■ J-PARC News 第163号より       (2018/11) 
●駐日スウェーデン大使マグヌス・ローバック閣下がJ-PARCを訪問 (11月13日、J-PARC) 
  J-PARCセンターでは、海外の研究機関との連携の一つとして、スウェーデンのルンド市に建設中の中性子実験施設 (European Spallation Source、ESS) と技術及び研究協力を積極的に進めています。 ESSは、J-PARC物質・生命科学実験施設 (MLF) と同様に、大強度陽子ビームで作るパルス中性子ビームを使い、物質の構造やふるまいを調べるための実験施設です。J-PARCとの研究協力は、両国の親密な協力関係のシンボルとなるものです。今般、11月13日から開催された当該協力に基づくESSワークショップに合わせ、駐日スウェーデン大使マグヌス・ローバック閣下が、J-PARCセンターを訪問されました。当日は、三浦幸俊JAEA理事及び岡田安弘KEK理事の歓迎挨拶に続き、齊藤直人センター長からJ-PARCの概要説明を受け、その後MLFとニュートリノ実験施設をご視察されました。大使からは、両機関の協力の発展が、両国と人類の未来への貢献に繋がることに大きな期待が寄せられました。

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●The 3rd ESS-J-PARC Workshop開催 (11月13〜15日、J-PARC) 
  11月13〜15日、ESSから24名が参加し、第3回ESS-J-PARCワークショップを、J-PARC研究棟及びMLF実験棟で開催しました。初日冒頭の全体会合はローバック大使の挨拶に始まり、その後は分野毎の分科会が2日目にかけて行われました。分科会では、加速器分野、安全関係、放射線モニタリング、中性子ターゲット、放射性物質の取扱い、実験試料重水素化など多岐にわたる項目について綿密な情報交換を行うとともに、具体的な協力事項の明確化についての議論が行われました。3日目のサマリーでは各分科会からの報告があり、最後にMLFの各実験装置、中性子ターゲット施設、加速器施設などを小グループで見学しました。

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●鉄リン系超伝導体で高エネルギーの磁気ゆらぎを世界で初めて発見 - 鉄系超伝導体の機構の解明、新しい超伝導体の探索へ - (11月5日、プレス発表) 
  鉄リン系超伝導体LaFePO1-yでは、その超伝導発現の鍵と考えられている反強磁性磁気ゆらぎは見つかっていませんでした。今回、総合科学研究機構 (CROSS) の石角元志氏、JAEA先端基礎研究センターの社本真一氏、J-PARCセンターの梶本亮一氏らの研究グループは、超伝導転移温度Tcが5KのLaFePO0.9試料を用いた非弾性中性子散乱実験により、Tcから予想されるエネルギー (約2.5meV) よりも高いエネルギー (30〜50meV) に反強磁性磁気ゆらぎが存在することを世界で初めて明らかにしました。この反強磁性ゆらぎと超伝導の関係は、新しい超伝導体を探索する手がかりとして期待されます。本研究成果は、英国の科学雑誌「Scientific Reports」に11月5日付でオンライン掲載されました。
  ※実験装置は、1) 物質・生命科学実験施設 (MLF) BL01、四次元空間中性子探査装置 (四季) 、2) 米国オークリッジ国立研究所CTAX、3) 仏国ラウエ・ランジュバン研究所IN5。本成果は四季により、高いエネルギーにおける磁気ゆらぎの解析がもたらした成果です。
  詳細はJ-PARCホームページをご覧ください。http://j-parc.jp/ja/topics/2018/press181105.html

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●高圧下における水素結合の対称化の直接観察に成功 - 地球深部における含水鉱物の物性変化の原因を解明 - (11月22日、プレス発表) 
  J-PARCセンターの佐野亜沙美氏は、東京大学の小松一生准教授ら及びオークリッジ国立研究所との共同研究で、MLFのPLANET及び米国パルス中性子源 (SNS) のSNAPを用いて、アルミニウム水酸化物δ-AlOOH※2の高圧下その場実験※3を行い、地下520kmに相当する18万気圧において、水分子の水素原子が隣り合う二つの酸素原子間の中心に位置する「対称化」が起きることを初めて直接観測しました。今回の研究は、地球深部に相当する高圧下では酸素原子間距離が圧縮されて、水素結合の様相が変化してより強固な結合となり、弾性波速度の上昇など鉱物全体の物性変化を引き起こしていることを明らかにしました。本結果は、2018年10月19日に英国科学雑誌「Scientific Reports」誌に掲載されました。
  ※PLANETとSNAPは高圧力下での物質構造を調べる中性子回折装置。※2アルミニウムの原料のボーキサイトなどに含まれる含水鉱物ダイアスポアの結晶構造が、高温高圧下でより高密度な構造に変化してできる高圧相。※3高圧下条件を実験装置で模擬した実験。
  詳細は、J-PARCホームページをご覧ください。http://j-parc.jp/ja/topics/2018/press181122.html

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●J-PARCセンター安全監査を実施 (11月20〜21日、J-PARC) 
  平成30年度のJ-PARCセンター安全監査が2人の監査委員により実施されました。監査では、石井哲朗 安全統括副センター長によるJ-PARCの安全管理状況報告に続き、「放射線障害の防止に係る業務改善」の導入などについて各担当者が説明。翌日は、MR加速器施設における作業状況等の視察、KY/TBMなど危険予知訓練の現状と問題などが討論されました。最後の監査委員の方からの講評の中、「いやな感じがした時は一息入れて考え、自分を止める」ことが重要とのお話があり、認識を深めました。

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●第14回核破砕材料技術に関する国際ワークショップIWSMT-14 (11月11日〜16日、いわき産業創造館) 
  IWSMTは、核破砕標的材料や加速器駆動核変換システム材料を主なテーマに隔年で開催する国際会合で、今年はJ-PARCセンターがホスト機関となり、11月11日から16日にかけて、いわき産業創造館等で開催しました。大学、研究機関、民間企業から総勢約60名 (外国人約半数を含む) の研究者の参加者がありました。陽子線の照射効果、液体金属による腐食・脆化、照射損傷 (DPA等) の基礎研究、材料・機器の技術開発の最新成果、高エネルギー量子線の大強度化に伴う各標的システムの寿命評価に加えて、原発事故で残留する放射化物の物理特性の議論があり、さらに各機関の照射後試験の状況等報告がありました。併せて、福島第一発電所と近隣エリアの見学が行われました。

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●第22回J-PARCハローサイエンス〜リクエスト大特集〜 (10月26日、東海村産業・情報プラザ「アイヴィル」) 
  今月のJ-PARCハローサイエンスは、これまでに皆様から希望が寄せられたテーマの中から、素粒子の標準模型のおさらい、ニュートリノのCP対称性の破れ、重力波の観測の3テーマについて、坂元眞一科学コミュニケーターが解説しました。いずれの話も難しい内容ながら、実験を交えた話に熱心に聞き入り、また、多くの場面で質問が投げかけられました。ハローサイエンスは、東海村が進める「とうかいまるごと博物館」事業に今回から参加しています。

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●「きぎすっ子まつり」で J-PARCハローサイエンス開催 (11月10日、那珂市立菅谷東小学校) 
  那珂市立菅谷東小学校で開催された「きぎすっ子まつり」の科学実験教室に、坂元眞一科学コミュニケーターらが初参加しました。ガウス加速器の実演では、ネオジウム磁石の強力な磁力によって打ち出される鉄球の猛スピードにみなさんビックリ!その後の光の万華鏡工作教室は4回実施。見本の万華鏡を覗き込む子供たちは「綺麗!私も作りた〜い!」と、全体で200名近い大勢の子供たちが教室に参加して実験や工作を楽しみました。

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●ご視察者など
 
   11月 14日  文科省 科学技術・学術政策局 研究開発基盤課 量子研究推進室 奥篤史室長
   11月 15日  米国核物理学者 Taylor Wilson氏
   11月 19日  文科省 研究振興局 学術機関課 西井知紀 課長
   
●加速器運転計画
  12月の運転計画は、次のとおりです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。

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