■ J-PARC News 第140号より       (2016/12) 
●パルス中性子を用いてタンパク質単結晶の回折斑点強度を高精度に決定する手法の実
用化に世界で初めて成功〜茨城県生命物質構造解析装置iBIXにより確立〜
 (12月16日、プレス発表) 
  茨城大学フロンティア応用原子科学研究センターの矢野直峰助教らとJ-PARCセンターのグループは、タンパク質単結晶のパルス中性子回折において、回折斑点強度をより高精度に決定するプロファイルフィッティング法を実用化することに成功しました。本手法は、回折データ処理ソフトSTARGazerに実装され、ユーザーが容易に利用できるようになるため、エネルギー問題や創薬などの分野の研究開発に貢献することが期待されます。この成果は、茨城県生命物質構造解析装置 (iBIX) を使った実験で確立され、12月1日に英国科学誌「Nature」の姉妹誌でオープンアクセス誌の「Scientific Reports」に掲載されました。
  詳細については、J-PARCホームページをご覧ください。http://j-parc.jp/ja/topics/2016/Press161216.html


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●第1回中性子・ミュオンスクールの開催 (11月22〜26日、いばらき量子ビーム研究センター、MLF) 
  11月22日から26日にかけて、日本中性子科学会、日本中間子科学会、JAEA、KEK、総合科学研究機構 (CROSS) などとの共催で、J-PARCセンターはMLFのビームラインを使用した「第1回中性子・ミュオンスクール」を開催しました。本スクールは、アジア・オセアニア地域の大学院生と若手研究者などを対象にして開催されたもので、昨年まで3回実施した「MLFスクール」を引き継いだものです。参加者は29名で、そのうち海外からの参加者が16名と多数を占めました。スクールの学校長は日本中性子科学会会長の鬼柳善明教授 (名古屋大学) が務め、各講義の講師には、MLFに関係する大学教授の方々などを招きました。講義の合間に、J-PARCの実験施設の見学、研究用原子炉JRR-3の中性子ビームホールの見学が行われました。また、中性子・ミュオンビームを使った実習では、生徒は希望する装置での9つの実習グループに分かれ、それぞれの装置担当者の指導のもとにビームを使った実践的な実験、データ解析を行いました。最終日には、各班によるプレゼンテーションでの成果報告を行いました。また、物質生命科学ディビジョンの金谷ディビジョン長によるサイエンスセミナーも行われ、最後に、鬼柳校長から参加者の一人一人にスクール修了証が渡されました。スクール参加者からは「大変に勉強になった」との声が聞かれました。

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●J-PARC安全監査実施 (11月22日、J-PARC) 
  11月22日、外部監査委員2名 (専門:安全・人間工学、放射線理工学) を招いた平成28年度のJ-PARC安全監査が行われました。センター長、副センター長、安全ディビジョン長、各施設管理責任者等が、主にこの1年間の安全管理の実施状況について聞き取りを受け、昨年3月に完成したハドロン南実験棟の現地視察も行われました。講評では、各施設における自律的な安全管理・活動が有効に機能していることが評価されました。さらに各委員より、作業ごとに業者やユーザーの方から気がかり情報等を収集することや、どうしたら事故が起こせるかといった逆転の発想によるリスクアセスメントが有効であることなど、貴重な指摘や提案を頂きました。
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●第3回TEFテクニカルアドバイザリー (T-TAC) 委員会の開催 (12月12〜14日、J-PARC) 
  J-PARCにおける核変換実験施設 (TEF : Transmutation Experimental Facility) の建設に向け、12月12日から14日にかけて、J-PARCセンターは国内外の専門家を招聘した第3回TEFテクニカルアドバイザリー (T-TAC) 委員会を開催しました。委員会メンバーは、まず、核変換実験施設の実現に関わる要素技術開発の実験装置を見学。続く委員会では、齊藤直人J-PARCセンター長らが、T-TACの責務とJ-PARCやTEF計画の概要を説明しました。その後、TEF開発チームが施設の詳細設計、要素技術開発の状況、安全設計など約20件の報告を行い、活発な意見交換が行われました。最後に委員長を務めたベルギー原子力研究センターのMarc Schyns氏から、TEF建設に向けて今後さらに検討すべき課題等に関する提言が示されました。
※加速器駆動システム (ADS:Accelerator-driven System) 
   

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●第14回日本中性子科学会賞の技術賞を受賞 (12月1〜2日、名古屋大学) 
  第16回日本中性子科学会年会において、J-PARCセンターの「ダイナミクス解析装置DNA建設グループ」が、第14回日本中性子科学会賞の技術賞を受賞しました。MLF中性子ビームラインBL02のダイナミクス解析装置「DNA」の実用化に貢献した功績が評価されたものです。学会賞の授与式は、12月1日と2日に名古屋大学で開催された第16回年会の初日に行われ、J-PARCセンター中性子利用セクションの柴田薫氏がグループを代表して鬼柳善明会長から賞状と副賞を受け取りました。DNAは、生体物質、ソフトマター、機能性材料、磁性物質などの広い研究分野で原子や分子やスピンなどの運動メカニズム (ダイナミクス) を解明する目的で建設された、ナノ秒領域の詳細な原子・分子・スピン運動状態などを測るのに適した装置です。
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●The International workshop on future potential of high intensity proton accelerator for particle nuclear physics:HINT2016の開催 (12月5〜8日、いばらき量子ビーム研究センター) 
  国際ワークショップ「HINT2016」が、12月5日から8日の4日間、146名の参加者を集めて開催されました。本ワークショップは昨年からJ-PARCで開かれており、大強度加速器施設の将来の展望や、大強度ビームによって拓かれる新たな物理に焦点を当て各種報告と議論を行っています。今回のHINT2016は、KEKフレーバーファクトリー (KEK-FF) ワークショップとの共同で開かれ、B中間子、タウ粒子などを含めた「フレーバー物理」を広くカバーする内容となりました。J-PARC及びSuperKEKBプロジェクトに関わる研究者のみならず、海外の主要なプロジェクトからも研究者を講演者として招待し、理論家・実験家を問わず新たな物理を探究する志を共にする研究者が一堂に会して、今後の研究発展のための情報交換や議論が行われました。
   

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●研究会"Towards high precision muon g-2/EDM measurement at J-PARC"の開催 (11月28〜29日、J-PARC) 
  J-PARCのMLFのミュオン実験施設Hラインでは、「異常磁気能率g-2」と呼ばれるミュオンの磁力の強さを、これまでに無い全く新しい実験手法で精密測定する計画が進められています。この計画の実現のため、J-PARCセンターは、JICFuS (計算基礎科学連携拠点) との共催で、g-2の計算や実験の精度向上の実現を図るための研究会を開催しました。研究会には、世界12カ国から54名 (海外から23名) の研究者らが参加し、新しい理論手法や実験技術に関して活発な議論が行われました。研究会終了後には施設見学も行われ、参加者からはJ-PARCでの計画の実現に期待を寄せるコメントが聞かれました。

  素粒子の一つであるミュオンは、それ自身の自転にともない小さな磁石としての性質を持ちます。そして、その磁力の強さg-2は素粒子標準模型を用いて実に7桁の精度で計算することができます。ところが、米国のブルックヘブン国立研究所で行われた先行実験の結果、実験値とこの理論値との間にわずかなズレを示しており、標準模型の綻びを示しているのかもしれないと注目されています。このため、ミュオン実験施設Hラインでの独立な検証には大きな期待が寄せられています。
   

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●J-PARCハローサイエンス「"アトム"から"超弦"へ -素粒子に魅せられた科学者たち-」開催 (12月5日、イオン東海店) 
  J-PARCセンターは今月より、JR東海駅前のイオン東海店フードコートを会場として、研究者と地域の方の交流を目的としたイベント「J-PARCハローサイエンス」を始めました。12月5日に第一回目を行い、坂元眞一広報統括アドバイザーが万物を形づくっている“素粒子”をテーマに取り上げて、ミクロの粒子を探ろうとしてきた多くの科学者の奮闘の歴史をたどりながら、究極の素粒子の姿に迫るお話をしました。来年1月からは東海村の後援も受け、毎回話題を変えてイオン東海店を中心に開催する予定です。日程、内容などについてはポスターなどでお知らせ致します。立ち寄り自由ですので是非お越し下さい。
   

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●ご視察者など
    11月 29日  フランス国立科学研究センター (CNRS)  原子核粒子物理学研究所  (IN2P3) 
Reynald Pain所長
    12月 15日  米国大使館 Gibson Neil事務官 他
   
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●加速器運転計画
  1月の運転計画は、次のとおりです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。
   

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