■ J-PARC News 第92号より       (2012/11) 
●世界最高のパルスミュオン強度を達成
  J-PARC/MLFのミュオン実験施設では、超低速ミュオンビームライン (Uライン) を現在建設中。このUラインにおいて11月7日、 1パルス当たり世界最高のパルスミュオン強度を達成したことを確認した。これにより、同施設の低速・高速ミュオンビームラ イン (Dライン) が平成21年12月に達成した最高記録を、その20倍にまで塗り替えた。この成果は、超伝導ソレノイド電磁石など 軸収束系電磁石だけでビームラインを構成することで、ミュオン標的で生成したミュオンを高い効率で捕獲し、実験装置まで輸 送することが出来たことによる。この電磁石は、J-PARC/MUSEグループ (責任者:三宅康博ミュオンセクションリーダー (KEK物 質構造科学研究所教授) ) 等が低温セクション協力の下、開発された。今後、この世界最高強度パルスミュオンを超低速化して、 「超低速ミュオン顕微鏡」の実現や基礎物理研究の大きな進展が期待される。 (11/26、プレス発表) 
「超低速ミュオン顕微鏡」についての詳細記事は、KEKホームページ
 (http://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Highlights/20120920170000/) をご覧ください。

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●J-PARC/MLFで530kW試験運転を実施
  今後の高出力運転実現に向けて、加速器では様々なビームスタディが行われ、11月18日に、530kWの強度の陽子ビームが25Hz で物質・生命科学実験施設 (MLF) に入射された。MLFの水銀ターゲット容器は、陽子ビームの入射時に発生する圧力波により、 容器内面にピッティング損傷が発生することが大きな懸念事項となっている。これまでの研究により、ヘリウムガスの微小気 泡を水銀中へ流し込むことで、その圧力波を大きく減衰させる効果があることが分かった。既に気泡注入器を内蔵した新たな ターゲット容器を使用しており、10月には270kW、今回は更に高出力の430kW及び530kW運転で、ピッティング損傷の発生と相関 があると考えられるターゲット容器の振動を計測した。気泡を注入しない場合は、大強度ビームの入射で測定レンジを超過す るほどの振動が発生したのに対し、気泡注入により振動の強度、持続時間ともに大幅に低減し、気泡注入の効果が実証された。こ の成果を受けて、MLFは11月から270kWの利用運転を開始し、1パルスあたりの中性子束では世界最高レベルの性能をもつ中性子 源となった。

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●第1回J-PARCコロキウム開催 (11月20日) 
LHC時代における質量の起源 〜ヒッグス粒子を探し求めて〜
  第1回J−PARCコロキウムをいばらき量子ビーム研究センターで開催。講演内容は、欧州合同原子核研究機構 (CERN) で進められている、全ての素粒子に質量を与えると考えられている「ヒッグス粒子」などの新粒子探索実験について。講師に、欧米の研究者らが多数参加するCERNのCMS (Compact Muon Solenoid) 実験チームの前リーダーであるGuido Tonelli博士 (イタリア・ピサ 大学教授) を招き、物理学の『標準理論』で存在が予言され、唯一見つかっていなかった素粒子、『ヒッグス粒子』の発見に至る経緯、質量の起原や宇宙創成の謎の解明など、『ヒッグス粒子発見』による新たな科学の進展、さらには標準理論を超える新たな物理への期待について、ひじょうに興味深いお話を伺うことが出来た。
  なお、CMS 実験は、スイスとフランスの国境にまたがる大型粒子衝突型加速器「LHC」にて行われている2つの国際研究グループが進めている高エネルギーフロンティア実験の一つで、CERNは2012年7月4日には、この2つの実験でヒッグス粒子とみられる素粒子の存在を観測したと発表している。

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●加速器運転計画
  12月の運転計画は、下記の通りです。尚、運転計画は、機器の調整状況により変更が生じる場合がある。詳細は、J-PARCホームページの「J-PARCの運転計画」
http://j-parc.jp/ja/Operation/Operation-j12_0903_Shalf.htmlでご確認願います。


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●実験施設関連
  J−PARCの運転サイクルRUN#44は順調に進み、実験施設への陽子ビーム供給は12日朝に終了し、21日からのRUN#45に向け機器 のスタディ、調整などを進めた。3GeVシンクロトロン加速器では、夏期メンテナンス時に設置した機器のスタディなどが、また、 物質・生命科学実験施設 (MLF) では水銀ターゲットバブリング運転試験などが進められている。MLF第2実験ホールのミュオン実 験施設ではUラインの建設が継続実施中である。ハドロン実験施設では、二次粒子生成標的を「プラチナ」から「金」標的に交換 する作業が実施された。また、中性K中間子ビームラインでは、KOTO実験装置の建設が進められている。ニュートリノ実験施設で は、RUN#44の期間中、約200kWのビーム強度で東海〜神岡間長基線 ニュートリノ振動実験 (T2K) のデータを順調に蓄積した。ま た、RUN#45においても継続して実験を進めている。

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●平成24年度茨城県表彰式 (11/13 茨城県庁) 
  永宮正治 前J-PARCセンター長 (現アドバイザー) は、世界最強の大強度陽子加速器施設 (J-PARC) の設計・建設の責任者として尽力され、茨城県の科学技術の振興に貢献したとして「功績者」表彰を受けた。表彰式は、11月13日の県民の日に茨城県庁講堂で行われ、県勢の発展等に大きな功績があった33個人、12団体が受賞した。

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●財団法人常陽地域研究センターの取材 (11/6) 
  茨城県内の経済・産業・社会・まちづくり等に関する調査・研究を行っている財団法人常陽地域研究センター (常陽ARC) が、J-PARCを取材。常陽ARCは毎月機関誌「JOYO ARC」を発行しており、J-PARCは2012年12月号のグラビアに掲載される予定。
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●IUCrHP2012/QuBS2012国際会議開催 (9月23日〜27日) 
  国際結晶学連合 (IUCr) 高圧コミッションワークショップ「高圧下の結晶学の進歩」と日本原子力研究開発機構 (JAEA) 量子ビーム応用研究部門国際シンポジウムの合同会議がJAEA主催で、ホテルレイクビュー水戸 (水戸市) で開催された。参加者は、95名 (国外34名) 。基調講演1件、部門およびプロジェクト紹介各1件、招待講演25件、一般講演11件、ポスター発表44件があった。会議では、10分野  (相転移、液体・非晶質、磁性・電子状態、有機・生体物質、水・氷、材料科学、化学、地球惑星科学、理論・計算科学、高圧技術) に亘るセッションで、高圧にかかわる幅広い分野の最新の成果が発表されるとともに、活発な議論が行われた。26日の高圧技術分野のセッションでは、J-PARC中性子利用セクションの服部高典 (JAEA研究副主幹) 氏から、J-PARC/MLFに新たに建設された超高圧中性子回折装置「PLANET」についての現状報告が行われ、10月からの利用開始なども紹介された。また、午後にはJ-PARCツアーが実施され、実験装置の見学が行われた。

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●ご視察等
   10月 26日  フランス国立重イオン加速器研究所 (GANIL) Sydney Gales元所長
   11月   5日  原子力システム研究懇談会 後藤茂氏 (元衆議院議員) 
    11月   7日  ドイツ電子シンクロトロン研究所 (DESY) 国際共同実験ZEUS実験共同研究者
    11月   7日  国際希ガス実験 (INGE) ワークショップ参加者
    11月 20日  スイスCERN CMS実験チーム前リーダーGuido Tonelli博士

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