■ J-PARC News 第152号より       (2017/12) 
«J-PARCハイライト»
●1MWに向けた新たな一歩!
  物質・生命科学実験施設 (MLF) では、改良した中性子発生標的 (水銀ターゲット容器) を用いて、10月からビーム強度300kWでの運転を開始しました。今後、容器の健全性の確認を行いながら、順次出力の増強を目指します。これまでMLFでは、順次500kWまでビーム強度を増強してきましたが、2015年に標的容器の溶接個所に不具合が発生したため、容器構造や検査手法などについて再設計を進め、容器先端部の流路と構造材を一体化し、堅牢性を高めた標的を完成させたものです。今回の標的ができるまでは、予備機を用い、150kWという低出力で運転してきましたが、いよいよ初期目標の1MWパワーに向けた運転を開始します。
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●第9回AONSA中性子スクール/第2回中性子・ミュオンスクール開催 (11月16-20日、J-PARC) 
  J-PARCセンター、総合科学研究機構 (CROSS) などが共催した第9回AONSA中性子スクール/第2回中性子・ミュオンスクールが、MLFで開催されました。このスクールは、オーストラリア・中国・インド・韓国など、アジア・オセアニア地域の大学院生や若手研究者を対象にしており、今回は13カ国約50名の参加がありました。スクールでは、大学教授らによる講義と、中性子ビーム11班、ミュオンビーム1班に分かれた実習実験が行われ、参加者はパルスビームを使った実習に大変満足した様子でスクールを卒業しました。
  ※AONSA:アジア・オセアニア地区中性子会連合

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●第15回日本中性子科学会賞の技術賞を受賞 (12月2日、福岡大学) 
  J-PARCセンター中性子利用セクションの伊藤晋一氏、横尾哲也氏らは、「高分解能チョッパー分光器HRCの建設と中性子ブリルアン散乱法の実装」という研究課題について、第15回日本中性子科学会賞の技術賞を受賞し、第17回日本中性子科学会年会で表彰されました。HRC (BL12) は、チョッパー型分光器と呼ばれるタイプの実験装置で、「フェルミチョッパー」によりエネルギー別にパルス中性子を選別できる装置です。また、J-PARC建設期にセンターに所属の古坂道弘氏 (現、北海道大学) が、「先導的なパルス中性子源散乱装置および測定技術の開発」という受賞テーマで、学会賞を受賞されました。さらに、平成18年に茨城県企画部技監としてBL03とBL20の運営を統括し、中性子産業利用推進協議会を設立した林眞琴氏 (現、CROSS中性子科学センター) が、「中性子回折法による残留応力測定技術の確立と中性子の産業利用への貢献」という受賞テーマで、功績賞を受賞されました。
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●平成29年度J-PARC安全監査実施 (12月4日、J-PARC) 
  今年度で4回目となる安全監査が、12月4日、安全工学、放射線安全をそれぞれ専門とする新外部監査委員により行われました。監査では、まずセンター長、副センター長、安全ディビジョン長らがJ-PARCの安全管理体制と安全活動、放射線管理などを説明しました。次に、多数のユーザーが実験に訪れるMLFで、委員による中性子源やビーム利用における安全管理に関する聞き取りが実施されました。講評では、委員より「今後10年間のJ-PARCの大強度化、利用者・社会への貢献度の向上などの目標と、安全活動が整合しているか、という視点が重要」等の貴重な指摘や提案を頂きました。
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●スウェーデンの博士課程の学生らがMLFで実習 (11月8-13日、MLF) 
  11月8日から13日まで、スウェーデン王立工科大学 (KTH) 中性子回折専攻のマーティン・マンソン助教が、研究室に所属する博士課程の学生ら3名を伴って来日、MLFのミュオンビームラインS1で実験を行いました。現在スウェーデンでは、この7月にJ-PARCが研究協力の覚書を取り交わした欧州核破砕中性子源 (ESS) を建設中で、スウェーデン戦略研究財団 (SSF) は、スウェーデンの中性子ユーザーコミュニティーを拡大するためにスウェーデン国立大学院コース (SwedNess) を設立し、KTH枠の学生5人を含み、最大40人の大学院生の海外渡航援助を開始しました。マンソン助教は「実習体験中に培われた人脈は、将来的な日本とスウェーデンの研究協力関係強化に貢献することになる」と語り、今後も中性子専攻の院生をMLFで実験実習させるために派遣する予定だということです。

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●第17回青少年のための科学の祭典日立大会とCROSS市民公開講座に協力 (11月26日および12月2日) 
  J-PARCセンターは、11月26日の第17回青少年のための科学の祭典日立大会で、「加速装置っ!!」をテーマにブースを出展し、広報セクション宇津巻竜也氏らがガウス加速器の実験、厚紙と鉄球を使った加速器の工作を行い、特別講演会では、ニュートリノセクション多田将氏がニュートリノと宇宙の関わりについて解説しました。また、12月2日に総合科学研究機構がつくば市役所で開催した市民公開講座では、広報セクション坂元眞一氏が水の波からニュートリノ振動の原理や重力波の観測について、多田将氏がJ-PARCニュートリノ実験が目指すものについて講演しました。
   
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●第11回J-PARCハローサイエンス「唸れ!プロトンドライバー」開催 (11月24日、東海村産業・情報プラザ「アイヴィル」) 
 
  11月24日に開催した第11回サイエンスカフェでは、J-PARCセンター加速器第五セクション栗本佳典氏が、J-PARCの陽子加速器について話しました。栗本氏はまず、宇宙の初期状態と言える超高温状態をつくることができる加速器での研究は、宇宙の始まりの謎に迫れることを説明。J-PARCの加速器は、光とほぼ同じ速度まで加速する巨大な世界最強の陽子加速器で、メインリングは陽子の運動量、加速電圧の周波数、電磁石の磁場および電源の電流をすべて同期させて陽子を加速していること、ニュートリノ実験などのため、陽子ビーム強度の増強に向けて電源装置の開発を進めていることを紹介しました。参加者からは「加速器の調整方法などが良くわかった」などの感想が寄せられました。
   
●松ぼっくりツリー作り体験教室開催 (11月29日、原子力科学研究所 先端基礎研究交流棟) 
 
  J-PARCセンターは、機構内の国際交流を深める場として各種体験教室を開催しており、今回はクリスマス時期に合わせて松ぼっくりツリー作りの体験教室を開催しました。材料は構内に落ちている松ぼっくりを拾い集めて準備したもので、アクリル絵の具やスプレーを使って松ぼっくりに色を付けた後、ビーズやラメで飾り付けをしました。参加者の思い思いの飾り付けで、華やかな作品が完成しました。
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●TIA Flower arrangement class 開催 (10月19日、11月16日、12月21日、原子力科学研究所) 
  J-PARCセンターは、東海村国際交流協会 (TIA:Tokai-mura International Association) などとの共催の生け花教室を、3回に亘って開催しました。生け花教室には毎回、15名ほどが参加し、機構内で働く外国人研究者らとの国際交流の場になっています。参加者は、TIAの先生指導のもと、熱心に作品制作に取り組みました。

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●加速器運転計画
  1月の運転計画は、次の通りです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。

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