J-PARCとは?

J-PARC (Japan Proton Accelerator Research Complex) は、素粒子物理、原子核物理、物質科学、生命科学、原子力など幅広い分野の最先端研究を行うための陽子加速器群と実験施設群の呼称です。世界に開かれた多目的利用施設であるJ-PARCの最大の特徴は、世界最高クラスの陽子 (1MW) ビームで生成する中性子、ミュオン、K中間子、ニュートリノなどの多彩な2次粒子ビーム利用にあります。高エネルギー加速器研究機構 (KEK) と日本原子力研究所 (原研) 【現 (独) 日本原子力研究開発機構 (JAEA) 】が共同で提案し、8年の歳月と総工費1524億円をかけ、2008年にJAEA東海の原子力科学研究所内に第一期施設が完成しました。


  J-PARCでは、初段が400MeVまで加速するリニアック、次に3GeVまで加速するRCS (Rapid Cycling Synchrotron) 、さらに一部を50GeV (現在は30GeV) まで加速するMR (Main Ring) の陽子加速器構成で世界最高クラスの大強度陽子ビーム生成を目指しています。しかし、2011年3月の東日本大震災の影響で、パワー増強計画の見直しを余儀なくされ、現在は、RCSで数年内に1MWに到達することが目標です。

  J-PARCにおけるサイエンス成否は、2次粒子ビームの強度が鍵となるため、各実験施設には実験に必要な其々の粒子を効率的に生産するため異なる材質、形状の陽子ビーム標的が設置されています。
J-PARCとは?


RCSからの陽子の90%以上は、MRの中央に位置する物質・生命科学実験施設 (MLF: Materials & Life Science Experimental Facility) にある中性子とミュオンを生成するための異なる2つのターゲットに導かれます。MRには2箇所の陽子ビーム取り出しポートがあります。ハドロン実験施設には遅い取り出しでビームを導き、K中間子を用いた素粒子・原子核実験を行います。一方、速い取り出しでMRの東側直線部から蹴りだされたビームは、超伝導磁石でMRの内側に曲げられパイ中間子生成用ターゲットに入射されます。ニュートリノ実験ではパイ中間子の崩壊でミュオンと一緒にできるニュートリノを300km西方の岐阜県のスーパカミオカンデに向けて発射しています。

    
どのように使われるか     
どのように使えるか

J-PARC利用には研究課題申請書の提出が必要です。施設ごとに公平性と透明性を持った課題審査体制があり、MLFではPRC (Program Review Committee) が、ハドロン及びニュートリノ実験施設では、KEKのPAC (Program Advisory Committee) が課題審査を行います。課題申請手続き、ユーザー登録、及び課題実施に関わる支援と必要な情報はUsers Office が行います。