J-PARCの加速器技術も貢献!
大出力・低放射化BNCT用照射装置・実証機を用いた非臨床試験を開始
J-PARCの加速器技術は、がん治療にも貢献しようとしています。
BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)と呼ばれる新しいがん治療法は、加速した陽子ビームで発生させた中性子線をホウ素を含む薬剤が集積したがん患部に照射し、ホウ素と中性子の核反応によって生じるヘリウムとリチウムのイオンによってがん細胞のみを死滅させる、理想的な治療方法です。治療時間を短くして患者さんの負担を減らすためには、短い時間にたくさんの中性子を当てることで、ホウ素と中性子の反応がたくさん起こるようにすることが必要です。そのためには、大強度(粒子の数が多い)の陽子ビームの生成がカギとなります。
茨城県、つくば市、つくばグローバル・イノベーション推進機構(TGI)が実施しているつくば国際戦略総合特区事業の一つとして、「次世代がん治療法(BNCT)の開発実用化」プロジェクトが進んでおり、2021年11月より、臨床試験に先立って必要な非臨床試験(細胞や小動物(マウス)に対する照射試験)が実施されることが、TGI等からプレスリリースされました。BNCT照射装置の加速器部分は、J-PARCリニアックで開発された技術を転用して製作したRFQとDTLで構成された大強度の陽子線形加速器です。
■TGI等からのプレスリリース
https://www.kek.jp/ja/press/202110151330/