■ J-PARC News 第150号より       (2017/10) 
●T2K (Tokai to Kamioka) -NOvA合同ミーティング (10月15-18日、J-PARC) など開催
  ニュートリノと反ニュートリノの振動の違いを観測し、ニュートリノにおける粒子と反粒子の性質の違い (CP対称性の破れ) を検証しようとしているJ-PARCのT2K実験と、米国フェルミ国立加速器研究所の実験装置で実施しているNOvA実験の合同ミーティングが、10月15日から3日間、J-PARCセンターで開催されました。両実験は、今後数年かけて十分な実験データを取得し解析を進め、物理的により高い精度の考察が可能になる合同解析を考えています。会議では、解析に必要なシミュレーション、プログラム、測定の手法のすり合わせなどについて、本格的な議論が行われました。なお、この会議に先立ち、9日から6日間、恒例のT2Kコラボレーションミーティングが開催され、2017年4月まで取得したデータの解析結果、性質の違いがある確率が95%に高まったこと (J-PARC News148号掲載) 、運転開始後初めて行われた遠隔操作による陽子ビーム窓交換作業などが報告されました。

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●MLFチョッパーミーティング「DIRECTION 2017」開催 (10月16-17日、IQBRC) 
  物質・生命科学実験施設 (MLF) には、中性子遮蔽体に僅かな隙間を開けたディスクを高速で回転させ、そこを通り抜ける特定のエネルギーの中性子を切り出す「チョッパー中性子分光器」が4台あり (BL01、12、14、23※) 、これらを活用した非弾性散乱測定からユニークな研究成果が生まれています。今回、装置、研究分野の枠に囚われずこのチョッパー中性子分光器の利用研究の活性化を目指して、各装置合同のユーザーミーティングが、いばらき量子ビーム研究センター (IQBRC) で開催されました。会議では各装置、試料環境、ソフトウェアの最新状況に加え、最近の実験およびデータ解析の例など23件の講演があり、活発でフランクな質疑応答を通じて、施設と利用者相互の理解が深まりました。
※4 次元空間中性子探査装置「四季」 (BL01) 、高分解能チョッパー分光器「HRC」 (BL12) 、冷中性子ディスクチョッパー型分光器「AMATERAS」 (BL14) 、偏極中性子散乱装置「POLANO」 (BL23、今年度からコミッショニングを開始) 

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●MIRAIセミナーに参加 (10月17-18日、スウェーデン王国ルンド大学) 
  ヨーロッパ12か国が組織する欧州研究基盤コンソーシアム (ERIC) の法的な枠組みで運営される共同実験施設、欧州核破砕中性子源 (ESS) の建設が、2019年の稼働を目指してスウェーデンのルンド市で進められています。ESSを中核として学術研究地区を計画するルンド市は、J-PARCなど日本の研究施設や両国の17大学での研究協力や人材育成を行う「MIRAIプロジェクト」を強力に推進する予定です。その一環として、第1回の「MIRAIセミナー」が、17日から2日間ルンド大学で開催されました。日本からは、J-PARCセンターを含み、SPring-8や早稲田大学などの研究機関、大学の関係者、そして文部科学省やJSTからも関係者が参加して、大型研究施設が研究の発展や社会にもたらす可能性について活発な議論を交わしました。

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●T2Kプロジェクト、NHK World TV 「Japanology plus」 (10月3日) 
  18言語で世界中に放映されているNHK WorldのTV番組「Japanology plus」の第55話として、「Particle Physics Research」というタイトルの番組が、J-PARCセンターも実験施設を運営するT2K実験が組込まれて制作されました。超伝導電磁石から構成され、陽子ビームをMR加速器からニュートリノを作る標的へ輸送する加速器や、生成されたニュートリノのエネルギーなどを調べるための前置検出器などが9月7日に取材され、迫力ある映像とともに10月3日に第1回目の放映が行われました。
詳しくは、下記をご覧ください。

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https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/tv/japanologyplus/program-20171003.html
   
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●IAEA総会エキシビションで加速器を用いた核変換技術を紹介 (9月18-22日、IAEA本部/オーストリア) 
  国際原子力機関 (IAEA) 本部で開催されたIAEA総会エキシビションの日本ブースで、原子力の最先端技術として加速器駆動システム (ADS) の模型が展示され、ADSを用いた分離変換技術の研究の最前線が紹介されました。ブースのオープニングセレモニーでは、J-PARCセンター 核変換ディビジョン ターゲット技術開発セクションの佐々敏信リーダーが、松山政司科学技術政策担当大臣に研究開発の現状を説明しました。また、来場した各国政府職員やIAEAの技術スタッフ等と研究の進展や分離変換技術の有効性などについて意見交換を行いました。

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●第9回J-PARCハローサイエンス「中性子で"見る"世界 - モノの中を中性子で透かしてみよう - 」開催 (9月29日、東海村産業・情報プラザ「アイヴィル」) 
  J-PARCセンターは第9回サイエンスカフェを開催し、中性子利用セクションの篠原武尚氏が、J-PARCの中性子ビームライン「螺鈿 (エネルギー分析型中性子イメージング装置) 」で進む、非破壊でモノの内部を見る「可視化技術」研究の話をしました。中性子は、同じ放射線のX線と比べて物の見え方が大きく異なること、特に、軽い元素、例えば水素などに敏感である等の特徴を説明し、その特徴を踏まえて行われている研究例として、自動車の燃費向上に繋がる、エアコン内部の流体の動きの観察動画などの具体例を紹介しました。さらに、日本刀のCT画像による内部観察で文化財の研究にも有効なことが示され、他分野への利用の広がりが示されました。会場からは質問も多数寄せられ、カフェは盛況のうちに終了しました。
   
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●第5回大空マルシェ2017で「J-PARC科学実験コーナー」を出展 (10月21日、東海村) 
 
  J-PARCセンターは、東海村村松の「大神宮」と「村松山虚空蔵堂」の境内で開催されるようになったオープンマーケット「大空マルシェ」に今年で4回連続出展、J-PARCの研究を支える基礎科学実験を体感するコーナーを開設しました。マイナス196℃の液体窒素を使った実験では、恒例の超伝導コースターに加え、通常は気体である二酸化炭素や酸素などを液体窒素で冷やす実験も実施。両方とも粉末化して、一方はドライアイスに、酸素は磁石に吸い寄せられる粉末になることを観察してもらいました。また、ガウス加速器の実験では、レール上に並べた磁石と鉄球に他の鉄球を当てると、一番端の鉄球がぶつけた鉄球より速い速度で飛び出す実演を行いました。山田修東海村長を始め、J-PARCのコーナーには多くの来場者が訪れ、一様に実験を楽しみ、実験の仕組みや原理を説明するスタッフの話に熱心に耳を傾けていました。
   
●Workshop of WARAJI key chain  (10月13日、KEK東海ドミトリー) 
 
  J-PARCセンターでは、T2K実験コラボレーションミーティングの開催に合わせて、海外の研究者に日本の伝統文化に触れてもらう機会の各種体験教室を毎回開催しています。今回は、毛糸を使ってわらじを編んでストラップを作る教室を開催、海外からのコラボレータ―を含む15名ほどが参加しました。参加者は2色の毛糸を選び、スタッフの指導を受けながら、1時間ほどでわらじストラップを完成させました。編み始めはスタッフの丁寧な指導を受けて和気あいあいとした雰囲気でしたが、編み方に慣れてくると、集中して黙々と編んでいました。1個編んでコツをつかむと続けてもう1個作る参加者が多くいて、お土産としても人気でした。

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●ご視察者など
    10月 25日  国際加速器スクールJoint-US-CERN-Japan-Russia
International Accelerator School 2017参加者 56名
   
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●加速器運転計画
  11月の運転計画は、次の通りです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。

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