■ J-PARC News 第37号より       (2008/4) 
●前置検出器用電磁石の搬入
 かつて欧州合同原子核研究機構(CERN)では、陽子−反陽子衝突型加速器で行われたUA1実験で1983年にWボソン粒子とZボソン粒子を発見し、この成果により翌年Carlo Rubbia(カルロ・ルビア)らがノーベル物理学賞を受賞した。 この実験に使用された巨大な電磁石が、今度J-PARCのT2Kニュートリノ実験の前置検出器に使用されることとなり、現在CERNからの輸送が行われている。
 3月28日には、CERNから運搬された第1便の電磁石用架台を常陸那珂港からJ-PARC内へ搬入した。また、電磁石ヨーク、電磁石コイルを順次搬入し6月30日までには電磁石として組上げられ、その後、前置検出器の縦坑内に据付ける予定。
 詳細な記事は、http://www.kek.jp/ja/news/press/2008/T2Kmagnet.html、又はhttp://www.jaea.go.jp/02/press2007/p08033102/index.htmlをご覧下さい。

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●J-PARC利用者協議会(3月18日)
 建設協定と運営協定に基づく利用者協議会がJAEA東京事務所にて開催されJ-PARC加速器の現状と展望に関する報告や、各コミュニティ(高エネルギー・原子核・中性子・ミュオン・核変換・産業界)等における、実験内容や装置に関する計画と展望などが報告・議論された。
 詳細については、利用者協議会HPをご覧ください。
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●日本物理学会第63回年次大会シンポジウム(3月25日)
 近畿大学で開催された年次大会シンポジウムで、J-PARCの中性子・ミュオン利用実験施設での実験体制や実験装置、期待されるサイエンスなどについての講演が行われ、約180名の参加者があった。
 詳細については、J-PARC物質・科学生命実験施設HPをご覧下さい。
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●特集:J-PARCを利用して出来ること
< ミュオンは「磁気の顕微鏡」 >
 ミュオンは正又は負の電荷を持った素粒子の一つで、正電荷の場合は陽子の9分の1の質量を持つ「軽い水素原子核」として、また負電荷の場合は電子の207倍の質量を持つ「重たい電子」として振る舞うため、他の粒子では得られない知見を得ることができる。
 ミュオンは物質と相互作用するので、物質の状態を原子レベルで調べるのに適している。また光、電子線に次ぐ新しい「磁気の顕微鏡」としての利用も期待されている。 例えばスピン(地球の自転のように回転していること)の揃ったミュオンを物質に照射し、そのスピンがどのように変化していくかを調べることで、物質内部の磁気的状態を原子のレベルで観察することが出来る。高密度磁気記憶装置(大容量ハードディスクなど)研究開発への貢献などが期待される。
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●施設建設状況
(1) 加速器関連
 リニアックは、ビーム試験運転を再開。50GeVシンクロトロンは電磁石電源装置の調整、通電試験、セプタム電磁石の設置等を進めた。
(2) 実験施設関連
 物質・生命科学実験施設は、中性子ビームライン据付け、遮蔽体設置、水銀ターゲットの着脱再試験等を実施した。原子核素粒子実験施設は、中央真空箱を標的下流部の所定位置に設置、真空試験を実施。 ニュートリノ実験施設は、崩壊領域下流部でのディケイパイプの設置、ハドロンビームダンプのモジュール単体組上げを実施、モニター棟では地下部躯体工事を終了した。

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●「J-PARCセンター」看板を設置
 J-PARCが設置されている、日本原子力研究開発機構東海研究開発センター原子力科学研究所正門に「J-PARCセンター」の看板を設置した。海外からの研究者等にも配慮して、英語表記になっている。
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●プレス見学会(4月16日)
 加速器運転停止期間を利用して、プレス関係者に対するリニアック、3GeVシンクロトロンの見学会を実施した。両装置はすでに運転を開始しているため、加速器トンネル内は放射線管理区域に指定されており、 安全管理及び放射線管理のための設備である、人的防護安全システム(PPS)のパーソナルキーシステムや、ハンドフットモニターでの検査などを、立入及び退出に際して経験してもらうことも出来た。 トンネル内では加速器担当者の説明を受けたり、加速器装置についての質疑応答を行いながら見学を実施した。

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●JAEA施設見学会(4月20日)
 科学技術週間の一環として原子力科学研究所の施設見学会と実験教室が開催された。J-PARCでは施設見学ツアーを実施、物質・生命科学実験施設を見学して頂いた。 今回、2つの実験ホールのほか、今後はビーム試験が開始されると立入りが出来なくなる水銀ターゲット(中性子が発生する装置)の設置されている放射化機器取扱い室を見学コースに入れ装置を真近に見て頂いた。437名の参加者があった。

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