■ J-PARC News 第149号より       (2017/09) 
●RaDIATE国際共同研究への参画に伴う覚書の署名式 (9月20日、J-PARC) 
  9月20日より3日間に亘り、大強度陽子加速器の標的や窓材料の放射線損傷に関する研究を推進するための国際共同研究協力体制RaDIATE (Radiation Damage In Accelerator Target Environments) の第4回コラボレーション会議が東海村で開催されました。そして会議中の9月20日、J-PARCで、同コラボレーションの研究プログラムを管理する米国フェルミ国立加速器研究所 (FNAL) のHurh Patric氏の立ち合いの下、齊藤直人J-PARCセンター長がJ-PARCの参画に伴う覚書に署名しました。RaDIATEコラボレーションは、2013年より欧米の5機関で開始され、現在は11機関が参加する国際協力体制をとっています。このコラボレーションに参画することで、J-PARCにおける実験の二次粒子生成標的やビーム窓の性能向上など、施設の長期安定運転に繋がる知見が得られると考えられるため、2016年よりJ-PARCセンターも加盟を希望し、今回実現の運びとなりました。

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●生体適合性高分子材料の水和状態と分子構造因子の相関を解明 (8月29日、プレス発表)  - 医療用高分子材料の革新的性能向上への応用に期待 -
  九州大学 先導物質化学研究所/カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の高原淳教授と檜垣勇次助教らの研究グループは、高輝度光科学研究センター (JASRI) の池本夕佳博士、森脇太郎博士、高エネルギー加速器研究機構 (KEK) の山田悟史助教 (J-PARC中性子利用セクション) らとの共同研究で、大型放射光施設 (SPring-8) での赤外線分光測定と、物質・生命科学実験施設 (MLF) での中性子反射測定により、次世代高性能医療用材料として期待される双性イオン高分子の水溶液中でのナノ構造を解明しました。双性イオン高分子は、生体分子の構造を模倣していることから高い生体適合性を有し、今回、その発現メカニズムの知見が得られたものです。本研究成果は、2017年8月17日に米国化学会 (ACS) の国際学術誌「Langmuir」に、ACS Editor's Choice論文として掲載されました。また、本研究は、文部科学省光・量子融合連携研究開発プログラムによる助成を受け、JASRI及びKEKとの共同研究として実施されました。
  詳細は、J-PARCホームページをご覧ください。
  http://j-parc.jp/ja/topics/2017/Press170829.html
  ※BL16:中性子反射率計測定装置「SOFIA」

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●フラストレーションと量子効果が織りなす数奇な磁気励起の全体像を中性子散乱で観測 (9月8日、プレス発表) - 新しい磁気理論の指針を提示 -
  東京工業大学の伊藤沙也院生 (現千代田化工建設) 、栗田伸之助教、田中秀数教授、日本原子力研究開発機構 (JAEA) の中島健次研究主席 (J-PARC中性子利用セクションリーダー) 、河村聖子研究副主幹 (同セクション) 、KEKの伊藤晋一教授 (同セクション) らの研究グループは、三角格子反強磁性体の理想的なモデル物質「アンチモン酸バリウムコバルト (Ba3CoSb2O9) 」に着目、大型単結晶試料を作成し、中性子散乱を用いて、通常の磁性体で見られる磁気励起とは大きく異なる数奇な磁気励起についてその詳細を明らかにしたものです。この成果は、8月10日付の英国の学術誌「Nature Communications」の電子版に掲載されました。
  詳細は、J-PARCホームページをご覧ください。
  http://j-parc.jp/ja/topics/2017/Press170908.html
  ※BL14:冷中性子ディスクチョッパー型分光器「AMATERAS」

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●第10回国際ワークショップNBI2017/第4回RaDIATEコラボレーション会議 (9月18-22日、東海村産業・情報プラザ「アイヴィル」) 
  J-PARCセンターは、9月18日から22日に亘り、東海村の「アイヴィル」を会場に第10回国際ワークショップNBI2017/第4回RaDIATEコラボレーション会議を開催しました。1999年、高エネルギー加速器研究機構 (KEK) はニュートリノ振動実験を進める欧州原子核研究機構 (CERN) 、米国フェルミ国立加速器研究所 (FNAL) とNBI (International Workshop on Neutrino Beams and Instrumentation) を初開催、その後、各国持ち回りで開催を継続、ニュートリノ実験における課題や問題解決の方法などの情報交換を行ってきました。今後、二次粒子生成標的やその収納容器、陽子ビーム窓等は、より高い加速器出力に対応して行く必要があり、RaDIATE (Radiation Damage In Accelerator Target Environments) 国際共同研究コラボレーションの国際会議と深く関わることから、今回、両会議が東海村で共同開催されました。会議では、ネット中継による英米などの研究機関担当者の7件を含め、70を超える講演が行われ、有意義な議論が交わされました。また、関連施設の見学では、担当者と活発な質疑応答がなされました。

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●核のゴミを分別し、加速器と原子炉でリサイクル - ADSを用いた群分離・核変換技術 - 企画展示開催中 (8月1日〜12月21日 (予定) 、文部科学省情報ひろば) 
  日本原子力研究開発機構 (JAEA) は、文部科学省の「情報ひろば」 (旧文部省庁舎内) にて、8月1日から5ヵ月間に亘り、J-PARCが研究開発を進める加速器駆動システム (ADS) を用いた放射性廃棄物のスリム化に関する企画展示を行っています。原子力発電所から発生する核のゴミと呼ばれる放射性廃棄物も、身の回りのゴミと同じように分別してADSにより処理することで、捨てやすくすることができます。展示では世界最先端の加速器技術を応用したADSによる核変換技術をやさしく紹介していますので、是非、足をお運びください。
※情報ひろばhttp://www.mext.go.jp/joho-hiroba/sp/index.htm

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●第8回J-PARCハローサイエンス「ナミナミならぬ波のパワー〜今日は実験をたっぷりと〜」開催 (8月25日、東海村産業・情報プラザ「アイヴィル」) 
  毎月最終金曜日に開催しているJ-PARCと地域の方々との交流が目的のサイエンスカフェ「J-PARCハローサイエンス」は、7月と8月は夏休み中の子どもたち向けに開催時間を日中に早めて開催しました。8月は、「波」をテーマに取り上げ、実験の演示を多数行う内容でした。身の回りの「波」として、水や音、光を使った実験を行い、J-PARCで行われているニュートリノなどの最先端の研究は「波」のパワーをフル活用していることを説明しました。音の干渉の実験では、2つのスピーカーを使い、場所によって聞こえるところと聞こえないところを1人ずつ体験しました。前回に引続き、親子連れが多く訪れ、100名を超える方に参加して頂きました。

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●実験施設関連 (夏期メンテナンス) 
     
  (1) ハドロン実験施設high-pビームラインのビームダンプ完成 (9月) 
  (2) ニュートリノ実験施設ターゲットステーションの陽子ビーム窓交換作業を実施 (8/22-23) 
  (3) 物質・生命科学実験施設の水銀ターゲット容器完成・納入 (9/22) 

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●ご視察者など
     9月  8日  中国科学院高能物理研究所 (IHEP)  Wang Yifang所長 他9名
     9月  8日  三井化学株式会社 福田 伸 常務執行役員 他
     9月 19日  文部科学省 新妻 秀規 文部科学大臣政務官 他
     9月21-22日  国際会議HOTLAB2017テクニカルツアー参加者 60名
   
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●加速器運転計画
  10月の運転計画は、次の通りです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。

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