度向上のための研究」
・グループ名:加速器駆動核変換システムの核特性研究グループ
・氏名:岩本大樹氏 (核変換ディビジョン 施設利用開発セクション) 、他3名
 
[研究開発に係る大規模なプロジェクトの完遂に係る業績]
○業績:「J-PARC工学材料回折装置の設計・建設・先導研究の完遂」
・グループ名:「匠」建設・運営グループ
・氏名:ステファヌス ハルヨ氏、川崎卓郎氏 (物質生命科学ディビジョン 中性子利用セクショ
ン) 、相澤一也氏(同ディビジョン 共通技術開発セクション)、坂佐井馨氏、中村龍也氏 (同ディビジョン 中性子基盤セクション) 、盛合敦氏 (物質科学研究センター 中性子材料解析研究ディビジョン 応用評価技術研究グループ) 、伊藤崇芳氏、阿部淳氏 (一般財団法人 総合科学研究機構 中性子科学センター) 、有馬寛氏 (国立大学法人 東北大学 金属材料研究所) 、ゴン ウー氏 (国立大学法人 京都大学 学際融合研究研究推進センター) 、岩橋孝明氏 (日本アドバンストテクノロジー株式会社) 
【模範賞】
○業績:「FCA燃料の対米輸送の完遂」
 (※FCA:高速炉臨界実験装置 (Fast Critical Assembly) ) 
・グループ名:FCA燃料輸送実施グループ
・氏名:荒川侑人氏 (安全ディビジョン 放射線安全セクション) 、他88名
   

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●第13回国際核破砕材料技術ワークショップ (10月31日〜11月4日、米国テネシー州チャタヌーガ) 
  標記ワークショップが、米国オークリッジ国立研究所 (ORNL) 主催で開催され、8ヶ国から58名が参加して、核破砕中性子源材料の照射損傷、液体金属による腐食及びキャビテーション損傷に関する情報交換が行われました。各国から54件の発表が有り、J-PARCからはMLF水銀ターゲットの現状やミュオン標的に関した報告8件を行いました。ワークショップでは、ターゲットに関する共通課題の評価及びターゲット材料に残された問題解決に向け活発な議論が行われました。
   
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●物質・生命科学実験施設 (MLF) の施設検査 (11月4日、J-PARC) 
  11月4日、MLFの第1実験ホールの高速ミュオン実験装置 (Hライン) 建設の進捗に伴い、国の登録検査機関である放射線管理研究所による施設検査を受け、7日付けで合格となりました。検査は、書類検査、遮蔽体の現地確認、線量測定検査などで、今後、ビームラインに各種装置が据付けられます。
   

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●J-PARCセンターアウトリーチ活動
  J-PARCセンターは、子どもたちが科学に興味を持ってもらえるように、加速器の原理やニュートリノ振動の不思議などについて考える科学実験教室J-PARCハローサイエンスを、各種イベント会場や学校への出張授業の場で行っています。静電気、電磁石、波などをテーマに広報セクションの坂元眞一アドバイザーらによる手作りの実験器材を使い、また工作を行う体験型実験を実施しています。今月は、量子科学技術研究開発機構 (QST) 那珂核融合研究所の施設見学会 (3日、東海村に隣接の那珂市) や村松小学校サイエンスクラブ (16日、東海村) 、多摩六都科学館高エネルギー加速器研究機構 (KEK) サイエンスカフェ (23日、西東京市) で開催しました。また、 日本科学未来館で開催のサイエンスアゴラ2016 (3〜6日) では、KEKが出展のブースで電磁石と静電気の実験を披露しました。
   

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●ご視察者など
    11月 15日  原子力規制庁
    11月 15日  一般財団法人 総合科学研究機構 中性子科学センター 青木 貞雄理事
   
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