研究内容の紹介 | 施設の紹介 |
ハドロン実験施設では、大強度の一次陽子ビームによってK中間子、π中間子等の二次ビームの強度を飛躍的に高めることができます。現在ハドロン実験ホール内には4本のビームラインが設置されており、以下のような様々な原子核・素粒子物理学の実験研究が行われています。また、高エネルギーの一次陽子ビームを直接用いる実験も企画されています。
ハドロン実験施設は、50GeVシンクロトロン加速器から取り出された一次陽子ビームをハドロン実験ホールまで輸送し、様々な原子核・素粒子物理学の実験に利用する施設です。加速器から取り出された陽子ビームは、スイッチヤード(SY)と呼ばれる200mの区間を一次ビームラインで輸送され、ハドロン実験ホール内の二次粒子生成標的(T1)に照射されます。二次粒子生成標的では最大50%のビームが二次粒子の発生に消費され、放射線による発熱から二次ビームライン最上流部の電磁石を保護するため、大型真空箱が設置されています。二次粒子生成標的で生成したK中間子、π中間子、反陽子等の二次粒子は、二次ビームラインでそれぞれの実験エリアに輸送され、実験に利用されます。ハドロン実験ホールの最下流にはビームダンプが設置され、陽子ビームは安全に吸収されます。
200mと比較的長い区間であるスイッチヤードには別の役割があります。一次ビームラインの途中で陽子ビームを2%程分岐してハドロン実験ホールに輸送し、高い運動量の陽子ビームを原子核・素粒子物理実験に使用するための高運動量ビームラインや、小さい二次粒子標的を設置してテスト実験のためのビームラインを将来建設できるようになっています。 また、ハドロン実験ホールは将来ビームに沿って下流に拡張できるように設計されています。拡張された実験ホールに二次粒子生成標的と二次ビームラインを建設すると、より多くの実験を同時に行うことができます。