■ J-PARC News 第113号より       (2014/9) 
●高密度マルチワイヤ型二次元中性子検出器 (MWPC) の開発
  物質・生命科学実験施設 (MLF) の中性子実験装置BL17「写楽」には、J-PARCで開発した標記二次元中性子検出器を採用している。この検出器は、試料で散乱した中性子を、高い検出感度で精度よく計測し、高解像度のデータを得ることができる。また、ノイズが少ない信号伝送を採用した世界で初めて開発した検出器システムである。これまで調整を進め、特性試験において高い性能が実証されたため、今年6月からは一般課題利用実験への使用が開始された。

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●DNA (遺伝子) の機能に関わる研究で中性子実験装置BL14が活躍!
  物質・生命科学実験施設 (MLF) のBL14「AMATERAS」は、分子や原子の運動の様子などを解析することができる中性子実験装置である。今回、その装置を利用して、原子力機構 (JAEA) 量子ビーム応用研究センター 分子ダイナミクス研究グループの中川洋研究副主幹などは、DNAの "曲がりやすさ" の違いを、中性子実験とシミュレーション計算により実証した。また、DNAに存在する水分子の運動と密接に関係していることを突き止めた。 (研究成果は8/29プレス発表) 
研究内容の詳細は、ホームページhttp://j-parc.jp/ja/topics/2014/Pulse140829.htmlをご覧ください。


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●室温ミュオニウムの大量生成に成功
  J-PARCの超低速ミュオンビームラインでは、大量の超低速ミュオン生成を目指している。今回、J-PARCが加わる実験グループのKEK、理化学研究所などは、室温ミュオニウムを大量に生成することを可能とした技術の共同開発に成功した。 (9/18プレス発表) 
詳細は、http://j-parc.jp/ja/topics/2014/Pulse140918.htmlをご覧ください。


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●International Technical Safety Forum (ITSF) 2014
  9月8〜12日、ITSF2014が米国フェルミ国立加速器研究所で開催された。本フォーラムは、大型加速器を扱う世界の主要な研究機関が参加して、それぞれの施設で発生したトラブルなどを紹介し、 それらを教訓にして加速器及び施設の安全管理などについて討論が行われる。今回、初めてJ-PARCを代表して、石井哲朗安全ディビジョン長が、昨年5月のハドロン実験施設の放射性物質漏えい事故とJ-PARCの安全管理体制の再構築について報告した。加速器の安全管理に関して、情報交換できる貴重な国際会議であった。


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●加速器運転計画
   
  10月の加速器運転は下記の通りです。尚、運転計画は機器の調整状況により変更が生じる場合があります。


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●加速器施設
  リニアックでは、今回、ビーム電流増強のため初段加速部 (イオン源および高周波四重極リニアック (RFQ) ) とビームチョッパ空洞を更新した。初段加速部は、今年6月末まで専用のテストスタンドで性能試験を実施し、ビーム電流50mA が得られることを確認している。

  J-PARCの3GeVシンクロトロン (RCS) および50GeVシンクロトロン (MR) は、設計仕様の加速器出力が、それぞれ1MWおよび0.75MWである。その実現には、リニアックではエネルギーを400MeV、ビーム電流を50mAに増強する必要があった。ビームエネルギーの増強については、昨年の加速器停止期間中、ACS (Annular-ring Coupled Structure) 空洞を据付け、ビーム調整試験を完了し、2014年1月、400MeVのビーム加速に成功している。
 

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●実験施設関連
   
  物質・生命科学実験施設 (MLF) のミュオン実験設備では、ミュオン生成標的にグラファイト (黒鉛材) を使用している。標的は、これまで固定標的を使用していたが、MLFが計画している1MW運転に向けた陽子ビームの受け入れに向け、今回、回転標的に交換した。

  回転標的は、ビームの入射による発熱密度、放射線損傷が分散されるため、黒鉛材寿命は固定標的の約1年から約30年へと格段に延びる。しかし、回転標的の場合は、軸受けが標的の寿命を決定するため、それらを含めて回転標的の寿命を10年にすることを目指している。現在のところ、軸受けの寿命の評価は、ビームラインで使用したと考える1年分相当の回転試験を実施し、耐久性に問題の無い事を確認した。標的交換は、遠隔操作による初めての作業であったが、綿密なモックアップ試験などを実施し、実機では順調に作業が進められた。なお、標的交換に当たっては専門部会での議論・評価も行われている。


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  ニュートリノ実験施設の一次ビームラインでは、50GeVシンクロトロン (MR) から蹴りだされた陽子ビームをターゲットに導くため、前段部と最終収束部に常伝導電磁石が使われている。その電磁石電源全数 (前段部11台、最終収束部10台) を更新作業中。これまでのものは、KEKでも使用されていたもので、使用年数も経過しており、また、2011年3月の大震災により性能にも影響が出たため、今回の更新となった。


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●平成26年度原子力科学研究所自主防災訓練
  9月5日、原子力科学研究所の自主防災訓練が行われ、J-PARCも合同で実施した。訓練では、大地震が発生し、それに伴う大津波警報が発令されたとの想定で、職員や実験利用者などが指定避難場所への避難、各部署における人員掌握、J-PARC地震対策指揮所や、原子力科学研究所の防護活動本部への報告などを行った。一連の訓練を通して、避難の手順などが確認された。J-PARCからの参加者は674名だった。


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●労働安全コンサルタントによる安全パトロール
  J-PARCでは、作業環境の安全確保を徹底するために、今年から、労働安全の専門家を招いて物質・生命科学実験施設 (MLF) やニュートリノ実験施設で安全パトロールを受けている。9月22日には、現場巡視が行われた施設の関係者へ報告会を開催した。他施設の関係者も参加し、貴重な指摘や助言をうかがった。報告会では、整理・整頓に関し、具体的な片付け方法などが示された。


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●多摩六都科学館でサイエンスカフェ「陽子加速器で宇宙の謎に迫る」
  9月20日、東京都西東京市にある多摩六都科学館とKEK共催で、ニュートリノ素粒子研究に携わるJ-PARCニュートリノセクションの多田將氏が講師となってサイエンスカフェを行った。

  会場には、小学校高学年からシニア層まで、各年代の男女取り混ぜた約100名の参加者が来場。当初募集の60名を大幅に超えるものとなった。途中、特注の「陽子チョコレート」を参加者に配り、3つのナッツをクオークに、エネルギーをチョコレートに例えて素粒子について説明する工夫も加え、加速器の原理から宇宙の加速膨張までを魅力的に語る多田氏の話に、会場の参加者は最後まで熱心に耳を傾けた。

  講演終了後も、会場からはいくつもの質問があがり、イベントは盛況のうちに終了した。


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