J-PARC News 第258号
お知らせ
J-PARC講演会2026「中性子で照らす、くらしの中の科学」を開催(11月28日)
11月28日(土)、東海村産業・情報プラザ(アイヴィル)多目的ホールにて、J-PARC講演会2026「中性子で照らす、くらしの中の科学」を開催します。入場無料、事前申込不要です。ぜひご参加ください! 詳しくはこちら(J-PARC講演会特設ページ)https://j-parc.jp/symposium/lecture2026/
受賞
日本防菌防黴学会 ベストプレゼン賞(9月8~9日、品川区立総合区民会館「きゅりあん」)
基盤技術開発セクションの和田 真央氏が、日本防菌防黴学会第53回年次大会において、ベストプレゼン賞を受賞しました。本賞は、一般研究発表の中から、学術的価値、発表技術、社会的意義において特に優れた発表を顕彰するもので、36歳未満の若手発表者から選ばれます。
和田氏は、「重水D₂O含有条件下におけるSaccharomyces cerevisiae※の増殖評価 および重水素化試料調製用宿主としての適性」と題して口頭発表を行いました。この発表について、研究内容の学術的な価値に加え、研究成果を分かりやすく伝える発表技術、さらに今後の応用展開が期待される社会的意義が高く評価されました。
※Saccharomyces cerevisiae : 出芽酵母(しゅつがこうぼ)…パン酵母・ビール酵母と呼ばれる単細胞の真菌(酵母)の一種です。
研究最前線(プレスリリース)
(1)ミュオン加速、実証から実装へ
-新実験エリアで冷却ミュオンの0.3 MeV加速に成功-(8月31日)
J-PARC 物質・生命科学実験施設(MLF)の新実験エリア(H2エリア)で、室温まで冷却したミュオンを0.3MeV(光速の約8%)まで加速しました。2024年の世界初の実証に比べエネルギー で3倍・強度において200倍を達成し、ミュオン加速器の実現へ大きく前進しました。
詳しくはこちら(J-PARC HP)https://j-parc.jp/c/press-release/2026/08/31001874.html
(2)リラクサー強誘電体はなぜ広い温度域で巨大応答を示すのか
-相転移の「遅さ」と持続する「臨界的な揺らぎ」を解明-(9月18日)
超音波エコーやソナー、各種センサなどに用いられる高性能圧電材料「リラクサー強誘電体」をMLFの中性子実験装置「AMATERAS」及び「DNA」で調べた結果、長年わからなかった圧力や電気的なわずかな刺激で大きな電気信号を生じる「巨大応答」の仕組みが解明されました。
詳しくはこちら(J-PARC HP)https://j-parc.jp/c/press-release/2026/09/18001886.html
(3)Tsai型化合物の磁気状態を統一的に読み解く鍵は「格子定数」
-未知の磁気秩序をもつ準結晶・近似結晶の探索に新たな指針-(10月1日)
MLFの中性子実験装置「四季」及び「DNA」を使い、 Tsai型化合物において、格子定数が磁気基底状態を統一的に記述する有効な構造指標となることが示されました。これは、格子定数が磁気相互作用を左右する電子状態とも密接に関係する構造パラメータであることを示唆しています。
詳しくはこちら(J-PARC HP)https://j-parc.jp/c/press-release/2026/10/01001891.html
J-PARCがゆく! (出張授業)
詳しくはこちら(J-PARC HP)https://j-parc.jp/c/topics/kouza/index.html
ミュオンにコーフンクラブ
いよいよ発掘活動開始!古墳発掘に大コーフン!?(9月19日、10月10~12日)
9月の連休に予定されていた活動は、台風の影響で9月19日の1日だけとなりましたが、10月の3連休は3日間とも天候に恵まれました。これまで、発掘に必要な心構えなどを学び、茨城大学の大学院生が手作りした模型を使って、慎重に表土をはがす体験をしてきたプロジェクトメンバーの子どもたちは、いよいよ本物の古墳(舟塚古墳群2号墳の後円部東側)で発掘作業に取り組みました。
子どもたちは、幅1メートル、長さ14メートルの作業区域を2人1組で、シャベルの縁を使って土を少しずつ削り取るように掘り進めました。9月には、地表から10センチほど掘り下げたところで埴輪の破片が数点出土しました。10月にはさらに多くの埴輪片や古銭(宋銭)の遺物が見つかり、中には手のひらサイズの埴輪片もありました。茨城大学の田中先生の指導のもと、子どもたちは遺物が発見された位置を正確に記録しました。
子どもたちからは、「脚がつりそうだった」「楽しかったけど、悔しい。私も見つけたかったなぁ」といった声が聞かれました。
この発掘作業は11月下旬まで行われる予定です。
ご視察者など
10月13日 中田 宏 文部科学副大臣 他
加速器運転計画
11月の運転計画は、次のとおりです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。
J-PARCの「P」は何の頭文字でしょうか?
①Proton(プロトン・陽子)
②Physics(フィジックス・物理学)
③Photon(フォトン・光子)
関連ページはこちら➡https://j-parc.jp/c/about/purpose.html
J-PARCさんぽ道 75 -3色の海-
この「散歩道」の第1回では、2色に分かれた海についてお伝えしました。今回は、さらに珍しい「3色の海」を紹介します。
写真は、台風が近づいていた日に撮影した海です。白波が立ち、荒れ模様でした。よく見ると、海が3色に分かれています。一番奥は、いつもの晴天の日と変わらない濃く澄んだ青、その手前は薄緑色、そして手前は、奥の海よりも少し薄い青色です。
この日は東海村では晴れていましたが、雨雲レーダーを見ると山沿いでは雨が降り続いていました。撮影地点から北へ約3kmのところには、久慈川の河口があります。久慈川から海へ流れ込んだ大量の濁った川の水が、潮の流れに乗ってここまで運ばれ、海の表面を薄緑色に染めていたのです。
このように、川から流れ込んだ淡水によって海の色が変わる現象を「水潮(みずしお)」といいます。川の水は海水よりも比重が軽いため、海の表面に広がっていきます。そのため、濁った川の水が海の表面を覆い、変色したのです。
その後、水潮はさらに手前へと広がり、海は2色になりました。やがて大雨に襲われると、海そのものが雨にかすんで、はっきりと見えなくなりました。
台風がもたらした雨と、久慈川から流れ込んだ水、そして潮の流れ、その条件が重なって生まれた、わずか数十分の3色の海でした。
J-PARCクイズの答え ① J-PARCは「Japan Proton Accelerator Research Complex」の頭文字です。Pくんは、J-PARCのキャラクター「陽子のPくん」です。
