J-PARCの陽子ビームは、水素ガスから陽子1個と電子2個から成る「負水素イオン」のプラズマ(電気を帯びた気体)の塊を作り、直線型の加速器「リニアック」で加速するところから始まります。リニアックでは、多数並んだ「加速空洞」と呼ばれる円筒型のタンク中を負水素イオンの塊(「バンチ」と呼ばれます)の通過タイミングに合わせて、「クライストロン」という装置を使って発生させた324MHz(上流側)および972MHz(下流側)の電磁波を伝えることで、電場の力で加速させています。加速空洞は41台並んでおり、最終的な運動エネルギーは400MeV、速度にして光速の71%になります。
加速空洞の1つ、DTL(ドリフト・チューブ・リニアック)