大強度陽子加速器研究施設J-PARCは、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構と大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構が共同で建設した世界最高レベルの大強度陽子加速器により、様々な分野の最先端研究を展開する研究施設です。 物質・生命科学、素粒子・原子核物理学など広範な研究分野を対象に、中性子、ミュオン、ニュートリノ、K中間子などの多彩な二次粒子ビームを用いた新しい研究手段を、国内だけでなく海外からも訪れる多くの利用者に提供し、基礎科学から産業応用まで多様な研究開発を推進することで、広く人類に貢献することを目的にしています。
J-PARCは、平成20年の利用運転開始以来、順調にビーム強度を増し、装置の充実に努め、多目的施設にふさわしい様々な成果を上げてまいりました。素粒子・原子核物理研究においてはニュートリノ振動現象の解明や強い相互作用の研究、また物質・生命科学研究においては新しい超伝導現象の発見や生体物質における機能解明、また新材料物質の開発などが代表的な例です。これらの研究を更に発展させ、宇宙・物質・生命の起源にまつわる謎に、チャレンジしていきたいと思います。
一昨年のハドロン実験施設における放射性物質漏えい事故によって、多くの皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを深く反省すると同時に、我々の研究は国民の皆様に支えられて成り立っていることをより一層強く認識しました。二度と同じ過ちを繰り返さないよう、安全管理体制を再構築・強化し、更に安全な研究施設とするために組織改革に取り組んでまいりました。今後も、安全に研究成果を創出する研究施設として、不断の努力を重ねてまいる所存です。
先人が築かれた国際的研究拠点であるこのJ-PARCを、国内外の研究機関との連携協力の促進、産業利用の充実、そして多目的施設の特徴を生かした分野横断的な研究により更に発展させていくこと、更に、ここで得られる研究成果を国民の皆様と広く分かち合うことで、日本の誇りと人類の発展に更に貢献する研究施設に育てていくことが、私の使命であると考えています。
今後とも皆様のご理解とご指導、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
平成27年4月1日J-PARCセンター長齊藤 直人 |