■ J-PARC News 第114号より       (2014/10) 
●高温高圧中性子回折による鉄中の新しい水素位置の発見
  高温高圧下における鉄中の水素が、既存の定説とは異なり、鉄原子の作る面心立方構造の四面体サイト内部にも存在することを、物質・生命科学実験施設にある大型高圧プレス「圧姫」を搭載した超高圧中性子回折装置「PLANET」を用いて解明した (下図) 。この発見により、鉄鋼材料の高品質化・高強度化や地球内部のコアに存在する鉄など、鉄と水素が関わる研究の進展が期待される。本研究は、原子力機構 (JAEA) 量子ビーム応用研究センター、J-PARCセンター、東北大学金属材料研究所、その他の機関との共同研究成果である。研究成果は、9月26日付、英国科学雑誌『Nature Communications』にオンライン掲載された。
  詳細については、ホームページhttp://j-parc.jp/ja/topics/2014/Pulse140926.htmlをご覧ください。
   

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●平成26年度JAEA理事長表彰で「研究開発功労賞 特賞」受賞
  平成26年度JAEA理事長表彰で、J-PARC加速器ディビジョンがリニアックにおける陽子ビーム400MeV加速の成功について「研究開発功労賞 特賞」を受賞した。これは、ACS (Annular-ring Coupled Structure) 型加速空洞や、これを駆動するための972MHzクライストロン高周波電力源の成功等により、リニアックの400MeV加速に成功したものである。この成果はJ-PARCの設計ビーム強度の実現にむけた大きな前進であり、学術研究や科学技術の進展になお一層の貢献をすることが期待される。また、ACS加速空洞は、世界で初めて陽子加速器として実用化に成功したことから、国内外で非常に注目されている。10月6日の表彰式では、加速器ディビジョン長の小関忠氏が代表して表彰状を受け取った。また、J-PARCからは他4件で関係者が各賞を受賞した。 (詳細については下記一覧をご参照ください。) 

   

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●第21回先端的中性子源国際協力会議 ICANS-XXI (9月29日〜10月3日、水戸市) 
  核破砕中性子源に関わる世界8カ国の主要研究機関・施設から、研究者など約220名が参加し、茨城県立県民文化センターで標記会議を開催した。研究分野別の11のワークショップの他、会場の参加者が議論に加わるユニークな試み「Blue Sky Session」と題したパネル討論を行い好評であった。発表件数は約210件、企業広告・展示は28社。会議は、開催期間を通して活発な質疑応答が行われ、盛況下に終了した。最終日のJ-PARCツアーには約90名が参加し、希望する装置ごとに分かれ、各実験装置を詳細に見学した。

   

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●大空マルシェ in 大神宮・村松山虚空蔵堂 (10月12日、東海村) 
  東海村の文化と歴史の魅力を次世代に伝える事を目的とした標記イベントが、東海村観光協会の主催で開催された。今回、J-PARCは、 (公社) 茨城原子力協議会と合同で『科学実験コーナー』を設置した。低温の世界を体感してもらおうと、約マイナス200℃の液体窒素で花やゴムボールなどを凍らせ、その変化を楽しんでもらった。花は皮手袋をつけた手で握ると粉々に、ゴムボールはゴムがガチガチに固まり、中は真空に近い状態のため硬い地面に落とすとパーンと大きな音とともに粉々に割れる。他にも、超伝導体を低温に冷やして、磁石で作ったレールの上を走らせる実験や、自然放射線を見る霧箱観察体験も行った。子供から大人まで多くの方に参加いただき、大盛況だった。

   
   
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●加速器運転計画
   
  11月の加速器運転は下記の通り。尚、運転計画は機器の調整状況により変更が生じる場合がある。

   

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●実験施設関連
   (1)  リニアックでは、調整運転でビーム電流を従来の30mAから50mAに増強し、3GeVシンクロトロンへの輸送に成功した。
   (2)  物質・生命科学実験施設では、水銀ターゲット容器のビーム窓部などを改良した新型容器への交換を実施した。
   (3)  ハドロン実験施設では、原子力規制庁から放射線発生装置の変更許可が9月上旬におりたので、9月中旬より標的の交換を実施した。

 

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●平成26年度J-PARC安全監査 (10月21日) 
 
  J-PARCでは、安全管理体制強化の一環として、安全管理・危機対応体制について外部有識者の視点で見直すべき部分を抽出して頂き、改善することを目的に、今年度から安全監査を実施することとした。監査員は、安全・人間工学を専門とする高野研一慶応義塾大学教授、放射線理工学を専門とする石橋健二 九州大学教授にお願いした。当日は、池田裕二郎J-PARCセンター長が主旨説明、馬場護 副センター長が「J-PARCの概況」、石井哲朗 安全ディビジョン長が「J-PARCの安全管理の全体説明」を行い、その後、監査員により、センター長や副センター長、安全部門のリーダー、放射線取扱主任者などに対して聞き取り調査が行われた。また、J-PARCの各施設でも、現場視察と施設管理責任者、放射線発生装置責任者などから聞き取り調査が行われ、最後に全体の講評を受けた。

   

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●The 10th NOBUGS 2014 (9月24〜26日、KEKつくばキャンパス 小林ホール) 
  NOBUGS (New Opportunities for Better User Group Software) は、放射光、中性子、ミュオンの大型研究施設のソフトウェア開発者 (研究者、IT技術者) が集まって情報・意見交換するワークショップ (WS) 。今年は、J-PARCがホストとして選ばれ、J-PARCセンター主催、高エネルギー加速器研究機構 (KEK) 、総合科学研究機構 (CROSS) 共催で、9月29日〜10月3日に開催のICANS-XXIのサテライトとして開催した。登録参加者は68名 (国内32名、国外36名) で、口頭発表は招待講演を含めて27件、ポスター発表は29件。招待講演として、東京大学大学院の常行 真司教授など4名の方から講演を頂いた。また、国内外の様々な大型施設におけるソフトウェア開発状況が関係者から紹介された。ポスター発表では、参加者の投票で、最優秀 (茨城大 矢野氏) 、優秀賞 (CROSS花島氏など) が選ばれた。

   

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●国際シンポジウム「放射性廃棄物低減に向けた現状と将来の展望」 (10月9〜10日、東京) 
  原子力利用に伴い発生する使用済み燃料の問題は、世界共通の課題となっており、この課題解決に向け、日本や欧米など世界各国で放射性廃棄物低減に向けた取組みが行われている。今回、原子力機構 (JAEA) は、一般の方を対象に標記シンポジウムを開催し、諸外国、および国内研究機関・大学・企業などからの参加をいただき、課題解決に向けた取組みや将来の展望などについて現状報告を行った。
  J-PARCに関わる報告は、JAEA戦略企画室 (兼原子力基礎工学研究センター (NSEC) 、J-PARCセンター) の大井川宏之氏が、「加速器による放射性廃棄物の低減」と題し、加速器駆動システム (ADS:Accelerator-driven System) 全体概要などについて報告した。また、NSEC核変換システム開発グループ (兼J-PARC核変換セクション) の辻本和文氏が「加速器駆動システム (ADS) を用いた核変換技術」と題して、ADSにおける研究内容及び大強度陽子加速器プロジェクトJ-PARCが計画する核変換実験施設の詳細内容などについて報告した。

   

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● (公財) 高エネルギー加速器科学研究奨励会「第4回特別講演会」 (10月10日、東京) 
  高エネルギー加速器科学研究奨励会 (2011年に財団法人から公益財団法人に移行) は、毎年10月に各研究分野で活躍中の加速器科学専門家を迎え講演会等を開催している。今年は、J-PARC/物質・生命科学実験施設 (MLF) が産業界にどのように利用されているのか、施設の概要などを池田裕二郎J-PARCセンター長が、また、2本の中性子ビームラインを持つ茨城県の林眞琴 企画部技監が、中性子の産業利用の状況や研究成果などを紹介した。

   

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●ご視察等
    10月 21日  米国エネルギー省 (DOE) Office of Basic Energy Sciences, Harriet Kung次長、
              DOE Scientific User Facilities Division, James B. Murphy部長、
              米国SLAC国立加速器研究所 Chi-Chang Kao所長

   
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