■ J-PARC News 第104号より       (2013/12) 
●事故再発防止対策を確認する茨城県、東海村等の立入り調査 (12月5日) 
  J-PARCでは、ハドロン実験施設を除く全施設で、施設の健全性および安全管理体制などの確認のため、茨城県、東海村、隣接市および隣々接市町による立入り調査が行われた。現場確認では主に、各施設の設備運転、放射線監視、管理区域の負圧管理などの状況や、事故後に改善した設備などが調査対象となった。また、規程類、運転マニュアル、非常事態訓練の報告記録などの書類確認が実施された。当日は、報道関係8社による取材も行われた。



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●放射線安全評価委員会を開催 (12月9日) 
  J-PARCセンターは、施設・設備の安全基準や規程類改訂などの放射線安全基準に関する評価機能を強化するため、従来、センター構成員代表メンバーで構成していた「放射線安全検討会」を、外部有識者を含む専門家メンバーで構成する「放射線安全評価委員会」に改組し、第1回委員会を開催した。

  委員長は、馬場護J-PARC副センター長 (安全統括) が務め、委員は外部有識者4名、日本原子力研究開発機構 (JAEA) と高エネルギー加速器研究機構 (KEK) の放射線取扱に豊富な経験を有する6名、当センターから放射線取扱主任者、安全ディビジョン長、他のディビジョン長など7名の総勢20名で構成される。

  委員会は、委員長の挨拶、各委員の自己紹介が行われ、次に委員長などから本委員会設立の趣旨説明、委員会規則の説明、ハドロン実験施設事故の概要と再発防止策についての説明を行った。続いて、放射線障害予防規程細則と事故等通報規則の改定、専門部会の設置などについての審議が行われた。

  ※外部有識者メンバー
     戸崎 充男:京都大学 環境安全保健機構 放射性同位元素総合センター 准教授
     鈴木 智和:大阪大学 核物理研究センター 放射線取扱主任者
     田中 鐘信:理化学研究所 仁科加速器センター 安全業務室
     高橋 知之:京都大学 原子炉実験所 原子力基礎科学研究本部 放射線安全管理工学研究分野 准教授


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●茨城県原子力安全対策委員会 (12月13日) 
  原子力等の専門家で組織する標記委員会 (委員長:岡本孝司東京大学大学院教授) が、水戸市の合同庁舎で開催され、J-PARCセンターから事故再発防止対策などの取り組み状況を報告した。また、茨城県からは本委員会に先立ち、5日に実施したJ-PARCへの立入り調査で、安全対策が構築されているとの報告がされた。なお、委員会から安全管理体制については、継続的な改善に務めること、情報公開を進めることなどのコメントが出された。

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●金標的の目視観察を実施 (12月12-13日) 
  ハドロン実験施設の事故では、短時間に大量の陽子ビームが金標的に入射され、その一部が損傷したと考えられていた。標的周辺の放射線量が高いことから、金標的の観察を、ファイバースコープを使って遠隔操作により実施した。その結果、標的のビーム出口端面に直径1mm程度の穴が確認された。また、標的に5箇所、等間隔に設けた約1o幅のスリット (切り込み) から金が溶け出たような痕跡と、標的周囲に金色に光る飛沫のような点を確認した。観察結果は、これまでに行ったシミュレーションに基づいた検討結果とほぼ同様なものとなっている。
  詳細は、J-PARCのホームページをご覧ください。



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●MLF中性子実験装置の中間評価 (11月26日〜12月25日) 
  物質・生命科学実験施設 (MLF) 内にある中性子実験装置 (BL) は、中性子実験装置部会 (旧「中性子実験装置専門委員会」、「中性子実験装置計画検討委員会」) においてBLの設置に係る提案が審議され、合格した後にそれぞれ建設に至っている。これらBLの設置期間は最長10年となっており、中性子実験装置部会 (部会) および、その下部委員会である中性子実験装置部会分科会 (分科会) などによって中間時点経過時に中間評価が、設置期限時に総合評価が行われ、BLの継続・期限延長についての指針が出される。

  2013年度は、初期に建設された5台のBLが中間評価の対象となり、11〜12月の期間に分科会による評価が行われた。今後、分科会からの評価報告書を元に、部会などによって装置の性能・成果などが評価され、今後5年間の更なる性能向上などに向けた方策などの助言も出される。

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●加速器施設安全シンポジウムを開催 (12月11日) 
  J-PARCセンターは、標記シンポジウムを都内で開催した。この会議は、J-PARCハドロン事故の教訓を加速器施設の関係者と共有するとともに、国内外の加速器施設における安全管理に関する経験や課題について情報を交換して、安全管理の強化に資することを目的としたものである。始めにJ-PARCから事故の内容と経緯を報告し、それに関わる討論が行われた。その後、カナダ・トライアンフ研究所 (TRIUMF) や国内8つの中大型加速器施設 (東北大電子光理学研究センター、東北大サイクロトロン・RIセンター、理研RIBF、KEK、放医研、JAEA高崎研、大阪大RCNP、SPring-8) から報告があり、最後に加速器施設の安全の考え方と課題について総合討論が行われた。民間企業からも多数の参加があり、約130名の参加者によって熱心な意見交換が行われた。


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●第11回 加速器駆動核変換システム (ADS) 及び核変換技術に関するアジアネットワークの国際ワークショップ (12月12-13日) 
  標記ワークショップ (The 11th International Workshop on Asian Network for Accelerator-Driven System  (ADS)  and Nuclear Transmutation Technology  (NTT) :ADS+NTT 2013) が韓国ソウルで開催され、日中韓の専門家約30名 (日本はJ-PARC及び京都大学より各2名) が活発な議論を行った。J-PARCからは、今年9〜10月に文部科学省が実施した群分離・核変換技術評価作業部会の議論と日本のADS研究開発状況を紹介するとともに、J-PARCの運転履歴をもとに解析した加速器信頼性評価およびADSターゲット試験施設 (TEF-T) 核破砕ターゲットの構造健全性について報告した。

  本ワークショップは、2003年3月に日本原子力研究所 (現JAEA) が東京で開催した国際シンポジウムに端を発し、日本、韓国、中国が持ち回りで毎年開催してきたもので、次回ワークショップは、来年、中国で開催の予定である。

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●日本中性子科学会第13回年会で奨励賞、技術賞を受賞 (12月12日) 
  日本中性子科学会は毎年、中性子科学の発展に著しく寄与した者に対して学会賞各賞を授与しており、12-13日に、さわやかちば県民プラザにおいて開催された第13回年会の初日に受賞式が行われた。

  J-PARCセンターからは、2名が奨励賞、1グループが技術賞を受賞した。奨励賞は、「偏極パルス中性子を用いた磁場イメージング法の開発」で中性子利用セクションの篠原武尚研究副主幹が、 また、データ解析の新規手法開発となる「中性子準弾性散乱に向けたモデルフリー解析法の開発とその水への応用」で同セクションの菊地龍弥任期付研究員が受賞した。また、 技術賞は「パルス中性子源におけるダブルディスクチョッパー型分光器の実用化」で同セクションの中島健次研究主幹ら5名のグループが受賞した。詳細は、中性子科学会のホームページをご覧下さい。


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●J-PARCニュートリノビームグループ、諏訪賞を受賞 (12月16日) 
  標記グループ (代表:小林隆素粒子原子核ディビジョン長) は、「世界最高強度ニュートリノビーム施設の実現による電子ニュートリノ出現現象の発見への貢献」の業績が評価され、高エネルギー加速器科学研究奨励会の諏訪賞を受賞した。諏訪賞は、加速器科学の発展に資することを目的に高エネルギー加速器ならびに加速器利用に関する実験装置の研究において、特に優れた業績を修めた研究者・技術者に授与される4つの褒賞の一つ。
  詳細は、高エネルギー加速器科学研究奨励会のホームページをご覧ください。

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●ご視察等
     12月16日    インドネシア科学技術省 Mrs. Heri Widyawati, 科学技術文化倫理課長、他3名

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