用語解説

J-PARC(大強度陽子加速器施設)関連用語集


用語の後ろについている分類は、それぞれ、
  (※:加速器研究及び施設
  (※:物質・生命科学研究及び施設
  (※:素粒子・原子核研究及び施設
  (※:核変換研究及び施設
  (※:その他の関連用語
を表す。

【な】

【に】

  二次廃棄物 (※換)
  放射性廃棄物の処理、処分等を行う過程で新たに発生する廃棄物。
  入射バンプ電磁石 (※加)
  J-PARC 3GeVシンクロトロンでは、入射時のみビームが荷電変換膜を通過するようにしなければならない。このため、シンクロトロン内を周回している粒子は荷電変換膜を通過しないように、ビーム周回軌道の一部は荷電変換膜を避けるためコブ状にふくらませている。このように入射時にコブ状の軌道をつくるための電磁石を入射バンプ電磁石と呼ぶ。
  バンプ(bump)とは、こぶ(瘤)や隆起のことで、道路で車のスピードを落とさせるために路面に付けている隆起もバンプと呼んでいる。
  ニュートリノ (※素)
  中性微子とも呼ばれる。レプトンの一種で電荷を持たず、弱い相互作用しかしない。電子、ミュオン、タウオンと対をなす3種類が存在し、それぞれ電子ニュートリノ(νe)、ミューニュートリノ(νμ)、タウニュートリノ(ντ)と呼ばれる。ベータ崩壊の際などに発生するが、ほとんど物質と反応しないので検出が困難である。他の粒子に比べて大変軽く、標準理論では質量ゼロとされていたが、近年のスーパーカミオカンデでのニュートリノ振動の研究により、微少ながら質量を持つことが示唆された。
  素粒子は、クォークと呼ばれる陽子や中性子などに閉じこめられ単独では存在しないものと、レプトンと呼ばれる電子、ミュオン、タウオンなど単独で存在しているものに分けられる。ニュートリノは電荷を持たないレプトンであり、他の物質とほとんど反応しないので何でも通り抜けてしまう。
  太陽からも1cm2あたり毎秒660億個のニュートリノが地球に降り注いでいるが、我々の体も地球も通り抜けてしまい反応しない。そのため見つけることが難しく、謎の粒子とも呼ばれている。
  ニュートリノ振動 (※素)
  ニュートリノが質量を持つことによりニュートリノの種類が変化する現象。変化の周期はニュートリノ間の質量差で決まる。
  ニュートリノは、電子ニュートリノ(νe)、ミューニュートリノ(νμ)、タウニュートリノ(ντ)と呼ばれる3種類(3世代)あるが、飛行中にこの3種類が入れ替わっていると考えられている。例えばミューニュートリノも、距離と共にある割合でタウニュートリノや電子ニュートリノに変化し、また元のミューニュートリノに戻る。これを繰り返すことをニュートリノ振動と呼ぶ。
  このニュートリノ振動は、ニュートリノに質量(重さ)があり、世代間の混合がある場合に起きる現象であるため、ニュートリノの質量を調べる唯一の方法になっている。従ってニュートリノ振動が観察できれば、ニュートリノに質量があるということになる。
  J-PARCでは、100%純粋なミューニュートリノを約300km離れたスーパーカミオカンデに向けて発射し、飛行中に起きるニュートリノ振動を観測するT2K実験を行っている。

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【ぬ】

【ね】

  熱中性子 (※物)
  中性子はそのエネルギーによって低い順から冷中性子、熱中性子、熱外中性子、高速中性子などと呼ばれる。熱中性子は数十meV〜数百meVのエネルギーを持つ中性子のことをいう。
  J-PARCでは、モデレータを利用して数十meVのエネルギー(秒速数km〜数百mのスピード)の熱中性子、冷中性子を中性子科学実験に利用している。
  ネプツニウム(Np) (※換)
  原子番号93の超ウラン元素の一つ。天然にはほとんど存在しない。Np-237の半減期は2.14×106年。
  燃料電池 (※物)
  水素と酸素の化学反応によってエネルギーを取り出す装置。小型でも高効率が期待され、排出物も水だけなのでクリーンであるため、次世代の分散型エネルギー源として注目されている。
  水を電気分解すると水素と酸素に分かれるが、燃料電池はその逆の反応で水素と酸素から電気と水を生み出すものである。アポロ宇宙船などの電力は燃料電池によって生み出されていた。
  中性子は水素や酸素などの軽元素、あるいは水などを観察する能力に優れているため、J-PARCの中性子を利用して、より高効率の燃料電池の開発や研究などの進展が期待されている。

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