■ J-PARC News 第161号より       (2018/09) 
●第26回J-PARC 素粒子・原子核PAC開催 (7月18-20日、J-PARC) 
  7月18日から3日間、J-PARCにおける素粒子・原子核共同利用実験プログラム審査委員会 J-PARC PACを開催しました。今回は、今年3月末で任期を終えた委員、継続する委員、4月からの新しい委員による新旧合同の委員会として開催され、PAC委員長はKEKの幅淳二氏から米国Jefferson LabのRik Yoshida氏に引継がれました。委員会では、現在J-PARCのハドロン実験施設とニュートリノ実験施設で実施している実験の進捗状況及び計画に関して責任者からの報告と、課題提案の採否の審査が行われました。また、J-PARC加速器の現状や将来計画、2018-2019年の加速器運転計画について報告と議論がありました。
  
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●T2Kコラボレーションミーティング開催 (8月20-25日、富山国際会議場/富山県富山市) 
  8月20日から25日に、T2Kコラボレーションミーティングが富山国際会議場で開催され、世界から約200名の共同研究者が集まりました。今回は、今年5月末までに収集したデータの解析結果、将来計画などについて報告と議論が行われました。昨年末までのデータ解析結果と比較して反ニュートリノビームのデータが約50%増加し、粒子と反粒子の性質の違い (CP対称性の破れ)) について、より高い精度での解析を進めており、その成果は今秋開催される国際会議で報告される予定です。会議後は、保守点検中のスーパーカミオカンデの見学が実施されました。また、26日には一般講演会「ニュートリノに聞く宇宙」が開催され、中家剛T2K実験代表 (京大教授) は「神岡に向けてニュートリノビーム発射」と題して、T2K実験の現状を講演しました。
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  ※ 今年6月にドイツで開催されたNEUTRINO2018にて報告
   
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●J-PARCセンターアウトリーチ活動 (8月27日:中丸学童クラブ、8月31日:東海村産業・情報プラザ「アイヴィル」、9月1日:東海村立図書館) 
  8月のハローサイエンスは、最終金曜日夕方と、要望に応えて翌日土曜日午後の合計2回、開催しました。広報セクションの坂元眞一サイエンスコミュニケーターが、「素粒子実験 超入門」と題して、物質の起源を探求する素粒子研究について講演しました。素粒子を作り出すための加速器の原理と、生成された素粒子の測定方法やその検出器について紹介し、参加者からの質問に答えました。また 8月27日には、中丸学童クラブで科学実験教室を開催し、子供たちは光の万華鏡を作って、蛍光灯やLED電球、白熱灯の見え方の違いを体験しました。

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●KEK一般公開開催される (9月2日、KEKつくばキャンパス) 
  朝方からの雨は止み、過ごしやすい気温となった9月2日、高エネルギー加速器研究機構 (KEK) は研究施設の一般公開を開催し、約3500人が来場しました。KEKはJ-PARCの共同運営組織です。見学コースには、各所にJ-PARCコーナーも設けられ、関係者がJ-PARCの概要、ハドロン実験施設、T2Kニュートリノ振動実験、ミュオンや中性子について、パネルや模型を使って説明しました。また、サイエンス・カフェではニュートリノについての講演が企画され、たくさんの質問が研究者に投げかけられました。

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※1 ニュートリノターゲットステーション (TS) にあるヘリウム容器とクレーンの模型。
※2 核破砕の様子をビー玉で現す模型。中央の筒 (中性子源:青色) に多数のビー玉 (原子核) を置き、チューブからビー玉 (陽子) を転がし当てると、ビー玉が周りに飛び散り周りの筒 (実験装置) にビー玉 (中性子) が到達します。
  
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●J-PARC非常事態総合訓練を実施 (9月6日、J-PARC) 
  9月6日に、リニアックトンネル内の火災を想定した、非常事態総合訓練を実施しました。訓練では、事故現場指揮所 (J-PARC研究棟) 、想定発災現場詰所 (リニアック棟) 、現地対策本部 (原子力科学研究所・安全管理棟) との連携、情報伝達・確認、火災収束に向けた模擬検討などを行いました。また、模擬プレス発表も実施され、記者役のスタッフから厳しい質問が飛び交いました。多くの反省点を整理し、より迅速で適切な対応に繋げていきます。

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●四極電磁石用セラミックスダクトをベローズ付きに交換 (3GeVシンクロトロン (RCS) ) 
  3GeVシンクロトロン (RCS) のビームダクトには、ビームが高周波の電磁誘導を受けるのを防ぐために、セラミックスを使用しています。リニアックからのビームとRCS周回ビームが合流する上流部にRCS入射部四極電磁石が設置されているため、ダクトは大口径で複雑な形状をしたものが使われます。今回新たに開発したベローズ付のダクトに交換することで、前後のダクトとの接続にかかる応力の低減と、保守点検の効率化が図られました。交換は夏季メンテナンス期間中に完了しました。

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●International workshop on non-Invasive beam profile monitors for hadron machines and its related techniques「3rd IPM  workshop」 (9月18-20日、J-PARC) 
  ハドロン加速器における非破壊ビームプロファイルモニタとその関連技術に関わる研究会が一昨年からCERN (スイス) 、GSI (独) で実施され、今年はJ-PARCワークショップとして日本で開催されました。会議には、国内外の研究機関・大学から35名 (海外7ヶ国から16名)) が参加、加速器で使用されるIPM装置を中心に様々な機器、検出器、新しいアイディアなど14件の発表があり、活発な議論が交わされました。19日の特別講演では"MCPs and MCP based detectors"と題し、Photonis社 (仏) のRaquel Ortega Comino博士が、電子増倍素子として様々な装置に使用されているマイクロチャンネルプレート (MCP) について話しました。また、最終日にはJ-PARCツアーを実施しました。
  ※ Ionization Profile Monitor

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●第3回J-PARCシンポジウムを開催します (2019年9月23-26日@つくば国際会議場) 
  2019年9月23〜26日、第3回J-PARCシンポジウムをつくばで開催します。J-PARC施設は2008年の利用運転開始から今年で10年が経過し、この機会に世界の陽子加速器施設の研究者らとJ-PARCにおける先端科学とその産業利用について将来の施設のあり方をテーマに討論します。皆様の参加をお待ちしています。
  詳細は、http://j-parc.jp/symposium/j-parc2019/をご覧ください。

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●ご視察者など
 
    9月 13日  文部科学省研究開発局原子力課放射性廃棄物企画室
    9月 19日  茨城大学監事
    9月 21日  中国科学院高能物理研究所CSNS (中国核破砕中性子源) 所長
   
●加速器運転計画
  10月の運転計画は、次の通りです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。

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