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2026.08.25

MRからハドロン実験施設への遅い取り出しで101 kWの利用運転を達成

  2026年4月4日、メインリング加速器(MR)からハドロン実験施設への陽子ビーム取り出しにおいて、建設当初からの目標であった100 kWの大台を超える、101 kWでの安定した利用運転を達成しました(同日22:17〜23:20)。これは、ハドロン実験施設のさらなる成果創出を推進する大きなマイルストーンです。
  ハドロン実験施設では約2秒かけてMRからゆっくりとビームを取り出す「遅い取り出し」が行われます。この取り出しでビームパワーを向上させる最大の課題は、大強度化に伴って顕著になる「ビーム不安定性の抑制」と、機器の放射化を防ぐための「ビーム損失の極限までの低減」です。特に、『デバンチ』という遅い取り出し特有の過程(加速のために塊状になったビームを連続的な流れに引き延ばす操作)で起こるビームの不安定性が、ビームパワー増への制約となっていました。2026年4月1日からはじまったビーム調整で、綿密なパラメータ調整を実施し、不安定性を効果的に抑え込む非常に良い運転条件を発見することができました。
  また、遅い取り出しではビームを切り出すための薄い刃ともいえる電極が必要です。極端に薄い電極をもつ装置(静電セプタム(ESS))の開発や電極へのビーム衝突を分散させる装置の導入、さらにビーム軌道を動的に制御することなどにより、101 kWのビーム取り出しにおいても99.6%という高い取り出し効率(ビーム損失が0.4%にすぎない)を維持することに成功しました。
  さらに、ハドロン実験のユーザーにとってデータの質に直結する「取り出し中のビーム強度の安定性」についても、ビーム強度の時間的な均一性を示すパラメータであるSpill duty factor(100%は完全な直流ビームを表す)がこれまでと同様に80%という水準を維持しています。
  今後も、150 kWを超えるさらなる大強度での運転を目指して、技術開発とビーム調整を進めていきます。

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