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2022.11.18

マオ ウェンチ氏が日本中性子科学会「ポスター賞」を受賞

MAO-WENQIs

 

  物質・生命科学ディビジョン中性子利用セクション博士研究員のマオ ウェンチ氏が、日本中性子科学会第22回年会において「ポスター賞」を受賞しました。準安定オーステナイト鋼は、優れた変形能と耐食性により、工業分野で注目を集めています。材料の強度を高めるために結晶粒を微細化することがありますが、マオ氏は本材料での結晶粒の大きさと力学的特性の関係を、J-PARCの物質・生命科学実験施設 (MLF) のBL19「匠」を用いて解明しました。

 

ポスタータイトル Effect of grain refinement on deformation-induced martensitic transformation studied by in situ neutron diffraction
(その場中性子回折による変形誘起マルテンサイト変態に及ぼす結晶粒微細化の影響)
著者 Wenqi Mao, Satoshi MOROOKA, Takuro KAWASAKI, Stefanus HARJO
発表概要 結晶粒が超微細な準安定オーステナイト鋼は、変形誘起マルテンサイト変態 (DIMT) により、強度と延性の優れた組み合わせを示すことがわかっています。結晶粒を微細化することでDIMTの速度が変化し、準安定オーステナイト鋼の変形挙動に大きな影響を与えることが知られているものの、DIMTへの結晶粒微細化の影響は完全には解明されていませんでした。そこでマオ氏らは、結晶粒サイズが超微細な準安定オーステナイト鋼を用いた変形中のその場中性子回折測定を行い、結晶粒サイズが超微細になるにつれてオーステナイト粒の結晶方位間の DIMT の開始条件の差が大きくなることを突き止めました。すなわち、DIMTが起こりにくい結晶方位のオーステナイト粒では、結晶粒微細化によってますます変態しづらくなることが明らかとなりました。