■ J-PARC News 第154号より       (2018/02) 
●第5回加速器施設安全シンポジウム開催 (1月25-26日、IQBRC) 
  J-PARCセンターでは、国内外の加速器に関係する方々と連携して加速器施設全体の安全性向上を目指すため加速器施設安全シンポジウムを毎年主催しており、第5回を迎えた今年は、1月25-26日の2日間、いばらき量子ビーム研究センター (IQBRC) において開催しました。
  本シンポジウムは、これまでに「放射化物」、「高圧ガス (冷凍機) 施設」、「緊急時対応」、「電気安全」等のトピックスを取り上げ、加速器施設における安全管理の課題について議論してきましたが、今回は「放射線安全教育」と「重量物運搬における安全確保」を中心テーマとして開催しました。国内外の加速器施設や大学、企業など外部機関から61名、J-PARC関係者63名の、合計124名の参加がありました。
  齊藤直人J-PARCセンター長からの開会の挨拶に続き、放射線安全教育と重量物運搬に関わる9件の講演に加え、海外研究機関からお招きしたChristoph Balle氏 (CERN※1) とAlbert Manzlak氏 (Jefferson Lab※2) から、安全教育とトリチウム標的を用いる実験での安全確保に関するご講演を頂きました。さらに、CERN, Jefferson Lab を含む各加速器施設の紹介や安全の取り組みに関わる18件のポスター発表も行われ、活発な情報交換が行われました。閉会の挨拶では、石井哲朗安全統括副センター長から「加速器施設の安全性向上のために今後も国内外問わず広く連携していきたい」と抱負がありました。
  ※1:欧州原子核研究機構 (CERN、スイス) 、※2:トーマス・ジェファーソン国立加速器研究施設 (Jefferson Lab、米国) 

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●第2回ESS J-PARC Collaboration workshop開催 (1月18-19日、スウェーデン・ルンド市) 
  現在、欧州17ヶ国が計画する5MWの大型パルス中性子施設 (ESS) は、2019年以降の加速器駆動、施設共用を目指してルンド市郊外に建設中です。J-PARCセンターはESS開発に関わる協力協定を結んでおり、現地で開催の第2回会合に齊藤直人センター長以下9名が参加しました。ESS側からは、研究者、技術者30名ほどが出席、DirectorのJohn Womersley氏が概要を説明、建設の進捗度は40%程度とのことでした。J-PARCセンター一行は、建設現場を見学後、市内のESS本部で加速器、中性子源等の情報交換を行い、今後も共に最先端施設を目指すもの同士経験と知識を共有してお互いを高め合うことを確認しました。※ :European Spallation Source (欧州核破砕中性子源) 

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●ミュオンの小嶋健児氏が「小柴賞」を受賞 (2月13日、東京・アルカディア市ヶ谷) 
  ミュオンセクション※1の小嶋健児氏 (KEK物構研※2准教授) が「高集積陽電子検出器システムKalliopeの開発と実用化」で高エネルギー加速器科学研究会奨励賞「小柴賞」を受賞し、2月13日東京都千代田区のアルカディア市ヶ谷 (私学会館) で表彰されました。
  Kalliope (カリオペ) 検出器システムは、世界最高強度を誇るJ-PARC物質・生命科学実験施設 (MLF) のパルスミュオンビームを用いた種々の実験を可能とするために、新たに開発した検出器システムです。従来のNIM-CAMAC/VMEを用いたμe崩壊※3時間計測システムでは膨大な設置面積と多数の信号ケーブルが必要となるところを、ASIC (特定用途集積回路) や、FPGA (プログラム可能ゲートアレイ) といった先端的な技術を用い、コンパクトな回路ボードにまとめ、分光器への組み込みが可能になったところに新規性があります。この検出器システムは既にMLFのSR分光器4台に組み込まれ、100台以上が稼働しています。さらに、MLFでの物性・素粒子原子核実験だけでなくRIKEN/RAL (イギリス) 、 TRIUMF (カナダ) などの海外施設での実験でも利用され始めています。
  ※1:物質・生命科学ディビジョン、※2:高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所、※3:ミュー粒子→電子

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●平成29年度薄膜・界面研究会開催 (1月30日、東京・研究社英語センター) 
  中性子産業利用推進協議会主催の薄膜・界面研究会が、「中性子反射率による界面の構造解析」をテーマとして開催されました。反射率法は薄膜・界面構造の精密解析に優れた手法であり、MLFのBL16「SOFIA」とBL17「SHARAKU」では、さまざまな界面構造解析で適用されています。研究会では、中性子利用セクションの山田悟史氏 (KEK助教) らが装置概要と研究成果について、また、基盤セクションの丸山龍治氏がBL17等も用いた斜入射小角散乱などでの測定結果などについて紹介しました。今回の研究会では、実際にソフトウェアを用いて反射率法における解析方法の習得、偏極中性子反射率法の優位性について理解を深めるものでした。また、産業利用の成果2件の講演は、参加者に中性子反射率法実験を身近に感じさせるものとなりました。こうした研究会から、今後更に材料分野の方々によるMLF利用促進が期待されます。 (中性子産業利用推進協議会HP、研究会報告より抜粋) 
  詳細は、中性子産業利用推進協議会ホームページをご覧ください。
  http://www.j-neutron.com/29-18.html
   
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●第13回J-PARCハローサイエンス「今年もJ-PARCは大強度で勝負!」開催 (1月26日、東海村産業・情報プラザ「アイヴィル」) 
  1月26日に開催した2018年最初のサイエンスカフェは、齊藤直人J-PARCセンター長が、「今年もJ-PARCは大強度で勝負!」というテーマで話しました。J-PARCの施設や研究内容の紹介から始まり、高統計、高精度のデータ収集・解析、稀な現象の発見にはビームの大強度化が鍵となると説明しました。そのため、世界は更なる大強度を目指し、J-PARCも現在の世界一の大強度に満足せず、パワーアップに向けた将来計画があることを明かしました。また、同センター長は、研究を山登りになぞらえて「最初は頂上を目指して登っているが、見晴らしの良いところに来ると視界が開けて、次に何をやるべきかが見える。また上に登ればもっともっと見える」と話し、常に挑戦し続ける意義を語りました。

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●平成29年度東海村子ども科学クラブで科学実験実施 (1-2月に3回、中丸コミュニティセンター) 
  東海村が平成26年度から村内の小学5・6年生を対象に実施している「東海村子ども科学クラブ」で、J-PARCセンターは、広報セクションの宇津巻竜也氏ら2名が講師となって、1月15、29日及び2月19日の3回、それぞれ「不思議な光の実験」、「結晶を作ってみよう」、「走れ!回れ!磁石の魔法」をテーマに工作なども取り入れた科学実験を行いました。各回、村内各小学校からの応募者から抽選で選ばれた10名程度が参加して、結晶、光、磁石などの実験を通して科学の知識を深めていました。

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●J-PARC科学実験教室「何もないのに何かある!真空の科学」 (2月10日、原子力科学館・東海村) 
 
  茨城県原子力協議会が運営する原子力科学館のバレンタインイベントが1〜4月にかけて開催されています。J-PARCセンターは、10日、広報セクションの坂元眞一氏と宇津巻竜也氏が科学実験教室で協力参加しました。午前と午後の2回、各60名の希望者を募り、真空をテーマにいろいろな実験を披露しました。まず、空気についての実験では、容器の中の空気の重さを測ることから始まり、日常私たちに圧し掛かる空気の重さをレンガに例えました。続く真空実験では、吸盤、マグデブルグの半球の実験で、半割りの容器を引きはがす試み、真空中の音、温度などの伝わり方などの実演。最後の真空砲実験では、ピンポン玉がアルミ管を突き破るものでした。多数の親子連れが、真空の科学を堪能していました。
   
●J-PARC2017年度フォトコンテスト受賞作品 (1月31日、J-PARC) 
   
  J-PARCで研究・業務に従事している全ての方を対象に、「フォトコンテスト2017」を実施し、今年度は、中性子利用セクションの服部高典氏の作品が最優秀賞に選ばれました。服部高典氏は、MLFの中性子ビームラインBL11「超高圧中性子回折装置PLANET」の装置責任者の一人で、受賞作品は、装置心臓部となる6軸型マルチアンビルプレス「圧姫」を撮影したもの。写真に見える上下のピンク色と赤色、周り4つの合計6つのラムは、中心部に置かれた試料に対して数十万気圧の圧力を加える腕に当たり、試料を圧し潰さんとしている力強さを伺わせるものです。実験施設ならではの「美」を、受賞作品でご紹介します。
  J-PARCホームページよりご覧ください。
  http://j-parc.jp/PhotoCon/2017results/index.html

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●Workshop of Sand Painting 開催 (2月9日、KEK東海ドミトリー) 
 
  毎回海外からも多数の研究者が出席するT2K (Tokai to Kamioka) 実験コラボレーションミーティングに合わせて、J-PARCセンターは、砂絵体験教室を開催しました。教室には海外からの研究者ら18名が参加し、桜、カワセミ、富士山、花火の4種類の絵柄から1つ選んで、作品作りに取り組みました。参加者の多くは、日本のシンボルとなる富士山を選び、完成した砂絵をフレームに入れて記念に持ち帰りました。

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●TIA Flower arrangement class 開催 (2月8日、原子力科学研究所) 
 
  J-PARCセンターは、東海村国際交流協会 (TIA:Tokai-mura International Association) などとの共催の生花教室を、2月8日に開催しました。今回は、桃の節句が近いことから、桃の花を主枝に使い、チューリップとスイトピーを客枝に使って春を表現しました。教室にはJ-PARCや原子力科学研究所で働く外国人研究者ら10名ほどが参加し、TIAの先生指導のもと、熱心に作品制作に取り組みました。

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●ご視察者など
 
    1月 24日  文部科学省 稲葉典俊 大臣官房会計課会計監査企画官 他4名
2月  6日  経済産業省 資源エネルギー庁 吉村一元 放射性廃棄物対策技術室長
兼 放射性廃棄物対策広報室長 他2名
   
●加速器運転計画
  3-4月の運転計画は、次の通りです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。

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