19. ルジャンドル変換

ルジャンドル変換は以下に述べる様に、関数 \(f(x)\) を表現するのに、傾き \(p\) を持つ接線の集合として表現する方法と考えることができる。

まず関数 \(f\) のルジャンドル変換 \(f^*\) を 次のように定義する(Wikipedia)。

(19.1)\[f^*(p) = max_x\left(p x - f(x)\right)\]

この変換に依って、変数 \(x\) の関数 \(f(x)\) から 変数 \(p\) の関数 \(f^*(p)\) が作り出されている。

いま、 \(x_0\)\(p=f'(x_0)\) となる点とする。(これはハミルトン形式において、 \(L(q,\dot{q})\) から \(p=\frac{\partial L}{\partial \dot{q}}\) で新たな変数 \(p\) を定義して \(L(q,\dot{q})\) のルジャンドル変換としてハミルトニアン \(H(q,p) = p\dot{q} - L\) を定義したのと同じ。) この時、

(19.2)\[\begin{split}p x - f(x) = & p x - f(x_0) -p (x-x_0) -\frac{1}{2} (x-x_0)^2 \dots\\ \sim & p x_0 - f(x_0) -\frac{1}{2} (x-x_0)^2\end{split}\]

であるから、

(19.3)\[f^*(p) = max_x\left(p x - f(x)\right) = p x_0(p) - f\left(x_0(p)\right)\]

である。ただし、 \(f'(x_0(p)) = p\)

これらの定義から、関数 \(f(x)\) の点 \(x_0\) での接線は、

(19.4)\[y = f'(x_0)(x-x_0)+f(x_0) = p x - f^*(p)\]

とかけることがわかる。

(19.5)\[\frac{df^*(p)}{dp} = x_0 + p \frac{d x_0}{dp} - f'(x_0) \frac{d x_0}{dp} = x_0\]

であるから、関数 \(f(x)\) と そのルジャンドル変換 \(f^*(p)\) は互いの導関数が相互に逆関数となっている。

微分で考えてみると

(19.6)\[\begin{split}d f(x) =& f'(x) dx \\ =& p dx = d(p x) - x dp\end{split}\]

であるから、

(19.7)\[df^*(p) = d(p x - f(x) ) = x dp\]

ということである。この式はまた、

(19.8)\[x = \frac {d f^*(p)}{d p}\]

を意味していることにも注意。

19.1. ルジャンドル変換の例

関数として2次関数

(19.9)\[f(x) = \frac{x^2}{2} +1\]

を考えてみる。接線の傾きが \(p\) となる点の座標を \(x_0\) とすると、

(19.10)\[p = f'(x_0) = x_0\]

である。これより、接線の式は

(19.11)\[t(x,p) = p (x -x_0) + f(x_0) = p x - \frac{p^2}{2}+1\]

であるから、 \(f(x)\) のルジャンドル変換 \(f^*(p)\)

(19.12)\[f^*(p) = \frac{p^2}{2} -1\]

となる。式 式-19.12

function as a collection of tangential lines == Lgendre transform

図-19.1 ルジャンドル変換は関数を接線の集合として表現することに相当している。 \(f^*(p)\) の包絡線として、 \(f(x)\) が表現されていることがわかる。