用語解説
J-PARC(大強度陽子加速器施設)関連用語集
用語の後ろについている分類は、それぞれ、
(※加):加速器研究及び施設
(※物):物質・生命科学研究及び施設
(※素):素粒子・原子核研究及び施設
(※換):核変換研究及び施設
(※他):その他の関連用語
を表す。
【あ】
【い】
- イオン源 (※加)
- 加速器が加速する粒子(陽子や電子など)を生み出す装置。
「イオン」は電荷を帯びた原子(または原子の塊、原子団)のこと。原子は通常電荷を帯びていない(プラス(+)でもマイナス(−)でもない中性)状態であるが、電子を放出すると+、電子を取り込むと−の電荷を帯びたイオンになる。+の電荷を帯びたイオンを陽イオン、−の電荷を帯びたイオンを負イオン(または陰イオン)と呼ぶ。
J-PARCリニアック加速器のイオン源では、水素ガスをフィラメントで熱して負水素イオンを生成する。リニアックで加速された負水素イオンは、3GeVシンクロトロンに入射される直前で荷電変換膜により電子をはぎ取られ、陽子(陽水素イオン)になる。
イオン源の長時間運転は加速器の稼働率向上や、実験時間増加のために重要であり、J-PARCでは長時間連続運転が可能なイオン源を開発した。
- インジェクター部 (※換)
- 核変換実験施設で用いる計画である超伝導陽子線形加速器(リニアック)において、主要な加速部である超伝導空洞へ陽子を送り込むための前段部分。
▲ TOP
【う】
- ウラン (U) (※換)
- 原子番号92の元素。すべて放射性同位体である。ウランは最初に発見された放射性元素である。天然ウランには核分裂を起こさないU-238(半減期45億年)が99.28%、核分裂を起こすU-235(半減期7億年)が0.72%含まれる。原子力発電所などの軽水炉で使用される核燃料は、核分裂を起こすU-235を3〜4%程度に濃縮して使う。
▲ TOP
【え】
【お】
- 親核種 (※換)
- 放射性核種Aが放射線を放出して壊れ、別の核種Bに変化するとき、AはBの親核種という。これに対して、BはAの娘核種という。
- オルソ・パラ変換器 (※物)
- 水素分子は2つの水素原子からなる。水素原子の原子核はスピンと呼ばれる状態をもち、2つの水素原子核のスピンの向きが平行な場合をオルソ水素、反平行な場合をパラ水素と呼ぶ。オルソ水素とパラ水素には化学的性質に違いは無いが、物理的性質(比熱、熱伝導率、核的相互作用など)に違いがある。
J-PARC核破砕中性子源で中性子を冷やす(エネルギーを下げる)ために用いる液体水素にはパラ水素が適している(パラ水素の方がオルソ水素に比べてエネルギーが低い(-14.7meV)ため)。そこで中性子源の極低温水素循環システムでは、運転中に液体水素を連続的にオルソ・パラ変換器に通し、触媒作用によりオルソ水素をパラ水素に変換している。