■ J-PARC News 第127号より       (2015/11) 
●西川公一郎KEK名誉教授、K2K/T2Kコラボレーションがブレークスルー賞を受賞
 (11/8、米国) 
  西川名誉教授 (元J-PARC副センター長) とK2K/T2Kコラボレーション (国際共同実験グループ) はニュートリノ振動の発見と研究についての功績により、2016年基礎物理学ブレークスルー賞を受賞しました。研究は、加速器でニュートリノを人工的に作り出してニュートリノ振動を観測するもので、西川氏はそれら研究の立案から実験までを主導しました。東海村のJ-PARCニュートリノ実験施設から打ち出したニュートリノを岐阜県飛騨市神岡町のスーパーカミオカンデで観測するT2K実験では、これまでにミュー型ニュートリノが飛行中に電子型ニュートリノに変化したことを世界で初めて発見する成果を挙げています。このブレークスルー賞は、2012年に創設された自然科学における国際的な学術賞で、基礎物理学、生命科学、数学の3分野があります。今回は、梶田隆章東京大学宇宙線研究所長とスーパーカミオカンデ実験などと共同での受賞となりました。
この記事の詳細につきましては、 KEKホームページをご覧ください。
http://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Release/20151109140000/



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●SPring-8・J-PARC・スーパーコンピュータ「京」を連携活用させたタイヤ用新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を確立 (11/12、プレス発表) 
- 低燃費性能・グリップ性能に加え耐摩耗性能200%のタイヤ -
  住友ゴム工業株式会社は、理化学研究所、J-PARCセンターなどの研究機関や東京大学などと共同で、J-PARC物質・生命科学実験施設 (MLF) の中性子実験装置、および大型放射光施設 SPring-8、スーパーコンピュータ「京」の連携活用を進め、タイヤ用ゴム内部の構造や運動性の詳細解析とコンピュータシミュレーションを実施してきましたが、このたび、これらの成果を結集し、タイヤの相反性能である低燃費性能、グリップ性能に加えて耐摩耗性能の大幅な向上が可能となる新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を完成させました。この新技術により生まれた「ストレスコントロールテクノロジー」の採用により、低燃費性能とグリップ性能を維持しながら耐摩耗性能を200%に向上させたコンセプトタイヤ「耐摩耗マックストレッドゴム搭載タイヤ」の開発に、このたび成功しました。詳細につきましては、J-PARCホームページをご覧ください。
http://j-parc.jp/ja/topics/2015/Pulse151112.html


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●ミュオンビームラインS1実験エリアでミュオンの寿命測定を実施 (10/29) 
  MLFミュオン実験施設の第1実験ホール側では、低速ミュオンを用いたミュオンスピン回転緩和法 (μSR) により、物質内部の情報を測定する実験を行うSビームラインの建設が計画され、4つの実験エリアの最初の分岐となるS1実験エリアの建設が2013年度末より進められてきました。10月末からはSラインでビーム取り出し調整を行い、ミュオンの寿命測定実験により、ミュオンが崩壊して変化した陽電子を測定したところ、ミュオン回転標的でミュオンが生成され、S1実験エリアにビームが届いたことが確認されました。
詳細につきましては、KEKホームページをご覧ください。
http://www2.kek.jp/imss/news/2015/topics/1110s-muon/


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●第2回T-TAC開催 (10/28-29、J-PARC研究棟) 
  J-PARCでは、加速器駆動システム (ADS) を用いた高レベル放射性廃棄物の減容化や有害度低減に資する研究開発を行うため、核変換実験施設 (TEF) の建設を計画しています。昨年7月の第1回に引続き、10月28-29日に第2回TEFテクニカルアドバイザリー委員会 (T-TAC) を開催しました。齊藤直人J-PARCセンター長より委員会任務が説明された後、TEFの開発に携わる担当者から、施設設計や鉛ビスマス取扱技術等の要素技術開発の現状について報告が行われました。委員からは、今後の施設開発にとって有用な多くの提言・指摘を頂きました。その後、TEF建設予定地、および原子力科学研究所 (原科研) 高温工学試験棟の液体鉛ビスマス試験ループ等の試験装置の見学が行われ、装置に関する意見交換が行われました。
※加速器駆動システム (ADS:Accelerator Driven System) 
   核変換実験施設 (TEF:Transmutation Experimental Facility) 



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●第1回アジアADSトピカル会合開催 (10/26-27、J-PARC研究棟) 
  日中韓のADS関係者が各国の加速器、未臨界炉心、材料、燃料サイクル等に関する研究開発の情報交換を行うアジアADSネットワーク会合は、2003年の日本開催を皮切りに毎年開催されてきました。研究開発の進捗状況から、特定の課題についてより深い議論を行うために全体会合を隔年開催とし、全体会合を行わない年は専門分野に特化したトピカル会合を開催することになりました。今年は、その第1回として「鉛ビスマス利用技術」をテーマに、アジアADSトピカル会合をJ-PARCで開催しました。韓国4名、中国1名の参加の下、招待講演ではドイツ・カールスルーエ工科大学のJuergen Konys博士に、ドイツにおける液体鉛ビスマスによる鋼材腐食挙動とその抑制に関する研究開発状況について講演頂きました。その後、日中韓各国の研究開発状況が紹介され、今後の研究開発課題や課題解決に向けた協力について意見交換が行われました。会議後には、原子力科学研究所高温工学試験棟の液体鉛ビスマス試験ループ等の試験装置を見学し、装置やその運用に関する質疑や意見交換を行いました。
   
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●加速器運転計画
   12月の運転計画は、次のとおりです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。
   


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●平成27年度JAEA理事長表彰で研究開発功績賞受賞 (11/17、アトムワールド) 
  平成27年度のJAEA理事長表彰で、画期的研究開発の完成に係る業績を称える「研究開発功績賞」を、加速器第2セクションJ-PARC RCSビームコミッショニングチームの發知英明氏他8名が、「J-PARC RCS (3GeVシンクロトロン) での大強度陽子ビーム調整手法の開発」で、また、PLANET建設グループの中性子利用セクション服部高典氏、佐野亜沙美氏および東北大学有馬寛氏が「超高圧中性子解析装置 (MLF/BL11) による高温高圧中性子回折実験の実現」でそれぞれ受賞しました。
   


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●平成27年度J-PARC安全監査 (11/6) 
 
   平成27年度のJ-PARC安全監査が、外部監査委員2名 (専門:安全、人間工学、放射線理工学) により行われました。この監査では、センター長、副センター長、各施設の施設管理責任者などが出席し、安全管理の現状、 各施設での安全の取り組みについて報告や、委員からの聞取り調査が行われました。これらの後、MLF実験施設の現地調査も行われ、最後に全体の講評を受けました。講評では、各ディビジョンの安全の取り組みについて情報交換を行うことが有効であることなど、今後の安全の取り組みに重要な提言を頂きました。

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●2015年度非常事態総合訓練〜緊急時被ばく医療の初動対応〜  (11/13) 
    J-PARCセンターは、これまで放射線管理区域などでの火災事故、あるいは施設からの放射性物質漏えいを想定した訓練を行ってきましたが、今回は、原子力科学研究所 (原科研) と共に初めて「緊急時被ばく医療」に関わる訓練を実施しました。この訓練は、事故時の初動対応を確認することを主な目的に、あえて大線量被ばく事故が発生したこととし、50GeVシンクロトロン (MR) トンネル内に作業者を残した状態で、加速器運転を行ったと想定したものです。事故発生に伴い事故対応関係者の初動措置、被ばく線量の推定、救急車を使った医療機関 (模擬) への搬送などを行いました。また、事故現場指揮所、現地対策本部、原科研が警戒体制又は非常体制を設定した時に開設される支援組織の放射線管理部センターでは、TV会議システムを通じて情報を共有しながら対策を検討し、関係機関への模擬通報など、概ね良好に進められましたが、訓練終了後の反省会では、今後改善すべきいくつかの点も確認されました。
   


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●平成27年度村小まつりでJ-PARCハローサイエンスを開催 (11/7、東海村) 
    J-PARCセンターは、子供たちに科学に興味を持ってもらう活動の一環として、村松小学校で開催の平成27年度村小まつり (第33回) に、電気や磁場の力を使った、J-PARCハローサイエンスを開きました。エナメル線の太さや巻数が異なる電磁石の磁力の違いや、銅線で巻かれたコイル中を走る乾電池の実演、電極を切り替えるタイミングでモーターを動かすモーター実験、そして今回は、アルミ管の中を落ちる磁石の不思議な動きの実験などを行いました。子供たちは講師が出すクイズに答え、実験の様子に注意深く見入っていました。また、電池の自走や、落ちる磁石の不思議な動きに、"えぇ〜"と驚く様子でした。また、簡単にJ-PARCやニュートリノ実験についても模型を使って説明し、子供たちには発光ダイオードの点滅で、加速器の陽子ビームの流れや、実験施設の標的で生成した二次粒子の流れを感じてもらいました。こんな実験施設が東海村にあること、ニュートリノの研究を行っている事が、ほんの少しでも記憶に残ればと思います。
   
   
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●ご視察者など
    10月  29日  岡村 直子 文部科学省研究開発局原子力課長
    11月    5日  韓国原子力研究所原子力防災課長 Lee Goanyup氏 他
   
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