第19回加速器学会年会賞を受賞
第19回の日本加速器学会年会で、特別研究生2名が年会賞を受賞しました。
加速器学会では、研究活動・研究者生活の初期段階にある学生及び若手研究員を奨励する目的で、年会会期中の優れた発表内容に対し、年会賞を設けています。
口頭発表部門
加速器ディビジョン加速器第三セクション特別研究生(東北大学)地村 幹氏
リニアックの低エネルギー領域では、強い空間電荷場によりエミッタンス(ビームの位相空間における広がりで、ビームの質を表す指標)の急激な増大が起こります。このエミッタンス増大を緩和するために、ビームラインに非線形磁場を追加することを提案してきました。本提案を実験的に実証するために、四極磁場に加えて非線形磁場を発生させることができる複合多極磁石を開発しました。磁石の磁気回路を短絡することで、純粋な四極磁石と同等の四極磁場を発生させることができる複合多極磁石を考案し、既存の四極電磁石と同等の大きさと収束力を持ちながら非線形場を発生可能な電磁石を実現させました。
タイトル | J-PARC リニアックにおけるエミッタンス増大抑制のための四極八極結合型電磁石の開発 DEVELOPMENT OF QUADRUPOLE-OCTUPOLE COMBINED MAGNET FOR EMITTANCE-GROWTH MITIGATION IN THE J-PARC LINAC |
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著者 | 地村幹, 原田寛之, 高柳智弘, 金正倫計 |
ポスター発表部門
加速器ディビジョン加速器第二セクション特別研究生(東北大学)の永山 晶大氏
リングから非破壊でのビーム取り出しを実現するために、ビーム軌道上で物質を含まない新しいデバイス「非破壊的静電セプタム」の開発を進めています。ステップ関数のような電場の空間分布は、リング周回ビームへの悪影響を最小限に抑えながら、取り出しビームを循環周回ビームから分離するために理想的です。この装置は、陽極、陰極、ガイド電極で構成され、ステップ関数的な電場の形成を可能としています。電極に印加する電圧は、最小二乗法を用いた最適化手法により決定しました。さらに、追加で磁場をかけることで、これらのビーム間の分離を改善する「電界・磁界結合型」を新たに提案しました。
タイトル | 粒子加速器における非破壊での遅いビーム取り出し手法の研究 STUDY OF NON-DESTRUCTIVE SLOW BEAM EXTRACTION METHOD IN PARTICLE ACCELERATOR |
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著者 | 永山晶大, 原田寛之, 下川哲司, 山田逸平, 地村幹, 山本風海, 金正倫計 |