昨年は震災があり大変な年でした。しかし、それにも負けず、J-PARCセンター全員でJ-PARC施設の回復に向けて頑張った年でもありました。おかげさまで、12月にはJ-PARCの抱える3つの加速器が無事に稼働を始め、実験室へのビーム引き出しも成功いたしました。今年からは、いよいよJ-PARCを実験者に解放できることになりました。もっかその準備に大忙しの毎日です。 こういった意味で、J-PARCは新たな出発を迎える年となりました。震災前には、ニュートリノで6つの電子ニュートリノが観測され、また、中性子では、電池の新素材が開発される、等々のハイライトがありました。今後は、これらの成果を拡張させるだけでなく、ニュートリノ、ハドロン、中性子、ミュオンの4つのビームを用いて、画期的な成果が得られることを期待したいと思います。そのために、施設側で整えなければならないことは、これまでの大学や研究所利用の促進はもちろんのことですが、国際化と産業界への利用振興の二つを強力に進めていきたいと思っております。 国際化に関しては、震災で帰国した方々が戻りつつありますが、村や研究所とも協力して、今後の国際化の道を開拓していきたいと思います。昨年は、J-PARCで1名の国際推進やCROSSで1名のオーストラリア人を雇用いたしました。宿舎の整備もこれからの作業です。地道ではあっても、J-PARCが真に国際的な組織に成長するまで、努力を続けたいと思います。 産業界への取り組みも、これからの課題です。誰にでも分かりやすい「装置の利用案内」のようなものを作る必要があります。さらに、産業界全体に対するアピールも必要です。こういった点から改善をしていきたいと思います。 昨年末にビーム加速に成功し、今年は本当に良き出足となりました。J-PARCは、これからが本番です。皆様方の暖かいご支援を感謝いたしますとともに、年頭に当たり、今後の皆様のご援助を、心よりお願い申し上げます。 |