トピックス

2019.11.29

J-PARC News 第175号

■The 4th Neutron and Muon School and MIRAI PhD School 2019(10月28日~11月2日、東海村/J-PARC&IQBRC)

 J-PARCセンターと総合科学研究機構(CROSS)は、日本中性子科学会・日本中間子科学会等国内11組織と共催で「第4回中性子・ミュオンスクール」及び「MIRAI PhD School 2019」を10月28日から11月2日にかけて開催しました。今回は、日本・スウェーデン国際学術コンソーシアムMIRAIプロジェクトとの共同開催で、日本を含むアジア・ヨーロッパ各国から、生命科学や機能性材料、文化遺産の鑑定など多岐にわたる専門分野の大学院生や若手研究者41名が参加し、講義や実験装置を用いた実習を通じて中性子科学、ミュオン科学の理解と知識を深めました。 日本中性子科学会長の加倉井和久氏(CROSS)がスクール校長を務め、学生の頃参加したスクール仲間と後に共同研究に至った体験を語り、「学ぶことに加え、参加者同志の親睦を深めて欲しい」と挨拶しました。齊藤直人J-PARCセンター長はスクールへの期待を述べるとともにJ-PARCの全体概要を紹介しました。
スクール前半には、本分野の第一線で活躍するJ-PARCの研究者と、国内およびスウェーデンの大学教授らの講師陣による中性子科学、ミュオン科学についてなどの12件の講義を行いました。また、中央制御棟、ハドロン実験施設、ニュートリノ実験施設の見学ツアーを行いました。
スクール後半は、MLFの中性子実験装置(10台)及びミュオン装置(2台)を用いて装置担当者から実習を受け、グループごとにデータ解析や装置の取り扱いなどを実践しました。最終日には実習内容をグループごとに発表し、関係者全員によるベストプレゼンテーション賞の投票が行われました。また、参加者同士の交流を深めるイベントとして、研究内容と趣味などを交えた自己紹介、ポスターセッションでの意見交換などが企画され、スクールは和気あいあいとした雰囲気の中、無事終了しました。
※「MIRAI」プロジェクトは、日本・スウェーデンの17大学が参加し、両国の共同研究の推進により、主に若手研究者の育成、交流と研究力の向上を目的とする国際学術コンソーシアムです。
CROSSのホームページもご覧ください。https://neutron.cross.or.jp/ja/news/topics/191119pre/

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■「J-PARCハローサイエンス」を開催( 11月6日、9日、11日、18日、25日)

 J-PARCセンターは、随時J-PARCハローサイエンスを実施しており、11月は東海村内小学校と那珂市内小学校、東海村子ども科学クラブで、合計5回実施しました。

(1)東海村立中丸小学校理科クラブ にて~静電気実験~(11月6日)

 「静電気」をテーマにした科学実験教室では工作に先立ち、J-PARC加速器と静電気について映像などで説明し、帯電した物どうしが引付けたり反発したりする様子を実演しました。その後、2個のスチール缶の間に画鋲を吊るした振り子ベルを各自が工作しました。塩化ビニルの棒で静電気を発生させ、振り子ベルに近づけて画鋲の様子を観察、静電気により画鋲が小刻みに振れ缶に当たって「カチ・カチ・カチ・カチ…」と音が鳴る様子に歓声が上がりました。

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(2)「きぎすっ子まつり」にて~光のまんげ鏡作り~(11月9日、那珂市立菅谷東小学校)

 昨年に続いて、那珂市立菅谷東小学校で開催された「きぎすっ子まつり」に「科学実験教室」を出展し、分光シートを使ったまんげ鏡作りから光の性質などを子供たちに解説しました。教室は多くの親子連れが光の性質の話に耳を傾け、その後の工作を楽しんでいました。黒色の紙に小さな穴を開けて描いた星模様は、分光シートを通したまんげ鏡では、虹色に光るキラキラ模様として見えます。子供たちは完成したまんげ鏡を手に、蛍光灯やLED電球など異なる光源を使い、見え方の違いを興味津々と覗き込んで体験しました。

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(3)東海村子ども科学クラブにて ~不思議な光の実験~(11月11日)、~静電気実験~(18日)、~電気と磁石の実験~(25日)、東海村中丸コミュニティセンター

 J-PARCセンターは、東海村教育委員会が主催する「子ども科学クラブ」において科学実験教室を実施しました。「子ども科学クラブ」は、東海教育プラン2020の一環として児童の科学への探求心を育むために開催されています。「光」、「静電気」、「電気と磁石」をテーマに取り上げた実験教室では、村内小学校5・6年生9名が参加しました。1日目は複数の偏光シートを用いた光実験で、筒の中に間仕切りがあるように見えるのにボールがすり抜ける不思議な実演に子どもたちは考えを巡らせました。2日目は、スチール缶と画鋲で作る振り子ベルによる静電気実験と、3日目は電気と磁石の実験で、クリップモーターの工作がありました。ローレンツ力の実演では、厚紙の両端にアルミ箔を貼って作ったレールの間にボタン磁石を直線状に並べ、アルミ箔を巻いた丸い鉛筆を乗せてレールに電池を繋ぐと、コロコロと転がりました。子供たちは様々なテーマの実験を体験し、工作などに熱心に取り組んでいました。

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■J-PARCフォトコンテスト開催

 今般、J-PARCフォトコンテスト2019を開催し、J-PARC内外から16名、計25点の作品応募があり、受賞作品の表彰式を11月14日に行いました。受賞作品の選考には、東海村在住の写真家 及川隆史氏も加わり、最優秀賞1点、優秀賞2点、佳作7点が選ばれました。最優秀賞は、低温セクションの槙田康博リーダーの作品「一人inタンク」に輝きました。槙田氏はヘリウムタンク開放点検中の一人の作業員の後ろ姿と、その影に着目しました。入賞作品はJ-PARC研究棟玄関の壁面に1年間展示されます。

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■ご視察者など

 11月11日 国光あやの 衆議院議員

 

 

■加速器運転について(J-PARC)

(1)主リングシンクロトロンの運転再開

 2019年4月24日に発生した、3GeVシンクロトロン(RCS)と主リングシンクロトロン(MR) を結ぶビーム輸送ラインに設置された偏向電磁石B15Dの不具合により、MRの利用運転を休止しておりましたが、劣化したコイルの交換作業が終了し、11月7日より利用運転を再開しましたのでお知らせします。

 

(2)加速器運転計画

 12月の運転計画は、次のとおりです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。また、MLFの利用運転開始は、12月中旬を予定しています。

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