■ J-PARC News 第130号より       (2016/02) 
●次世代の全固体リチウムイオンの電池の開発に向けて (1月20日、J-PARC HP掲載) 
- 電池材料中のリチウムイオンの動きを解明 -
  近年、リチウムイオン電池 (Li-ion電池) は私達を取り巻く社会のなかで広く使われ、更なる高性能化、高安定性が求められています。自動車・飛行機などに搭載の場合、電池トラブルに起因した事故の危険性を考えた場合は、安全性の向上は必要不可欠となります。そこで、次世代のLi-ion電池として、電解質材料に超イオン伝導体を使用し、電池全体を固体化する技術開発が求められています。今回、京都大学原子炉実験所の森一広准教授らの研究グループは、超イオン伝導体を用いた電池内部のLi-ionの動きを、物質・生命科学実験施設 (MLF) の中性子実験装置「NOVA」や「DNA」を使い解明することに成功しました。この結果は、昨年11月20日に米国物理学会誌「Physical Review Applied」にオンライン掲載され、編集部による注目論文「Editors' Suggestion」に選ばれました。
  詳細につきましては、http://j-parc.jp/ja/topics/2016/MLF-Highlights160120.htmlをご覧ください。



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●西川公一郎 KEK名誉教授が2016年ブレークスルー賞受賞記念講演 (1月29日、IQBRC) 
  高エネルギー加速器研究機構 (KEK) の西川名誉教授 (元J-PARC副センター長) およびK2K/T2Kコラボレーション (国際共同実験グループ) のメンバーは、昨年11月9日にニュートリノ振動の発見と研究における功績で、基礎物理学ブレークスルー賞を共同受賞しました。西川名誉教授は、世界初の加速器による長基線ニュートリノ振動実験であるK2K (KEK to Kamioka) 実験とその後継のT2K(Tokai to Kamioka)実験の考案者であり、両実験において代表者を務めプロジェクトを推進しました。1月25-30日にいばらき量子ビーム研究センター (IQBRC) で開催されたT2K実験コラボレーションミーティングでは、西川名誉教授が日本におけるこれらの実験の歩みについて記念講演をされました。海外からの約200名の研究者や、T2K実験の共同研究者でもある梶田隆章東京大学宇宙線研究所長(2015年ノーベル物理学賞受賞)も来場し、講演に耳を傾けました。また、会議では、去年暮れからのニュートリノ生成標的のメンテナンスの報告、今後の反ニュートリノ振動の解析について活発な議論が交わされました。

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●素粒子物理・原子核物理分野の「大型施設計画・大規模研究計画マスタープラン」に関するシンポジウム (2月12日、東京・日本学術会議講堂) 
  日本の大型施設計画・大規模研究計画に関するマスタープランは、科学者コミュニティの代表として日本学術会議が主体のもと策定されていますが、科学・技術の急速な進歩と国際競争の状況から、社会や国民の理解を得ながら更新されています。今回、マスタープランの公募に向けて素粒子物理・原子核物理分野における計画を議論する標記シンポジウムが開催されました。J-PARC は、本分野の研究で世界をリードする加速器と実験施設を有しており、齊藤直人 J-PARC センター長による「J-PARC 実験施設の高度化による物質起源の解明」講演など、科学者コミュニティが望む研究展望やそれらを実施するために必要な施設の新たな展開などについて意見交換がなされました。
   
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●J-PARCミュオンアドバイザリー委員会 (MAC) 2015 (2月14-15日、KEK東海1号館) 
  J-PARC/MLFのミュオン科学実験施設 (MUSE) に対するミュオンアドバイザリー委員会 (MAC2015) が開催されました。齊藤直人J-PARCセンター長からJ-PARCの現状説明とMACへの要望を受けたあと、金谷利治 物質生命科学ディビジョン長、門野良典 ミュオンセクションリーダー、三宅康博氏 (J-PARC/KEK主幹) から、MLF、MUSE、共同利用の現状に関する報告がありました。その後、各担当者からグラファイト回転標的に関わる現状報告、Dライン、Uライン並びにSラインの整備状況、M1、M2トンネル内の放射線的な対策について、安全に関わるミュオン安全タスクフォースの取り組みなどについての報告が行われました。各報告では、委員との間で詳細にわたる活発な質疑応答・意見交換がなされ、2日目にはPratt委員長から諮問内容の概要が報告されました。その内容は、2月29日-3月1日に開催のJ-PARC国際諮問委員会に報告される予定です。
  諮問委員は、以下の先生方です。

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●加速器運転計画
 
  3-4月の運転計画は、次の通りです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。

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●水銀ターゲット容器国際レビュー委員会 (2月22日、J-PARC研究棟) 
     
  MLFでは、これまでビームパワーの増強や水銀中で生ずる圧力波への対策などのため、容器性能の高度化を目指した技術開発を行い、設計に反映してきました。しかし、昨年水銀ターゲット容器に不具合が発生したため、堅牢性を高めるよう設計の改良を行っています。目標とする1MW運転を視野に入れ、この容器設計の妥当性について評価を受けるため、国内外の専門家8名 (海外から4名) を招聘してレビュー委員会が開催されました。そこでは、担当者から、容器の設計改良の方針や製作時の検査態勢の改善などについて詳細な報告を行い、これに対して非常に活発な質疑応答・意見交換が行われました。
  本委員会での審議結果については、23-24日に開催される中性子アドバイザリー委員会 (NAC2016) に、B. Riemer委員長から報告されます。
  委員は、以下の先生方です。

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●平成27年度第2回住民原子力懇談会 (2月9日、J-PARC研究棟) 
  住民と行政が一緒に現場を見学して意見交換などを行うことを目的として、東海村民、自治体関係者、原子力施設関係者などによる原子力懇談会が、2月9日、東海村から懇談会開催の委託業務を受けているNPO法人HSEリスク・シーキューブにより開催されました。始めに、齊藤直人J-PARCセンター長が、J-PARCの概要と2013年5月のハドロン実験施設の事故について説明を行い、質疑応答が行われました。続いて、ハドロン実験施設、物質・生命科学実験施設、ニュートリノ実験施設の現場見学を行い、その後、会議室に戻り全体を通した質疑応答と意見交換が行われました。J-PARCが関わるT2Kニュートリノ実験について、また、事故に対する安全意識をどのように維持するか、などの質問や、施設における異常時の迅速な通報に関した質問がありました。

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●SATテクノロジーショーケース2016にJ-PARCが出展 (2月4日、つくば) 
  つくばサイエンス・アカデミー (SAT) は、2月4日にSATテクノロジーショーケース2016を開催し、J-PARCセンターは昨年に引続き、企画展示にブースを出展しました。このイベントは、研究成果や製品技術の発表と、研究者、技術者の交流を目指すもので、例年通り、様々な分野から100件以上のポスター発表がありました。今回の企画展示はポスター発表と同じメイン会場で行われたため、これまでの倍以上の参加者がJ-PARCのブースを訪れました。巨大な施設が県内にあることを初めて知った高校生や、壮大なニュートリノ振動実験にびっくりした森林分野の研究者など、加速器やニュートリノ実験に多くの質問を受けました。

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●国際シンポジウム 放射性廃棄物低減に向けた現状と将来の展望 (2月17日、東京・星陵会館)   〜 次世代の安心に向けた挑戦 〜
  放射性廃棄物低減のための研究開発の現状と将来展望について、国際協力の必要性や大型研究施設の現状と今後の活用について理解を深めるため、日本原子力研究開発機構 (JAEA) は、フランス、中国、アメリカ、インドから招聘した専門家を交え、標記シンポジウムを開催しました。児玉敏雄 JAEA理事長の主催者挨拶、田中正朗 文部科学省研究開発局長の来賓挨拶、ウィリアム・マグウッド・四世 経済協力開発機構原子力機関 (OECD/NEA) 事務局長の基調講演に続き、各国の取り組みが報告されました。国内での取り組みの一つとして、JAEAの辻本和文 核変換システム開発グループリーダーから、J-PARC核変換実験施設を建設して核変換技術の研究開発を進める計画が紹介されました。中国からも加速器を使った研究開発計画について報告がありました。最後のパネルディスカッションでは、今回の講演者の他に、藤田玲子 科学技術振興機構革新的研究開発推進プログラムマネージャーを加えて活発な意見交換が行われ、放射性廃棄物低減のための研究開発には国際協力が不可欠であり、大型研究施設はその中心的役割を果たし得ること、また研究開発を進めるにあたっては、国民の理解を得ることが重要であることの認識が共有されました。

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●J-PARC2015年度フォトコンテスト/最優秀賞表彰に Eric D. Zimmerman氏 (1月29日、KEK東海ドミトリー) 
  J-PARCセンターは、2015年度フォトコンテストを行いました。J-PARC関係者、ユーザーなどから多数の応募作品が寄せられ、造形美、国際性、広報的、躍動的などの観点で広報関係者による審査が行われました。最優秀賞にはT2K実験に携わるEric D. Zimmerman氏が選ばれ、そのほか優秀賞に5点、佳作に4点が入選しました。入選者の表彰式を29日にKEK東海ドミトリーで行い、入選者には記念品が贈られました。すべての入選作品は、現在、J-PARC研究棟に特別展示されています。
  J-PARC2015年度フォトコンテストの全受賞作品については、http://j-parc.jp/PhotoCon/index.htmlをご覧ください。

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●折り紙教室を開催 (1月29日、KEK東海ドミトリー) 
  J-PARCセンターは、T2K実験コラボレーションミーティング開催に合わせて折り紙教室を開きました。当日は外国人研究者15名が教室に参加されました。作品の作り方が書かれたテキストや教室の日本人スタッフが実際に折るのを見ながら、回して遊べるコマ、小物入れ用の箱、カードケースなどを折って、楽しい昼休みのひと時を過ごしました。

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●ご視察者など
    2月  8日  渡辺 正実 文部科学省研究振興局 基礎研究振興課長
   
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