センター長からの平成25年 (2013年) 年頭挨拶

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  2013年明けましておめでとうございます。皆様、穏やかな新年を迎えられたこととお喜び申し上げます。


  私も、2012年7月、永宮前センター長からJ-PARCセンターの舵取りという重責を引き継いでから、皆様のご協力とご支援のもと、無事新しい年を迎えることができました。


  2012年のJ-PARCの歩みは、震災からの確実な回復と、堅実かつ力強い前進を、日本国内のみならず世界中の研究者に実感させるものだったと思います。世界最強ビームの安定供給を目指すインテンシティ・フロンティア施設として、初めて遭遇する幾多の課題や困難を克服していく経験が、自信となり、さらに目標達成の「確信」へと変わった年でもありました。素粒子物理分野での新事象:ミューニュートリノから電子ニュートリノへの変化の「発見」、5σの達成は、以前は遠くに聳え立つ山の頂でしたが、確実に歩を進め、現在はその頂が目前に迫っています。秋から300kWビーム供給が始まった中性子・ミュオン実験施設では、新しいビームラインの完成、産業利用の裾野拡大などの充足感・満足感の反面、さらなる成果の創出、飛躍への責任を感じています。2012年後期最後の運転サイクルになって、ハドロンにもパワーや質共にこれまでで最高のビームが届き、12月27日早朝のビーム停止まで、施設は大勢の学生であふれていました。 まだ先は長いかもしれませんが、ゴールへの道筋を確信した一年であったと総括します。


  今年2013年前半を展望するならば、 まず「世界で初めてニュートリノの新事象を『発見』した」というニュースが期待されます。これと同時に、ハドロン施設へのさらにハイパワー高品質のビーム供給も達成されているはずです。中性子・ミュオン実験施設には、300kWビーム安定供給を継続され、さらに大きな研究成果が期待されます。2013年後半は、J-PARCがインテンシティ・フロンティアとしての足ごしらえを完結するときです。全てのプロセスが、まだ誰も経験したことのない世界へ旅するための重大な意味/役割を持っています。特に加速器では、考えうる限り全ての準備をしなければなりません。また、今秋は、震災を乗り越えて順調に走り始めたJ-PARCのこれまでの成果を世界に発信するJ-PARCシンポジウムを開催する予定です。


  2013年は2012年の「確信」が、J-PARCの「核心」となるインテンシティ・フロンティア「革新」へいざなう年です。既に中性子ではパルスあたりで、ミュオンではミュオン引き出し効率で世界最高強度を達成し、ニュートリノは世界の先頭を疾走し、ハドロンK中間子では着実な一歩が世界に発信されています。「確信」-「核心」-「革新」3つの「カクシン」を掲げて、国/地方行政庁、産業界の皆様のご協力とご支援のもと、J-PARCスタッフと共に、2013年もJ-PARCのさらなる極みに向かって着実に歩みをすすめたいと思います。


  最後になりますが、今年2013年が皆さまの最良の年になることを祈ります。