■ J-PARC News 第136号より       (2016/08) 
●T2K実験、ニュートリノの「CP対称性の破れ」の解明に第一歩を踏み出す
 (8月7日、プレス発表) 
  T2K (Tokai to Kamioka) 実験国際共同研究グループは、ニュートリノと反ニュートリノでは電子型ニュートリノへの出現が同じ頻度では起きない、すなわち「CP対称性の破れ」があることを示唆する実験結果を得ました。T2K実験では、2013年7月にミュー型ニュートリノが飛行中に電子型ニュートリノへ変化するニュートリノ振動を発見し、その後の実験では、宇宙の物質起源の謎を解明する鍵を握ると考えられている粒子と反粒子の性質の違い (CP対称性の破れ) を実験的に明らかにするために、反ミュー型ニュートリノが反電子型ニュートリノへ変化する反ニュートリノでの振動現象の観測を進めてきました。今年5月に、スーパーカミオカンデ検出器に向けて発射した反ニュートリノの生成量は、ニュートリノとほぼ同量となり、同グループはこの実験結果について、8月7日に米国シカゴで開催された高エネルギー物理学に関する国際会議 (ICHEP) で発表しました。詳しくは、J-PARCホームページをご覧ください。http://j-parc.jp/ja/topics/2016/Press160808.html
   


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●J-PARC施設4年ぶりに一般公開 (7月31日、J-PARC) 
  J-PARC施設の一般公開を2012年以来4年ぶりに実施しました。J-PARCでは、夏場のこの時期、メンテナンスのため運転を停止していて、普段一般の人が立入ることが出来ないMR (Main Ring) 加速器 (50GeVシンクロトロン) やニュートリノ実験のための超伝導電磁石によるビームライン、物質・生命科学実験施設 (MLF) 、ハドロン実験施設を公開しました。昨年春に竣工したJ-PARC研究棟では、施設や研究、安全への取組みなどの紹介ブースを設け、来場者からの質問や疑問に答えました。また、最先端科学についての講演会、トークイベント「素粒子サロン」、J-PARCに関する何でも質問コーナー、水素をテーマとしたサイエンスカフェなどの企画も用意し、子どもから大人まで多くの方々に楽しんでいただけたと実感しています。好天にも恵まれ、県内外から約1,600名の方にご来場いただきました。

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●第13回日本加速器学会年会 (8月8〜10日、千葉幕張メッセ 国際会議場) 
  加速器学会年会が、8日から3日間、千葉幕張メッセ国際会議場で開催されました。会議では、加速器各分野の研究者や技術者が成果発表および情報交換などを行い、更には研究機関相互の交流および密接な連携の促進が図られました。今回、口頭発表とポスター発表が全体で約370件、そのうちJ-PARC関係の発表は約60件でした。また、若手研究者を対象として優れた発表者に贈られる年会賞受賞者の一人に、J-PARC/MR加速器に関わる装置開発について口頭発表した加速器第5セクションの栗本佳典氏が選ばれました。
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●施設の状況
   (1) リニアックでは、機能分離型ドリフトチューブリニアック (SDTL) の一部について、空洞内面の洗浄作業を実施しました。
   (2) 物質・生命科学実験施設では、 7号機水銀ターゲット容器の不具合を生じた溶接個所の内部調査に向けた準備作業を精力的に進めています。
   (3) MR加速器 (50GeVシンクロトロン) では、高周波加速空洞の交換作業を実施しました。
   

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●平成28年度J-PARC/MLF産業利用報告会 (7月21-22日、東京秋葉原コンベンションホール) 
  J-PARCセンター、茨城県、総合科学研究機構 (CROSS東海) 、中性子産業利用推進協議会は、これまで各々に開催してきたMLFの中性子利用成果報告会を、21-22日に東京で、J-PARC/MLF産業利用報告会として初めて開催し、民間企業、大学、研究機関などから約250名の参加者がありました。初めに、齊藤直人J-PARCセンター長から開会挨拶があり、続いて、文部科学省の上田光幸量子研究推進室長から同省を代表して挨拶がありました。J-PARC/MLF、茨城県ビームライン (BL) 、共用BLの各セッションでは、最新の研究成果など、2件の特別講演を含む19件の報告が行われ、質疑応答も活発に行われました。詳しくは、中性子産業利用推進協議会のホームページをご覧ください。http://www.j-neutron.com/
   

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●J-PARCハローサイエンス夏休み理科実験教室〜ナミナミならぬ波のパワー〜 (7月26日、8月5日、25日、東海村立図書館) 
  夏休みの期間に、東海村の小学5〜6年生を対象として、今年は"波"について勉強するJ-PARCハローサイエンスを3回に亘って開催しました。波には光波、音波など色々な波があることを説明し、まずは身近な太陽の光で波の性質について考えました。天気の良い日中の空が青く、また夕陽の空は赤く見える理由を波の性質で説明し、「光の万華鏡」を作って太陽や蛍光灯の光で絵模様の見え方の違いを体験しました。その後、ストローを使った実験道具を作り、波の伝わり方を学びました。各回12名の定員に2倍近い応募があり、村内小学生の関心の高さがうかがえました。

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●講演会「ニュートリノ すごい!〜ノーベル賞研究が世界を変えた〜」 (8月11日、原子力科学館) 
  J-PARCセンターは、原子力科学館の夏休みのイベントとして、J-PARCでの研究を題材に講演会を行いました。坂元眞一広報統括アドバイザーが講師を務め、ニュートリノの基本からT2K実験での最新の研究成果に至るまで、分かりやすく話をしました。午前と午後の2回、定員40名の会場には、多くの子どもたちが講演を聞きに訪れ、クイズや効果音入りの映像による解説に、"面白かった"との感想が聞かれました。また、会場に展示した、スーパーカミオカンデに使われているものと同じ光電子増倍管を見て、実験の一端を実感しているようでした。

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●ご視察者など
    8月 17日  文部科学省研究振興局基礎研究振興課 轟渉 素粒子・原子核研究推進室長
   
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