●建物建設状況 |
(1) | リニアックは、先月からの24時間連続運転を10月9日まで行い、メンテナンス作業を実施した後、22日から運転を再開した。3GeVシンクロトロンは、リニアックからのビームを入射、荷電変換装置を通過しH0ダンプまでビームを導いた。 |
(2) | 50GeVシンクロトロンは、レーザーを利用した電磁石の精密アライメント、各種電源ケーブル接続関連作業を継続実施中。また高周波加速空胴及び最終段増幅器がトンネル内に搬入設置された。第1電源棟は、入射キッカー電源装置が搬入設置された。 |
(3) | 物質・生命科学実験施設は、各種モデレータ及び反射体の着脱確認試験を継続実施中。長尺ビームライン実験施設、第3実験室の建設工事を実施中。 |
(4) | 原子核素粒子(ハドロン)実験施設は、遮蔽体の搬入、電磁石チムニー組み立作業を実施中。ニュートリノ実験施設は、ターゲットステーション部で、大型機器となるヘリウム容器の溶接及びアルミ製蓋取り付け作業を実施中。ディケイボリューム下流部は、掘削作業を実施中。また第1、第2設備棟、搬入棟及びモニター棟の建設工事を実施中。 |
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●RCS、H0ダンプへビーム到達 |
JーPARCリニアックのビーム試験は平成18年10月に開始され6月まで8サイクルのビーム調整試験が進められた。約2ケ月半の夏期加速器停止で機器メンテナンス作業を実施。平成19年9月からはRCS(3GeVシンクロトロン)のビーム調整試験に向け、10日からビーム調整試験が再開された。
リニアックからのビームは、RCSへのビーム輸送系を通過しRCS入射部直前の90度ビームダンプ、100度ビームダンプへとビーム調整試験が進められ、10月4日にはRCS入射部の荷電変換装置で負水素イオン(H-)から電子を1個剥ぎ取った形(H0)とし、RCSのH0ビームダンプへビームを到達させ、ビームの入射ラインを確立した。
(ビームダンプ:ビーム試験調整時や加速器運転時に、不要となったビームを捨てるための場所。鉄や銅のブロック等で製作される)
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●永久磁石回転式電磁ポンプの開発 |
物資・生命科学実験施設の中性子発生装置ではターゲット材として重金属液体水銀を使用する。ターゲット材は陽子の入射で膨大な発熱が生じるため効率の良い冷却を必要とする。
固体ターゲットの場合は水冷方式が一般に採用されてきたが、J-PARCのような高出力ターゲットでは水冷方式の熱除去では不十分であることから、ターゲット材自身が冷却材として機能する液体水銀を採用し、且つターゲット容器構造材をも冷却出来るものとした。
ここで液体水銀の循環系ポンプに機械式ポンプを使用した場合、軸シールからの水銀漏洩が懸念されたため、水銀シール機構が無い電磁ポンプを助川電気工業(株)の協力を得て新たに開発した(特許出願中)。
これは、ローターに永久磁石のN極とS極が交互に配置されたもので、そのローターの周りを液体水銀が流れる流路をΩ型に配置し、モーターでローターを回転させることで水銀に電磁力が働き水銀が流れる原理。このポンプはコンパクトな構造をも可能とし、狭い空間への設置も可能としている。
参考:ロータに配置された永久磁極間の磁力線が水銀と交差し、モーターによりローターが回転すると移動する磁場の中に置かれた水銀に電流が流れる(電磁誘導)。ここで水銀に流れる電流と磁力線が交わることで水銀に電磁力が働く(フレミング左手の法則)。
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●T2Kコラボレーションミーティング |
T2Kコラボレーションミーティングが平成19年9月27-28日に行われ、初日はKEKつくばで、2日目はニュートリノ実験施設の建設が進む東海村のJ-PARCサイトで開催された。参加者は、海外からの参加者約100人を含む約140人であった。
2日目は、東海村のJ-PARCサイトでニュートリノ実験施設(モニター棟やターゲットステーションの建設工事現場及び50GeV加速器トンネルの速い取り出し部の電磁石等設置状況)や、50GeV加速器の空胴設置作業を見学した。
午後は原科研・先端基礎研究交流棟で会議が行われ、KEKのニュートリノ関係者が施設建設状況を報告し、これからの研究についての全体議論が行われた。意見交換の場では、安全に係る英文資料の整備などの要求もあった。
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●クリアランス鉄遮蔽ブロック購入 |
原子力発電所等から発生する再生可能な材料に関する「クリアランス制度」が我が国に導入されたが、この度J-PARCでは、日本原子力発電(株)東海発電所から発生した鉄材をこの制度に則って原料にしたリサイクル(再生)鉄遮蔽体を購入した。
平成19年10月10日にハドロン実験施設に搬入され、現地納入にあたりプレス取材を実施、NHKを含め各社の取材があった。鉄遮蔽体は、1体が1m×50cm×20cm、重さ700kg。今回は、全20個が納入され総重量は14tである。
日本原子力発電(株)は、「核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づき、平成19年5月31日、経済産業大臣から放射能濃度の測定及び評価結果の確認証を受領し、随時クリアランス対象物の東海発電所からの搬出、鋳造メーカーでの再生加工、再生加工品の東海発電所への受入作業を進めてきたものである。
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●「JーPARCは生活にいかに役立つか」 講演 |
文部科学省主催によりアジア原子力協力フォーラム(FNCA)活動の成果や情報を中心に「アジアの発展に役立つ原子力を考えるーアジア原子力協力フォーラムの成果ー」と題した講演会が、平成19年10月12日に茨城県立図書館(水戸市)を会場に開催された。
本講演会では、J-PARCセンターの鈴木運営支援セクションリーダーが「J-PARCは生活にいかに役立つか」と題した講演を行った(他2講演は、癌の放射線治療と放射線利用による品種改良について)。また、FNCAの町末男コーディネーターの進行により「ー日本に期待される国際協力ー」とのテーマによるパネル討論で意見交換がなされた。
J-PARC加速器ディビジョンのDr. SAHA PRANAB KUMAR(サハプラナブクマル氏、バングラデッシュ出身)もパネラーとして出席した。
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